戦国BASARAの佐助を、AOGの至高の一人として突っ込んでみた!   作:水城大地
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どうしても、何か行動するならついて回るだろう問題ですからね。
なので、佐助が色々と考えているようです。


アイテムの回収と資金集めについて考えてみた

それぞれ、能力に合わせて分担して作業をするのは、かなり効率が良かったらしい。
佐助とパンドラズ・アクターが、さくさくアイテムを集めていく間に、ウルベルトが攻勢防壁を働かせつつ千里眼で情報を集め、それをモモンガが纏めていく。
今回、ウルベルトは容赦なく隠蔽魔法と攻勢防壁を働かせているので、余程それを抜いてこちらの情報を取るのは無理だろう。
もちろん、同じ【ユグドラシルプレイヤー】なら、それを越えてくる可能性はあるものの、それなりにダメージを与えられているはずなので、その辺りを佐助は心配していない。

魔法関連の運用について、ウルベルトに対する信用は高いのだから。

これは、モモンガにも同じ事が言えるのだが、ウルベルトは特にその傾向が強い。
補助魔法系は、モモンガの方が力を入れているものだが、それでも魔法全体に自信を持っているのは、間違いなくウルベルトだ。
それを考えるなら、ウルベルトに任せる方が正しいだろう。
何より、集めた情報の分析能力は、ウルベルトよりもモモンガの方が高い。 

なら、やはり役割分担はこれで正しいのだ。

アイテム回収をさくさく進めつつ、佐助は再度罠の状態を確認しつつ、更に細かなものを追加していく。
先程は、それほど時間を使う余裕がなかったから、簡易的なものの中でもそれなりに時間が稼げる罠しか設置する事が出来なかったが、今回は違う。
ちゃんと、事前にその話をモモンガとウルベルト、そしてパンドラズ・アクターに通してあるから、それ相応に時間が取れた。

ちゃんと時間を取ることが出来た以上、それ相応しいだけの罠を仕掛けられるので、外からの侵入者に対して一段と安全度が増すだろう。

これは、モモンガ達を守りつつ拠点の安全を確保する為には絶対に必要な事なので、佐助は己が持つ知識を総動員して全力で当たるつもりだった。
それこそ、戦忍だった前世の知識から、現世における戦闘系警備員としての知識まで、あらゆるものを使うことすら厭うつもりもない。
ただ、こちらの世界では【リアル】にあったような、化学物質等は存在していないので、その部分を魔法やアイテムで差し替える必要はあるだろうが。

《……ま、別にそれがなくても代用が出来る知識はあるけどね。
俺様の罠は、戦忍時代に培った知識が中心だし。
せっかく、【リアル】とは違って自然が豊かな世界なんだし、それを壊すような要因になるようなモンは持ち込みたくないねぇ。
それと、この通路に繋がってる場所が場所だけに、罠に爆発系は組み込むのは止めておいた方が良いでしょ。
幾らなんでも、自分も含めて味方ごと生き埋めなんて状況は引き起こしたくないし。》

そんな風に、罠に使用する魔法やアイテムなどを考慮しつつ、出来るだけ地味でも効果があるものを選択していくことにした。
まず、撒菱は絶対選択肢から外せないだろう。
何と言っても、忍者の使用する小道具と言えば手裏剣と撒菱だろうから。

《やっぱり、こういう使い捨て系になり易いアイテムは大量生産できる体制が必要だよねぇ。
うーん……パンドラなら登録した外装の中に生産系のメンバーもいるから、必要な数だけ材料さえ用意すれば作ってくれるかな?
とは言っても、こっちの世界の素材がどんな感じかも分からないし、それなりに使い物になるかも含めてもきちんと確認しなきゃ駄目だろうね。》

つらつらとそんな事を考えつつ、佐助は手を動かして幾つも罠を仕掛けていく。

そうして仕上げた罠を前に、満足そうな笑みを浮かべながら佐助は回収したアイテムを抱えて一旦パンドラズ・アクターの自室へと向かう事にした。
一応、自分が請け負っていた左半分の廊下にあった物は全て回収し終えていたからだ。
必要だと思って仕掛けてあった罠の強化も済み、これなら問題ないだろうと判断したからこそ戻ることを決めたのだが……どうやら、まだパンドラズ・アクターが受け持つ側が完全に終わっていないらしい。
先程、アイテム回収のための分担を決めた際に、展開した宝物殿の展示室兼通路を左右で単純に半部に分けたのだが、パンドラズ・アクターが受け持った右側の方がこちら側に来ている面積が大きくて、回収するアイテムの数が多かったのだ。
その辺りの配分は、パンドラズ・アクターによって上手く言葉巧みに誘導されていたらしい。

全く、こういう所は人に気を使って裏方をやりたがるモモンガに似ていて……本当に困った子供である。

現状のような時は、誰かに負担が掛かり過ぎないように配分するのが、正しいやり方だ。
もちろん、それ位の事はパンドラズ・アクターにも分かっていたのだろうし、彼的には罠を仕掛け直すと言うこちらの話も踏まえて、自分の分担を増やしたのだろうと言う事は推測出来る。
むしろ、これが他のメンバーだったなら、正しい選択だったと言っていいだろうが……何分、相手は佐助だ。

この手の作業は、それこそ前世の経験で慣れている彼にとって、負担と言うほどの事はない。

故に、パンドラズ・アクターの行動は気を回しすぎだと苦笑しつつ、現在彼がいる場所へと足を向けた。
佐助の方が先に終わったと言っても、パンドラズ・アクターも残り僅かだったらしい。
どうやら、最後に残っていた幾つかのアイテムを手にしている彼の前に移動すると、そっと声をかける。

「そろそろ、全部集め終わったかな?
終わったなら、モモンガの大将たちの所に戻ろっか。
多分、向こうもある程度情報を集め終わっているだろうし。
向こうに戻って、モモンガの大将たちの方も終わってたら全員で、終わっていなかったら俺達で手分けして作業開始しなけりゃ、いつまでも終わらないでしょ。
とにかく、今は何が残っていてどこに収納するのか、それぞれ確認しながら分類する必要があるからね。」

にっこり笑いながらそう告げてやれば、パンドラズ・アクターも同じことを考えていたらしく頷いて同意する。
最後の一つを回収し、それを【無限の背負い袋】に収めて持ち上げたのを見届け、佐助は踵を返した。
その後に、ちゃんとついてくるパンドラズ・アクターを確認した上で、自分の分身の一体にここにも罠を仕掛け直すように指示を出す。
残した分身の分の荷物は、もう一体が軽々と持ち上げて運んでいるので、万が一残った分身が敵襲を受けたとしても、アイテムを奪われる心配はないだろう。

《さて……モモンガの大将たちはどういう情報を得たのやら。
正直、どこかでこちらの世界の路銀を得ておく必要があるんだけど……その辺りまで、モモンガの大将たちは考えてるのかな?》

奥で待つモモンガ達の元へ向かいつつ、これだけは必ず必要な物をどう得るか、そこに思案を巡らせていた。
どうやら、今の段階ではモモンガ達はそこまで頭が回っていないようだが、実際にこれは考える必要がある案件だ。
もちろん、佐助一人が考えなくてはいけない内容ではなく、モモンガ達に相談するべき案件なのだが、やはりその為にはそれに対する提案も考えておく必要がある。
長い視野で物を考えるなら、周囲からの反応を考慮に入れた上で、定期的に稼げる方法を確立する必要があった。

それでも……

「……まずは、【路銀がなくなりそうだ】と言う言い訳が通用する程度の、最低限の見せ金は持たないと駄目だよね。」

そう、どこの村に向かうにしても、最低限の手持ちのお金を持っておいた方が良い。
佐助の予想では、多分この世界の文化レベルは戦国時代とそれ程変わらない程度のではないかと考えている。
だとすれば、小さな村では物々交換が主流で、余り金銭のやり取りがあるとは思えない。
だが、それはあくまでも村の住人たちだけのやり取りの話だ。

村人以外が相手の時は、金銭でのやり取りをしている可能性は高かった。

何せ、村が外で使う為の金銭を得る貴重な収入源だ。
村の中では、物々交換が通用したとしても、他の街ではそれが通用しないだろうから、そこで使う為の金銭を確保するなら、村を訪れた旅人たちに食料などを渡す代わりにそれの代価として金銭を得る位しかない。
戦国時代は、村から国へ税を納めるのに米を使用していたが、そこはこちらも変わらないだろう。
米があるか判らないので、それに代わる主食となる穀物だから、麦あたりが対象かもしれない。

どちらにせよ、最初にどこかの村を訪れるのなら、それ相応の対価となるものが必要だと、佐助は考えていた。

多分、モモンガ達もすぐに気付きそうな気もするが、この話題は早めに解決しておいた方が良いので、戻ったら自分から提案するべきだろう。
できれば、村を探して情報収取している際に気付いてくれると良いのだが、こればかりは何とも言えない。
そう考えていた佐助に、背後から声が掛かった。

「あの……佐助様、一つ宜しいでしょうか?」

その声に振り返れば、どうやら今まで同声を掛けるべきかパンドラズ・アクターは迷っていたらしい。
視線で促せば、漸く意を決したように口を開いた。

「先程、話題に出てこなかった事で一つ気になっていたのですが……
人の村に接触するとして、彼らから情報を得る際の代価はどうするつもりなのでしょうか?
私たちの世界の金貨が、こちらの世界で通用するとは思えませんし、アイテム等で対価となり得るのか判りません。
なので、出来れば事前に金銭を得る方法を考えておくべきかと。
もし、差し支えなければ、私の持つ職業レベルの中に【吟遊詩人(バード)】がございますので、それを使うと言う手もあるかと思いまして。
これなら、【叙事詩を語る】事を対価として、色々得られると思うのです。
……いかがでしょうか?
もし、佐助様が駄目だと思われるなら、モモンガ様たちの前でお伺いするのはどうかと思い、ご意見を伺いたくこうしてお尋ねしました。」

こちらの様子を窺うように問うパンドラズ・アクターに、佐助は驚いたように目を見開く。
言われてみれば、パンドラズ・アクターが持つ【吟遊詩人】の職業はこういう状況下に打って付けだろう。
これを利用しない手は、まず無い。
と言うか、パンドラズ・アクターがそんな職業を持っていた事を知らなかった佐助としては、嬉しい誤算だった。

なので、素直にパンドラズ・アクターの事を褒める事にした。
実際、金策問題は今後の課題になるだろうから、この後向かう事になるだろう村で直接行う情報収取での、最重要課題の一つだと言っていいだろう。
モモンガ達は、まだこの問題に気付いていないようだったのに、NPCのパンドラズ・アクターはが気付けたのは、やはり財政担当として色々な金銭面の管理をしていたからかもしれない。

「良く気付いたね、パンドラ。
俺様自身、どうやって金策をするか考えていたんだけど、パンドラが吟遊詩人の職業を持っていてくれて助かったよ。
小さな村じゃ、娯楽は少ないから旅の途中の吟遊詩人相手なら、彼らなりの報酬を得られる可能性は高かったからね。
それに、ある程度大きな街へ行けば酒場があるだろうから、そこで叙事詩を語る事で収入を得ると言う手段も使えるし。
あー……それでも、いつまでもパンドラに一人で稼がせている状態にはしないつもりだから、そこは安心してくれていいよ。
流石に、いい大人三人が子供に稼がせている状態って言うのは、それこそ他から向けられる目も痛いし、何より悪目立ちするからね。
上手く、街から街への商隊とかの用心棒的な仕事を探せば、旅の路銀稼ぎと情報収集の両方で役に立つだろうから、その辺りも考えてみるさ。
さて、それじゃそろそろモモンガさんたちの所へ行こうか。
いい加減、待ちくたびれてるかもしれないからね。」

金銭的な着眼点と、それを解決する自分の職業を示した事を褒めるように頭を撫でると、パンドラズ・アクターははにかんだような仕種を見せた。
どうやら、褒められて照れたらしい。
そんな様子を、心の中で微笑ましく思いつつ、一先ずモモンガたちの待つパンドラズ・アクターの自室へ向かおうと、彼を促したのだった。

*****

佐助たちが戻ると、モモンガとウルベルトは既に目的の村を定めたようだった。
地図には、既に目標となる印を付け終えた状態で置いてある。
だが、それよりも佐助が気になったのは、彼らが顔を寄せながら色々とどうしたものかと相談している事だろうか。

「そんな風に、顔を突き合わせて相談しているなんて、どうしたのさ?
なにか、問題でも発生した?
モモンガの大将、ウルベルトの旦那。」

佐助がそう声を掛ければ、ハッとなったようにこちらに視線を向けたモモンガが、「あー……」と言葉を濁す。
その横で、同じ様に視線をこちらに向けたウルベルトが、ちょっと困ったようにカリカリと頬を掻きながら口を開いた。

「あー……なんて言うべきなんだ?
俺たち、ここから一番近い村を探すついでに情報収集するって事で、改めて俺たちが居る場所を起点にこの周囲の様子を確認にしたんだけど、な。
俺たちが居る鍾乳洞の上の部分が山になっていて、その山の中に人間種と思しき遺体が数体、あったんだよ。
まぁ、それに関しては、既に白骨化している状態だし、俺達には【関わりない】と言う事でそこまで問題視しなかったんだが……亡骸の横にあった荷物から零れたらしい品の中に、だな。
こっちの世界の硬貨だろう、銅貨やら銀貨を幾つか発見したんだ。
それが、どうも俺たちが【ユグドラシル】で使っていた硬貨と違うみたいだから、それを回収してある程度こちらでも調べた後、路銀としてそのまま使ってしまうかどうか、それをモモンガさんと話していたんだよ。」

状況を説明するウルベルトの言葉に、佐助も流石にそれは予想外だったと言わんばかりの顔をする。
確かに、山の中で行き倒れて白骨化している状態の人間を見付けたのも驚きだが、行き倒れた人物が路銀を手元に残していた事も驚きだ。
それに、やはり【ユグドラシル】とは、硬貨単位が違うらしい。

何せ【ユグドラシル】には、金貨以外の通貨はなかったのだから。

銅貨や銀貨と思しき硬貨が存在しているなら、多分流通している金貨も違うのだろう。
それを確認する意味でも、行き倒れて白骨化していた人たちには悪いが、残っていた品々も含めて硬貨はすべて回収するべきだと、佐助は即座に判断する。

二人の話を聞いて納得したように頷くと、佐助はゆっくりと口を開く。

「あー……そう言う話なら、俺様の意見も言わせて貰っていいかな?
実は、アイテムを回収した際にパンドラとも話していたんだけど、こちらの世界の金銭を得る方法を考えるべきじゃないかって事になったんだ。
正直、どこの村に向かうのせよ、手持ちのお金が何もない状態って言うのは、旅人としてちょっとおかしい気がしたからね。
だから、今回の件に関して俺様の意見を言わせて貰うなら、これからすぐにでも現場に俺様の分身を向かわせて、アイテムとか使えそうな物は全部回収させておくべきかな。
あー……ただ、その見付けた遺体は全部その場に埋葬しておいた方が、気分的にも後腐れがない気がする。
アイテムや硬貨は、彼ら自身の埋葬代として頂戴したと思えば、それほど気に病む事もないでしょ?
回収したものは、全部チェックした上で使えそうな物は残した上で、後は全部【シュレッダー】送りで良いんじゃないかい?
硬貨は、ありがたく俺様達の路銀にさせて貰うとしようか。
人の中に紛れる以上、それなりに先立つものは必要だからね。」

この状況で、誰よりも現実的な内容を含めて意見を口にすれば、モモンガもウルベルトも納得したらしい。
ただ、何らかの理由で死んでいた人間のアイテムや金銭を頂戴するより、彼ら自身の埋葬する手間賃だと思えば、意外に割り切れたようだ。
二人が、見付けた遺体の所持品をどうするか話し合っていた理由も、人間としての部分が倫理観を訴えたからだろう。
何となく、そんな風に感じた佐助は、ちょっとだけ苦笑しつつ戦国時代の裏事情を口にした。

「まだ、きちんと弔ってやった代価として頂戴するんだったら、マシだと俺様は思うけどね。
俺様の前世である戦国時代は、戦場で討ち死にした遺体から勝手に刀とか鎧とか使えそうな物を漁っている奴らなんて、割と普通にいたもんだよ?
当時、鉄は貴重だったからね。
折れた刀だって、全部回収して元の鉄に戻して再生する【古金買い】って稼業もあった位だし。
洗いざらい全部剥ぎ取られて、その癖弔う事もなく褌一つで放置されてた死体なんて、それこそ幾らでも戦場に転がってたんだから。
まぁ……それ自体は【火事場泥棒】だし、勝手に遺体から剥ぎ取ったり折れた刀を拾ったりしている所を見付かったら、厳重に処罰されるんだけどね。」

つらつら、当時の事を口にすればモモンガたちの気配が引き攣るのを感じた。
まぁ、こんな前世の実話を聞くとは思わなかったんだろう。
俺様からすれば、割と戦場での剥ぎ取りは【ユグドラシル】でのドロップアイテムの感覚に近い為、それ程躊躇いが無いんだけど。

実際、【ユグドラシル】では倒したモンスターや敵の遺体は消えてアイテムとかだけが残るけど、ここが俺様達にとって現実になったのだと言うなら、これからはそれらの遺体も残ると考えるべきだろうし。

「モモンガの大将、ウルベルトの旦那。
これは大事な事だから、この際はっきり言っておくけど、これから倒した敵の遺体は全部残ると、そう考えて欲しい。
一応、俺様が側に居れば遺体とかは全部【闇婆沙羅】で回収した上で、改めて完全に土に返す事も可能かもしれないけど、他の人が見ている前じゃそんな事は出来ないでしょ?
まぁ、ウルベルトの旦那やモモンガの大将の魔法を使って、きれいさっぱり荼毘に付すと言う方法なら、人に見られても問題ないかもしれないけどさ。
どっちにせよ、ここが現実なら倒した相手が勝手に消えるなんて事はないと思った方が良いと、俺様は思うんだよね。
そもそも、モモンガの大将たちはこうして実際に白骨化した遺体を目にしても、そのアイテムとかを勝手に使う事を問題にしているだけで、遺体そのものには特に何も感じていないんじゃない?」

【違う?】と問えば、ウルベルトもモモンガも苦笑しながら頷いた。
どうやら、彼ら自身も自分の精神が変質していて、遺体を見てもそれ自体はそこまで気にならなかったらしい。
【リアル】に居た頃の彼らなら、死体を見付けた時点で慌てふためいていてもおかしくないのだが、それが無かった時点で何となくそんな気がしていた佐助は、この件に関してはまた改めて話を詰めるべきだろうと、そんな事を考えつつ話を変える事にした。
視線をパンドラズ・アクターに向けて、佐助は口を開く。

「今は、まだこちらの世界に来たばかりで余りこの世界の常識が分からない状況だし、さっきも言った通り今回はこの遺体の埋葬代で手持ちのアイテムは貰い受けるってことで、この件は終了って事で。
それより、問題は今後の事でしょ。
一応、アイテム回収した後にパンドラから、彼の【吟遊詩人】のスキルを使ってこの世界の酒場とか村で興行して金銭を得たらどうだろうかって提案があった。
俺様的には、それも一つの手として有効だなって思ってる。
ただ、俺様たち自身も傭兵のような仕事で別途稼ぐ必要はあるとは考えてるけどね。
モモンガの大将やウルベルトの旦那は、こっちで金銭を得る方法解いて何か宛はある?」

佐助の問いに、モモンガもウルベルトも考える様な素振りを見せた。
まだ、彼らはそこまで考えが至っていなかったらしい。
村を探す途中で、うっかり発見した遺体の周囲にアイテムやら何やらが散乱していた事で、そちらに意識が向かっていた為だろう。
暫く考えた後、先ずはウルベルトが口を開いた。

「そうですね……佐助さんが言う傭兵と言うのはアリだと俺も思う。
もし、それ以外の意見がないかと言われると……正直かなり難しい所だろうな。
俺たちの中で、生産職を取っているのはパンドラだけだし、何かを作って売ると言うは難しいだろう。
逆に、手持ちの【ユグドラシル】のアイテムに関しては、こちらの世界での価値がはっきりしない段階ではやめておいた方が良いだろうな。
そもそも、今の俺たちが手放しても問題ないレベルのアイテムなんて、それこそ手持ちはそれほどないだろ?
元々、ここにあるのは簡単に手放せるようなものは少ないし、アイテムボックスの中にあるアイテムだって無限じゃない。
だったら、それを手放すのは最終手段と考えた方が良いだろう。
そう考えると、佐助さんが言った傭兵家業かそれに類するものが一番だと、俺も思う。」

ウルベルトの言う事は、どれも的を射ていると言っていいだろう。
実際、このメンバーの中できちんとした生産職を取っているのはパンドラズ・アクターだけ。
【料理人】だけは、佐助も自分の趣味の一環としてレベル五まで取ってはいるが、それ以外は全て種族と戦闘職で埋め尽くされている。
もしかしたら、データクリスタルなど【ユグドラシル】の素材を使用すれば、こちらの世界でも装備などを作れるかもしれないが、それだって元手になる素材やデータクリスタルが必要だ。
残念な事に、分断された宝物殿のこちら側には余り素材もデータクリスタルもない。
一応、モモンガが余り価値のないデータクリスタルをパンドラズ・アクターの自室の【クローゼットルーム】の中に突っ込んだらしいので、そこを探せば出てくるかもしれないが、それだってどれだけあるか判らない以上、それ当てにするのは良くないだろう。
そんな風に、つらつらと佐助が考えていると、次にモモンガが口を開いた。

「俺も、ほぼウルベルトさんと同意見ですね。
困った事に、俺は死霊系特化の【ドリームビルド】ですし、ウルベルトさんも戦闘特化で生産系の能力はありません。
一応、佐助さんが自分の趣味で【料理人】を取っているのは知ってますけど、それだけでは金銭を得る手段としては弱いですからね。
長期滞在するなら、料理の屋台を開くと言う手もありますけど、そうじゃありませんし。
流しの商人として商売をするには、俺たちの持つアイテムがこの世界でどれだけの価値になるのか判りませんし、下手なものを流通させる訳にも行きません。
そもそも、俺たちの手持ちのアイテムを全て持ち寄っても、商人としてやっていける数はありませんよ。
むしろ、補給が無い状態で手持ちのアイテムを放出していたら、こっちが自滅する可能性だってあるんですから、それはしたくありませんね。
ただ……こちらの世界の常識次第では、俺たちが使える魔法はそのまま収入の手段になるかもしれませんよ?
雨が余り降らない場所で、【天候操作(コントロール・ウェザー)】を使う事で雨を降らせるとか、氷属性魔法で氷を作って物を冷やすとか、【大地の大波(アース・サージ)】で大地を耕すとかも出来そうですし。
まぁ……こちらの世界の常識次第ですけどね。」

モモンガがつらつらと挙げたのは、魔法の有効活用だ。
前半部分は、ほぼ佐助やウルベルトと同じ意見だったが、状況次第で魔法の有効活用を視野に入れているのは流石かもしれない。
今の段階では、どれも机上の空論でしかないが、回収したアイテムの整理が終わるまでにもう少しだけ情報を集めた上で、今後の方針を決めるべきだろう。
全員の意見も出た事なので、この件に関しての詳しい話し合いは一先ず後にする事にして、全員で回収して来たアイテムの分別作業に掛かる事になったのだった。




ちょっとだけ、この話で精神の変質に触れてみました。
原作とは違う流れなので、白骨化した遺体を発見して貰う事に。
佐助が語った戦国時代の【古金買い】などの話は、実際に戦国時代にあった逸話です。

本文中と、後書きの誤字修正いたしました。
誤字報告ありがとうございます!