捻くれた少年と純粋な少女   作:ローリング・ビートル

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第52話

「新しいファン?」

「ああ、同じクラスの奴の妹なんだが……」

「本当に!?嬉しいなぁ♪」

「それで今度のライブ……」

「うん!よかったら来て欲しいなっ!」

「そっか。伝えとくわ……じゃあ、また今度」

「あっ、八幡君……」

「どした?」

「……むぅ……やっぱりこのタイミングじゃ無理かぁ」

「?」

「な、何でもないよっ。それじゃあ、またね」

 

 *******

 

 数日後、今日は待ちに待ったライブ当日!

 私達は、秋葉原のライブハウスの控え室で準備を終え、本番までの時間をそれぞれ過ごしていた。

 緊張はあるけど、それ以上にライブがしたくてたまらない。新曲を歌うの楽しみだなぁ♪それに……

 

「穂乃果ちゃん、楽しそうだね」

「あっ、花陽ちゃん!あったりまえだよ!!皆も来てくれるし」

「えっ?本当に!?比企谷君も来るの?」

「え、絵里ちゃんっ、近いよ!まだ誰の名前も言ってないよ!」

「エリチ、ステイ!」

「チカッ!……ってやめてよ、希!ポケモンやペットみたいじゃない!」

「はい、静かに。そろそろミーティング始めますよ」

「よしっ!」

 

 すると、コンコンとドアがノックされた。もしかして……

 

「どうぞ」

「失礼しま~す」

 

 海未ちゃんが返事をすると、小町ちゃんがゆっくりとドアを開けながら入ってきた。そして、その背後には……

 

「ほら、お兄ちゃん。何照れてんの。声ぐらいかけないと」

「いや、ちょっと……」

 

 小町ちゃんに引っ張り出され、少しクセのある髪の毛と猫背が目印の八幡が入ってきた。

 ……八幡君がいる。

 胸が高鳴り、体中からふつふつとやる気がみなぎっていくのを感じる。でも……

 

「こ、こんにちは……小町ちゃん……は、八幡君」

「…………おう」

 

 どうしよう……また顔が熱くなってきた。胸もドキドキするし……いや、ライブ前だから集中しないと!

 私はスクールアイドルとして鍛えた笑顔を向け、改めて挨拶した。

 

「今日は来てくれてありがとう!頑張るからよろしきゅ……」

『…………』

 

 噛んだ!噛んじゃったよ!

 すると、周りからクスクスと笑いが漏れた。

 

「ふふっ、穂乃果ちゃん。落ち着いて」

「焦りすぎにゃ~」

「焦らんでも誰も逃げんよ」

「穂乃果さん、可愛いですね~」

「そ、そ、それより穂乃果……今……今今、は、八幡君って……」

「も、もう!笑わないでよ~!」

 

 うぅ……恥ずかしい……。

 でも、緊張みたいなのはなくなったかも。あ、そうだ!

 

「そういえば、八幡君のクラスの……」

「ああ。……おい、何で隠れてんだよ」

「でも……」

「さーちゃん!」

「ほら、けーちゃんも言ってんだろ」

「う、うん……」

 

 あれ?女の人の声が聞こえたような……。

 首を傾げると、比企谷君の足元から、ひょっこりと小さな女の子が現れた。

 その子は(多分、けーちゃんっていうのかな?)満面の笑みを私達に向けてきた。

 

「あっ!みゅーずだ~」

 

 その可愛すぎる笑顔に皆の頬が緩む。か、可愛い!可愛すぎるよ!!

 

「あっ、けーちゃん!」

 

 そして、けーちゃんに続いて入ってきたのは……え?

 

「あっ、その……こんにちは」

 

 予想外だった。

 そういえばクラスメートって聞いただけで、それ以外の事は知らなかった。

 ……八幡君が言ってたクラスメートは、まさかの美人さんだった。

 

 

 


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