また後で会おう。
それではどうぞ。
第十七話:屋上往生
澄んだ風が春の香りを乗せて私の頬を撫でる。
満腹とまでは行かないまでも、お腹を満たされた私の脳はのどかな眠気を訴えて止まない。
屋上の一番高い場所でとる昼食というのは、私だけという特別な感覚もあいまって他では味わえない優越感みたいな感想を得る。
何れにしろ、外で食べる料理は美味しい。
自分で作ったお弁当だから料理の味は分かり切っているけれど、あの狭い教室の中で色んな匂いにまみれながらお昼を食べるのに比べれば、ここで食べるお弁当の方が何倍も美味しく感じるのは自明の理ではないだろうか。
私、小鳥遊ひまりはこの時間が好きだ。
別に人と話すのが苦手なわけでも、億劫なわけでもない。
教室内にも親しくしているクラスメートはいる。
それでも、気がつけばここに一人できて、この時間を満喫している。
食べるのは早くも遅くもないのだが、ここで過ごす時間は非常に短く感じる。
その証拠に時計の長針は半周を刻んでいた。
基本的に私は悩まない。
悩むようなこと自体がそんなにないし、悩む時間があったら悩みを解決する時間にあてた方が何倍も効率的だと思うからだ。
けど、どうしてだろう。
私は今悩んでる。
その理由は___
「…俺のベストプレイスが…。なんでこんなことに…、あんなに建物の影に位置して人の視界に入らず、そもそも無人の場所…他にないんだぞ?…俺の楽園を奪ったあいつ等は一つ残らず黒歴史を暴露されて胸が引き裂かれるような苦しみを味わってのた打ち回ればいいんだ…。………ああ、なんか既視感があると思ったら…ただの俺か…。」
___こいつだ。
◇◇◇
高校生活が始まって約二週間。
どうやら一人の男が楽園を追放されたらしい。
…どれだけ言い方を変えようと、しょうもないこと言っているのは自分でもよく分かってる。
寧ろ言い直している自分の思考が恥ずかしい。
それでも、聞いてほしい。
「やっぱり、MAXコーヒーは最高だな」
君じゃないよ。
…あれ?
私は誰に向かって話そうとしてたっけ?
「人生もこのくらい甘かったらいいのにな…」
いや、だから聞いてないから。
ていうか、何てこと言ってんのこの男子。
高校生にして早くも社畜みたいなこと言ってない?
___と、こんな風にツッコんでしまっては辟易する私なのです。
正直、疲れる。
でも、条件反射的にツッコんでしまうのは双子の姉の影響が少なからず…いや、それしかないと断言できる気がしてきた。
そう思うと無性に腹が立ってきた。
完全にお姉ちゃんはとばっちりだが、心の中での愚痴くらい許してほしい。
私は年がら年中、能天気なお姉ちゃんとは違うんだから。
大体、なんで私はこんな目に遭ってるわけ?
おかしくない?
「世界は理不尽なんだ…」
うるさいよ。
そもそも君がこの苦悩の元凶だよね?そうだよね?
…会話してないのに会話を成り立たせてる自分に寒気がする。
どこのアンジ〇ッシ〇だ?
いっそのこと悪寒になって欲しいくらいだ。
まあ、これだけのどかな天気なのだから体調が崩れるわけもないのだけれど。
………そうだ、発想を変えよう。
見たくもない、聞きたくもない話に一々反応するから疲れるんだ。
それなら、あの男子に見せかけだけでも関心をもって人間観察をすれば少しは有意義な時間を過ごせるかもしれない。
よし、やってみよう。
「…」
…。
「……」
……。
「………」
………。
「…………フッ」
喋りなさいよ!!
ムカつくんだけどその笑い方。
「やはりプリ〇ュアは初代が最強だな」
何の話!!?
私の苦悩は続く___かもしれない。
ピンポンパンポーン。
伽藍の洞へようこそ…って違いますね、真面目に挨拶します。
どうもFGOの某イベントでゲットした式様に聖杯を捧げるべきか苦悩している九条明日香です。
二か月半ぶりの投稿になります。
新章一投目はひまりちゃんです。
どうしてもひまりちゃんと八幡の掛け合いが見たくて…!!
…ダメですね、気がつくとひまりちゃんのことばかり考えてしまいます。
(※作者は病気ではありません、変態なだけです)
皆様はどのキャラがお好みでしょうか?
やっぱり、ひかりちゃんが人気ですかね?
(私も大好きです!!)
さて、まえがきでお伝えした話についてですが__
私は___
__ダーリン・イン・ザ・フランキスのSSを書くべきか迷ってます!!
ただでさえ亀更新なのにすみません。
お恥ずかしながら、アニメを見てドはまりしてしまって…。
全く構想も練ってない状態なので、投稿できるとしてもアニメ最終回を視聴後ということになりそうですが…どうしたらいいのやら。
とりあえずの近況報告として捉えて頂けたら幸いです。
今回も読んでくれてありがとう。
ご意見ご感想お待ちしております。
それではまたの機会に