真剣でサスケ(偽)に恋しなさい。   作:体は大人!!心は中二!!

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3話

うちはの屋敷にて男と老人が密会をしていた。

 

「ほっほ。中々に面白い息子だの…フガク」

 

「ただの愚息です」

 

男と老人はサスケの父と武神の異名を持つ川神 鉄心だった。

サスケの父、フガクに依頼され、一人暮らしのサスケを見守っていた鉄心はサスケの所業を見て聞いていた。

褒められた手段ではないが、鉄心的にはとても痛快で誇らしい若者が一人増えたと喜んでフガクに報告をしていた。

 

「あの子を見ていると…師匠『うちはバサラ』を思い出す」

 

「御爺様をですか?」

 

「原爆から人々を守るために一人になったあの人とそっくりじゃ」

 

「そう…ですか」

 

長く伸びた口ひげを撫でながら、懐かしそうに語る鉄心はニヤリと笑った。

 

「いや……もしくはどこかのうちはの青年に似ておったかもしれぬ」

 

「?」

 

「昔、名家で集まるパーティーで虐められていた不死川家の分家筋の少女を助けて悪役となり、嫁にした青年と…の?」

 

「さ、さぁ。誰の事ですかな?」

 

「だれの事じゃろうな?その二人の間に生まれた子供が同じことをする。

時の流れとは実に面白い。

しかも、もう一人その青年を好いた少女が…居るところなんかもう……」

 

「……報酬にもう一冊ほど付けますので勘弁してください」

 

「ほっほっほ」

 

師匠の孫であり、自分の弟子であった男から、本来は無料であった仕事をフガクからの報酬と言う名の気持ちである、エロ本を三冊手に入れた鉄心はホクホク顔で自宅の寺へと帰っていった。

 

さすが元弟子。師匠の性癖は把握していた。

川神 鉄心は年老いても生涯現役である。

 

「それにしても暁か…ちょっとお願いしてみるかの」

 

 

 

☆サスケ☆

 

 

 

 

椎名父の助けを借りて、チャクラ…いや、気の使い方が忍者らしくなってきた二人。

本日も河原で修行する我ら暁が本格的に忍のグループとして動いても問題はないかもしれない。

 

……。

 

活動って何をすればいいのだろうか?

本家の暁みたいに傭兵か?

いやいや、少年兵は禁止だろ?つーか戦争に参加するのは嫌だ。

 

じゃあ、どこかのカエルの仙人の様に覗きを……あかん。

俺は喜々としてやりたいが、さすがに女子にやらせるのはアブノーマルすぎる。

 

………。

 

昔ジャンプで読んだ万屋みたいな感じでいいかな?

雑用とか迷いネコ探しとか…。

 

「サスケー!!見て見て影分身の術ぅ!!」

 

「私の愛も影分身」

 

ボンという音と共に分身を作った小雪と京。

気の概念があるといえ、お手軽に影分身の術を披露する少女たち。

うん、リアルハーレムの術だな。

大変よろしいと思います。

 

「ねえ、サスケ。私たちは何時活動するの?」

 

「修行ばっかでそろそろ飽きてきたよー」

 

「そうだな…とりあえず依頼を受けよう。

雑草取りでも、掃除でも、ネコ探しでも手広く引き受けて、俺たちの存在を認知してもらうんだ」

 

「「おおー。地味だけどそれっぽい」」

 

ついでに覗きのエロスポットでも探そう。

やる気に溢れる少女たちを眺めながら邪な考えが浮かぶ、そんな時だった。

時々感じる謎の気配の様な物が俺を襲う。

 

「……」

 

はじめはすぐに消えるし、気のせいだと思って無視を決め込んでいたのだが、ここ最近はいい加減鬱陶しく感じるようになり。

気配の主を探す為に写輪眼を駆使して周囲を見渡す。

 

今回は珍しく気配が消えない。

まさか犯人とご対面か?

 

もし、犯人がショタ好きのお姉さまだったらどうしよう?

わくわくと期待に胸をふくらましながら出てくるのを待つ。

 

「ほっほっほ、見事!気配を消したワシに気が付くとは、さすがうちはの天才児。

将来が楽しみじゃわい」

 

河原の近くの橋の柱から現れたのは胴着をきた髭の長い爺さんだった。

俺の期待を返せ、くそジジイ。

 

「ここ何日も俺をつけまわしておいて何を言っている」

 

「なに、うちはの天才であるお主にちょっと依頼を頼みたくてのう」

 

「何処から聞いていたかは分からないが……依頼の内容を話してからだ。内容次第では断る」

 

写輪眼で睨んでいる俺に、ニコニコとした表情のジジイ。

まるで俺とのやり取りを楽しんでいるようだ。

 

「依頼の内容は……天狗になっとるワシの孫娘と戦ってほしいのじゃ。

なに、武術の心得もあり、そこそこ強いから遠慮なく殴ってよいぞ」

 

「いいだろう」

 

孫娘と聞いて条件反射で答えてしまったが、内容も大した事はないようだ。

報酬としてこのジジイに老人会などで暁を宣伝してもらえば知名度はそれなりに上がるだろう。

ついでにストーカー被害にあった俺の心理的苦痛にあった金を請求してやる。

 

「報酬として、6万と周囲に俺達の宣伝をしてもらう。

ストーカーの件は6万で許してやる。

払わなかったら警察に通報してする」

 

「宣伝は承知した…が。金は半額にまけてくれんかの?

ワンクリックのせいで今は手持ちが……」

 

懐から財布を取り出して中身を確認する謎の爺さん。

…やけにあっさりしていて怪しい。

何かあるのか?

 

「やけにあっさりしているが……何を企んでいる?」

 

「いや、マジで孫をボコって欲しいだけじゃ。

昔は肩車をせがんで来て、可愛かったのじゃがのう…まあ、あれもあれで可愛いのじゃが」

 

孫馬鹿臭を漂わせる爺さん。

何だろう、孫娘が凄い気になると同時に、関りを持ってはいけない気がしてきた。

だが、諭吉三枚は魅力的だ。

あれが在れば十冊以上のエロ本が購入できる。

 

「僕もやるー。らんらんるー」

 

「ボッコボッコにしてやんよ。

そして勝利する私に惚れるサスケ。

完璧な計画」

 

シュッシュとシャドーをしながらやる気に満ちる少女たち。

…修行の成果を見るのに丁度いいかな?

京さん、最後のところはあなたが美少女もしくは美女となり、大人になった俺と程よい関係となって乳を揉ませてくれれば、大成功ですよ。

即堕して結婚までノンストップですよ。

 

「ほっほっほ。最近の子供は家に籠る貧弱モヤシが多いがお主たちは大変アクティブでよろしい」

 

「二人がドメスティックバイオレンスに目覚めない事を祈る」

 

二人の少女を微笑ましく感想を述べる爺さんとM属性を持たない俺の切実な願いが口から洩れた。

 

「さて、じゃあ川神院に行こうかの?」

 

「おい爺さん。何でアンタの孫娘と戦うのに川神院に行く必要がある?」

 

「ん?おお!そういえば言っておらんかったか」

 

俺の疑問にコホンと咳をし、もったいぶる感じで爺さんは自己紹介をした。

 

「ワシの名は川神 鉄心。

川神院の頂点にして最強と謳われていたジジイじゃよ」

 

「川神だと?」

 

川神…それは俺の実家であるうちはと並び立つ、化け物一族。

血統によって開眼する者がほぼいない弱体化したうちはと比べて弟子を多く取り、一代で日本最強の勢力を築き上げた怪物。

 

曰く、地震が発生したら川神のせい。

 

曰く、瞳術がないのにうちはと同じ力を発揮する

 

曰く、弟子も化け物

 

曰く、光線だすんだけど何なの?

 

まさに現代に生きる妖怪である。

うちはも川神のように積極的に弟子を取っていれば、勢力の弱体化は防げたろうに。

戦国の世に忍の祖となったご先祖様の代と曾爺さんの代ならそれなりに居たらしいが、今の当主と分家筋は頭が固いからな……。

 

ご先祖様の弟子は風魔と伊賀と別れたが歴史書にのる活躍をし、曾爺さんの弟子は世界に名を轟かせる川神院を築いた。

 

写輪眼がなくても、京達の様にチャクラを扱う能力さえ開花すれば忍術と体術は使える。

もっと弟子を取っていれば、最強の名をうちはが維持できていたはずだ。

 

なんて事を思ったりしたのだが、正直どうでもいい。

俺は楽しく人生をエンジョイ出来ればそれでいいのだ。

 

「ほっほっほ。驚いたか?驚いたか?」

 

「…別に」

 

「それ以前に興味ない。サスケが興味を持てば話は別」

 

「ちょうちょー」

 

水戸黄門的なリアクションを期待して、悪戯小僧のような表情で俺達を見る爺さんだったが、俺と分身を消した京はすぐに爺さんの期待を切り捨てた。

小雪に至っては、分身たちと蝶に夢中で話を聞いていない。

 

「最近の子供は反応がつまらんのぉ。

世知辛い世の中になったもんじゃ」

 

「そんな事よりも早く連れていけ」

 

 

………。

 

 

「ついたぞい。今、孫娘を呼んでくるのであそこの広間で待っていなさい」

 

爺さんの案内で辿り着いたのは川神で有名な大きなお寺。

そこには海外などの観光客と筋骨隆々な僧侶たちがあちらこちらで見られる。

むさくるしい。

 

これじゃあ、孫娘もムキムキなんだろうな……。

 

失礼な妄想をしながら三人で爺さんに指定された広場で待つ。

 

「皆ムキムキで強そうだねー」

 

「孫娘もムキムキ?」

 

京と小雪の感想を聞いて安心した。

どうやら失礼な妄想をしているのは俺だけではないようだ。

 

早く終わらせてエロ本を読もう。

 

すこし待っていると爺さんと孫娘だと思われる胴着を来た少女がやって来た。

小雪と同じ赤い瞳をした黒髪ショートの少女。

しかし、その瞳は獰猛で鋭く、ウサギの様な瞳の小雪とは似ても似つかない。

 

「お前らがジジイの連れてきた対戦相手か…なんだ、弱っちそうな子供じゃないか」

 

俺達を見て落胆の表情を浮かべる少女。

身長では同年代にしか見えないのだが……。

あれか?自分を上に見せたい年頃なんだな。

俺が少女の言葉をスルーしていると、後ろの二人が少女に?みついた。

 

「僕、弱くないよ」

 

「あなたも子供」

 

弱い発言で二人の闘志に火が灯る。

 

「へぇ…中々の闘気。そこらへんの僧侶といい勝負だけど……。

私には到底かなわないよ」

 

「「!?」」

 

二人の闘気にニヤリと邪悪な笑いを浮かべた少女は己の内に秘められた力を解放する。

コイツ…まさか俺と同じ転生詐欺の被害者か?

鍛え上げ、不良でロリコンな高校生をボコボコに出来るスーパー小学生である二人が威圧されて動けないでいる。

 

「対戦相手は俺だから、今すぐ威圧を辞めろ」

 

「へぇ。お前は動けるんだ?

じゃあ、そこそこ楽しめそうだな」

 

「いい加減にせい!」

 

「いだぁ!?」

 

にらみ合う俺達の横に居た爺さんが自分の孫の頭に拳を振り下ろす。

確かに、目の前この少女は問題児だ。

スーパー小学生を上回る、戦いに飢えたスーパー小学生2。

爺さんが何とかしたいのもよく分かる。

 

二人にちょっかい出したし、遠慮なく殴らせてもらおう。

 

「それでは立ち合いを始める!遠慮なくぶつかるがよい!!」

 

「お!珍しいなジジイ。いつもは有効打で終わるのに…これは本当に期待できそうだ」

 

「ほれ、さっさと位置に付かんか」

 

広場の中心に移動した俺と少女は爺さんの指定する位置まで離れて、相対する。

 

「それでは東方…川神百代!!」

 

「おう!!」

 

「西方…うちはサスケ!!」

 

「ああ」

 

爺さんに名前を呼ばれ俺達の闘気が高まる。

 

「それでは……始め!!」

 

爺さんの合図に俺に向かって飛び出す少女…川神 百代。

そのスピードはロケットを彷彿とさせ、子供の物とはとても思えない。

これで転生詐欺にあった人間ではなかったら改造人間の疑いが浮上する。

 

「耐えて見せろよ!!川神流…正拳無双突き!!」

 

そしてスピードに乗った状態で放たれる拳。

しかし、残念な事に……

 

「遅い」

 

「はぁあああああ!!!」

 

雨の様に降り注ぐ拳をひたすらに回避する俺。

避けた拳の一撃一撃が衝撃波を作り地面が抉れる。

普通の人間に直撃したらミンチになるのではないだろうか?

 

「当たらない…だと!?」

 

「残念だったな。レベル差というやつだ」

 

「ぐぅ!?」

 

熱い拳のベーゼを完全に避け切った俺は、人生で言ってみたかったセリフを吐いて、回し蹴りで川神百代を蹴り飛ばす。

ゲームだとレベル30のロックリークラスだろうか?

忍術も使わないし、ワンクリック詐欺とは関係ないのかもしれない。

 

「美少女に蹴りを入れるか…」

 

「勝負に女と男を出すのか?だったら興ざめだな」

 

「いや、むしろ大歓迎だ!!!お前は最高の対戦相手だ!!」

 

喜々とした表情で構えをとる川神百代

まさかのM属性!?

まだ小学生なのに業が深いな。

 

いや、ただのバトルマニアか。

 

「くらえ!川神流…致死蛍!」

 

マシンガンの様な拳から、こんどは気弾かよ!?

突き出された右手から放たれる気の塊。

さすがに避けたら周りが大変だよな……。

俺は右手にそれなりの気を集中させて、雷の性質変化を加える。

 

リアルで初めて使うが、ゲームで覚えた術は箸を使うように簡単に出来る!!

チチチチチ!と独自の音と共に右手からほとばしる稲妻。

俺は右手に纏った稲妻をそのままに、川神百代の放った気弾に突きを放つ

 

「千鳥!!」

 

別名雷切と言われたこの術は、川神百代の気弾を豆腐の様に切り裂きいた。

切り裂かれた気弾は形を保てなくなったのと強い気のエネルギーを受けた事で霧散して消えた。

 

「ハハハハ!!やるじゃないか!!だが……勝つのは私だ!!うちはサスケぇ!!!!」

 

「面倒な…」

 

自分の技が紙切れの様に破られたのに、心が折れる事なく高揚する川神 百代。

バトルマニアではない俺には分からに境地だ。

 

「つれない事を言うなよ!!美少女がここまでお前だけにここまで夢中になっているんだ…ぞ!!」

 

「拳を振るわず、そのセリフを好きなやつに言えばモテると思うが?」

 

放たれた拳をバシン!と音を鳴らしながら、左手の平で包み込むようにして受け止める。

 

「は?お前以外の男なんて男として見れないから無理だな。エロ本に夢中なサルかチンパンジーにしか見えない」

 

とても口には出来ないが、俺もそのチンパンジーなんです。

男なんてそんなもんなんですよ、もっと許容してくれませんかね?

 

「まあ、そんな事はどうでもいい!!話に夢中にならず、振り払うか、カウンターではじくべきだったな!!

この距離なら対処できないだろう!!川神流…」

 

「対処できないのはお前もだろう。

これで終わりだ……」

 

話している間に作った乱回転する気の玉を川神百代の腹部に押し当てる。

 

「螺旋丸!!」

 

「おおぉぉぉおおおおお!!??」

 

そこそこ手加減された螺旋丸を受けた川神百代は、そのまま後方に吹き飛び庭園の木々をなぎ倒しながら寺を囲う石壁に激突。

そのまま、気を失ったのかピクリと動かずにバタリと地面に倒れ込む。

 

こ、殺してないよね?さすがにこの年で殺人は勘弁してもらいたいのだが……。

 

慌てて、川神百代に近づく俺。

そんな俺の心配をよそに川神百代は……。

 

「いたた……体中がいたいぞ」

 

むくりと起き上がり、まるで運動会で張り切った後、筋肉痛になったおじさんのような反応を見せた。

は?手加減したとはいえ、螺旋丸だぞ?

なんだろう。生きてて安心したが、その反応はちょっとショックだ。

 

「勝者!うちはサスケ!!」

 

爺さんの判定により、俺の勝利が確定した。

 

「なぁ、動けないからおんぶしてくれよ」

 

「…爺さんに頼め」

 

「おいおい、美少女が頼んでるんだからここは喜んで担ぐ所だぞ」

 

「もっといい女になってから出直してこい」

 

軽口を叩き合いながらも肩を貸すことにした俺は、川神百代を連れて爺さんの元まで歩き出した。

そして、爺さんのところに辿り着き、川神百代を渡す。

 

「ほっほっほ。手加減された上に負けるとは百代もまだまだじゃのう」

 

「…次は手加減させない。そして必ず勝つ!」

 

「知ってるー。これって負け犬の遠吠えっていうんだよー」

 

「あれだけ自信満々だったのにね。私なら恥ずかしくて引きこもるレベル」

 

「よし……回復したらサスケの前にお前らと勝負な」

 

「「きゃー、助けてサスケー」」

 

爺さんに背負われた川神百代を挑発しまくる爺さんと小雪と京。

そして、それに楽しそうに怒る川神百代。

彼女には出会った時の棘は完全に抜けた印象を受ける。

 

こうして暁の初めての依頼は完了した。

 

 

…………。

 

 

 

 

 

 

「サスケー。戦いっましょーー!!」

 

「教室まで来るんじゃねぇよ、ウスラバカ」

 

 

ただ、後日になるとストーカーが爺さんから、バトルマニアの少女に変わったのは言うまでもなかった。

 

 

 

 


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