アーシアドロップアウト   作:超高校級の切望
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龍使いの片鱗

 スコルとハティはロキの命令に従いフリード達に向かってくる。
 フェンリルが即座に対応しようとしたがフリードが手で制した。

「エクスカリバー……」
「ラグナロク……」

 迫ってくる二匹の狼を前に兄妹は魔剣と聖剣を各々構える。

「魂の共鳴」
「悲鳴共鳴」
『おお!久し振りだなコレを使うのも。あれは二年前、いや三年前?5ヶ月前だった気もするが……。5ヶ月前と言えばちょうど──』
「ぴぎゃあああああ!!」

 2人の呟きが合わさりエクスカリバーの長ったらしい話を遮るようにラグナロクについた口が喧しく叫ぶ。

「憤怒の閃光」
「スクリーチα」

 黄金と漆黒の斬撃がスコルとハティに向かって放たれる。そこはフェンリル、吹き飛ばされこそしたが体勢を立て直し牙をむく。

「藁のように死になさい!」
「デュランダル!」

 すぐさま飛びかかろうとしたがイリナが指の間に挟んでいた小型の槍を投擲しゼノヴィアがデュランダルか聖なるオーラを放ち足場を崩す。
 バランスを崩した二匹の狼にサーシャが片手を向けると足場と足が凍り付き固定される。

「雷光よ!」
「バハァ!」

 動きの止まった二匹にすかさずバラキエルの雷光とタンニーンのブレスが迫る。
 ──オオオオオォォォォンッッ!!───

「わ、うるせ!近所迷惑考えろ!」
「お前がそれ言う?」

 二匹の咆哮はバラキエルの雷光とタンニーンのブレスを打ち消す。大気の振動により氷の拘束は砕け警戒してか距離を取る二匹。フリードはすかさず茨で拘束しようとするが避けられる。

「ついでだ。コイツ等の相手もしてもらおうか」
「な、何だそいつ等!?」

 フリードはロキが呼び出したモノを見て目を見開く。巨大な蛇だったから?違う。ドラゴンの気配を感じたから?違う。
 呼び出されたモノが、この場では恐らくフリードとタンニーンにしか解らない言葉で叫んでいたからだ。

「グオオオォォ!(働きたくねぇぇぇ!)」
「グアアァァン!(帰りてぇぇぇ!)」
「ギャオオォォン!(寝たい!)」
「ゴアァァァ!(早く終わらせて帰ろうぜ!)」
「ガアアアア!(こんなに働かせやがって、何時か殺す!)」
「……………………」
「ミドガルズオルムも量産していたか!」
「ミドガルズオルムって、龍王1の怠け者で有名な?ああ、納得」

 フリードははぁ、とため息を吐く。タンニーンも、ただでさえ苦手な部類に入る怠け者のミドガルズオルムと全く同じ性格の量産型が五匹も出てきて忌々しそうな顔をしている。
 と、一匹がアーシアを見て弱そうな獲物と判断したのか襲いかかる。

「………あ?」
「!?」

 だが、止まる。アーシアの眠そうな眼で睨まれな瞬間蛇に睨まれた蛙のように動きを止めてしまった。良く見ると震えている。
 龍故に感じるのだろう、アーシアの内に眠る無限にこそ届かぬものの天龍を優に越えるドラゴンの気配に。

「グオン!(ボクこっちつく!)」
「グワォォ!(あ、ズルい!ボクも!)」
「グアア!(ボクだって!)」
「ガオオン!(てかその子強過ぎ、ボクも!)」
「オオオン!(彼奴のために勝てない仕事とか馬鹿すぎるし、ボ~クも)」
「……ん?なんだコイツ等、何勝手になついてんだおい」

 ミドガルズオルムの量産型達は一斉にアーシアを取り囲みロキに向かって威嚇する。
 後に龍使いと呼ばれる事になる、その第一歩である。使役しているドラゴン?みんなアーシアより弱いですが何か?