【実験】主人公補正を奪われた主人公はどうなるのか【観察】 作:Pyromane
教会から送られて来た使者・・・聖剣所持者とか言う2人は、自分たちより先に派遣された神父たちが惨殺されていることを不思議に思った。それもそうだろう。派遣されたものの悉くが惨殺され、裏の関係者にだけ
「イリナ、お前はこれをどう考える?」
「そうだね、私たちを挑発・・・もしくは私たちの聖剣を求めているのかな?」
「ふむ・・・やはりそうか。おそらくは私たちの聖剣を求めている方が正解だろう。そうでないのならわざわざ教会を挑発する必要もない」
「エクスカリバーを集めて何をするのかな?堕天使が集めても意味がないんじゃないの?」
「さあな、私にはわからん」
聖剣コンビは街を探索してそう結論付けた。否、結論付けたというには確証も足りず、何より結論とも言えないことなのだが。結論が『わからない』では決まらないどころの話ではないだろう。
「・・・それはそうとイリナ」
「何?ゼノヴィア」
ゼノヴィアは気になっていたことを聞くことにした。いつの間にやらイリナの持っているものが増えていたのが気になっていたのだ。
「その絵は・・・いったい何なんだ」
「これはペトロ様を描いた物よ」
「イリナ、はっきり言わせてもらうがね。これがペトロ様のわけないだろう!何なんだこの落書きは!!そんなことよりいつの間にこんなものを入手した!」
「なっ!落書きってなによ!信仰心が足りてないからわからないのよ!これだからカトリックは!!これはさっき親切な方が格安で譲ってくれたのよ。聖なるお方が描かれている。主を信仰している貴女にこそふさわしいってね!!」
イリナがそう言い返してきた時点でゼノヴィアは頭を抱えてへたり込んだ。
「ああ、なんでこんなのが私の相棒なのだ。・・・主よ。これも試練なのですか?」
「ちょっと!頭を抱えてへたり込まないでよ!あなたって沈むときとことん沈むわよね。これ以上ないって程に」
「うるさい黙れ!これだからプロテスタントは異教なんだ!!我々カトリックとは価値観が違う!もっと聖人を敬え!主への信仰を忘れてるんじゃないのか?!」
「何よ!古臭いしきたりに縛られてるカトリックの方がおかしいんじゃないの!!」
「何だとこの異教徒め!」
「何よこの異教徒!!」
そこまで言いあった後、2人は同時に頽れた。
「不毛だ、怒り、猛り狂っても無駄にエネルギーを消費してしまうだけだ」
「そうね、でもどうする?わたしたちお金なんてもう残ってないわよ?」
「聖剣でも使って大道芸でもするか?全世界どこでも通用する娯楽だ」
「いいわね!でも私たち切れるものなんて何一つ持ってないわよ?」
「む?その絵を切ればいいじゃないか」
「だ、ダメよ!これはダメ!!」
そんなことを言っていては何もできないだろう!とゼノヴィアが言うと何も切る必要はないでしょ!他にできることがあるじゃない!!とイリナが言い返す。
そんなことをしているうちに人だかりができていた。時々警官が職質をしているのが実にシュールだ。
「ちょっといいか?」
「何よ!!」
「何だ!」
「ってイッセー君じゃない。どうしたの?」
話しかけてきたのが一誠だと分かり、少し態度が軟化し、相棒への怒りが多少軟化した。
いや、軟化したのではなく鎮火したといった方が正しいのかもしれない。
「腹が減ってるんならそこのファミレスで奢るぜ?」
「ありがとうイッセー君!やっぱり持つべきものは友ってことね!!」
「すまないな赤龍帝。この馬鹿のせいで。だが恩に着る」
「ああ、少し話したいこともあったからな」
そう言って一誠主導で近くのファミレスに入った。そこで一誠は言葉通り奢った。・・・奢ったのだ。それがまさか財布の中身の8割ほど削るとは思っていなかったが。
「それで、話があると言っていたな。何の話だ?」
「ああ、聖剣破壊、もしくは奪還の手伝いをしたい」
「イッセー君、それはさすがに認められないわ。あなたたちはあくまで私たちは教会の戦士。神の使途なの」
「・・・ふむ、1本くらいなら任せてもいいだろう。最悪の場合でも、破壊ができるのならね」
「ちょっとゼノヴィア!本気なの?!相手はドラゴンの神器を持っているとはいっても悪魔なのよ!?」
「私はどのような状況でも、ベストな形で動き出す。それが大きな仕事でも、小さな仕事でもね。それに最悪、私たちだけで3本の聖剣を破壊できる確率は1割未満だ。私の奥の手を使ったとしてその確率は3割にも満たないだろう」
「それでも高い確率だと、私たちは覚悟を決めて日本に来たはずじゃない!」
「私は人事を尽くすことを悪いことだとは思わないのでね。それに主に尽くすためにも今はまだ死ぬわけにはいかんだろう。生きて帰ってこそ主への信仰であり、感謝だろう」
「前々から思っていたけどあなたの信仰心はどこかおかしいわ!」
「いや、おかしくはないさ。使えるものを使う。ぜひ利用してほしいと頼み込んできているものを無碍にするのは主への裏切りにつながりかねないだろう?それに、仲間への愛を主が否定するとは思えんからな。たとえそれが悪魔や堕天使であろうとな」
「むぅぅ・・・!」
どうも聖剣奪還に協力することに、異論はないようだった。それだけはわかった一誠と小猫は歓喜した。これで木場に合法的に聖剣を壊すことができるようになったと言えると。
木場がいなくならずに済むと。
天君、まさかの(初)未登場
不死蓬莱さん、黒のアリスさん、誤字報告感謝いたします