真剣でサスケ(偽)に恋しなさい。 作:体は大人!!心は中二!!
「おはようございます。今日も凛々しいお顔が素敵ですね」
「おはよう。その手を尻に向けて怪しい動きをするのは止めてくれないか?」
我がクラスS組に入室すると、浅黒いイケメンが怪しい動きで挨拶をして来た。
彼は学年のイケメン五人衆の一人、葵 冬馬。
川神で一番規模の大きい葵紋病院の跡取りだ。
頭もよく女子にもモテる、出来過ぎる男なのであるが……バイである。
男も女も両方いける高度な変態で、直江の尻が一番のお気に入りらしい。
「おはようさん。今日もイチャイチャ登校してきたのか?そのうち刺されるぞ」
「おはよう。その辺は俺も危機感を抱いていたのだが……」
「その前に私たちが殲滅してる。今頃はBLの世界に夢中」
「そうだよハゲ。犬神家ごっこしたら、来なくなったから安心だよ」
「相変わらず怖いな!後、犬神家ごっこは二度とするな!!色々な所からツッコまれるぞ」
彼は井上 準。
俺のクラスメイトであり選民意識が強く、特殊な人間の多いS組では比較的にまともな部類に入る男だ。
彼の数少ない異常な所と言えば性癖だろう。
彼は生粋のロリコンだ。
数年前から斉〇さんという芸人が幼女たちの関心を集めているらしく、幼女達の関心を引く為ならと、髪を捨てた本物である。
薬局で買った永久脱毛の薬品を薬局の前で躊躇なく頭に掛けた姿は男達の間では伝説となっている。
「そういえば、今度F組に転入生が来るらしいですよ。
たしか…ドイツのリューベックでしたかね?」
「ほう。ドイツ人か……あそこは更に賑やかになるな」
「出来れば委員長のような逸材が転入してくることを祈るぜ」
「警察を呼ぼうか?」
「井上は変質者ー」
「変質者だと?俺をあんな変態共と一緒にするな!俺はただ、見守っているだけだ!!
変態共とは違って、欲望にまみれの穢れた視線で少女を汚す行為ではなく、俺の場合は父が我が子を見る神聖な行為なんだ!!断じて変質者ではないと神に誓える!!」
F組とは成績最高ランクの50人で構成されたS組とは対極に存在するクラスであり。
成績最下位ランクの生徒たちで構成されたクラスで落ちこぼれともバカにされる事もある。
ちなみに、風間ファミリーは全員Fクラスだ。
俺達が転入生の話題に花を咲かせていると、教室に一人の髭のおっさんが現れた。
「おーい。おじさんが来たからHRをはじめるぞ」
彼は宇佐美 巨人。
我らの担任教師であり、立派なマダオだ。
代行業を営んでいるらしいが、暁に仕事を奪われつつあるようで、仕事を回して欲しいと頼み込んでくるダメな親父だ。
正直、企業努力しなさいと言いたい。
「えー。水曜に朝礼があって、木曜に人間力測定だ。
以上」
宇佐美は適度に挨拶を済ませて帰っていった。
駄目なマダオもたまには光り輝くところを見せてほしい。
☆☆☆
全ての授業を終えた俺達は、とある一年生と喫茶店で会っていた。
そう彼女は北陸から島津寮にやって来た……。
「おーう!今日もサスケはクールにハーレムだ!!
まゆっちは心を早く決めた方がいいぜ、こりゃー」
「やややや、止めてください松風!!サスケさんは私の恩人で兄的な人で、恋愛感情は……」
俺と文通していた黛 由紀江だった。
彼女は心の治療の為に川神にやって来たらしい。
なんでも、腹話術の練習にのめり込んで多重人格になってしまったのだ。
黛 大成さんが娘の為に作った手作りのストラップ。
彼女は腹話術の人形として父の想いが籠った、このストラップを選んだ。
そして、キャラクター性を作るために名前から始まり、理想の友達像を追加していき……。
最終的にはストラップを持った状態で現れるもう一人の由紀江が誕生してしまったのだ。
ボッチから二重人格者にクラスチェンジするなんて…本当に不憫な子だ。
「恋愛感情はないと言いつつ、その表情。
大人しそうな顔してサスケを狙るとは……いやらしい」
「松風はマシュマロ食べる?」
「い、いやらッ!?」
「まゆっちはいやらしくないぜ、ただムッツリなだけなんだ。
後、オイラは付喪神だからマシュマロは食べれないだよ。
ごめんなーこゆっきー。」
まるで本当にもう一人の人間が居るのではないかと思われる会話に感嘆する俺。
練習している時、目標にしていたと言っていた、いっこ〇堂さんを超えたんじゃね?
「そ、それと、島津寮の方の事で聞きたい事があるんですが……」
「なんだ?」
「一人はサスケさんのグループ暁と同盟を組んでいる方なんですよね?
ご挨拶に北陸のお土産を渡そうと思うのですが……少し不安で」
「ああ、直江は自称、俺のライバルで頭のいいモヤシだ。
源は同盟グループに所属していないが……まあ、ツンデレ?ガラが悪く不機嫌そうに見えるが、悪い奴ではないから大丈夫だ」
「そ、そうなんですか?安心しました。
正直、直江さんは私の…お、お尻に視線を感じたり、源さんはいつも不機嫌そうに見えたので怖かったんですが、安心です……」
「訂正する。直江には近づくな」
知り合いの女の子に尻マニアを近づけさえるわけにはいかない。
「直江はお尻が好きなんだね?今度からかってあげよう」
「大和はお尻好き……サスケは?」
「「ッ!?」」
少し黒くなった京の発言の後、小雪の一言で空気が変わった。
何?公衆の面前で性癖を暴露しろと?
周りのお客さんとウェイトレスのお姉さんもこの手の話が気になるのか、こちらをチラチラと伺っている。
「大人になったらな」
後日、後輩の尻を視姦したとして、ファミリーと暁女子から冷たい視線を一身に浴びる事になった直江。
彼は、目に涙を溜めながら何度目なのかすっかり忘れてしまったライバル勝負を仕掛けてきたのだ。
その内容は……。
「今度来る転入生の性別を男か女かを当てる賭けをやる…。
お前は投票に参加し、男か女に賭けろ…。
正解すればお前の勝ち、間違えたらお前の負けで、負けた分の食券を貰う……」
彼はゾンビのような動きで学校にたどり着いた。
彼の今後が幸福であらんことを……。
☆☆☆
「たるんどる!喝っっ!!!」
朝礼で毎度おなじみである学長である爺さんの喝が飛ぶ。
しかもただの喝ではない。
元武神と謳われた爺さんの声は周囲の空気を振動させた。
相変わらず滅茶苦茶な爺さんだ。
「お主ら…名誉や金、力に飢えておらんか?
男や女はどうだ?飢えておらんか?
欲しいなら奪い合い、つかみ取りなさい。
競い合いながら切磋琢磨していきなさい。
その為に決闘と言うシステムも用意しておる。
物事を決定し、己の意思を貫く為に活用しなさい。
そして、何かをつかみ取ってみなさい。
平凡な人生もいいじゃろう。
精神は腐っていきそうじゃが、それも人生。
ただ、その人生でも一定の知力と体力は必要となってくる。
最低限はここで学び、鍛えなさい。
願わくば、みんなが何かしら野心を抱いた飢えた若者達である事を願うぞい。
以上、ラブレターとファンレターは目安箱に入れてくれ」
爺さんの深い言葉に誰もが真剣に聞いていたのだがいつも通りのオチで空気が冷めていく。
あの爺さんはブルマやスク水大好きな所と、未だにモテたいと言う野心がなければ、かなりの人気がでるだろうに……。
なんか、後輩には人気が高いのにヤリたいオーラ出しまくって同級生に引かれている島津の姿と重なる。
「そういえば、F組の転入生は男らしいですよ。」
「急になんだ?」
「いえいえ、久々にライバル勝負をすると聞いてしまったので情報を提供しようかと……。
サスケ君はどう思いますか?」
教室に向かう俺の背中に葵が声をかけて来た。
どうやら、ライバル勝負の事を聞いて助言に来たらしい。
だが、俺はもう決まっている。
「女」
「……それは何故ですか?参考までにお聞きしたいのですが?」
情報を信じない俺の答えに疑問を抱いた葵の質問。
正直女と答えたのは俺の希望だ。
直江は頭を使う。
勝負する内容は常に頭脳戦。
将棋や囲碁、誰もが知らないような豆知識に小ネタ。
勝利をもぎ取る為なら、使える者は第三者でも使う男だ。
今回の噂も直江が流した物だろう。
真実かブラフか分からないのだったら自分の好きな性別を答えた方がいい。
正解は二分の一なんだ、運が良ければ当たるだろう。
しかし、正直のそのまま答えるのもなんかかっこ悪くて嫌だ。
サスケプレイを目指す者としては、もうちょっとカッコよく答えたい。
ならば……。
「その情報はブラフで、直江の差し金だ。
あのクラスには一人女子が多い為、男が入ると普通は思うだろう。
なのに男だと後押しするこの噂は怪しい。
だから女だ」
「なるほど……流石はうちは一族の天才。
物事の本質を見抜くその観察能力は貴方の写輪眼が特別という証なのでしょうね。
僕と同意見の回答に胸もドキドキですよ」
「俺は女が好きだ」
「え?京と小雪が好きすぎてたまらないって?」
「え?サスケがデレたの?」
『!?』
俺と葵のホモ野郎の言葉に反応する京と小雪。
そして、小雪の言葉に反応する女子。
安心してください、デレてますよ!
ムッツリ童貞なだけなんです。
なので……。
「デレてない」
と、答える俺でした。
結婚は職と貯金が貯まってからね。