チョウワン伝説   作:塔の跡
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ステルスを得てちょっと興味本意で極東支部近くまで来てみたら、とんでもないことを聞かされます。

今回はちょっとシリアス成分を含んでいます。


初めて聞いたわ

 アギト生活4日目。創痕の防壁からおはよう。ステルスを手にいれたのでちょっとアナグラの近くに来てみた。
《うはー・・・マジでずっと燃えてんのな・・・》
 ここはずっと消えることのない炎に包まれている。いや、包まれているって言っても大火事ってわけじゃないけど。
《うーむ・・・調子にノってここ来ちゃったけど、俺ちゃんと隠れてるよな?見えてないよな?》
 不安を覚えつつ周りをうろついていると、ブラッドのメンバーが歩いているのが見えた。ずいぶん久しぶりだな。シエルがいたんじゃ俺なんてすぐ見つかってしまう・・・。
 ハラハラしながら一応隠れて様子を(うかが)ってみた。
「これで終わりっと!」
「残党ゼロ・・・任務完了ですね」
「終わったー!」
「お疲れさん」
 ・・・俺が近くにいるのにまったく気づかない。杞憂だったようだ。
《すげー・・・完璧じゃんステルス》
 これなら安心してそばでうろつけるな。
 ほっとしたのでそばまで寄ってみると、シグレ君がみんなに興奮気味に話しかけていた。
「なーなー、あのときのチョウワン、アギトってやつに変身したんだろ?」
 おいおいシグレ君よ。それじゃあ俺が本当に仮○ライダーアギトになってしまったようではないか。せめて変異か進化と言っておくれ。
「隊長、ずーっとそればっかだねぇ」
 なぬ?『隊長』とな?てことは今ジュリウスは・・・あーあ、かわいそうに・・・。ラケル(物語の黒幕的存在)に騙され中か・・・。
「生で見てー!」
「無茶言うな。今やアギトは、神出鬼没で滅多にお目にかかれないレアアラガミだぞ」
「確かに、アギトは『幸運を運ぶ者』や『希望を与える者』と言われていますから、レアなアラガミと言えますね」
「なんだっけ?接触希望種?」
「ナナ、『接触期待種』ですよ。出会ったら拝むと、幸運が訪れたり、希望を与えてもらえる・・・とサカキ博士が仰っていたでしょう?」
「それそれ!私も会ってみたいなー」
「だよな!」
 おいおいおいおい・・・なんだそれ?聞いたことないぞ?『幸せを運ぶ者』だの『希望を与える者』だの『接触期待種』だの・・・。俺って接触禁忌種だったんでないの?なんだよ『期待種』って。初めて聞いたわ。てか拝むと幸運だの希望だのくれるって意味わからんし。んな漠然としたものあげられるわけないやんけ。『幸せのアラガミ』と呼ばれる金魚ちゃんや『出会うと幸せになれる』ってジンクスのある黄金アンコウならまだわかるけども。いつの間にレアアラガミ認定されたの俺。
《接触禁忌種認定したんだったらそのまま通せよバカか人間は。元人間として本気で頭の心配するわ。アラガミは人類の敵であって、慈悲を持ち合わせてる神様じゃないっての。拝む前に逃げなさいよ》
 もはやオラクル細胞じゃないものに組み換えられた俺が言うのもなんだが、俺だって一応とはいえアラガミのはしくれだ。元人間だから人間は襲わないけど、その間に他のアラガミが襲ってくる可能性もある。人間としてはクズそのものだろうが、俺は護ってやるほど優しくはない。自分の命を(なげう)ってまで人間を護ってやる気はさらさらない。それに、以前だったら後味悪いし寝覚めも悪いし・・・しゃーねえ護ってやんよ!くらいの考えはしただろうが、今、俺は『アギト』としての生を受け入れ、『アギト』としての生を謳歌するという思考を持っている。そこから護ってやんよとはいかないのだ。どう頑張って・・・いや、そもそも頑張ろうなんて思ってないから到底無理な相談なのだ。
 やれやれ・・・とやるせなく首を振っていると、ギルが爆弾を投下しやがった。
「そういや、『天から遣わされた使徒』だの『神そのもの』だの言って、信奉しようとしてるところがあるらしいな」
《なん・・・だと・・・》
「あー、確かニュースにもなったよな。拝むために外に出ようとした人がいるとかなんとか・・・」
 ちょ、崇め奉られても困るんすけど・・・。なにもしてやれないし、よしんば本当にそんなことができたとしてもなにもしない。アラガミは神の名を(かた)らされているだけで、神仏の類いではない。身に余りまくる御業など、できるわけがないのだよ。
《やれやれ・・・環境改善しまくったのが仇になるとはねぇ・・・》
 移動中にアラガミ倒して、その(たび)に植物が生えてたからなあ・・・それでか?
《いずれにせよ、サカキのおっちゃん許すまじだわー・・・なにホラ吹いてんだよ。大ボラ吹いてんなや》
 あーもー・・・こらどえらいことになってきやがったなー・・・とほほ・・・。



物語に関係ないとこで結構いろいろやらかしてます。
そのうち舞台裏的な番外編でも書こうかな・・・なんて考え中です。