ファンタシースターStrikerS NOVA   作:ライダーファイト(ただいま療養中)

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集う4人の精鋭

昨日のクエストが終了したのが11時過ぎだったので、俺とルティナは報告書を書かず部屋に戻った。

 

そのため俺達は朝飯を済ませ、船団オラクルにある武器を強化したり色々なアイテムと交換できたり有名アイドルのライブを聞く、ショップエリアの休憩所で、ルティナと一緒に報告書を制作している。

 

 

「今回リリーパに出現したダーカーはダガン30体ブリアーダ3体エルアーダ5体。蟲系ダーカーの………」

 

手でタッチボードの画面を出し、俺は文字をタッチしながら報告書を制作していると、俺の隣で報告書を制作しながらルティナが口を開いた。

 

「ねえ相棒(バディ)

 

「ん?何だよ、ルティナ」

 

「昨日発生した亜空間のことも報告した方が良いかな?」

 

ルティナが口を開いたのは、昨日発生した亜空間についてだった。俺は報告書を制作しながら返答する。

 

 

「んー、まあ報告した方がいいんじゃないか?もしかしたらオラクル船団も全ての亜空間を関知してないと思うからな。報告書に記載しとこう」

 

「うん、了解」

 

話し合いが終わると俺達は報告書制作に取り掛かるが、お喋り好きなルティナは何度も話し掛けてくる、それを俺は鬱陶しいとは思わず、楽しく喋りながら報告書制作をしていく。

 

 

 

 

「任務終了後の帰り亜空間が発生しましたが、何も異常事態は起きず静かに消えました、っと」

 

「報告書制作終わったね~」

 

「ああ、後はこれを管理官に提出すればOKだ」

 

「………うん!行こう行こう!」

 

報告書の制作が終わったので俺達は立ち上がり、ショップエリアからアークスが任務を受注出来るクエストカウンターや戦闘のクラスの変更が出来るクラスカウンター、アークスの治療を行うメディカルセンター等があるゲートエリアへと向かう。

 

ゲートエリアに来た俺達は色々なアークスに挨拶をしながら、クラスカウンターにいる管理官のコフィーさんに報告書を提出しにいく。

 

 

 

「コフィーさーん、報告書制作終わったんで提出しに来ました」

 

ルティナは、歩きながら手を振る。

 

「あ、デュアルさんルティナさんお早う御座います」

 

「お早う御座います、って言ってももう9時ですけどね」

 

コフィーさんは優しい微笑みを称えながら、ご丁寧に俺達に挨拶をしてくれた。

 

この人の名前はコフィーさん。

 

主な仕事はクエストカウンターで報告を受け取ったりクエストの管理を担当している。優しく美人な管理官のお姉さんである。

 

「それじゃあ、こちらが昨日のクエストの報告書です」

 

「はい、確かに受け取りました。お二人のことですから心配はないと思いますが、報告書の確認をして私の報告をしてもよろしいでしょうか?」

 

「「はい、別に構いません」」

 

コフィーさんの言葉に俺達は別に気にすることもないし、コフィーさんは俺達じゃ分からない意外なことに気付いてくれるから、コフィーさんの報告はちゃんと聞いておいた方がいい。

 

 

 

「はい、報告書の確認終わりました。お二人とも問題なく、どのような任務についても大丈夫ですが、くれぐれも無理はなさらないようお願いします」

 

報告書を少し確認するとコフィーさんは、にっこり微笑んで言った。

 

「分かってます」

 

「はーい」

 

俺とルティナは別々に答えて、ルティナクはエストカウンターから去ろうとするも、俺は去らずクエストカウンターに腕を掛けてコフィーさんに向かって言う。

 

 

「コフィーさん…………今日の夜空いてますか。良ければ俺とディナーはどうですか?」

 

俺が言い切ると、後ろから何故か急に機嫌が悪くなったルティナで、俺の耳を引っ張って引き()った。

 

流石はルティナ。女なのに男の俺を引き摺るとは、とんでもない力の持ち主だ。

 

 

相棒(バディ)~!………何してるの!ほら、早く行くよ!!」

 

「痛い痛い!?ルティナ痛いってば!なんでそんなに怒るのさ!?」

 

 

耳を引っ張り引き摺るルティナに俺は抗議をするが、当のルティナは聞く耳持たずという感じで、俺の耳を引っ張りまくる。

 

 

(もうっバディのバカ、あたしがいるのに他の女性に鼻の下伸ばして)

 

「だから痛いってルティナ!!俺の言葉聞こえてる!?離してって、このままじゃ耳が千切れちゃうから!」

 

「知らない!そんなことより新しい任務をやるよ!」

 

ルティナはそのまま俺を引き摺りながら去ろうとすると、管理官のコフィーさんが声を掛けてきた。

 

 

「デュアルさんルティナさん。任務に行くところ申し訳ありませんが、お二人とも上層部に呼ばれていますよ」

 

「「………………え?」」

 

コフィーさんの言葉に、俺達は気の抜けた声を出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

コフィーさんに言われたため、俺達はゲートエリアから離れ、今はアークス上層部がいる部屋へと向かって歩いている。上層部の部屋に向かいながら、上層部に呼ばれた理由を俺とルティナは話し合っている。

 

「それにしてもアークス上層部があたし達2人を呼ぶなんて、一体なんだろうね?」

 

「さあ…………でも警戒はしといた方がいいな。何せアークス上層部は一部だけど最低最悪な奴等が居たんだ。今は新しく立て直されて俺達アークスを支えてるけど、まだそんな奴等は密かに残ってるかもしれないから。警戒はちゃんとしとこう」

 

「うん、分かってるよ相棒(バディ)!」

 

「おっと、そんなこと言ってるうちに上層部の部屋に着いたよ」

 

そう気を引き締めていると、俺達は既に上層部の人間がいる部屋の前へと来ていた。

 

「それじゃあ…………行くぞルティナ」

 

「…………いつでも良いよ。相棒(バディ)

 

扉の前でノックの手を作りルティナの同意を得ようと振り向き、ルティナは無言で頷いて力強く言ってくれた。その言葉に安W心した俺は笑顔で頷きノックをする。

 

「………………………誰だ」

 

ノックをすると部屋の中から野太い男の声が聞こえてきた。その声に俺は臆さず冷静にしっかりとした声を出す。

 

「オラクル船団、アークス所属デュアルとルティナ、来ました」

 

 

「入れ…………………」

 

 

部屋に入ってもいい許可が出たため、俺は扉を開けて俺達を呼んだ上官の顔を見ながらの第一声を放つ。

 

部屋にいた上官は体が細く気に食わなさそうな優男ではなく、寧ろ体は服を着てても分かるぐらいの膨れ上がった筋肉を持ち、顔なんて戦場の第一線で戦って築き上げた鋭い眼光を持っている、耳が尖ったニューマンだった。

 

いまだに上層部を怪しんでいる俺であるが、あの惑星で鍛えられた俺なら分かる。演技でこれだけの眼光は作れない、この上官は信頼しても大丈夫かもしれないと、きっとそれはルティナも分かっているだろう。

俺は上官に気付かれないよう目だけを向けると、ルティナもそれに気付いてアイコンタクトをした。どうやら分かっているみたいだ。

 

 

 

そのため俺達は……………………

 

「「失礼します」」

 

「それで…………俺達2人を呼んだのはなんでですか?」

 

そう言って、頭を下げる。頭を上げ俺とルティナは上官の顔を見ながら呼ばれた理由を聞いた。

そう聞いてみると、上官は右手を出して言った。。

 

 

「うむ、まあ君たちを呼んだ理由より先に私の名を名乗らせてくれ」

 

上官はついでに「肩の力を抜いてくれて構わない」と付け加え、自分の名前を名乗った。

 

「いきなり呼び出してすまない、私の名前はゴーマン。見ての通り君達の上官だ………実は君達2人を呼んだのは他でもない」

 

ゴーマンと名乗った上官は、なにやら真剣な表情となり俺の顔を見る。

 

「……………君達の力を借りたいんだ」

 

「俺達の」

「あたし達の」

 

「「…………力ですか?」」

 

上官の真剣な表情と言葉に、俺とルティナは首を傾げず疑問の声を上げた。それはそうだ、今のアークスには俺達よりかなりの戦闘能力所持者が沢山いる。それなのに何故俺達が呼ばれたのかが分からない。

 

 

「ああ、そうだ…………デュアル、ルティナ、君達の経歴を見させてもらったよ。その歳でアークス特殊惑星探査隊で惑星マキアで目覚ましい活躍を見せ、あまつさえ3代目艦長として惑星マキアを脱出したようだな」

 

「ええ、あまり知られていることではありませんが、俺達はマキアで鍛えられましたから………大きな犠牲も出てしまいましたが………………」

 

俺が苦しい表情でそう言うと、上官のゴーマンさんも複雑な顔で「…………ああ」と言った。

 

そう惑星マキアで起きた出来事はその後報告書にも上げられず、俺達デルタヴァリアントの乗組員全員の心の中に仕舞うことにした。そのため惑星マキアのことを知るものは数少ない口の固い上官ぐらいだ。その上官達の名前は俺達に知らされていなかったが。

 

 

「君達はオルター付属高校で生存技能のテストでは上位に入っていたようだな?」

 

「「はい」」

 

「君達の技能を惑星ハルコタンで使ってはくれないか?」

 

「「………………………………え?」」

 

上官の言葉に、俺達はまた疑問の声を出してしまった。それに何故俺達はハルコタンへ行かなければならないんだ。

 

「惑星ハルコタンのことは知っているな?」

 

「はい、知っています。オラクルが新たに見つけた第5の惑星ですよね」

 

「そうだ……………オラクルが見つけた第5の惑星でありダークファルス双子(ダブル)が狙いをつけた惑星でもある」

 

ゴーマンさんは頷いて言うが、少し無言になったが喋りだした。

 

 

「実は惑星ハルコタンは他の惑星よりダークファルス【双子】の影響が強かったようでな、ダブルが放っていたダーカーがハルコタンで暴れているんだ」

 

ゴーマンさんは続ける。

 

「もちろんアークスを出撃させて対抗はした…………死人までは出なかったが、少し苦戦を強いられているんだ。そこで君達の力を借りて戦況を覆してほしいんだ。マキアでの報告書を見てみたが君達は指揮を上げたとも書いてあった………君達の力をハルコタンにいるアークス達に見せて欲しいんだ!」

 

ゴーマンの力強い言葉に俺は悩むことなく答えようと思ったが、その前に俺にとって大切で頼りになる相棒(バディ)に聞かなくてはならない。

 

 

「自分は別に構いませんが、ルティナ………お前はどうする?」

 

いくらルティナとは訓練校時代からの相棒(バディ)と言っても、こういう任務となればしっかりとルティナの意見も聞かなくてはならない。

すると、ルティナは笑顔で俺に顔を向ける。

 

「うん、あたしも大丈夫だよ。それにダーカーの被害が出てるのなら、黙って見過ごすことなんて私には出来ないよ」

 

ルティナの力強い返答を聞いて俺は頷き、ゴーマンさんに振り向いて俺の決意を聞かせる。

 

「ゴーマンさん………俺達は既に決めました。その任務、受けさせてもらいます!」

 

その言葉を聞くと、ゴーマンさんは不適に笑った。

 

 

「そうか、君達の決意に感謝する。それではすぐにでも出発してほしいが、君達2人だけでは危ないだろう。こちらから2名のアークスを呼ばせてもらった………君達がよく知る2人だ」

 

「俺達がよく知っている…………2人、ですか?」

 

「誰だろうね?相棒(バディ)

 

ルティナの言うとおり誰だかちょっと分からん。何せ俺達はアークスと認められた瞬間2人だけではなく、色んなアークス達と任務をこなしてきたし食事を共にしたこともある。そのため同じアークスと任務をこなしたのもあるため、今では俺達と深い関わりを持つアークスはそれなりにいる。

 

ゴーマンさんは机の左上に置いてある機械に振れる。

 

 

「ゴーマンだ………彼らから任務の了承を得られた。入ってきてくれたまえ」

 

『『はい』』

 

機械から2人組の声が聞こえて、ゴーマンさんの右後ろにある扉から足音が聞こえ、扉が開けられた。扉から出てきたアークスに俺とルティナは驚きを隠せなかった。

 

「久しぶりだな!デュアル!ルティナ!」

 

「デュアルさん!ルティナさん!お久しぶりです!」

 

扉から出てきたのは、本当に俺達の長い付き合いとなり、訓練校を主席次席で卒業したニューマンとヒューマン。

 

「セイル!?」

と名前を言ったのは俺。

 

「イズナ!?」

こっちの名前を言ったのはルティナ。

 

 

そう、この2人も俺とルティナと同じアークスの第一次特殊惑星探査隊に所属していて、惑星マキアでチームを組み共に戦い、惑星マキアに決着を付けたアークスである。

2人とまた出会えたことに、俺とルティナは喜びセイルとイズナも笑いながら近付いてくる。

 

「セイル!!本当に久しぶりだな!変わってないな!船の運営にも興味が湧いたって聞いたから、てっきりネクタイでもしてるのかと思ってたよ」

 

「イズナァ~!元気にしてた!?また会えるなんて嬉しいよ!!!」

 

「ははっ!デュアル相変わらず口が減らないな!大体俺がネクタイなんて固っ苦しいものなんてすると思うか?」

 

「はい!元気にやっていました!!私もまた御二人に出会えて嬉しいです!」

 

俺が今話しているのはヒューマンのセイル。訓練校時代から有名人で決して倒れないことを信条としており、そのため訓練校の同期からは『不倒のセイル』と呼ばれていた。そんなカッコいい2つ名を持つセイルだが、倒れないことを信条としている分、回復薬であるモノメイトの消費量も激しいため『モノメイト男』という2つ名も持っている。

 

「イズナも久しぶりだな!お姉さんがやってるケーキ屋を一緒にやってるって聞いたから、アークスを辞めたかと思ったよ!!」

 

「デュアルさん!!はい!今もお姉ちゃんと一緒にケーキ屋をやっていますが………やっぱり私は皆さんとの思い出が忘れられなかったんで、アークスを続けることを決めました!」

 

「そうなのか!?イズナがアークス続けてることに俺も嬉しいよ!!!」

 

 

セイルとの話を終えて、次に俺はニューマンのイズナと話し始める。訓練校を主席で卒業した才女で、その実力を知るものは少なかったが今もアークスを続けてることは、イズナの実力を知るものは沢山いるだろう。しかし、そんなイズナはスイーツには目がなく、それを初めて知ったとき何時もは大人しく控え目なイズナがスイーツを語る時は、とんでもなく饒舌になったことに俺は驚きを全く隠せなかったのは今でも思い出せる。

 

イズナと話し合っていると、セイルはルティナと話し始めるが、喧嘩混じりの言い合いになるが、これでも仲が良すぎるぐらいのため、放っておいても大丈夫だ。

 

俺達は久し振りに出会えたため、それに嬉しくなりながら任務のことを忘れて、話し合いに華を咲かせてしまった。そのため蚊帳の外となっていたゴーマンさんが咳払いをした。

 

 

「ゴホン、感動の再開は終わりにして、俺の話を聞いてもらっても構わないか?」

 

「「「「し、失礼しました!?」」」」

 

ゴーマンさんの言葉を聞いて俺達4人全員は、謝罪をしながら体を只した。

 

 

「うむ、それでは4人に命じる!これより君達はハルコタンの任務に行ってもらう!!任務を着実にこなし生きて帰ってくるんだ!!!分かったか!!?」

 

「「「「………了解!!!」」」」

 

ゴーマンさんの激しい言葉に俺達は怯まず、敬礼をして力強く答えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よいしょっと、おーい残りの荷物はどれくらいだ?」

 

ゴーマンさんの部屋を出た俺達はすぐにゲートエリアへと向かい、今はハルコタンへと向かうための戦闘機に念のためだが荷物を入れている。今俺が入れた荷物は武器の整備や修理を行う道具である。

 

 

「後は、携帯用食料と船の修理道具、起動式の爆薬だな」

 

「分かった、起動式の爆薬は俺が持ってくる」

 

相棒(バディ)どいてー。野営用のテントや寝袋とか入れるから」

 

声を掛けるとセイルが残りの荷物を言ったため、危険な荷物を持っていくことを言うと、野宿用の道具を持ってきたルティナが来たため俺はどいてやるとする。

 

「ふぅ~………………」

 

「ルティナ、大丈夫か?」

 

「平気平気、これぐらい大丈夫だって」

 

「そうか、じゃあ俺は起動式の爆薬を持ってくるな」

 

ルティナの心配をするが、ルティナ自身体力は高いためそれほど心配する必要はないみたいだ。それが分かったため俺は起動式の爆薬を持ってくる。

 

「よっと」

 

「えっほ、えっほ」

 

起動式の爆薬を船に持っていくが、爆薬を持っていこうとすると、その少し隣でイズナが船に使う応急修理用の道具3つを重ねて持っていた。それを見た俺は危ないと思い、爆薬を持ったままイズナに声を掛ける。

 

 

「おーいイズナー。そんなに持ったら危ないぞ。1つ持ってあげるよ」

 

「あ!?大丈夫ですよデュアルさん!それにそんなに持ってるのにさらに持たせちゃ悪いですよ!!」

 

「良いって良いって、逆にそんな持ってたらイズナが危ないからさ。1つぐらい持たせてよ」

 

そう言って俺は、イズナが持っている一番上にある修理道具を左脇に持つ、起動式の爆薬は右腕で落ちないように持つ。

 

「すみません。デュアルさん」

 

「そういう時は謝るんじゃなくて、お礼の言葉じゃない、イズナ?」

 

イズナの謝罪を聞くが、俺は惑星マキアでの訓練での助け合ったことを言う。俺がそう言うとイズナはなにかを思い出した顔になる。

 

「…………そうですね!ありがとうございます!デュアルさん!」

 

後に笑顔を見せ俺にお礼を言った。

 

 

 

「起動式の爆薬と応急修理道具持ってきたぞー」

 

「おう、まだ置き場はあるから同じところに集めて置いてくれ」

 

「りょうか~い」

 

「分かりました」

 

 

戦闘機の元まで戻ると、セイルが操縦席で俺達に荷物の置き場を言う。俺とイズナは戦闘機に入り、起動式の爆薬と応急修理道具を一緒に置く。

 

「よし、それじゃあイズナ、セイルと一緒に戦闘機の確認をしてくれ。俺はルティナが運んでる携帯食料を一気に運んでくるから」

 

「分かりました。それじゃあ行ってきます」

 

「おう、頼むよ」

 

そうイズナに言ってイズナはセイルがいる操縦席まで行き、俺はルティナの手伝いへと向かう。

 

 

 

「ルティナ、手伝いに来たよ」

 

「あ、相棒(バディ)!!ありがとう、助かるよ!」

 

手伝いに来たことにルティナがお礼を言うが、いやこれは手伝はなくてはならないだろう。何せ携帯食料は念のために10日分ぐらいは入っている、さすがにこんな重いものをルティナ1人に運ばせるのは酷すぎる。

 

そのため、俺が携帯用食料を2箱ルティナが2箱と、それぞれ半分ずつ持っている。戦闘機に最後の荷物を入れ終わったため、俺とルティナは戦闘機の確認をしている操縦席へと行く。

 

 

「どうだ戦闘機の方は?何か可笑しな所とかないか?」

 

操縦席の後ろから顔を出して操縦席に座っているイズナとセイルに聞く、オラクルの腕の良い整備士達が整備等をきちんとやってくれているから、不安などはないと思うが、こちらも念のために確認をしておいた方が良いからな。

 

「いえ、各部チェックしたところ、どこにも異常等は見当たりません。エンジンやワープ装置に通信機共に異常ありません」

 

「こっちも大丈夫だ。武装、フォトンシールド、エネルギー共に異常なく起動してるぜ」

 

「OKだな、それじゃあハルコタンの任務に行くか!ルティナ後ろに下がってくれ、セイルも下がってくれ………運転は俺がするからイズナは助手席に座ってくれ」

 

発進準備がOKとなったため、俺は指示をしながら操縦席に座ろうとするが、無駄に(こだわ)りがあるセイルがそれを黙っているはずがない。

 

「ちょっと待てデュアル!何でお前が戦闘機を操縦するんだ!ここは俺の出番だろ?」

 

「何でそんな細かいことに拘る!?良いだろ別に、それに俺の方が長年戦闘機操縦してるんだから、ここは俺に任せてよ。安全運転でハルコタンに到着させるから」

 

「いいや!ここは俺がやる!こう見えて副長業務や船の運営業務だけじゃなく、大型船から小型船まで操縦してるんだ、だからここは俺に任せろ!」

 

「いいや!ここは俺が」や「ここは俺だ!」と言い合いながら運転を奪い合う、操縦席に座っているイズナはあわあわしながら俺達を止めようとすると、俺達の体に触れて引き剥がし、そこからルティナが割り込んできた。

 

 

「はいはい、どっちでも良いから早く運転してよ。もしも決まらないなら文句なしのジャンケンで決めてよね」

 

ルティナの言葉にセイルは「お、おう」と言って、俺も「了解」と言って握り拳を作ってセイルに向ける。セイルも同じく作って俺に向ける。

 

「「最初はグー…………ジャンケン、ホイ!!」」

 

 

 

 

結果、セイルはグーを出して俺はパーを出したため、ジャンケン勝負は俺の勝ちとなり、戦闘機は俺が操縦することとなった。

 

(それにしてもセイルの奴………相変わらずバカ正直な奴だな。ご丁寧に最初からグーを出すし、変わらないな)

 

そう、セイルは変というか妙にバカ正直な所がある。そのため惑星マキアの食事で肉が1つ残ったとき、ルティナとセイルが奪い合い、それを俺が止めてジャンケンで決めろと言った。そしてジャンケンをやって結果は同じ通りセイルがグー、ルティナがパーを出して肉を獲得したのはルティナとなった。

 

その時のセイルは、頭を抱え凄まじい負けオーラを放っていた。

 

 

 

「それじゃあ今度こそ行くとするか。みんな準備は良いな」

 

「OKだよ!」とルティナ。

 

「俺様はいつだって行けるぜ!」とセイル。

 

「はい、大丈夫です!」とイズナ。

 

3人の頼もしい返答を聞いた俺は、戦闘機のエンジンを起動させる。

 

「それじゃあ、発進だ!」

 

オラクル職員の了解を得て、俺は戦闘機を発進させた。

 

 

 

「デュアルさん、船団オラクルの500メートル以上。今ならワープ装置を起動させても大丈夫です」

 

「了解イズナ……………ワープ装置起動、エネルギー照射、目標惑星ハルコタン、このまま行くぞ!みんなしっかりと捕まってろよ!……………………発進!」

 

ワープゲートが出来たため、俺は戦闘機に全力のスピードを出させ、ワープゲートに突っ込んだ。

 

 

 

「座標修正良し、船体の傾き無し…………ワープ航行に入っても異常はないみたいだな」

 

「ねえ相棒(バディ)。ワープ航行に入ったら惑星ハルコタンに着くのどれくらいになるの?」

 

ワープ航行に入っても戦闘機に異常はないか調べていると、後ろで軽い腕立て伏せをしているルティナが聞いてきたため、俺は操縦桿を持ったままルティナに顔を向ける。

 

 

「そうだな早くて5分程度。遅くて10分ぐらい、かな?」

 

「へー、それぐらいで到着するんだ。新しく発見された惑星だから、もう少し遅れるかと思ってた」

 

「新しく発見されていても、私達の前から2人のアークスが調査に入っていましたから、そのおかげで惑星ハルコタンの原住民との交流も上手くいってますしね」

 

「なあ、その2人のアークスで女性の方の正体は、とんでもないアークスだったんだよな。えーっと何て言ったんだっけ?確かクラレー?クレイー?」

 

ハルコタンの到着時間にルティナは普通の反応を示し、そんなルティナにイズナが惑星ハルコタンについて説明すると、自分の武器の調子を見ていたセイルが話しに入ってきて、ハルコタンを調査していた2人のアークスのうち1人の名を出そうとしていた。

 

 

「2代目クラリスクレイス…………10年前、ダーカーとの抗争が激しかった頃………俺達一般アークスを守るために戦い、ダークファルス【若人】(アプレンティス)と共に死んだとされていた三英雄の1人さ」

 

名を出せていないセイルに変わり俺が言って、ついでにこの事も説明しながら、まだ続けて話す。

 

 

「だが不思議なことに若人と共に死んだとされていた2代目クラリスクレイスは、歳を取らず体に怪我もなくただ記憶のみを失って、惑星ナベリウスの森林地帯の奥に倒れていた。まあ俺達アークス全員、その人が2代目クラリスクレイスとは知らなかったけど、あの深遠なる闇が出現したことで知らされたことで、めちゃくちゃ驚いたな」

 

「あー。あの時はあたしも驚いたよ~。深遠なる闇が出現したって聞いたら、次にその深遠なる闇の依り代が私達を守った2代目クラリスクレイスだったなんてね」

 

「私も驚きました…………お姉ちゃんと一緒にケーキを作っていたときに緊急連絡網で色々な情報が来ましたから」

 

「それだったら俺もだな。特殊惑星探査の任務中にオラクルから緊急帰還命令が来たと思ったら、惑星ナベリウスでダーカーの活性化が凄まじいからすぐにオラクルに集結しろって言われたからな」

 

深遠なる闇が現れたこと俺達が全力を持ってダーカーと戦いだしたことを、みんな思い出しているだろう。

 

 

「しょうがないさ、深遠なる闇は宇宙を滅ぼす最悪な存在。深遠なる闇が現れれば、アークス総動員全力で活性化したダーカーと戦わなくちゃならないからね」

 

「あの戦いは本当に大変だったよね………みんな死ぬ気で戦ってたけど、その分死ぬ気はないっていう思いもあったよね」

 

「ああ……………そうだな」

 

ルティナの発した言葉に俺は操縦桿を持ったまま、前を見ながら笑いながら頷いた。

そこでセイルが、とある疑問を口にした。

 

 

「そう言えばよ、何でオラクルは深遠なる闇の依り代となった2代目クラリスクレイスを殺さずに救出するなんていう指令を出したんだ?」

 

「やっぱり三英雄の1人だからじゃないの?死んだと思われてた2代目クラリスクレイスが生きてたんだから、オラクルとしては助けたかったんじゃないの?」

 

ルティナの台詞にイズナとセイルが納得しそうだったが、俺は透かさず否定した。

 

 

「それは違うよルティナ………今のオラクルはそんなことのために2代目クラリスクレイスの救出指令を出したんじゃないのさ」

 

「え?違うの!?じゃあ何で救出指令なんて出したの?相棒(バディ)は知ってるの?」

 

ルティナは驚いた声を出すが、すぐに俺から聞いてきた。

 

 

「まあ、そこそこって所かな?」

 

「じゃあ、教えてくれよデュアル」

 

頬を掻きながら言うと、セイルが興味満単に聞いてきて、俺も隠すことでもないため普通に喋った。

 

 

「オラクルが救出指令を出したのは、1人の女性アークスを助けるため、そして1人の男性アークスに力を貸すためだったんだよ」

 

そう言うと、ルティナがハッとなにかを思い出して、手にポンッと手を置いた。

 

「あっ!そう言えば思い出した!確かハルコタンに降りた2代目クラリスクレイスには、いつも一緒に同年齢のアークスが居たんだった!」

 

「そっ、その人がオラクル最強の三英雄と互角の戦いを見せ、ダークファルスをも退け、深遠なる闇の依り代となった2代目クラリスクレイスを救った。今も沢山の功績を建てているオラクルの英雄さ」

 

操縦桿を左手で持ち右手で正解と示すように、指をパチンと鳴らした。

 

「ああ、それだったら俺もよく知ってるぜ!確かその男、2代目クラリスクレイスの(つがい)なんだってな」とセイルが笑いながら言い。

 

「えっ!?そうなんですか!?私は2代目クラリスクレイスの伴侶(はんりょ)さんだって聞きましたけど!?」と驚きながら自分が聞いたことを言うイズナ。

 

「へー、あたしはてっきり私達と同じ、背中を任せられる相棒なのかと思ってたよ」と普通に言うルティナ。

 

「「「ねえ(なあ)(すいません)」」」

 

「「「相棒(バディ)(お前)(デュアルさん)は、どっちだと思う?(いますか?)」」」

 

ルティナ、セイル、イズナが同時に俺に答えを聞いてきたため、俺は俺が聞いた2代目クラリスクレイスと1人の男のアークスとの関係を言う。

 

「いや俺はルティナ達が聞いたのとは違うな。俺が聞いたのは…………………2代目クラリスクレイスとその人は恋人同士って話を聞いたんだが」

 

「「「ええぇぇっ!!?」」」

 

俺が聞いた話を口にすると、3人はとてつもなく驚いた声を出すが、俺は3人の驚いた反応にビビることはなく、そのまま普通に言う。

 

「だって、そうじゃないか?たった1人の男とたった1人の女性のためにオラクルもそこまでするってことは案外その2人は恋人同士の関係なんじゃないか」

 

俺の言った言葉に3人は「確かに」とでも言うかのような、納得した顔となった。

 

「それにしてもすごいよね~。その2代目クラリスクレイスを救った人…………2代目クラリスクレイスとして救うんじゃなく1人の女性として救うなんて、素敵だな~」

 

「確かに素敵ですよね。ルティナさん」

 

「それにその男。アークスの最強戦力の六芒均衡と渡り合える実力を持ってるんだろ!負けるかもしれないが、一度で良いから戦ってみたいな!」

 

すると、今度は2代目クラリスクレイスを救ったアークスの話で盛り上がり始めた。すると、ワープ航行からそろそろハルコタンに到着するランプが光った。

 

「よしっ、みんなっそろそろハルコタンに到着するから準備してくれ」

 

「「「了解」」」

 

ハルコタンに到着するのを伝えると、ルティナ達はしっかりと了承してルティナとセイルは席に座ろうとする。

 

「そう言えば相棒(バディ)。最後に聞きたいんだけど、2代目クラリスクレイスを救ったアークスの名前は何て言うの?」

 

「ああ……………その人の名前はな、レイダーって名前らしい」

 

 

 

 

 

 

「わあぁっ!?あれが惑星ハルコタンなんだ!」

 

「白と黒が基調とされてると聞いてましたけど、綺麗な白と黒が出来上がってますね!」

 

ワープ航行から出れば、もはや惑星ハルコタンの目の前にあると言ってもよいぐらいな距離だった。

 

「惑星ハルコタンに入ったら、戦闘機を空中の安全圏に止めて、出撃だったよな」

 

「そうだ…………俺達みんな惑星ハルコタンの任務は初めてかもしれないけど、気負わずダーカーを倒していこう!」

 

セイルと話し合いながらも、俺はみんなに気を配って言うと、みんなは俺に振り向くとお返しに笑顔を返した。3人のその反応に俺も笑顔を返して戦闘機のエンジンを深く踏もうとすると、いきなり警報がなり助手席に座っていたイズナが叫んだ。

 

 

ビーッ! ビーッ! ビーッ! ビーッ! ビーッ! ビーッ!

 

 

「なっ、なに!?」

 

「警報…………!?」

 

「たっ、大変です!?」

 

「どうした、イズナ?」

 

「亜空間の発生エネルギーを感知!?発生ポイントは…………私達の後ろです!?」

 

「「「なっ!?…………」」」

 

イズナの報告に俺達は驚かざるおえなかった。それはそうだ亜空間は突如として発生する謎の空間が不規則もだか、いきなり俺達の近くに発生するなんてそんな前例は聞いたことがない。

 

そんなことを考えていれば、本当に俺達の後ろに亜空間が発生した。

 

「「きゃあっ!?」」

 

「くっ!?」

 

「うおっ!?」

 

亜空間の強い力に船体が揺れたため、俺達全員は悲鳴を出した。

 

「おいデュアル!!何とかならないのか!?」

 

セイルは立ち上がり、俺に何とかしろと言うが。

 

 

「俺だって何とかしたいが、サブドライブも使って出力を上げてるが、亜空間の力が強すぎて脱出が出来ないんだっ!!!」

 

「そっ、そんな!?」

 

「脱出方法は他にないの!相棒(バディ)!?」

 

俺がそう言うとイズナは絶望の顔になり、ルティナは慌てる顔になる。

さらに亜空間は俺達に追撃を与える。

 

「駄目だ!船から脱出ポットで脱出しても亜空間に引きずり込まれるのがオチだ!」

 

「デュアルさん!亜空間に船のフォトンエネルギーを吸い取られています!」

 

「何だとっ!?」

 

相棒(バディ)…………それって、まさか?」

 

イズナの報告に焦りの顔と声を出す俺、ルティナの答えを聞こうとする言葉。エネルギーメーターも見てみたが、確かにフォトンエネルギーが吸い取られていた。それを見た俺は席を立っているルティナとセイルに大声で叫ぶ。

 

「ルティナッ!セイルッ!全力で何かにしがみつけ!!!もう()たない!亜空間に………呑み込まれる!」

 

俺がそう宣言すると、船は亜空間に勢いよく吸い込まれた。そのため船体が激しく揺れまくる。

 

「うおぉぉぉぉぉぉぉおっ!!?!?」

 

「「きゃあぁぁぁぁぁぁあっ!!?!?」」

 

「うわあぁぁぁぁぁぁあっ!!?!?」

 

 

 

船体が激しく揺れ動くため俺達は為す統べもなく、亜空間に引きずり込まれてしまった。戦闘機が引きずり込まれると、待ってかのように亜空間が閉じていくのが俺の目に見えた。

 

 

 

 

しかし、亜空間に呑み込まれた俺、いや俺達に待っていたのは惑星マキアでの事件と同等の絶する冒険である。

俺達はこの出会いで、大事なことを学ぶことになるとはまだ誰も知る由なんでないのだから。




ようやく書き終えました。色々な文章や報告が頭に出たため、書かなくてはならないという謎の使命感に燃えました。

そして話し合いに出た名の男は私作者が作ったPSO2の自キャラでございます。
PSO2の自キャラをさらす私作者の愚かさ、ですが反省も後悔もありません!


それでは誤字・脱字のご報告待っています。
感想もお待ちしております。

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