セイバーとライダーの戦闘に割り込んだ男はライダーをそのマスターであるガーランドの所へと運んだ。
「すまないのぅ
陸沼と呼ばれた男、
「坊主は止めてくれ、これでも二年前に成人してるんでね」
「おお、すまんな」
不敵な笑みを浮かべながらガーランドは車椅子をライダーの下へ近寄らせる。
齊弌郎は聖杯戦争が始まってから疑問だったことをガーランドへ尋ねる。
「なあ、ガーランドの爺さん。俺の召喚したバーサーカーは確かに強いけどよ、こいつの触媒もそこのライダーの触媒もあんたが持ってきたもんだろ?」
「それがどうかしたのか?」
「どう考えたってバーサーカーはあんたが召喚したほうが良かったんじゃないかって」
「なんじゃ、今更不満か坊主」
「不満なんかねぇよ、バーサーカーのおかげで俺の願いはもう叶ってんだ、不服なもんか…って坊主はよせって」
「すまんすまん、そうじゃのうこのライダーを選んだ理由か、そりゃもちろん面白そうじゃからかのう」
ガーランドはそう言うと笑いながら部屋を出ていった。
焼け落ちてしまった館を後にした七星とセイバーは新たな拠点として居住区にある日本家屋に来ていた。
門を抜けるとそう広くはないが整えられた庭があり、直ぐそこには玄関がある。
中に入ると段差がありここで靴を脱ぐようになっている。
入って直ぐの所は廊下と居間でその奥にも他の部屋へと通じる廊下がある。
七星はとりあえず居間にあるテーブルに先程調達した資料を取り出した。
そこには日本が戦争していた時に使用した戦闘機の写真などがあった。
「セイバーこれを見てくれ」
セイバーもテーブルについてその写真を眺める。
それは先程セイバーが戦っていたライダーが使っていたものと酷似していた。
細部は違うが概ねそれだろう。
「わかったのか?」
セイバーの問いに七星は頷く。
正直な話しそれに行き着くのはそう難しくはなかった。
というよりは呆気ないほど容易だった。
「あれは間違いなく宝具だったよなセイバー?」
「ああ、真名開放こそしてはいなかったが間違いなく宝具だった」
それを聞いて確信した七星。
操縦席側面の黒星、垂直尾翼の稲妻、大日本帝国陸軍のパイロットスーツ。
尾翼に稲妻を描いていたのは飛行第11戦隊、通称稲妻部隊。
そしてなにより機体に黒星を描いていたのは
「東洋の悪魔か」
セイバーはその戦闘機の写真をじっと見据える。
白黒で、しかも色褪せているがそこに写っているのは紛れもなく先の戦闘でセイバーが撃墜したライダーの宝具にほかならない。
「真名が判明したのなら問題はない。次は無いだろう」
セイバーは席を立つと霊体となって消える。
しかし気がかりである。
あの老害がわざわざ真名の目立つ様な真似をするだろうか。
七星は罠である可能性も含めて仮眠を取ることにした。