戦国BASARAの佐助を、AOGの至高の一人として突っ込んでみた!   作:水城大地

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昨日の続きになります。



楽しい食事と、周囲の探索をしてみたんだけどねぇ……

佐助達が、パンドラズ・アクターが用意した軽食に舌鼓を打つ横で、軽食を用意した本人は食事するよりも、遠隔視の鏡を取り出してその操作に当たっていた。

パンドラズ・アクター曰く、

「皆様に対して、下手なものをお出ししない為に味見をさせていただきました。

割と沢山口にした事もあり、それなりに小腹は満たしておりますので、ご安心を。」

との事なので、今回は本人の主張を優先することにしたのである。

今までに得た外の情報は、佐助の分身が罠を仕掛けに行った分断部分しかなく、しかも外の部分にまで気を回していなかった為に、完全に情報が足りない状態なのだ。

今の佐助たちにとって、どんな情報でも喉から手が出るほど欲しくて仕方がないのである。

だからこそ、少しでも外の情報を収集しようとするパンドラズ・アクターの行動を、彼らに止める理由はなかった。

 

パンドラズ・アクターが操る遠隔視の鏡が、無事に起動して最初に映し出したのは、ゴツゴツとした岩肌だった。

細く伸びたそれは、先に明かりが見えないほど長く続いている。

現時点で見えている岩肌も、どこかツルツルとした滑らかな雰囲気を持ち、洞窟よりは鍾乳洞よりの雰囲気だった。

鍾乳洞には付き物の水が床にはなかったので、その辺りはまた未確定ではあるのだが。

 

「……最初に映し出す視点に指定したのは、この宝物殿の通路の分断された部分だったのですが……

これを見る限りでは、どうやらどこかの洞窟……いえ、この場合は鍾乳洞でしょうか。

そこへ、分断された部分が繋がっているようですね。

もちろん、幾つか視点を変えて精査する必要はあるでしょうが、この宝物殿が山間か地下の鍾乳洞の中にすっぽりと填まり込んでいる可能性が高いと、状況的に考えるべきでしょう。

どちらにせよ、人目につく場所にいきなり放り出されたのでは無いと言う点では、今の状況は其れほど悪くないかと思われます。

何せ、この分断されている状態の宝物殿は、外側を見るとかなり形状が特殊ですので、人に見られる可能性が少ない地下にある方が、色々と対応策が多いですし。

我々と共に来ただろう、宝物殿の一部の形状はかなり歪だと言って良いでしょう。

それこそ、奥殿へ続く廊下が四方に伸びている上に、霊廟から最奥部が首から頭へと伸びている形ですからね。

視点を変えて外から見た場合、巨大なゴーレムに見られた可能性もあります。

そんな形状が、草原の中にいきなり出現して人目に曝されている状態だとしたら、どんな最悪を招くことになるか想像しかねますからね。」

 

パンドラズ・アクターによって、それぞれの前に展開された水晶の画面に映し出されているのは、今、彼自身が見ている遠隔視の鏡の映像だ。

元々、生産職系に属する能力を持ち、魔法職の様々な魔法を使用可能と言う器用なパンドラズ・アクターは、使用する遠隔視の鏡の映し出す映像を魔法媒介として使用し、佐助たちに個々に水晶の画面を需要体として組み込んだものを展開すると言う、ある意味地味な大技を披露してくれた。

これだって、普通一人で確認するなら不要な手間だろうに、さらりとやってのける辺りは、パンドラズ・アクターの能力の高さが窺えたと言えるだろう。

 

何より、僅かな情報だけである程度の現状をさくさく分析していく頭の良さは、流石ナザリックでも三本の指にはいる知恵者である。

 

彼の分析は、ほぼ間違いないだろう。

前世の記憶の中で、鍾乳洞を知っている佐助の意見も、パンドラズ・アクターと同じだったからだ。

それにしても……と、佐助はパンドラズ・アクターの知識量の多さに驚く。

宝物殿の領域守護者として、外に出さない前提だったにも関わらず、この知識量の豊富さは何処から来ているのか気になるが、今は役に立っているので深く追求するべきではないだろう。

時間が出来た際に、それとなく聞くのが無難だと判断した所で、モモンガかパンドラズ・アクターに指示を出した。

 

「確かに、パンドラの言う通りだな。

さて、そろそろ映し出す場所を移動しようか?

宝物殿の転移した場所が、単純に人目がある草原や沼地で無かった事は、隠蔽工作がしやすいと言う点でも悪ない状態だろう。

まずは、この鍾乳洞の形状などを含めた全体像の把握と、どんな場所にあるのかの確認だな。

外へ繋がる場所など、侵入者対策を施す為に必要な場所の把握は最重要案件だと言ってもいい。

その方向で、パンドラもこちらに状況が判り易い様に視点を展開してくれ。」

 

モモンガの指示を聞いて、パンドラズ・アクターは遠隔視の鏡の視点を広げ、更に周囲を丁寧に探索し始めた。

その横で、佐助は丁寧に鍾乳洞の様子を観察しては必要な情報を抜き出し、そこから更に必要な物を書き出していく。

ウルベルトはウルベルトで、パンドラズ・アクターが今展開している視点が、宝物殿のどこの通路に繋がっているのか、そこに重点をおいたらしい。

パンドラズ・アクターが用意してくれたのだろう、現状の宝物殿の待合室の広間部分と、そこから枝分かれしている保管庫兼通路の展開図の写しに、メモを張り付けながら記入しているようだった。

そんな二人が書き出した、走り書きのようなメモを纏める作業をしているのが、モモンガだった。

ウルベルトが、已に記入し終えて移動した場所を見て、書き出したメモをチェックしては、正式なデータとしてもう一つの展開図の写しにその内容を清書していく。

その上で、佐助が拾い上げた鍾乳洞関連の情報を付加して書き込めば、自分達が今いる場所の詳細データの完成だ。

 

少しずつでも、自分達がいる場所の情報が集まって来た事で、モモンガ達の意識が未知の世界へと向いているのが、佐助には良く判った。

 

どんな状況でも、仲間と共に細かい情報を収集して必要なデータを作り出すのは、割と楽しい作業だと佐助は思っている。

何かを仲間と協力して、自分たちが楽しむために一つの目的のために動くと言うのは、佐助にとって前世でも現世でも余り縁が無かった事だからだ。

前世では、何かを楽しむというささやかなことすら、許される立場じゃなかった。

現世で、それを初めて体験したのが【ユグドラシル】のギルド【アインズ・ウール・ゴウン】の仲間たちである。

だから、こうして仲間たちと一緒に、自分達が見知らぬ世界を冒険できるのが嬉しかったのだ。

 

もちろん、面と向かってそれを伝えるつもりは、今の佐助にはない。

 

こう言うのは、物事がある程度落ち着いてから、思い出程度で話す方が色々と面倒がないと、佐助は考えているからだ。

少なくても、この世界で自分達の立ち位置を確定し、ある程度の基盤を作る方が優先事項になるだろう。

出来れば、その過程でナザリックが見つかれば問題ないのだろうが、そこまで都合良く話が進むとは、佐助は考えていなかった。

 

《ま、知らない世界に別々に飛ばされたんだし、そう簡単に合流出来るとは限らないよね。

そもそも、本当にナザリックがこっちに来ているのかも解らない訳だし。

何にしても、先ずは情報収集が優先かな?》

 

次々と集まる情報を、分身達にそれぞれ分担を決めて書き取らせながら、佐助はそんなことを考えていた。

 

******

 

それから暫く時間を掛けて、ある程度の情報を集める事が出来た。

予想より、手元に集まった情報が多かったからか、モモンガが確認して纏めるのに四苦八苦していたのを、パンドラズ・アクターが慌てて手伝っていた様子は、とても微笑ましいと思ったものだが。

現在判った情報は、下記の通りだ。

 

まず、ここが山脈の地下にある鍾乳洞の中心部に近い場所だと言う事。

二つ目は、外は【リアル】で見る事が出来ない緑豊かな自然が広がっていている事。

山脈は東側に大きく伸びていて、西側に平野がありそこに人間の村落と大き目の街が幾つかある事。

更にそこから西へ進むと、大きな湖が存在している事。

北側には、西側よりも大きな平野があり、そこに特に人間種が集まる大きな街(もしかしたら国?)がある事。

さらに北に遡ると、また山脈があってそこに飛龍と人間の集落がある事。

自分たちが居る北東側には、山間の盆地のような場所がり、そこにはビーストマンの街がある事。

南側には平野があるが、それより先に進むと山脈がまた連なり、南東の方角には海に繋がる入り江がある事などなど、色々な情報だ。

これだけ一気に情報が集まると、それこそ精査がある程度済むまでは動くのは危険だろう。

 

どう考えても、この世界は【ユグドラシル】ではない事が確信出来たからだ。

 

それはさておき。

この情報から今後の行動を考えるとするなら、やはり人間種の姿になる必要がありそうだと、小さく佐助は口の中で呟く。

自分たちが要る山脈の周囲にある中で、ざっくりと見た感じで一番近い場所にあると思えたのが、人間種の村だったからだ。

もちろん、少々手間が掛かってもビーストマンの住む北の方角に抜ける事も出来なくはないが、人間種の方が色々と話が通じやすい気がしたからである。

 

但し、それはあくまでもこの山脈の周囲を囲む平野部の中で、と言うだけ。

西側の湖の向こう側にも、人間種が作った国があるようだが……佐助の第六感が、その国に近付くべきではないと告げている。

厄介事に関して、自分の第六感の鋭さは前世から自覚がある佐助としては、危険だと直感した国には近付くべきではないと、モモンガたちに告げる事にした。

この佐助の第六感に関しては、モモンガたちも【ユグドラシル】の頃から良く知っているので、そう告げれば反対する事はないだろう。

 

何も知らない場所で、自分たちの安全を確保しながらナザリックと仲間を探すとしたら、こういう第六感とかは馬鹿に出来ないからね。

 

そう判断を下した佐助は、集めた情報で作ったざっくりとした地図に記された、湖の向こう側にある平野側を指し示しつつ、第六感として感じたままを告げていく事にした。

こういう情報は、早い段階で共有しておいた方が良い。

そもそも、わざわざ湖の反対側にある平野に向かうよりも、このまま現在位置から北上して情報が得られそうな人里を探す方が、移動距離も稼げるはずだ。

 

「んー……あのさ、俺様的にはこっちの方には行きたくない感じがする。

あくまでも、俺様が【水晶の画面】越しに感じた漠然とした感でしかないけどね。

何となく、この湖の向こう側にある平野は嫌な感じなんだよ。

それこそなんて言うのかな……そう、こう背筋がゾワゾワするって言うか、近付きたくないって感じなんだよね。

こんな状況だし、今の段階では近付かない方が良いんじゃないかって、俺様的には思う訳よ。」

 

つらつらと、自分が【水晶の画面】越しに感じた勘と共に意見を述べれば、モモンガが思案するように顎に手を当てる。

佐助の勘が、馬鹿に出来ない事を承知しているだけに、集めた情報を加味して精査しているのだろう。

その横で、ウルベルトもざっくりと書いた地図を細く鋭い爪で辿っていたかと思うと、自分の意見を口にした。

 

「……あー、そう言えば昔から佐助さんの勘は当たりますからねぇ。

それだと、西へ向かうルートは避けるべきだろうな。

元々、俺達なら【飛行】の魔法を含めて山越えの手段はいくらでもあるし、この位置から湖を渡る利点は少ないだろ。

それなら、最初から北側の平野を北上しつつ、この平野の中でも大きな都市を目指した方が、無駄が少ないんじゃないか?

南側の平野は、あまり村落が無かったみたいだし、東側のビーストマンの街に関しては、一旦保留で問題ないと思うな。

何せ、ビーストマンが他の異形種に対して友好的かどうか、良く分からないし。

それなら、最初から対応が解る人間の村落を目指した方が、余程有益だろ。」

 

二人の意見を聞いていたモモンガに、それまで大人しく黙って聞いていたパンドラズ・アクターが、口元に手を当てながら首を傾げた。

どうやら、佐助の勘の鋭さがどこまでなのか、把握しかねているのだろう。

しかし、二人の話から自分なりに意見を纏めているのかも知れなかった。

暫く考えたところで、小さく頷いてから口元の手を外すと、パンドラズ・アクターは静かに口を開く。

 

「……私は、宝物殿の中しか知らない不肖の身ですので、佐助様の勘がどこまで凄いものなのか、存じ上げておりません。

ですが、私もウルベルト様の意見と同じく、湖を渡る必要性が見出だせませんね。

そもそも、北上すれば確実に接触可能な人の村があるのなら、そこでこの世界の基礎知識の確認をするべきでしょう。

それなりに人がいる村ならば、大きな街の住人と何らかの形で交流があることも考えられますし、こちらがこの世界に疎い事への誤魔化しも可能かと思われます。

それらの点を踏まえますと、情報の収集と共に少しずつ足場を固める事から始めるべきでしょう。」

 

現状に沿う意見を出すパンドラズ・アクターに、誰もが納得するように頷いて見せる。

確かに、ここがどういう世界なのかまだ良く判っていない段階ではあるが、最初の時点で足場からしっかり固めておかないと、後で自分たちが困る事になるだろう。

そういう意味では、パンドラズ・アクターの意見は間違いじゃないし、今後の指標の一つとして考えるのには適していた。

これは、佐助だけじゃなくモモンガもウルベルトも同じ意見なのだろう。

だからこそ、頷いて見せたのだろうから。

三人から意見が出た事で、モモンガがゆっくりと口を開いた。

 

「佐助さんが、【湖の向こう岸には行きたくない】とはっきり言い切った時点で、ある程度選択肢は絞られたようなものですよね。

ウルベルトさんの言う通り、佐助さんのこういう時の勘は殆ど外れませんし。

正直、動物が本能的に危険を察知して逃げだすのと、佐助さんの勘ってかなり近いんじゃないですか?

今までだって、佐助さんが乗り気で参加を希望したクエストはどれも上手く攻略出来ましたけど、参加を渋ったクエストは何とか攻略出来たとしても被害甚大になるものばかりでしたしね。

そう言う点から考えて、先ずは近場から攻略して足場を固めていくと言うパンドラの発言は理に適っていますし、それを主体として採用で良いでしょう。

一旦、自分たちの足場がある程度固まった時点で、ウルベルトさんが言う通りに北上していく事にしましょうか。

このまま、この宝物殿内に引き籠っている事も出来ませんからね。

その為にも、先ずは保管庫兼通路のアイテム回収する班と情報収集をする班と言う形で、一旦二手に分かれましょうか。

情報収集は、魔法職である俺とウルベルトさんがこのままここで行う事にします。

申し訳ないんですけど、佐助さんとパンドラにはアイテム回収に回って欲しいんです。

この中で、宝物殿内に保管されているアイテムに関して一番詳しいのはパンドラですし、佐助さんは分身で人手を増やす事が出来ますからね。

俺やウルベルトさんが、パンドラと一緒にアイテム回収をするより、多分回収が早く済むと思うんですよ。

なので、お願いしても良いですか?」

 

三人の意見を纏めつつ、これからの行動指示を出すモモンガの言葉に、佐助は異論がない。

実際に、佐助がアイテム回収側に回ると言うのは、モモンガの言葉通り分身で人手を増やせることを考えれば妥当だし、アイテムに詳しいパンドラズ・アクターがそのサポートに回るのも納得の理由だ。

また、魔法職のウルベルトとモモンガがこのパンドラズ・アクターの自室エリアの中に残ってくれていた方が、佐助的にも助かる。

この、どこに敵になる可能性御ある存在が要るか分からない状況下で、守るべき対象の半数以上が確実に安全圏に居てくれるのは、かなりありがたいのだ。

 

これで、守るべき対象としてパンドラズ・アクター一人に集中しつつ、アイテム回収作業に当たれるのだから。

 

それに、モモンガとウルベルトの二人が、パンドラズ・アクターから引き継いで情報収集する方が、多分効率的だろう。

佐助の場合、どうしても情報を集めるために分身を外に飛ばす必要があるが、彼らなら魔法を幾重にも唱えて安全を確保した状況で情報収集が可能だ。

これは、同じことをウルベルトも考えたのだろう。

納得したように頷くと、ウルベルトは軽く手を挙げた。

 

「それなら、私が千里眼の使用を受け持ちましょう。

攻勢防壁の厚さは、多分モモンガさんより上でしょうし、モモンガさんに補助魔法を追加で掛けて貰えれば、私が千里眼を使用する方が適正ですから。

その分、これから拾う情報に関しても、モモンガさんが精査してくださいね。

まず、探すのはここから一番近い人里でしょうか。

接触するなら、ある程度早い方が良いですからね。」

 

ニッと笑いながら言うウルベルトに、三人が食べた食器を片付けながらパンドラズ・アクターも頷く。

流石に、食べたままその場に食器を放置するのは、彼には容認出来なかったらしい。

運んできたワゴンに、食このお茶を淹れたカップ以外の食器をのせ終わると、軽く頭を下げる。

 

「では、こちらを下げて参りますね。

すぐに戻りますので、戻り次第佐助様と共にアイテムに回りたいと思います。

それでよろしいでしょうか?」

 

確認するように問うパンドラズ・アクターに、モモンガはかるくうなずいて同意する。

確かに、これからの作業や集まってくるだろうアイテムの事を考えると、この場に食器が散らかっていない方がいい。

これに関しては、佐助だけじゃなく他の二人も同じ意見なのだろう。

だから、笑顔で頷いて同意してやる。

三人から承諾が得られた事で、安心したようにパンドラズ・アクターがワゴンを押してキッチンへと向かっていく。

それを見送り、佐助はモモンガたちに対して一つの提案をする事にした。

 

「あのさ、モモンガの大将、ウルベルトの旦那。

俺様の影分身を一体、二人の護衛としてこの場に置いて行こうと思う。

アイテムの回収に関しては、俺様と俺様の影分身の一体のペアとパンドラと俺様の影分身のペアの二組に分かれて行動すれば、効率よく進められると思うからね。

もし万が一、俺様が仕掛けた罠を乗り越えて敵が侵入してきたとしても、影分身が相手をして時間を稼いでいる間にここに逃げ込む事は可能なはずだと思う。

俺様と影分身はもちろんだけど、俺様の影分身同士もある程度意識が繋がっているし、そう言う状況になればモモンガの大将たちに、残しておいた影分身からこっちの状況を伝える事も出来ると思うんだよ。

相互連絡用って意味でも、伝言の魔法を使うよりも影分身を通しての連絡の方が、確実に連絡が取れる可能性が高いと思うんだよね。

俺様かパンドラに付けた影分身から、いきなり連絡が途絶えた時点で何らかの原因がある事は確定出来るだろうし、そうなればモモンガの大将もウルベルトの旦那も警戒態勢がとれるだろう?

そう言う意味でも、影分身を残していこうと思うんだけど……駄目かな?」

 

軽く鼻面を掻きながら、そうメリットを示すように提案する佐助に対して、モモンガもウルベルトも反対するつもりはないらしい。

そもそも、この場に居る面々の中で一番戦闘経験が高いのは佐助なのだ。

モモンガたちだって、【ユグドラシル】の中では様々な経験をしているが、それでも佐助の経験値とは比較出来るものではないだろう。

実際、【リアル】でも【前世】でも裏の仕事に従事していたような佐助と比べる方が、まず間違いなのだが……それはさておき。

そんな佐助が、モモンガたちを心配しているからこそ色々と考えた上で、こうしてわざわざ提案している事に対して、モモンガたちは異を唱えるつもりはないのだ。

 

あくまでも、佐助は全員で確実に生き残るための術を探っているのだから。

 

暫くして、パンドラズ・アクターがキッチンから戻って来た。

彼に対して、先にモモンガたちと話し合った事を話して聞かせた所、特に反対意見は上がらなかったので、そのままその予定通りにする事にした佐助は、まず自分の分身の内の一体にこの場の警護と連絡係を命ずると、パンドラズ・アクターを伴い彼の自室エリアから外へと向かった。

その途中、書斎エリアにいた分身を回収すると、そのまま揃って彼の自室エリアを出て待合室に移動する。

もう一人の分身と合流したところで、一体をパンドラズ・アクターに付けてそれぞれ別れてアイテムの回収に向かったのだった。

 




こんな感じで、漸く少しだけ話が進展しました。
実はこの話、昨日アップした分と合わせて一話分の予定だったない様なんですよね。
分割しなかったら、一万六千字越え……うん、一話限りの短編じゃない限り長すぎますよね。

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