活動報告の方も更新していますので、お時間あればどうぞ!
それでは今回もよろしくお願いします。
「そっかぁ、友達とはぐれちゃったんだー」
「ああ、まあな」
俺の話を聞いた高坂は、手で庇を作り、キョロキョロした後、手をポンと打った。
「じゃあ、探すの手伝ってあげよっか?」
「いや、いい。はぐれはしたが、別に探す程の奴じゃない」
まあ、適当な時間に合流すればいいだろう。特典といっても、奴の家のタンスの肥やしになるだけだし。
「ダメだよ!友達は大事にしないと!」
「いや、あれは友達っつーか……」
「?」
「……ボッチ仲間、だな」
「……ボッチって何?」
高坂はキョトンと小首をかしげる。どうやら本当にわかっていないようだ。
「独りぼっちのぼっちだよ……哀しい説明させんな」
「比企谷君、友達いないの?」
……ストレートすぎて返答に困る。
だが、彼女はこちらの心情などお構いなしに、ガッと肩を掴んできた。
「比企谷君!大丈夫だよ!」
「な、何がだ?」
てか、顔近い!顔近い!大事なことなので2回言いました!
ついでに柑橘系の爽やかな香りが漂ってきて、鼻腔を優しく刺激した。
もちろん彼女はこちらの心情などお構いなしだ。
「一緒にお話したり、一緒にオヤツ食べたり、一緒にご飯食べたり、一緒にパン食べたり、一緒に遊べればきっとお友達になれるよ!!!」
「……そ、そうか」
半分以上食べてばっかじゃねーか。しかもパンは特別枠かよ。
「それに……」
「?」
「私達、もう友達でしょ?」
「…………」
無邪気すぎる笑顔。
純粋という成分のみで構成されたようなその笑顔でそんなことを言われると、思春期男子としては嬉しいような、悲しいような、何ともいえない気持ちになる。いや、別に何かを期待していたわけでもないし、中学時代なら好きになって告白してただろうな、なんてこれっぽっちも考えていない。ハチマン、ウソ、ツカナイ。
「比企谷君?」
彼女の表情に不安の影が差す。
不覚にもその事に慌ててしまった。
「あ、いや、その……そうじゃ、ないか」
「うん!ありがと!」
「じゃ、じゃあ、そろそろ……いいか?」
「何が?」
正直、この人通りの中でいつまでもこの至近距離で会話するのは辛すぎる。たまに背後に冷たい視線が突き刺さる錯覚を覚えて落ち着かない。
高坂もようやく気づいたようだ。
「あ、ご、ごめ~ん……」
「いや、いい……それじゃあな」
「あ、待って!」
立ち去ろうとすると、また肩を掴まれる。
振り向くと彼女は、笑顔でスマホをこちらの眼前に突き出してきた。
「私達、友達って言ったよね。連絡先交換、しよ?」
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