真・恋姫†無双 魏在住の死神代行   作:ぐぎゅる

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一刀はバリッバリ出ます。


第4話

 

 

 天の御使い(一護視点)

 

 

「それでは、取り調べを始めましょうか」

 

 目の前の金髪ツインドリルの少女の小さい口からは似つかわしく無い単語が飛び出す。

 自己紹介をする事も無くされる事も無くズルズルと流れて街まで連れて来られた。

 断ろうか、とも考えたが隣の黒髪デコッパチが突き刺すような視線で睨んでくるので、余計なイザコザを避ける為に断る事を止めた。

 場所に関しては、兗州の陳留郡と答えを貰ってるので、とりあえず尸魂界では無い事は何となく分かった。

 つーか、この金髪ツインドリルがかなり偉そうなんだが。

 

「では、貴方の名を聞かせて貰いましょうか」

「…黒崎一護だ」

「…随分変わった名ね」

「ほっといてくれ。つか、人に名乗らせといてアンタは名乗らないのかよ」

「貴様、華琳様に何という口の利き方…‼︎」

「構わないわ、春蘭」

「は、はぁ…」

 

 どうやら、黒髪デコッパチは金髪ツインドリルの部下のようだ。多分、横の明るめの水色髪の女も部下なんだろう。黒髪デコッパチを「姉者」と呼んでたしな。

 構図がちょっと十番隊に似ている。まぁ…十番隊に黒髪デコッパチのように喧嘩っ早い奴はいなかったが。

 

「我が名は曹孟徳。陳留を治める刺史よ」

 

 名前を聞いても、イマイチピンとこない。聞いた事はあるんだが思い出せないし、さっき部下に「かりん」と呼ばれてたのは何なんだ?

 曹孟徳……曹孟徳か…………あ。

 

「アンタ、曹操か‼︎」

 

 俺が叫んだ瞬間、黒髪デコッパチが俺に向かって大剣を振り下ろしていた。

 剣速は、かなり早い。が、躱せない程でも無いんだが、瞬歩って使えるのかと考えたら、自然にその大剣を白刃取りしていた。

 

「おまっ‼︎ アブねーな‼︎」

「先程から華琳様に対する無礼の数々、もう我慢ならん‼︎」

「落ち着け姉者。ここでこの男を殺しても華琳様の為にならん」

「……秋蘭がそう言うなら」

 

 剣を引く理由に少し納得がいかないが、とりあえず助かったようだ。

 つか、何で姉が妹のいいなりになってんだよ。

 

「それにしても、春蘭の剣を止めるなんてなかなかやるじゃない、貴方」

「あ⁇ んな大したことしてねーよ。俺の知り合いなら何人か出来んじゃねーかな」

「…そう。それで、貴方の出身は⁇」

「空座町だ」

「聞き覚えが無いわね。二人はどうかしら⁇」

「いえ、私も聞き覚えは…」

「姉者と同じく」

 

 まぁ、あの金髪ツインドリルが曹操ならば空座町を知ってるはずは無い。

 三国志は確か大昔の実話、だったかどうか。そこらへんの知識は高校生だった頃から比べでも抜け落ちている。

 多分、名前を聞いたら思い出す程度のレベルだ。

 

「つーか、俺の素性とか関係ねぇだろ」

「…まぁ、いいわ。ところで貴方、私の名を知っていたわね⁇ それも名乗って無いにも関わらず」

 

 その時、俺はマズったと思った。

 確かにあの時曹操は自分の事を曹孟徳と名乗った。曹は姓、孟徳は字にあたる。

 俺が口にした「曹操」には曹操が口にしていない名にあたる操が含まれていた。

 見知らぬ人間にいきなり伝えてない名を言われたら、誰でも疑問を持つ。

 何で自分の名前を知っているのか、と。

 

「キチンと説明して貰えるわよね⁇」

 

 にこり、と笑みの曹操。ただ、その目はあんまり笑ってなかった気がする。

 

「…メチャクチャな話になるけど、俺は多分未来から来た」

「…は⁇」

「だから、未来から来たんだよ。多分…1900年くらい遡って」

「バカな、あり得ん」

 

 黒髪デコッパチの言う通り、普通ならあり得ない現象だ。俺だって言ってて馬鹿馬鹿しいと感じるんだ。

 でも、事実俺はここにいる。馬鹿馬鹿しかろうと荒唐無稽であろうと、今はこの説を信じるほか無い。

 これで浦原商店あげてのドッキリとかだったら、あの下駄帽子をボコったる。

 

「…つまり、貴方は自分を天の御使いと言いたいのかしら⁇」

「…天、の……はい⁇」

「…知らないの⁇」

「知らねーよ。何だよ天の御使いって」

「…秋蘭」

「はっ。…天の御使いとは、占い師の管輅がこの大陸に降りてくると予言した存在だ。その者は白き衣を纏い、大陸を安寧に導くとされている」

 

 …何だそりゃ。

 つーか、俺にそんな力ねーし。死神としての戦闘能力はあるが、多分違うだろ。死覇装も黒だし。

 

「ま、天の御使いがどんな奴かは分かった。けど、俺は違うだろーな」

「…分かったわ。で、貴方が見た盗賊一味の件なのだけれど」

「何だよ⁇」

「その盗賊一味が盗んだ書を取り戻すまで、協力して貰うわよ」

 

 …また、面倒事が転がり込んできやがった。

 


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