【実験】主人公補正を奪われた主人公はどうなるのか【観察】   作:Pyromane

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宣言通り!


第18話 コカビエル墜つ(中)

「さすがにそれは見過ごせないなぁ」

 

 

 

声がした。それが誰なのか、どこから聞こえてくるのか、年齢、性別全てがわからないが、確かに聞こえた。

 

 

「むっ・・・何者だ?姿が見えんがそういった神器所有者か?」

 

「まあ、そういったところだよ。それにしてもこの街を消すなんてさすがに見過ごせないなぁ。それに戦争がしたいなら普通に殴り込んで反撃の理由を与えてやるのが一番確率が高いだろう?」

 

「それも確実ではない。それならば魔王の親族、それも心の底から愛情を注いでいるという妹君を殺すのが一番戦争の理由づくりとして確実であろう?」

 

「ふむ、一理ある。だがそれは暗殺であろうと悪魔領に帰った後でも問題はないだろう?それにこの町を破壊する必要もない。やったとしてもこの学園を破壊する程度で問題ないだろう。貴様ら堕天使も悪魔と同じく人を道具・・・もしくは家畜としか見ていないのか?お前たち三大勢力は全てそういう考えなのか?」

 

「ふむ・・・聞かれてみれば考えたこともなかったな。少なくともアザゼルは先の大戦が終わった後は神器の研究や実験にお熱のようだな。シェムハザはそこのバラキエルの娘に援助を出していたようだしな。俺は戦闘が・・・そして戦争ができればそれでいい。堕天使などそういうものだ」

 

「つまり自分の欲が最優先でそれ以外は関係ないと?」

 

「そうだな、そもそも堕天使は欲が原因で天使から堕ちた存在(もの)だ。なればこそ自分の欲に忠実であるものなのだ」

 

「ふむ、つまり堕天使のトップは戦争をする気はないが神器を持った人間をモルモットにしているわけか」

 

 

 

謎の声はそう評価して、コカビエルとの会話を打ち切った。その間も気配や魔力、神器の反応などを探っていたがそのいずれも感知することができなかった。「ありえないっ!!」と叫びたい気持ちもコカビエルやバルパ―には確かにあった。何か考えているように何も言わなくなった謎の声の主。

場を静寂が支配した。

しかし、その沈黙を破り、言葉を発した者がその場にいた。

 

 

「堕天使なんかと同じだと思われるなんて不快だわ!!すぐに取り消しなさいッ!!」

 

「ふむ、取り消してほしいのか。これは失礼をした。私から見たらどちらも同じようなものでね。なぜ?といいたそうな顔をしているな。悪魔も堕天使も人を食い物にするか便利な駒としか思っていないわけだ。ならばこそ『人間』から見たら同じものだと言わざるを得ないだろう?まあ、さすがに天使はまだ見たことがないからわからないんだけどね」

 

 

 

その言葉を聞き、言葉に詰まるグレモリー眷属。特に顕著だったのはハーフである姫島朱乃、元人間である兵藤一誠だ。一方は堕天使が父であったがゆえに親族に母を殺された女。もう一方は危険になるかもしれないからという理由だけで堕天使の女に殺された男。どちらも心当たりがあった。

しかし、リアス・グレモリーはそんな下僕2人の様子に気づいていない。否、気づけていない。元々、悪魔であったリアスにはわからない。気づけていたとしても変わらない。絶対的価値観に差があるのだから。だからこそ、彼女は反論するのだ。

 

 

「私たち悪魔は人を食い物になんかしてないわ!人間は大事な契約者であり、人間がいないと悪魔の生活が立ち行かないのだから!!」

 

「ほう?ではなぜそこにいる兵藤一誠を転生させる際に『面白い、どうせ死ぬなら私のものになりなさい』といった発言を残した?死にかけていたとはいえ神器の反応はしていたのだろう?そうでなければ死に方から推測して神器を持っていると判断したのかな?」

 

 

 

そこまで言われ、リアスは言葉に詰まった。下僕が自分を見る目が変わったのだ。信用していたものに裏切られたような、自分の聞き間違いではなかったんだという絶望交じりの表情をする一誠。自分も同じように思われていたのかといいたそうな顔をしている小猫と朱乃、この場にいない木場の表情は見ることができないが、聞かれていたら2人と同じような表情をしていたのかと思う。それ以上にあの場に自分と一誠以外がいたはずがないと内心全力で否定したい気持ちもある。しかし、それをすると謎の声のセリフを肯定しているようなものだ。だから何も言えない。沈黙するということも肯定しているのと同じだというのはわかっているというのに。

 

 

「おや、君なら全力で反論してくるだろうと思っていたが、比較的冷静なのか。まあ、いきなり事実を言われて混乱しているだけなのかもしれないが」

 

「・・・ッ!!」

 

「まあ、自分の領地にはぐれ悪魔がいようが堕天使が入り込んでいようが気付かないようではそんなものか」

 

「は?ちょ・・・ちょっと待ちなさい!はぐれが私たちが処理した以外にもこの街にいたって言うの?!」

 

「その様子だと一切気づいていなかったようだな。まあいい、さすがにこれ以上無駄な時間を使って町が滅ぼされても困るからな。そろそろ邪魔をさせてもらおう」

 

「あと5分で統合は完了する。いまさら何をしても手遅れだ!」

 

 

そういいつつハンドサインでフリードに警戒を促すバルパ―。なんだかんだ言っても聖剣の統合や完全所有者に執心なようで今回の作戦で成功させたいのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかしそのようなことは関係ないと言いたそうな雰囲気‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐姿は全く見えないが‐‐‐‐‐‐‐₋‐で邪魔をする。そのような理不尽があってたまるかと声を大にして叫びたい。だがそのようなことをして隙を晒してしまえば自分が殺されるかもしれない。そんなことになれば術式は崩れ、自分の悲願を達成できなくなってしまう。だからこそこらえ、フリードに聖剣を死守するように指示した。フリードも、強力な武器が欲しいため、その指示に素直に従った。だが、現実は非情であった。多少自衛ができるのだから敵が自分に触れた瞬間にどうにかして捕まえてその隙にフリードに殺させようと思っていた。

 

 

 

「ふむ、やはりこれでいいのか」

 

 

 

その声とともにバルパーは自分の力を感知できなくなった。出力は一定にしているはずなのにいきなり消えたり、かと思えば全力のように感じたり、消えかけのようになったりする。これには混乱した。魔力が感じられない、というより感知する機能が破壊されたか、もしくはジャックされ書き換えられ続けているのだ。そのせいで自分がどれだけ出力しているかがわからない。そのため出すぎと感じたときに抑え、出していないと感じたときには出力を上げた・・・つもりだがどうなのかはわからない。よく考えると術式も感じられなくなっているため何がどうなっているのかがわからない。

そんなバルパ―に、フリードの声が聞こえてきた。

 

 

「バルパーのおっさん!何やってんだ?!」

 

「力が正常に感知できんのだ!!」

 

「そんなことがあり得るのかよ!?」

 

「実際になっていることを考えると神器を2つもっているか先天的にどちらかの能力を持っているかのどちらかだろう!」

 

 

 

それを聞いて笑みが深くなるコカビエル。ここに楽しみはないと思っていたが、予想外のところから楽しみが舞い込んできたのだ。大声や身振りで歓喜を表さないのが不思議なレベルである。

 

 

 

「まあ、いいだろう。元々この街を滅ぼすことなど俺1人で十分だったのだ。聖剣の統合は街を滅ぼしてからでいいだろう」

 

 

 




いやー謎の声(天の声?)さんはイッタイダレナンダロウナー(棒)

不死蓬莱さん、いつも誤字報告感謝してます

通報と、運営からの対処が来ました。正直、オリ主タグについては『二次創作作品において、作者が独自に設定した人物が主人公となる場合』という条件の解釈が間違っていなければ、私が天を主人公と設定しなければつける必要はないということだと解釈しているのですが違うのでしょうか?違う場合は説明してほしいところです(活動報告に出しておくので、これが正しい解釈だと教えてくれる人がいると嬉しいです)

クロスオーバータグをつけていないことを通報されていたので付けました。正直、オリ主問題が強すぎて、つけ忘れていることを忘れてしまっていたのでありがたかったのですが、コメントを一言いただきたかったですかね・・・。まあ、なんにせよご指摘感謝いたします

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