灰の大狼は騎士と会う   作:鹿島修一

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ぴーすきーぱーたのちいo(^o^)o

ガチャは見事に爆・死☆
わんわん出てこないです、でもアサシンは来ました。

唐突に思ったのは新宿アサシンって、CVグリリバでも違和感ないんじゃね?


因みに章タイトル変えました。
観測出来ない時代=未知の時代=未代。
文字通り不屈な心=不屈。
みたいな解釈で行こう!

意見くれた方、色々とありがとうございました!




第12話

唐突に思った事がある。

私は少し前にこの2人を護ると言ったのを覚えている、それを無性に撤回したいと思っている。

 

「せんぱーい!そっち行きました!」

「よしっ!まっかせてー!」

 

ロードランに来て楽しそうに走る2人を見てると、微笑ましさと言うより少し呆れてしまう。

 

「このっ、すばしっこい奴め!?」

 

同時に思ってしまうのだ、私が着いていないとと。

 

新たに変な使命感を覚えてしまい、一層剣に力が篭るのだが。その発散場所は今は無い。

2人の追い掛ける物に剣を突き立てるのも良いのだけど、今はそんな雰囲気でも無い。

こんな雰囲気の中で動いた事なんて無かった、それだから今何をすれば良いのか全く分からない。

 

 

「日頃からフォウさんを追い掛けている私の脚を舐めないでください。やああぁぁぁ!」

 

 

マシュが追い掛けていたモノに飛び付き見事にソイツを捕まえる事に成功。

プラーンとぶら下げられたのは背中に珍しい楔石を背負っているトカゲ。

結晶トカゲと呼ばれる個体であり、私も必死になって追い掛けた事があるのだけど。

 

「ナイス、マシュ!」

 

それでもトカゲを捕まえようと思った事は無い。

見つけたら直ぐに殺して背中の楔石を取る物なのだが、尻尾を掴まれているトカゲを見ると憐れにすら思う。

現に今も身体を揺らして必死になって逃げようとしている所だった。どうやら掴まれているとトカゲも不思議な消え方が出来ないみたいだ。

 

「それにしても不思議です。今までこんなトカゲは見た事がありません!」

「綺麗だよね、この背中!」

 

マジマジとトカゲを観察する2人に、私はどうやって声を掛けるべきなのか?

理想を言えば今直ぐにでも結晶トカゲを殺して楔石を奪いたい所なのだけど、流石にあの雰囲気の中でそんな事をしても良いのかと思ってしまう。

 

「ーーーぅ。ーーーウ!」

 

そんなこんなで如何したら良いか悩んでいると、遠くからそれは不思議な鳴き声が聞こえてくる。

 

「ふぉ、フォーウ!!」

 

私も見た事の無い、四足歩行の不思議な毛色をした兎の様な珍しい生き物がーーーー亡者を引き連れてきた。

 

「アレは、フォウさん!?」

「今まで何処にーーーじゃなくて、大変な事に!?」

 

そんな不思議な生き物を知っている。多分飼い主の2人はそれを見るなり驚いた様子なのだけど。

この塔の中であんな数の亡者を相手にしていたら流石に私と言えども死んでしまう。

 

「フォーウ!?フォア、フォア、フォーウ!」

「フォウさんが変な鳴き方をしています!?」

 

マシュに飛び付いたフォウさんと呼ばれる生き物、そしてそれに着いてきた亡者達。

選択肢は1つーーー!

 

「逃げるよ!もう1つ上から外に出れるから!」

 

そう言うなら私は塔の上、霧のかかった所を目指したのだけど霧は存在しなかった。

 

なんで、と思う暇も無く外に飛び出した私達について来る亡者達を確認してタリスマンを1つ手に取る。

 

「向こうの塔に!」

「はい!」

 

私の横を抜けて走っていく2人を見てから手に力を込める。

紡ぐは始まりの太陽の物語。

時代の創設者たる太陽の王に捧げる信仰の歌。

何度もこの奇跡に助けられて来た、私の憧れの騎士が仕えた偉大なる王の技。

 

その名は、太陽の槍ーーーのはずなのだが。

 

 

「・・・発動しない!?」

 

 

物語を間違えてもいない、以前は使えていた奇跡が今ではウンともスンとも言わずに出現しない。

如何してと困惑する頭で目の前の亡者を如何にか対処しようと、ソウルから長槍を取り出して構えるも。

 

「ーーーッ!?」

 

その槍の重量に身体を持っていかれてしまう。

 

まさか、まさかとは思うけど。

今まで考えもしなかった事に自分が阿呆らしくなる、漸く気が付いた。

 

「リンクスさん!?」

 

私の中にあったソウル。まさかこんな弱くなっているなんて思いもしなかった事だ、長槍すらも振るえないのかと思うと、目の前には既に剣を振りかぶった亡者の姿があって。

 

ああ、格好悪い所を見せてしまったなと思いながら。剣が私の身体を切り裂く事はーーー

 

「君はあの時の騎士で間違い無いかな?」

 

無かった。

 

私の目の前に降って来た見覚えのある鎧、大剣を担いだ騎士が亡者を薙ぎ払う。

 

頭の中が困惑で一杯だ。

何故この時代にあの騎士がいるのか、そもそも何故生きているのか。

 

身体が動かない私を置き去りにして、彼はーーー彼等は剣を振るう。

 

私の横からスルリと現れた仮面を付けた人影が飛び出して行く。

亡者の中に潜り込み、金色の残光が亡者の身体をすり抜けていく。

 

「キアラン!」

 

その声で、亡者の中からフワリと飛び出して来た彼女が騎士の後ろに着地すると。その騎士は亡者の中に突進する、滑る様に移動し、振るわれた刃が亡者を断つ。

 

なんと容易く亡者を相手にするのか、なんでこんなにも心を惹きつけて止まないのか。

 

風が吹いて、なびいたマントがその姿を一層引き立てる。

 

 

カチャリーーー。

 

 

騎士が振り向いた時の鎧の音がやけに大きく耳に入る。

 

「無事で何より。それに、奇妙な縁もあった様だ」

 

 

彼は、彼こそは無双の騎士にしてーーー闇を退ける者。

 

「私の名はアルトリウス。君の名前は?」

「リン、クス・・・」

 

自分の名前を小さく呟くのが限界だった。

差し出された手を取って、私は目の前の騎士に頭を下げるのだった。

 

 

 

 

ーーーーーーー

 

 

 

偉大なる騎士アルトリウス、王の刃キアラン。

彼等の事を話す事は私には出来ない、彼等と私が生きている時代が違うからだ。

 

アルトリウス。

詳しくは分かっていないが数百年から数千年前に偉大なる太陽の神に仕えた四騎士の1人。

御伽噺、伝承などでは四騎士の中で一番知られているのは彼だ。

 

数百年経ってもその活躍と名声を世に知らしめている騎士。

 

それとは真逆にキアランは全くと言っていい程に伝承にその姿を現さない。

様々な書物から『王の刃』という単語が分かるだけで、キアランの名前は一切出てこない。

所々に王の刃は、などと書かれているもののーーーつい最近まで私も王の刃については全く知り得なかったのだ。

 

ただ、昔の人間からすると王の刃の存在は後ろめたい者にして見れば恐怖の象徴だったのは確かだ。

 

 

 

そして目の前に座るアルトリウスに対して私は不思議に思う事が1つだけあった。

 

「その身体はどうしたんですか?」

 

それは彼の身体が人間の大きさにまで縮んでいた事だった。

私の知っているアルトリウスの大きさは私よりも1メートルは大きかった。人間より大きく、巨人族よりは小さい。その筈なのに、今の彼は私よりもほんの少し背の高いだけの人だった。

 

「私にも分からない。目が覚めた時にはこの姿だったからな」

「あの、アルトリウスさんは元々その姿では無かったんですか?」

「マシュ嬢、私は本来もう少し大きいよ。少なくとも人間に間違えられた事は無いのだがーーー今の私はどうやら人に限りなく近い様だ」

 

その言葉にマシュと立花が驚く。

口を開けて如何にも驚いた様な顔をしている、それを見たアルトリウスは2人の事を見ながら顔に微笑みを浮かべている。

 

ある意味、驚いたのは私もかも知れない。

私はアルトリウスと会ったのは一度だけで、会話もマトモに出来ない状態で剣を交えた。その時は私にも余裕はなかったし、アルトリウスは意識や自我を殆ど残していなかった。

 

だから彼とマトモに話したのは初めてで、アルトリウスがこんなにも穏やかな性格なのかと驚いている。

オーンスタインは無言で槍を突き刺してくる程に過激であったから、余計にだ。

 

 

「すまない、疑問がある」

 

今まで口を開かなかったキアランが口を開く。

彼女は常にアルトリウスの後方に、まるで影の様に控えている。きっとそれが彼女の在り方なのかも知れない。

 

「はい、なんですかキアランさん」

「その特異点とはこの地の何処にあるのか分からないのか?」

 

思えばそうだ、私はそこまで頭が回っていなかった。

確かに特異点なんて事は聞いたけど、その特異点と呼ばれる物が何なのかは聞いていない。

 

「ごめんなさい。私達も其処までは分からないんです」

「いや、なら良いんだ」

 

それっきり彼女は話す事も無く黙ってアルトリウスの後ろに控えた。

 

「概ね理解したよ。私達も無関係では無さそうだ、私達も君達と共に行こう」

 

その言葉ほど心強い物は無い。

彼等が味方となるなら余程の事がない限りは死ぬ事も無さそうだ、少なくとも今の私よりかは比べ物にならない程にだ。

 

「その特異点を探すために進みたい所だけど、先ずは飛竜を如何にかしないとな」

「竜がいるんですか?」

 

竜、この先の竜と言うと赤い飛竜しかいない。

確かに強敵ではあるけど、今のアルトリウスならば下の抜け道から奥の所まで行ける。

つまりはその赤い飛竜を相手にする必要は無い。

 

「この先にある大橋の一本道、そこに赤い飛竜がいる。抜け道は見当たらなかったから、倒すしか方法は無い」

 

・・・・抜け道が見当たらない。

私の知っている所なら橋の下から上へと続く抜け道が存在している筈なのだけど、それが無い。あるいは塞がっているのか。

それなら、この先の道も塞がれている所があるかも知れない。

 

ようやく自分の頭が回ってきた感覚がする。

取り敢えずさっきの様な無様な事にはなりたく無いと思いソウルから違う武器を取り出して腰に下げる。

 

長槍が振れないまでも力が無いとなると剣、飛龍なら雷のロングソードを選択する。

 

アルトリウスとキアランが抜け道を見つけられなかったのなら間違いは無い、あの橋は一本道でありーーー抜けるのには飛竜を相手にしないといけない事。

 

 

行動が決まった所で立ち上がった各々がアルトリウスに続いて歩き始める。

 

それにしても、飛竜と戦うのかと考えると頭が痛い。

此方にはアルトリウスとキアランと言う味方が加わったけど、話しを聞く限りだとどう判断すれば良いのか分からない。

アルトリウスとキアランならば飛竜位どうにかなる、それを疑問に思ったのだ。

彼は人の身体に慣れていない、キアランは大きな敵は苦手な様だ。

 

加えて私は薪に火を付けた時と比べると弱くなっていて比較的に軽い剣を振るのがやっと。

幸いなのはその剣がちゃんと強化されている事だろう、今の私にとって頼れる武器は少ない。

 

扱えるのは恐らく直剣に分類される物が精々、大剣や槍は扱えないとなると元々無難な直剣を使い続けていて良かったと思う。

 

 

それでも、又死ぬ事になるかもと心の中では思っている。

 

頼もしい仲間、頼もしい武具。そんな物があっても私は弱い、飛竜のブレスだけで私の身体は燃えて炭になる。そうなれば一体何処から復活するのかも分からないし、この中で不死人は私だけ。私が死んだ後にと考えると、嫌な気分に変わっていってしまう。

 

まあでも、大丈夫だろう。

なんの根拠も無い、でも目の前を歩く騎士を見ているとどうにも死ぬなんて発想が浮かんで来ない。

 

それはもしかしたら憧れから来る盲信かも知れない、彼の実力から裏付けた信頼かも知れない。

だが、少なくともマシュと立花が死ぬ事を彼は絶対に許容出来ないのだろうと感じる。

 

人を見る目が、まるで我が子を見る様に温かいものなのだ。アレならきっと危なくなっても彼が如何にかしてしまうだろう。

 

 

「準備は出来たかな?」

 

扉に手をかけて彼は振り返る、それに私とキアランは直ぐに返答を返す。

何せ私に関しては死に馴れている、キアランも戦うのは馴れているだろう。

 

「私は大丈夫」

「はい。行きましょう」

 

強く、覚悟を決めれている眼だった。

真っ直ぐにアルトリウスを貫いた視線は揺らぐ事は無い。本当に素晴らしい人間だ、彼女の様な人が不死であればこのロードランももう少しはマシになるのかーーーーそんな訳が無いか。

 

1人で思考して勝手に切り捨てる、彼女はこの時代の者では無い。

そんな人に、理想を押し付ける訳にもいかないよ。

 

理想を押し付けられた私が、人に押し付けるなんてあってはいけない。

勝手に抱えて進んだ私が、抱えるしか無かった人に何も言うべきでは無い。

 

世界の終焉ーーー上等では無いか。

寧ろ私は世界が焼却されるのなら、それでも良い。

この世から不死が居なくなる、それはどんなにいい事か。

 

考える事は酷く後ろ向きな物だ、でもそれは出来ないのだと剣に力を込める。

 

深淵を歩いた騎士がいた、聖堂を護り続けた騎士がいた、墓を護り続けた狼がいた。その他にも、多くの事を成してきた者たちがいる。今も成し続けている者たちがいる。その人達の為に、きっと彼女達は進むんだろう。

 

 

未来には普通の人間がいる、其れだけで私は救われた。それを覆す事は、したく無かった。

 

 

「どうしたの?」

 

 

彼女が振り返る。

扉の奥から差し込んだ光が彼女の顔を照らした。

 

「なんでも無いよ」

 

 

ーーーソラール。貴方の見つからなかった物が今の私には見えるよ。

何処までも人間らしく、普通の少女だ。

 

でも未来からきた不思議な少女であり、私達の行いが無駄では無いと証明する人間だよ。

 

その証明だけで私は剣を握れそうだ、未来の可能性だけで私は戦える。

そんな未来の可能性を見せてくれた彼女は、私にとっての太陽だったのかも知れない。

 

 

 

 

 

 

 

 

橋へと歩いたリンクス達の正面、橋の奥。

 

門に乗っかり、尻尾を揺らす赤い飛竜。

対して此方は僅か5人、しかも1人は非戦闘員。

 

 

 

だがしかしーーーーこれ程頼れる戦力は無い。

 

火を継いだ、薪の王。

闇を狩る、無双の騎士。

王を守護した、刃筆頭。

特異点を超えてきた、盾の騎士。

 

そしてーーー人類最後のマスター。

 

「先輩ーーー」

 

盾の騎士の言葉で彼女は息を吸った。

何も思いつかない、なんの手助けも出来ない。

それでも彼女は何時も感謝と信頼を込めて言葉を送る。

 

 

「みんな、頑張って!」

 

 

その言葉だけで彼等は地面を蹴った。

 

何故なら彼等は、人の為に戦える者達なのだから。

 

 

 




これ、打ち切りエンドみたいですよね!
ちょっとやる事があるので更新遅くなります。

現在の状況。

不死人、弱体化。
装備は上級騎士。筋力20未満。技量30位。信仰15位。理力初期値。大体こんな感じ。

アルトリウス、弱体化(人の身体で上手く動けない)
キアラン、対人特化の為化け物に弱い。


正直、信仰は下げなくても良いかなと思ったのだけどそれだとヌルゲーなので低下させよう。
でも信仰って上げ下げとかの問題では無いのがネック過ぎる。この不死人、ステータス上の信仰とリアルの信仰が釣り合って無い。
普段だと余裕で太陽の光の槍すらぶっ放す。
これはもう、御都合主義的なものでごめんなさい。

御都合主義でステータスが低下するダクソ主人公。

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