この素晴らしい世界に問題児がやって来るそうですよ?   作:暁紅

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中二ロリとの出会い

十六夜はまず地面の確認を行う。

確かに十六夜の身体は丈夫だ。

しかし、この速度で地面に衝突すればかすり傷の一つはつく。

 

なので一応確認をしていた。

すると、地面には大きなクレーターがある。

 

まぁ、十六夜も本気を出せば作れなくもないが本気だぜばの話だ。

さらにそのクレーターからは、少しながら黒い煙が上がっている。

と言うことは近くにこれを行った者がいるということ。

 

十六夜はもしかしたら自分と同等か、それ以上の奴かもしれないと少し興奮していた。

 

しかし、地面には巨大なカエルに短剣で飛びかかる青年しかいない。

 

もしもその青年があの攻撃を行ったのであれば、カエルに短剣程度で飛びかからず、クレーターを作った一撃を行えばいい。だが、あの青年は短剣で飛びかかっているならば、あの青年ではない別の人物となる。

だが辺りには他にいない。

 

逃げたか、帰ったか、死んだか。

何があったかは知らないが、残念ながらあれを引き起こした人物はいないようだ。

 

「はぁ......いきなりは会えないか...まぁいいけどよ」

 

とりあえずは無事に着地をする所から始め、巨大なカエルをクッション代わりに使うために狙いを定めドロップキックを決めた。

 

すると、カエルは肉片をばら撒き「うぎゃぁ!」と言う声も聞こえたような気がしたが、特に興味もないので気にもとめない。

 

十六夜は無事に地面に着地することに成功すると、上空から魔法使いなどがよく付けるイメージがある帽子を被った幼女が落下してくる。

 

その幼女の腹に一切の躊躇いなく蹴りを入れ、受け止める。

 

「おいおい!幼女が空から降ってくるとか、どんな世界だよ!おい、なんだよ随分と楽しそうな所だな!」

「ゴホッゴホッ......おぇっ......」

 

幼女は嘔吐きながらも、十六夜を睨みつけるように眼帯をしていない方の目で、仰向けに見上げる。

 

「よくも...よくもこの超絶美少女に蹴りを入れましたね!そもそも蹴りで受け止めるって、どういう神経してるんですか!」

「こういう神経をしているんですよ?と中二ロリ」

「なっ!今私の事をロリと言いましたね!よぉしそこに直れ、私の拳を喰らわしてやりますよ!」

 

中二ロリは一生懸命腕をふって、攻撃をしているつもりなのかもしれないが、全く腕は振らておらず身体すら動いていない。

 

流石にそんな中二ロリが可哀想に思い、首根っこを掴んで新たに出てきた巨大なカエルの前に、軽く投げ飛ばす。

 

カエルの前に飛ばされた中二ロリは、段々と顔色が悪くなり始め、十六夜に助けを乞う表情になる。

 

「そんな...うそですよね?......私今は動けないんでよ......」

「ふぁぁ~~寝みぃ......少し寝るか」

「ちょまっ!...お、お願いします!何でもしますから!助けください!」

「............」

「ちょっ!普通そこは起きて、『ん?今何でもするって言ったよね?』とかなんとか言って、助けた後に色んな事を...」

「............」

 

カエルはゆっくり1歩ずつ中二ロリに近づいていく。

そのカエルは明らかに恐怖を与えに来ている。

 

「ほら、あっちあっちですよ!あっちにいる男の方が肉が多いですよ」

 

カエルは男の方を見る。

これであのカエルは男の方に行くと思ったが、すぐに中二ロリに向き直り近づいてくる。

 

カエルの心理としては、男硬い=まずい、女柔らかい=おいしいとなっている。

なので十六夜の方に行くことは無い。

 

カエルは近づきながらゆっくりと口を大きく開く。

 

「いや本当お願いします!マジでお願いします!もうあそこに入るのだけはい」

 

カエルの開いた口に、ピッタリと中二ロリよ頭が収まる。

最初はバタバタと抵抗しようとしていたが、すぐに動かなくなり。考えることをやめた。

 

それを見ていた十六夜としては充分楽しんだので、カエルをひと殴りして中二ロリを助ける。

 

カエルの中から出てきた中二ロリは、全身カエルの粘液てベトベトしていて触りたくもないが、先程動けないと言っていたので肩に担いで、先程カエルに飛びついていた青年の元へと運ぶ。

 

 

 

青年の元につくとやはりと言っては何だが、カエルの粘液でベトベトになっていて、泣きじゃくっている少女がいた。

 

その少女は十六夜達のいた地球では有り得ない、青い髪でその髪と同じ青の瞳をしていて、改めてここは異世界なのだと痛感した。

 

 

カエルに飛びついていた男は、十六夜の肩に乗っている中二ロリを見つけると、安堵の表情になり駆け寄る。

 

「ありがとなそいつ助けてくれて、俺は佐藤和真。あんたは......どちら様?」

「まともな自己紹介どうもありがとよ。俺の名前は逆廻十六夜。粗野で凶悪で快楽主義者と三拍子そろった駄目人間なので、用法と用量を守った上で適切な態度で接してくれ佐藤」

「おう...俺の事は別にカズマでいいぜ」

「ヤハハハ。なら改めましてよろしくカズマ」

 

カズマは駄目神と爆裂中二娘と会ってきたが、今度は明らか問題児そうな人物と会って思った。

 

(何で異世界に来てまで、こんな変人に会うんだよぉ!!)

 

俺が何をした!と嘆きながらも、クエストが終わったので一先ずアクセルの街に帰還することにした。

 

 

 

とりあえずギルドに入り受付の所に行ってクエスト報酬を貰うと、めぐみんとアクアは粘液を落とすために風呂場へと向かい。

 

十六夜はカズマから借りた金で、冒険者登録をしていた。

 

何でもこの世界では冒険者登録をしなければ、先程のようなクエストを受けられないらしい。そして、それに登録するには金がいる。その金がないと言ったら、同じ転生者どうし仲良くしようと金を貸しくれていた。

 

受付の場所に行くと、金髪の女性がゆっくりとお辞儀をして「今日はどうされました?」と聞いてきたので、「冒険者登録をしに来た」と答えると、裏から1枚のカードを持ってくる。

 

そのカードに触れると、逆廻十六夜と名前が刻まれ筋力、知力等が浮かび上がる。

それを見た受付の人は、大声を上げて驚く。

 

「なっなっ何ですかこれ!知力と筋力と生命力がずば抜けて高い上に、他の物も異常に高いですよ!コレならどのような職業にもつけます!......なっ、これは!『問題児』!!まさか...これが出るなんて...」

 

ギルドの中にいた他のメンツも『問題児』と言う言葉に一斉に反応する。

 

『問題児』とは数年前に現れた女性がだした職業で、出現方法、詳しい詳細など全てが不明な職業で、その職業をとった女性は今では一国の王になったとも言われている。

 

もしその職業が出れば勝ち組とまで言われている職業だ。

その職業を目の前の男は出したとあっては、辺りの者達もどんちゃん騒ぎとなる。

 

「そんなに凄いのか?」

「はい!凄いなんてものではありません!過去に一度出した女性は今では一国の王であり、『詩人』と呼ばれています。そんな凄い職業になれる人がいるなんて...思っても見ませんでした!」

 

あまりの押しに流石の十六夜も少し引き気味になり、それでいいやと投げやり気味に職業を決めた。

 

職業を決め終わり、カズマの元へと戻ると少し険しい表情をして、飲み物を飲んでいる。

 

「どうしたカズマ?」

「いや別に何でもない......ただ少しばかし自分の運命を呪ってるだけだ」

 

変なやつだなと思いながら椅子に座り、2人がアクアが帰ってくるのを待つ。

ただ、待つのも暇なのでカズマが十六夜に気になっていた事を聞く。

 

「十六夜の特典は何なんだ?」

「特典?あぁ、これだな」

 

十六夜は自分の首にあるヘッドホンと、制服を掴みアピールする。

それを見て、カズマは目から生気が失われ、恐る恐る聞く。

 

「制服にヘッドホンだと?」

「おう、壊れないがつくがな」

「それじゃ......なんか聖剣とか最強の力とか...」

「ない」

「馬鹿だろお前ぇ!」

 

カズマは十六夜の評価を改めた。

こいつは真の馬鹿で、アホなのだと。

 

 


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