寒いよ……。
…それではどうぞ。
ありのままを話そう。
なんか小鳥遊さんがこっち見てる。
すっっっっごい笑顔で見てる。
やだ、そんなに見詰められると八幡恥ずかしくて死んじゃう(棒)
「ヒッキー君ってさ…基本、屑だよね!」
なんていい笑顔で、なんて酷いこと口走るんだ…。
「俺が屑なんじゃない。こんな俺を生み出した社会が屑なんだ」
「うん、そういうとこね」
小鳥遊はため息交じりに俺を詰ると、スカートの裾を整えながら椅子に座り直す。
見た目の割に、礼節はできているようで少し意外だった。
「…で?さっきのは何だ?寝言か?」
仮に本気で付き合えなんて言ってるんだとしたら俺はこいつをビッチだと断定する。
「え?うーん…まあ軽いスキンシップ?」
はい、ビッチー。
皆さんこの子ビッチですよ~。
…俺、頭大丈夫か?(今更)
「そういうのはホイホイ、男にやるもんじゃない」
勘違いしたらどうする。
男は馬鹿なくせして純粋なんだぞ?
まあ俺はプロのぼっちだから問題ないがな。
豆腐並みのメンタルをなめるなよ。
「女の子にならいいの?」
「ああ、それは是非やって欲しいというか何ならこちらからお願いしますというか…すまん、冗談だからその屑を見るような目はやめような?」
「ようなは要らない」
あれ?なんかデジャブ…
「最近の女子の視力はどうなってるんだ?お前らには俺がどう見えてんの?」
「人という名の屑?」
「せめて屑という名の人と言って欲しい」
「自分が屑であること肯定しちゃったよこの人…」
「大丈夫だ安心しろ。この世界はほんの少しだけ屑で満ちているんだ」
「そんな世界滅べばいいと思う。…ねえ、話戻そう?」
「戻そうって言ってもな…そもそも、なんで俺はここにいるんだ?」
「ああ、そうそうそれそれ!」
「どれだ?」
「ヒッキー君をここに呼んだ理由」
小鳥遊は胸ポケットに手を入れて何かを取り出す。
折りたたまれた紙切れのように見えるが…。
「はい」
それを人差し指と中指で挟むと、手首のスナップを効かせて俺に投げ渡してくる。
やだ、イケメン(棒)
「っと」
奇跡的に片手キャッチ。
…おい、ちょっと皮が裂けたぞ。
お嬢さん切れ味良すぎ。
モン〇ンでいう、砥石使ったあとくらいの切れ味だな(?)。
渡されたということは中身を確認しろということなのだろうか?
ちらりと小鳥遊に目線を送ると、彼女は得意気に首肯してくる。
…その仕草が似合ってることに少々ムカつく俺の感性。
俺はイチゴミルクのパックをテーブルに置くと、投げ渡された紙きれを開く。
そこにあったのはほんの一文___
『比企谷くんは何の
そんな簡単な問い。
それでも俺にとっては難しい答え。
「質問の意味が分からないんだが?」
黒幕がしらばっくれる時使うテンプレートのような台詞。
文字通り歯の浮きそうな状態の俺に、小鳥遊は先ほど浮かべていた冗談交じりの無邪気なものとは明らかに異なる類の笑みを溢す。
それと同時に、軋みを上げる椅子と上靴が床を叩く音。
「ふーん…なら、はっきりさせるね?」
小鳥遊はテーブルに片手を置き、無警戒に俺に顔を近づける。
反射的に後ろに仰け反る俺だが、何故か身体が動かない。
理由は単純で、ネクタイを掴まれていた。
強制的に交わる金色の視界に俺は拘束される。
少しの呼吸すら憚れる距離で小鳥遊は問う。
「アナタは亜人だ」
それは問いというより、諭すような声音で。
無造作に、短絡的に、破壊的に、衝動的に。
小鳥遊ひかりは俺という存在に踏み込んでくる。
「………どうしてそう言い切れる?」
出会って間もない、ぼっちの俺を。
普段、視界にすら入らないような人間のことを。
お前らみたいな人種が、俺の何を知ってるって言うんだ?
「私と一緒だから」
瞬きというには遅すぎる瞼の動きが、時の流れを困惑させる。
そして、開かれた眼窩に俺は息を呑む。
なんの冗談かと思った。
あんなに綺麗なひかりを持つ少女が。
どうして___
「君も私と同じ【
どうして
どうも、寒さが苦手な九条明日香です。
前回のあとがきで『次回の更新はクリスマス頃です』__みたいなことを言ってましたが、よく考えるとクリスマスに縁のない私には関係のない話だなと思い、こうして更新しました(錯乱)
第十四話は持病のシリアス展開がでてる上に短いです。
内容も特に触れることがないですね。
年末年始で忙しい日が続くかと思いますが、体調には気を付けていきましょう(もう何を書きたいのか分からなくなってきた…)
それではまたの機会に
(エレシュキガル………こなかった…)