妹ルートは…   作:サプリボンド

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1話

 

 

「春の花々が咲き乱れ、まるで私たちの新しい出発を祝ってくれているような………」

 

 

 

入学式

 

それは、薔薇色の青春学園ライフに必要な様々な出会いと始まりをもたらす最初のイベントである。

 

だがしかし、俺にとっては受け入れられない出会いが今まさに起こっている。

受け入れられずに頭が爆発しそうだが、一先ず状況を整理してみようと思う。

 

 

俺の名前は、御子柴 珠己。

高校二年、男、十六歳。

 

中学の頃は母親の実家で暮らしていたが、卒業と同時に進学が決まっていたこの高校に通うために上京し、東京で一人暮らしを始めた。

当初、高校に進学する気は全く無く祖父母と一緒に農業をしてのんびり暮らしていく予定だったのだが、母親の命令により今の高校を受験することになり俺の牧場物語は夢に終わった。

強制受験勧告が出されたのが入試の約半年前。

受験する高校のレベルは全国トップクラス。

中学に入学してから勉強など一切してこなかった俺は、死に物狂いで勉強をした。

正直、無理だと思ったが小学生の頃に神童くんとか呼ばれていた俺の底力が本番で発揮され、見事ギリギリ合格を果たした。

 

 

そう、神童が死に物狂いでギリギリ合格なのだ。

 

 

では凡人……いや、アホではどうなっていたのか?

 

 

俺には妹がいる。

それはそれは、とてつもなくアホな妹が。

 

妹の名前は、御子柴 沙羅。

俺の一つ年下。

中学生になっても掛け算が出来ないほどのアホだ。

そんなアホにも将来は俺と一緒に農業をするという夢があったため、自分がアホなのも気にしてはいなかったようだが…。

そんなアホにとっては悲報だが俺は東京の高校へ行くことに。

俺が東京に行く当日に事態を把握したようだったが、時すでに遅し。

夢は叶わなかったが祖父母と三人で農業を頑張って力強く生きていくことだろう。

これが、アホの生きる道だ。

幸せになれよアホの妹よ―――。

 

 

 

 

それから、約一年が経ち今日、今現在。

 

 

畑で汗水垂らしてせっせと働いているはずのアホの妹が俺の目の前に姿を現したのだ。

 

それも、神童で死に物狂いでギリギリな俺の通う高校の女子用制服(ブレザー)を身に纏って。

 

しかも、ステージの上で何か喋ってる。

 

これは夢なのか?いや、夢でないのならおかしい。

あの奇跡のアホがここに、それもトップで入学出来たのならばそれは間違いなく奇跡だ。

奴に残されていた時間は約一年。

加えてあの絶望的な頭から一年でこの高校に合格することはまず不可能だ。

それはもう、合格に至るまでの軌跡を元に書籍化、映画化まで出来る勢いだ。

 

俺よりも早い段階から勉強をしてきたとはいえ、元の頭の出来が違うだろうが!

何度教えても覚えられない、要領も悪いアホの子だったでしょうが!!

 

……ああ、そうか元神童の俺は凡人以下の妹にも及ばなかったと…。

たとえ俺が妹と同じ時間勉強したとしてもトップで入学することは難しいだろう。それだけこの高校のレベルは高いのだよ……。

 

あれ?妹って天才なのか?それともぼくがバカなだけ?

あれ?神童って何だっけ?凡人って何?ぼく頭が爆発しそうだよー。

 

 

 

 

俺がギリギリ、奴がトップ……。

 

 

 

 

 

 

 

「……とめん」

 

「俺は認めんぞーっ!!!」

 

 

叫ぶと同時に俺の頭は爆発してしまったようだな、もう立っていられない―――。

 

 

 

「先生ーっ!御子柴君が倒れましたーっ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うわあああぁぁぁーーーっっ!!!」

 

 

ってあれ?

何で保健室に居るんだ俺は?

確か今日は入学式で……。

 

貧血でも起こしたのか?

イカンイカン、体調管理はしっかりしないとな!

 

よし!

教室に戻るとすr「おにーーさまーーっ!!」

 

「危なっ!!」

 

ドアを開けた瞬間何かが突っ込んできたがギリギリで避けた。

 

 

「チッ、外したか」

 

 

何だコイツは?プロレス部の勧誘か?

まあいい、いきなり飛び掛かってくる危ないやつと関わりたくないから逃げる……って………。

 

 

「沙羅お前…何故此処にいる?」

 

「何故って…それは、今日からここの生徒ですからっ♪」

 

 

「これは、さっきと同じ夢だ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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