真剣でサスケ(偽)に恋しなさい。   作:体は大人!!心は中二!!

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2話

時々分家の人やオカンが様子を見に来るが、一人暮らしとなった小学生の朝は早い。

朝早くに目を覚まし、修行。

修行が終わればニュースを見ながら優雅に朝食。

 

うちはサスケはマンションで一人暮らしを満喫していた。

 

そして、この日はサスケの転校デビューである。

 

………。

 

川神小学校。

俺が通うことになる小学校である。

 

小学校…それはクラスカーストという理不尽な序列とモンスターペアレントが湧き出る魔窟。

少しでも弱点を晒せばすぐにいじめに繋がる地獄のサバイバル。

これに生き残る為には攻撃される材料を作ってはいけない。

勉強も出来、スポーツも出来る。

 

小学生においてはこの二つが出来ればクラスの頂点に立てるのだ。

まあ、中学生にはいればイケメン度も重要になるのだがそこは心配していない。

今の顔はうちはサスケ様だからな!!

 

「じゃあ、うちは君。ここが君のクラスだ、いじめもなくみんないい子達だからすぐに仲良くできるよ」

 

「はい」

 

「では内海(うつみ)先生、くれぐれも頼みますぞ」

 

「もちろんです、任せてください。

じゃあ、うちは君は先生が合図したら教室に入ってくるようにね」

 

校長と担任となる男性、内海教諭にVIP待遇で案内された俺は先に入った内海教諭。

耳を扉に近づければ内海教諭の声が聞こえる。

 

「みんな今日は転校生を紹介するぞ!!」

 

『おおぉーー!!』

 

「先生、転校生は男ですか?」

 

「先生女子ですよね!?女子!!」

 

クラスの中から子供たちの声が響く。

懐かしい。

自分もかつて転校生がやって来た時は、男か女かで一喜一憂したものだ。

 

「残念ながら転校生は男だ」

 

「げぇ」

 

「男かよ」

 

「賭けに負けちまったぜ」

 

「隣のクラスの風間達の勝ちかよ……」

 

転校生は男と聞いて、げんなりする男子。

つーか、賭け事までやるのかよ最近の小学生は……。

まあ、賭けたとしてもオカズやカードだろう……大人のオカズだったら、ちょっと見せてもらいたい。

 

「じゃあ、そろそろ転校生に入ってきてもらう。」

 

先生の合図を聞いた俺は、扉を開けて教室の中に入り黒板の前に立つ。

 

「じゃあ、自己紹介をしてもらおうか」

 

先生に促され妄想の中で練習した自己紹介を行う。

瞳を鋭く、クールな感じを演出し、声を低いイメージで喉から出す。

 

「うちは…サスケだ。よろしく頼む」

 

渾身の自己紹介に心の中でガッツポーズをしていると周りの反応が凍り付いていた。

あれ?外した?痛々しい中二だと思われた?まぁ、事実だけどさ。

一株の不安を覚えていると女子の黄色い声援が巻き起こった。

 

「カッコイイ!」

 

「イケメン!!」

 

「うちはだって!!名門よ名門!!」

 

「素敵!!」

 

普通ならこんなアニメや漫画のような反応は帰ってこないだろう。

ただし、それを可能にする存在がいた『イケメン』と『美少女』である。

そして、クラスメイトたちが未だに純粋な小学生であることが一番の要因かもしれない。

 

対して男子達の反応は冷ややかだ。

男子達の目が訴えている。

 

『けっ!イケメンが!!』

 

『泣かしてやる』

 

『友ちゃんを誘惑しやがって!!このクソ野郎!!』

 

『なんだろう…この胸の高まりは?

ああ…これが殺意か…』

 

見事に敵意丸出しである。

 

「じゃあ、うちは君は後ろの席に座ってくれ」

 

「分かりました」

 

先生の指した席まで移動し、机の横にランドセルを掛ける。

 

「私、高木 友香。よろしくね」

 

「ああ」

 

隣の席の女子に素っ気ないクールな挨拶を返す。

俺に挨拶を返された高木は俺とは反対方向を向いた。

表情を隠したいのだろうが、彼女の右手は小さくではあるが渾身のガッツポーズを決めている。

要望に応えることが出来た様で何よりです。

 

「じゃあ、一時間目の授業は算数な。みんな教科書の六二ページを開くように」

 

転校生イベントが終了し、授業が始まった。

ふふふふ、ここから更に加速してやるぜ!!

 

……。

 

「じゃあ、この問題が出来る者は?」

 

算数の授業が中盤に差し掛かった所で教諭が問題を解ける人間が居るのかを問いかけに俺はすかさず手を上げる。

当然上げる者などほとんど居ない。

間違ったら恥ずかしいし、面倒と思う生徒たちが多いからだ。

 

「おっ、転校初日からいきなりか……じゃあ、うちは君にやってもらおう」

 

「はい」

 

黒板の前に移動しチョークを持って答えを書き込む。

カッカカとチョーク特有の音が鳴る中、後ろの生徒達の熱い視線が背中に集中する。

 

『間違えろ、イケメン』『間違えて恥を掛け』『サスケ君、ガンバ!』

 

ビームが放たれているのではないかと思うほどの視線を耐え抜いた俺はチョークを置いて、先生を見る。

 

「……正解だ。さすがだな、うちは君」

 

「どうも」

 

この調子で国語・社会・体育と高成績を叩き出した俺は……。

 

「サスケ君!勉強を教えて」

 

「サスケ君どうやったら、簡単に逆上がりができるの?」

 

「サスケ君、恋人はいるの?」

 

「サスケ君、趣味は?好きな女の子のタイプは?」

 

お昼休みには見事にクラスカースト上位者に君臨した。

フハハハ、幼女であるが我が世の春が来た!!

そして昼までになると大体のグループが把握できる。

 

「くそぉ!!キャップでお腹いっぱいなのにさらにイケメンが女子を浚って行きやがった!!」

 

「奴は伝説の魔眼を持つ一族。女子は奴に操られてしまったようだ……。

そのせいだろう…俺の魔眼も共鳴して疼いている。

このシュナイダー大和の宿命のライバルか?」

 

「ハハハ。まあ、すごいよねうちは君は頭もいいし、運動も出来る。

大和の言ってる魔眼は関係ないけど女子の人気者だね。

男の僕でもカッコイイと思うよ」

 

「うん、でもなんでかな?私、ちょっと大和みたいに見える」

 

「クーラって奴だな!!」

 

「キャップ…それってクールの事だよね?それだと宇宙人だよ」

 

隣のクラスから俺の存在を確認してきたであろう角刈りの少年とモヤシの様な少年。

中二病が絶好調の少年、バカッぽいがイケメンな少年。

そして純粋で可愛いらしいロリの鏡、岡本一子ちゃんのグループ。

 

そして俺のクラスの上位に位置する勝気な 杉浦 綾香ちゃんと大人しい清水 美奈子ちゃんなどなどの女子グループ。

 

生意気なクソガキ共チームとその他多数。

全てを把握した。

 

ただ…一人だけ気になる子が居る。

椎名 京ちゃんだ。

彼女は大人しいのか休み時間もずっと本を読んでいる。

食事時も誰も誘われない。

いわゆるボッチというやつだ。

 

彼女を見ているとなんとも言えない気持ちになる。

NARUTOのオンラインゲームに夢中になり過ぎてドブにシュートしてしまった、わが青春。

 

集団行動での班決めで、必ずあまり……。

 

学園祭で過ごした便所飯……。

 

オタクと罵られ、ゲームにしか生きがいを感じられなかった悲しい青春を……。

 

大人になり子供となった俺には彼女の気持ちがよくわかる。

ここは人生の先輩として彼女とお友達になろうではないか!!

 

「すまん。ちょっと椎名のところに行ってくる」

 

『え!?』

 

俺が京ちゃんの名前を口にした途端にクラスが固まった。

え?なに?

 

「……えっと、どうして?」

 

「辞めときなよ、サスケ君」

 

困惑する俺に辞めろと忠告する女子たち。

もしかして、彼女はヤの付く自由業の方の娘さんなのだろうか?と思った次の瞬間、彼女達の言葉を聞いてショックを受ける。

 

「椎名菌がうつっちゃうよ!」

 

「サスケ君が汚れちゃうよ!」

 

その言葉を聞いてビクッ一瞬だけ肩を震わす京ちゃん。

彼女の動きは、純粋な子供たちが彼女の胸に面白半分で鋭いナイフを突き刺したように見えた。

彼女たちがクラスメイト達が一瞬にしてモンスターに見える。

 

「お母さんがインバイの子供だから遊んじゃダメだって言っていたの!」

 

「サスケ君、椎名菌の代わりに私と話しましょ」

 

俺はストライクゾーンの広い男だ。

幼女から熟女まで幅広い変態紳士であると自覚している。

しかし、嫌いなタイプが存在する。

それは……。

 

「そんな事は、知らん」

 

他人を喜々として追いつめる悪意の塊だ。

周りにいる幼女たちを押しのけ、椎名 京ちゃんの元へと真っすぐに向かった。

彼女も俺の存在を会話の内容を聞いて、気になっていたようで彼女の視線は本から俺に移った。

クラス中の生徒が見守る中、俺は彼女に話しかけた。

 

「ホームルームで自己紹介したと思うが…うちはサスケだ。

お前の名は?」

 

「……椎名…京。」

 

クラス中の注目を集めて心苦しいのか、突然声を掛けられて困惑しているのか…下を向きながら自身の名前を言う彼女。

 

「その本、難しそうだが……面白いのか?」

 

「…うん」

 

「じゃあ、今日の帰りに本屋で教えてくれ。買って帰るから」

 

「……い、いいよ」

 

頭がいまだに混乱しているのか、ゆっくりと返事をする椎名。

彼女の持つ本のタイトルは『アリー・ベッターと失われたマイケル』。

口実で紹介をお願いしたが、面白そうなタイトルだ。

マイケルは何処にいったのだろうか?

 

「ほ、本なら、私が紹介するから!!」

 

「椎名菌!!ちょっとその本をよこしなさいよ!!」

 

ガン!!

 

かわいらしい幼女の声も耳障りな雑音に聞こえ始めた俺は近くの机チャクラで練った拳でを粉砕する。

誰の机か分からないが、どうでもよかった。

俺はこういうのが一番嫌いだ。スターダムな人生?そんなもんは幼女の為にくれてやる。

ボッチ上等だゴラァ!!中・高ボッチを貫いた童貞魔法使いを舐めんなよ!!

 

「お前ら…うぜぇよ」

 

写輪眼を使って睨みを利かす。

その姿は、小さな極道に見えるだろう。

 

そして、大きな破砕音と恐怖で泣き出した幼女達の声を聞きつけた我らが担任が現れた。

 

「おい、何事だ!?さっきの大きな音は一体なんだ!?

まさか問題を起こしたんじゃないだろうな!?」

 

問題を起こした?

破壊された机や泣いている幼女を見てまず言うのが問題を起こしたか?だと?

普通はケガはないか?机の木片が刺さっていないか?と幼女を心配するのではないのか?

 

「先生、悪いのはすべてうちはでーす」

 

「うちはが女を脅して机を壊しましたー」

 

「う、うちは君が?ほ、本当か?」

 

「はい」

 

色々と思うところがあるが、とりあえず担任には全てを把握してもらおう。

説教を受けることになるが椎名についても相談すればきっと改善されるはずだ。

罰は甘んじて受けよう。

 

「わかった。うちは君、帰りに話をしよう」

 

「はい」

 

その後の授業と休み時間は、当然のごとくボッチとなった。

誰も話さない。

遠巻きで男子達が陰口を言う程度だ。

陰口を培ったスルースキルで回避した俺は、生徒指導室にて内海教諭と二人になった。

 

「うちは君。困るよ、あんなことをしちゃー」

 

「すみませんでした。」

 

軽い調子で注意する教諭に頭を下げる俺。

 

「じゃあ、もうするなよ。壊れた机は処分して余っていた机をそのまま使うから」

 

「……それだけですか?」

 

軽い調子で終わった説教に違和感を感じた俺は帰ろうとする教諭を引き留める。

 

「ん?だって反省したんだろ?面倒だし、親にも黙っていてやるよ」

 

「理由は聞かないんですか?」

 

「そんなのはどうでもいいよ。

名門うちはの君が無事に卒業してくれればそれでいい。

だから、大人になったら何らかの形で返してくれればいいから」

 

おいおい、どこまで腐ってるんだ?

まさかとは思うがこの教師は……。

 

「貴方は椎名がクラス全体に虐められているのを知っていたのか?」

 

「え?ああ、あの子ね?初めて知ったよ。

なるほど…あの子の為に机を破壊したのか……」

 

軽い反応だが虐めは知らなかったようだ。

幼い子供が虐められているのを知って対策を……。

 

「じゃあ、うちは君。君の事は黙っててあげるからさ、椎名のせいにしようよ」

 

「は?」

 

「だって、そうすればうちはの世間体は守れて楽だ。

彼女は弓道場の娘だし、動機は虐めにキレたと言う事で」

 

腐っていやがる。

それが教育に携わる人間か?

俺の前に居るのは教師ではない。

権力と金に貪欲な腐った動物だ。

 

「なに、謝礼は…」

 

「もう喋るな」

 

家畜以下のクソ野郎に写輪眼による幻術を掛ける。

正義の忍。

そんなものは小雪と遊ぶ為の冗談だった。

修行も、健康と程よい筋肉をつける為に遊びでやっていた。

だけど、俺は…この時本気でなってもいいと思った。

 

正義の忍に……。

 

翌日、内海は逮捕されて小学校を解雇された。

彼の人間性を疑う内容が詰められた一個テープがPTAの会長と新聞会社と警察に届けられたからだ。

 

『私、川神小学校に勤務する内海は少女の裸に興奮する性癖を持っており、プールの脱衣所や女子トイレに盗撮カメラを設置しおります。

そして、一週間に一度、録画した動画を自宅のPCで再生し、休日にレッツパーリィするのが何よりの楽しみです。

私の受け持つクラスは一人の女子生徒を虐めるクソガキの集団で、注意して相手にするのが面倒だったので放置しておりました。

具体的には出席番号15の〇〇が女子生徒の物を隠したり、出席番号21の〇〇が体躯倉庫の裏で石をぶつけて……。

さらには隣のクラスからもいじめを受けていたのを知っておりました。』

 

教諭の肉声で、録音されたテープの事実性を確認する為に教諭の自宅を捜索したところ。

女子児童の盗撮動画が見つかり、虐めの件も警察が調べて事実と判明した。

 

これにより俺のクラスのいじめグループの大半は、椎名に謝罪する事なく引っ越した。

残った、者たちは母親と父親にボコボコにされて顔面を腫らしながら椎名とその父親に謝罪した。

 

特にガクトと呼ばれていた生徒は時々暇を見つけては椎名を廊下から罵倒していたようで彼のお母さまの手によって、顔面だけアンパンマンに変身し、原型を留めていなかったのがとても印象に残る。

いじめを見ていただけの中二病の生徒も虐めていた生徒と同じように顔を腫らしていた。

 

引っ越した奴ら以外の両親はまともな思考をしているようで安心した。

 

この事件後も、クラスメイト達と話はしないがボッチではない。

一人だが大事な友達が出来た。

 

「サスケ。今日はどんな修行するの?」

 

「チャクラ…椎名の家だと気だったか?あれを使った修行を考えている」

 

「それはお父さんに教えてもらったから大丈夫。それよりも水面歩行を教えて」

 

「随分やる気だな?京」

 

「うん。小雪を追い抜く」

 

「そうか。頑張れよ」

 

「サスケ」

 

「ん?」

 

「大好き」

 

名前は椎名 京。

 

好きなものは読書とサスケ。

 

所属グループは『暁』。

 

ちなみに、転校した原因はいじめを行っていた子供たちが男児は全裸で、女子は日曜アニメのコスプレをして変顔をかましながらマイケルのス〇ラーを駅前でダンスったのが原因らしい。

そして、男子達は悪戯好きの高校生などにネットにアップされた後、謎の人物によってうちはの兄弟のようにホモサイトに投降されたようだ。

 

 

 


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