戦国BASARAの佐助を、AOGの至高の一人として突っ込んでみた!   作:水城大地

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モモンガさんと、ウルベルトさん、そして佐助がわきゃわきゃする話。



終了、約二十分前から終了直後まで~そして、世界は……

数分後、【リング・オブ・アインズ・ウール・ゴウン】で、三人とも揃って宝物殿に転移してきた。

 

【スタッフ・オブ・アインズ・ウール・ゴウン】を持った際に発生した、色々なエフェクトに関して話していたせいで、転移してくるまで時間が掛かった結果である。

「最後を王座の間で」と、モモンガは昨日の時点で佐助に対してそう言っていたのだが、それよりもウルベルトの装備をきちんと最強にして、その状態で一緒に最後まで過ごす方が、彼の中での優先順位は高いらしい。

と言うより、最終日に縁遠くなっていた友人と過ごせるのが素で嬉しいらしく、すっかり最初に考えている事を忘れているのではないかと言うのが、佐助の予想だった。

 

『……まぁ、どんな形ででもモモンガの大将が愉しく最後を過ごせるなら、俺様はどこでどう過ごしても構わないんだよね。』

 

実際に、モモンガが最初に考えていた事を実行するなら、かなり時間が押している状態なのだが……わざわざ楽しそうにしているモモンガに水を差すのも悪いし、何より慌てさせて友との語らい慌ただしいものにするのも気が引けた。

そんなドタバタにする位なら、「この宝物殿内で三人揃って最強装備を身に着けてたら、いつの間にか時間が過ぎてました」の方が、余程ましな気が佐助はした為、わざとこれに関しては黙っていたのである。

 

その判断が、この後で思わぬ結果を引き起こすのだが……当然、佐助はまさかそんな事になるなんて、夢にも考えていなかった。

 

 

******

 

 

それはさておき。

色々とナザリックの思い出を語り合いつつ、宝物殿の霊廟前の広間まで辿り着いた三人の目に入ったのは、懐かしい仲間の姿。

水死体に、無理矢理タコの頭が付いた様な醜悪な姿を、更にボンテージで包んだブレインイーター、タブラ・スマラグディナがそこに居た。

だが、こちらの姿が視界に入っているにも拘らず、身動き一つする事無く静止している姿を見て、それがここの領域守護者であり、モモンガが作ったNPCであるパンドラズ・アクターだと、すぐに三人とも気が付いた。

 

「……あれ、何でタブラさんの姿をしているんでしょうね?」

 

モモンガ自身、ここに訪れたのは随分と前になるものの、それでも退出時にパンドラズ・アクターをタブラの姿に変化させたまま放置した記憶はない。

その言葉を聞いて、少し考える素振りをしたのは、佐助。

久し振りに、パンドラズ・アクターの姿を見る為か、「外装解除」と告げて素の姿に戻して四方から観察する素振りを見せたのはウルベルトである。

 

そして……次の瞬間、モモンガにとってある意味禁断の一言をぼそりと呟いていた。

 

「……ドイツ語……」

 

ウルベルトがそう呟いた瞬間、素に戻る以外一切のモーションすらしなかったパンドラズ・アクターが、クルクルと踊る様な派手な動きを見せながらポーズを決めたかと思うと、一言。

 

「Wenn es meines Gottes Wille!!」

 

モモンガに顔を向けて、そうドイツ語を口にしたのである。

実は、ウルベルトが口にした【ドイツ語】と言うのは、パンドラズ・アクターへの特定指示コマンドであり、ギルドメンバーがパンドラズ・アクターの前でそう目の前で告げてやると、派手なアクションとドイツ語をランダムで見せてくれるのだ。

パンドラズ・アクターを作った当時は、それこそモモンガが一番格好いいと思うものを見付けては、どんどんと組み込んでいったのだが……どうやら、今のモモンガにとってそれは結構な精神的なダメージを与えるものらしい。

がっくりと、思わず側にあったソファに手を掛けて項垂れる姿を見て、ウルベルトが楽し気に笑う。

それに反応して、「恨めしい」と言う感情モーションを出すモモンガの姿に対して、益々楽し気な笑みを零すウルベルトに、つい「怒り」の感情モーションを連打するモモンガ。

それもまた楽しそうだと思いつつ、佐助はまた停止したパンドラズ・アクターを指差しながら一つ提案した。

 

「今日で最後だし、モモンガの大将がそんな反応するなら、パンドラズ・アクターの設定を変更すればいいんじゃね?

元々、パンドラズ・アクターはモモンガの大将のNPCなんだし、ここで好きに変更しても誰も文句は言わないと思うぜ。」

 

実際、パンドラズ・アクターに搭載した能力面での変更でもない限り、他のギルメンがこの場に居たとしても、文句を言うことはない筈だ。

それにかんしては、ウルベルトも同様に考えたらしい。

佐助の言葉に同意するように頷きつつ、指で【スタッフ・オブ・アインズ・ウール・ゴウン】を示して笑う。

 

「そうですね……俺も今のを見れただけで十分に満足しましたし、ちょっと位なら変更しても構わないと思いますよ。

北斗さんの言う通り、【ユグドラシル】は今日で最後ですからね。

さて……そういう訳で、パンドラズ・アクターの設定を変更する事を俺たち二人が賛成した時点で、【何かを決める時は多数決】と言う点でも問題はなくなりましたよ?

どうしますか、モモンガさん。」

 

笑顔の感情モーションを出しながら告げるウルベルトに、はぁっと溜息を漏らしながらモモンガは肩を竦めた。

 

「もう……お二人からそんな風に言われたら、断れなくなるでしょう。

まぁ、俺があんな風に反応したから、お二人はそう言って下さるんでしょうけど……本当に、変えてしまってもいいんでしょうか?

そりゃ、俺としても久し振りにあのコマンドを直接見たら、割と本気で【黒歴史】設定だって思いましたし、その部分を変更してもいいって賛成して貰えたのは嬉しいですけど。

変更するって言っても、どう変えたらいいのか迷いますし……」

 

困ったように呟くモモンガに対して、ノリノリなのはウルベルトだ。

実際、モモンガも設定を変える事には抵抗がないらしく、【スタッフ・オブ・アインズ・ウール・ゴウン】を使って設定画面を出すと、どこを変更するべきなのか迷っている。

佐助は、その様子にニコニコと笑いながら動作設定画面を指差し、幾つか提案してみる事にした。

 

「そうだな……取り合えず、ウルベルトの旦那が発動させてモモンガの大将がダメージを食らった、ドイツ語の部分は変更で決まりだね。

とは言っても、全部削るのはもったいないし……今の【ドイツ語】とか、幾つか設置した特殊コマンドによる動作連動を削ったらどうかな。

それと、設定部分にある「常に舞台役者のような、大袈裟な言動、挙動をする」って部分を削って、「本来は冷静沈着な性格だが、必要に応じて道化も演じ分けられる役者である」って変更すれば、【パンドラズ・アクター】の名前に相応しいんじゃないかと思うけど。」

 

その佐助の提案に、それならとウルベルトが注文を出す。

 

「どうせなら、ドイツ語でしゃべれる設定も、「精神的に高揚してしまうと、どうしてもドイツ語が出てしまう事がある」に変更すればいいんじゃないですかね。

元々、パンドラズ・アクターは頭が良い設定なんですし、せっかく登録したドイツ語を使えなくするのは勿体ないでしょう?」

 

どうやら、ウルベルトはパンドラズ・アクターが着ている装備のモデルになった軍服の国に言葉の設定は、出来るだけ残したいらしい。

二人からの提案に、少し考える素振りを見せたモモンガは、素早く設定を変更させていく。

そして、完成したものを表示した画面を、二人に向けて提示した。

 

「……これでどうでしょう?

お二人の提案は、出来るだけ組み込んでみたつもりですが……」

 

ちょっとだけ、自信なさげに呟くモモンガの言葉を聞きながら、二人は覗き込んだ画面の設定を追っていた。

佐助の提案どおり、【ドイツ語】などの特殊コマンドに関連した部分は、大きく変更されていた。

今までは、設定された特殊コマンドの音声入力と共に、連動してオーバーリアクションをランダムで取る様になっていた部分が解除され、コマンドそのものの無くなっていたのだ。

これで、もううっかりコマンド入力して黒歴史を披露すると言う事はないだろう。

その代わり、ウルベルトの提案を受け入れて、設定文の中に【精神的に高揚すると、どうしてもドイツ語が出てしまう】と言う一文が追加されていた。

もう一つ、佐助が変更したらどうかと提案した、「常に舞台役者のような、大袈裟な言動、挙動をする」が「本来は冷静沈着な性格だが、必要に応じて道化も演じ分けられる役者である」に変更されていたので、モモンガ的にもその文面で問題ないと判断したのだろう。

そして、最後に一つ。

挙動の部分の「ナチス式敬礼」が削られていた。

 

「……モモンガさん……」

 

つい、いつの間に消したんだと二人が突っ込めば、モモンガは頬を掻きながら首を竦めた。

どうやら、佐助が提案したドイツ語関連のコマンド修正時に、一緒に消したらしい。

 

「いやぁ……何となく、動作コマンドを見た訳じゃないですけど、消した方がいいような気がしたんですよ、これも。

別に、半分以上当時の俺の趣味で設定したコマンドですし、あっても無くても困るコマンドじゃありませんでしたからね。

これで、パンドラズ・アクターの修正は終了って事で。

そろそろ、ウルベルトさんの衣装を取りにいかないといけませんし。」

 

別に、佐助もウルベルトもその修正に文句はなかったのだが、自分が修正したい部分を先に口にしていなかったのが、ちょっとだけ申し訳なく感じたらしい。

どこか誤魔化すように、パンドラズ・アクターの設定画面を消したモモンガが、「急ぎましょう」と移動を促した瞬間だった。

 

グラグラと、大きな振動が宝物殿内に走ったのは。

 

突然の衝撃に、ナザリックで何か起きたのかと警戒しつつ、先ずはウルベルトの装備を揃える事を優先しようと、全員が一瞬の内に判断を下す。

この中で、一番動作の早い佐助がモモンガに指輪を預け、装備を取って来る為に霊廟内に走り込もうとしたのだが……それは出来なかった。

何故なら……

 

「一体、その様に急がれるなど……一体何が起こっているのでしょうか、モモンガ様、北斗様、ウルベルト様。」

 

そう、今まで三人で設定を弄っていてた筈の、パンドラズ・アクターから心配そうな声を掛けられたからだった。

 

 

 




という訳で、ウルベルトさんと佐助さんが、モモンガさんと一緒に異世界に転移しました。
さて、皆さんもこの話の流れでお気付きかと思いますが、この話は宝物殿シリーズと異世界転移に関しては同じ設定なので、転移と同時に宝物殿はナザリックと分離転移する訳なんですよね。
そして、パンドラズ・アクターが自分の意志で動いている事に驚いたモモンガさん達でしたが、状況整理のために王座の間へと移動しようとして、出来ないことに気付きます。
そこで、宝物殿とナザリックが分断された事に気付く訳です。

ここから先は、四人でワイワイと楽しく相談しつつナザリックを探す旅へと出ると言うネタを思い付きましたが、ここで終了にさせて頂きたいと思います。

色々とあって、続きが出来たのであげておきますね。

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