「バレンタインデー?」
「うん、バレンタインデー。穂乃果ちゃんはどうするのかなって」
ことりちゃんからの質問に首をかしげると、すぐにその意味に気づいた。
「八幡君からは「ラブライブに向けての練習で忙しいだろうから、別にいい」って言われちゃったからなぁ……」
「そっかぁ」
「何だか想像できますね」
海未ちゃんも、うんうん頷きながら隣に腰を下ろしてきた。
ちなみに、バレンタインデーの話を八幡君としたのは、昨日の夜だ。何となく想像していた通りだった。あの時の声……優しかったなぁ。
「穂乃果ちゃ~ん?」
「これは……昨晩の会話を思い出してる顔ですね……」
*******
「八幡君、今度のバレンタインデーなんだけど……」
「ああ、別にいい」
「はやっ!?はやいよ、八幡君!確かに手作りは心配かもしれないけど!」
「いや、それは心配だが、そうじゃねえよ」
「そっか……あれ?今なんかちょっとひどかったような……」
「ま、まあ、その……もうすぐラブライブ決勝だからな。あまり負担はかけさせたくないっつーかな……」
「八幡君……」
「それよか、最近そっちはどうなんだ?」
「ふふっ、今日は海未ちゃんがね~……」
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「穂乃果!」
「わっ、びっくりしたぁ……」
「びっくりしたのはこっちです!海未ちゃんがね~の続きはなんですか?言いなさい!」
「人の頭の中見ないでよ~!海未ちゃんのエスパー!」
「いいから言いなさい!」
「二人共~、そろそろ休憩終わりだよ~!」
私は、再び練習に向かいながら、八幡君に心の中でお礼を言った。
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それからしばらくして、練習から家に帰ると、お母さんがニヤニヤしていた。
「な、なあに、お母さん……こわいよ?」
「こわいとは何よ、失礼ね。せっかくアンタへのプレゼント預かってるのに」
「プレゼント?」
誰からだろう?私の誕生日はまだ先なんだけど……。
「愛しのカレからよ」
「そっかぁ、八幡君からかぁ……って、えええええ!?」
は、八幡君から!?
「送られてきたのっ!?」
「えっ、ちょっと前に直接来たわよ。これアンタにって……」
今から走れば間に合うかなっ?
そう考えたところで、ポケットの中でケータイが震えだした。
こんな時に誰から……八幡君!?
八幡君がメールをくれたようだ。
慌てて開くと、そこには一言だけ書かれていた。
『手紙見ろ』
手紙?
一旦自分の部屋に戻り、プレゼントのラッピングを開け、中を確認すると、そこにはお菓子の入った箱と可愛らしい封筒があった。
そっと手紙を確認すると、そこにも一言だけ……
『無理しすぎないで頑張れ』
その言葉を読むと、自然と笑みが零れた。
八幡君が何度も書き直した姿が、何故か自然と頭に浮かび、温かい気持ちになった。
「……ありがと……大好き」
しばらく私は、自分の胸の高鳴りと共に、何度もその手紙を読み返した。
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