牙狼ライブ! 〜9人の女神と光の騎士〜   作:ナック・G

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お久しぶりです。ナック・Gです!

前回の投稿から1年以上が経ってしまいました()

色々と忙しいのもありましたが、創作のモチベもなかなか上がらず……。

そんな中でもちょっとずつ執筆を行い、ようやく最新話の投稿を行うことが出来ます。

今回からはアニメ第2期の第6話の話になります。

変化とタイトルがありますが、奏夜たちは、どのような変化をしようというのか?

それでは、第73話をどうぞ!




第73話 「変化 前編」

2年生組が修学旅行の中、ファッションショーの出演依頼がμ'sに来る。

 

しかし、2年生組が台風の影響で当日参加出来ないというアクシデントに見舞われながらも、サポート役としてμ'sを支えていた統夜や梓の起点もあり、ファッションショーでのパフォーマンスを無事に成功させたのであった。

 

それから1週間後、奏夜はいつものように、エレメントの浄化を行っていた。

 

「はぁっ!!」

 

奏夜は魔戒剣を一閃し、飛び出してきていた邪気の塊を斬り裂く。

 

邪気の塊を斬り裂いた奏夜は、魔戒剣を鞘に納め、そのままそれを魔法衣の中にしまう。

 

「キルバ、あと浄化しなきゃいけないところはあるか?」

 

『いや、今日やるべき分は終わったぞ。だからほそろそろ学校へ向かった方がいいんじゃないか?』

 

「そうだな。とりあえず学校に向かうとしますか」

 

エレメントの浄化の仕事を終えた奏夜は、そのまま学校へと向かい歩き出した。

 

しばらく歩いていた奏夜だったが、とある風景が気になったのか、不意に足を止める。

 

『?おい、奏夜。いったいどうしたんだ?』

 

「ああ、いや……。もうすぐハロウィンなんだなぁって思ってさ」

 

奏夜の目に止まったのは、あちこちに散りばめられたカボチャやお化けのオブジェなど、ハロウィンに関する装飾であった。

 

奏夜のいう通り、ハロウィンが間近に迫っており、この秋葉原の雰囲気も、ハロウィン一色となっている。

 

『ああ。確か街の奴らがコスプレやらなんやらして盛り上がるやつだろ?あいつら、本当のハロウィンの目的も知らず、ただ騒ぎたいだけだろうに……』

 

キルバのいう通り、本来ハロウィンというのは、ただコスプレをして盛り上がるだけではなく、欧米諸国にて広まった由緒あるお祭りなのである。

 

この日本でハロウィンだと大いに盛り上がってるのはここ最近なのだが、キルバはこの現状を良しと思っておらず、悪態をついている。

 

「あはは、まあまあ。確かに本来のハロウィンとはちょっと違うかもだけど、こういう行事は多い方が楽しいじゃんか」

 

『やれやれ。奏夜、お前もか……』

 

奏夜もまた実際の文化はどうあれ楽しもうという考え方であり、キルバはそこに大いに呆れている。

 

2人はそんなやり取りをしながら、学校へ向かうのであった。

 

そして放課後、現在は全員でミーティングを行っているのだが……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やっぱり大事なのはインパクトなんだよ!!」

 

「はあ?いきなり、なんだよ……」

 

穂乃果のこの発言に面食らった奏夜は、訝しげに穂乃果を見る。

 

「ああ、そういえば、そーくん、最近魔戒騎士のお仕事で忙しかったから、あんまこっちは顔を出せなかったもんね?」

 

ことりの言う通り、奏夜は修学旅行から戻ると、長い時間魔戒騎士の仕事から離れていたということもあり、最終予選の準備もしなきゃいけないことは重々わかった上で、魔戒騎士の使命を優先させていた。

 

そのため、しばらくはμ'sの練習にも顔を出せなかったため、穂乃果の言葉は余計に意味がわからないものだったのだ。

 

「そうなんだよ。最終予選が控えてるこの状況で悪いと思ってはいるんだけどさ」

 

「まったくよ!奏夜ってば、最近なかなか顔を出さないんだもの」

 

にこも奏夜の使命のことはわかってはいるのだが、それでも納得はしてないのか、少しだけ不機嫌そうにしていた。

 

「にこ、落ち着いて?確かに奏夜や剣斗はなかなか顔を出せなかったけど、その分私がサポートに徹してたからさ」

 

ララのいう通り、奏夜だけではなく、剣斗もまた、魔戒騎士の使命を優先しており、それだけではなく、剣斗には教師としての業務もあったため、奏夜以上に顔を出しづらい状況だったのだ。

 

「うむ!だからこそ、ララには感謝しているぞ!おかげで私や奏夜は使命に専念出来るのだからな」

 

「2人は私よりもやるべき事が多いからね?これくらいはなんてことないわよ」

 

ララは、奏夜や剣斗のサポートという仕事を誇らしげにやり遂げていたのであった。

 

「ああ、話がそれちまったな。それで?なんでインパクトが大事なんだ?」

 

「それはね……」

 

こう前置きをした上で、絵里がゆっくりと語り出す。

 

どうやらハロウィンの日に、大きなイベントがあるらしく、最終日には、地元のスクールアイドルであるμ'sやA‐RISEにパフォーマンスの依頼が来たのであった。

 

昨日はμ'sやA‐RISEが出演するというPRがあったのだが、PR勝負はA‐RISEの圧勝であり、μ'sはインパクトでも完全にA‐RISEに負けていたとのことである。

 

「なるほどな。それでインパクトか……」

 

絵里の話を聞き、奏夜は険しい表情になって思案に耽っていた。

 

「ふむぅ、確かにインパクトを求めるのはイイと私も思う。だが、そこまで無理をしてそのインパクトを求めるべきなのか?」

 

「俺もそこは思ってた。無理な路線変更ってのは良くないと俺は思ってるからな。上手くいくハズがないし」

 

奏夜は、穂乃果たちがやろうとしていることを察した上で、そのことに対して苦言を呈すのであった。

 

しかし……。

 

「そこの2人、甘いわよ!もう勝負は始まってるんだから!」

 

「にこちゃんの言う通りです!お客さんの印象に残った方が多く取り上げられるだろうし、みんなの記憶にも残るんです!」

 

奏夜の苦言に思うところがあるからか、すかさずにこと花陽が待ったをかけて、インパクトの大切さを捲し上げる。

 

「その言い分は理解出来るんだがな……」

 

奏夜は、理屈ではその通りと感じながらも、どこか引っかかるところがあった。

 

「でも!あの時にこちゃんがにこにーしようとするから、見向きもされなかったじゃん!」

 

「やりたかったけど、結局出来なかったわよ!穂乃果だって、本来の目的を忘れて普通に答えてたじゃない!」

 

穂乃果は、PRに失敗したのは、にこに原因があると指摘するも、それににこはすぐに反論する。

 

「アハハ……お前らは……」

 

その時の状況が容易に想像出来た奏夜は苦笑いをしていた。

 

「でも。ちゃんとPR出来たとしても、A‐RISEには完敗だにゃあ!」

 

凛は冷静に自分たちとA‐RISEのパフォーマンスの違いを分析していた。

 

「……なるほどな」

 

奏夜は小さな声で呟くと、神妙な面持ちで考え事を始める。

 

「どのみち、PRの件は残念ではあるが、切り替えて、これからどうするかを考えるべきだろう」

 

「そうね。剣斗の言う通りだわ」

 

剣斗がこのようにアドバイスを行い、それにララが同意する。

 

「だからこそ、インパクトが必要なんだよ!」

 

ここで穂乃果は、本題であるインパクトの話を持ち出した。

 

「とは言っても、変に路線変更はするべきじゃないんじゃないか?」

 

神妙な面持ちで考え事をしていた奏夜は、インパクトが必要だということに違和感を感じていた。

 

「そこは私も思ってました」

 

どうやら海未もまた奏夜と同じ考えだったからか、奏夜に同意する。

 

「インパクトってことは、今までにない新しさってことだよねぇ?」

 

「奏夜君の言い分はもっともやけど、やってみるのもええんやないかな?」

 

「希ちゃんの言う通りにゃ!ダメならダメで、また何かを考えればいいんだし!」

 

「ふむ……。まぁ、確かに一理はあるか」

 

奏夜はインパクトを強くすることには反対だったものの、希の意見が理にかなうと判断したからか、これ以上の反対意見は出さなかった。

 

「ねぇ、それならいっそのこと、空気を変えることから始めてみない?」

 

「空気を?」

 

絵里の提案に、穂乃果は首を傾げる。

 

「要するに、μ'sの雰囲気ってのを変えてみるってことだろ?」

 

「ええ。そして、どうせやるなら思い切って変えてみるのもありだと思うの」

 

「絵里もそう思ってましたか!実は私もそう思っていたのです」

 

「??ねぇ、どういうことよ?」

 

奏夜と海未は絵里がやろうと考えていることを察しているものの、他のメンバーはピンと来ないようであり、真姫がこのように問いかけた。

 

「えっと、それはね……」

 

絵里が具体的な例をあげようとしたその時、コンコンと部室の扉をノックする音が聞こえてきた。

 

「はい!」

 

そのノックに絵里が反応すると、部室の扉が開かれた。

 

「よう、みんな。話し合い中に悪いな」

 

「と、統夜さん!?どうしたんですか?」

 

部室を訪れたのは、奏夜の先輩騎士でもある月影統夜であり、大きめのキャリーバッグを手にしている。

 

「それに、その荷物、旅行にでも行くんですか?」

 

「いや、今回はさわ子先生に頼まれて来たんだよ」

 

「え!?師匠から!?」

 

統夜の言葉に、ことりは即座に反応していた。

 

「この前のイベントの後、用事があって桜ヶ丘に戻ってな。その時に学校にも遊びに行ったんだよ。その時にさわ子先生にこれを奏夜たちに届けてくれと頼まれたんだよ」

 

「?俺たちにさわ子先生がですか?」

 

「ああ。なんたってもうすぐハロウィンだろ?今回もさわ子先生は色々衣装を作ったみたいなんだけど、色々着てみて、衣装の参考にして欲しいんだとさ」

 

「そうなんですか!師匠が!!」

 

統夜の手にしているキャリーバッグの中にはさわ子お手製の衣装が入っているとわかり、ことりは目を輝かせる。

 

「これは、グッドタイミングだわ!!」

 

「?絵里?」

 

「この衣装がきっと、私たちの空気を変えるいいきっかけになると思うわ!」

 

絵里もまた、目をキラキラと輝かせながら、統夜の持ってきたキャリーバッグの中身を確認するのであった。

 

衣装をひと通り確認した穂乃果たちは、衣装を試着してみることにしたのである。

 

 

 

 

 

 

※※※

 

 

 

 

 

 

 

そして、場所は変わって、奏夜たちはグラウンドにいた。

 

そして……。

 

 

 

 

 

「あなたの想いをリターンエース!高坂穂乃果です!」

 

まず最初に現れたのは、何故かテニスウェアを身にまとい、ラケットを手に現れた穂乃果であった。

 

「誘惑リボンで狂わせるわ!西木野真姫!」

 

続いて現れたのが、新体操選手が着る衣装を身にまとい、リボンを手にした真姫である。

 

「剥かないで!まだまだ私は青い果実!小泉花陽!」

 

そして、何故か花陽はミカンの着ぐるみを着て、ゴロゴロしている。

 

ここら辺から、奏夜の顔は引きつり、統夜、剣斗、ララは苦笑いをしていた。

 

「スピリチュアル東洋の魔女!東條希!」

 

次に現れたのは、バレー選手の衣装を身にまとい、バレーボールを手にした希であった。

 

「恋愛未満の化学式、園田海未です!」

 

海未は何故か白衣を身にまとい、眼鏡をかけている。

 

「私のシュートで、ハートマークを付けちゃうぞ!南ことり!」

 

ことりは、ラクロスのユニフォームを身にまとい、ラクロスで使用するラケットを手にしている。

 

「きゅーっとスプラッシュ!星空凛!」

 

凛は競泳水着を付けており、

 

「必殺のピンクポンポン!絢瀬絵里よ!」

 

絵里はチアガールの格好をしており、文字通り両手にピンクのポンポンを持っていた。

 

そして……。

 

「そして私!不動のセンター!矢澤にこ!」

 

にこに関しては何故か剣道の防具を付けており、顔はまったく見えていなかった。

 

この時には、その様子を見ていた奏夜たちの目が点になっている。

 

『私たち!部活系アイドル!μ'sです!!』

 

穂乃果たちは、このように声を揃えてバッチリ決めるのであった。

 

しかし……。

 

『……これは、どこからツッコめばいいのやら……』

 

『奇遇だな。俺様も同じことを考えていたぜ』

 

いの一番に戸惑いの声をあげたのは、魔導輪であるキルバとイルバであった。

 

「俺に聞かないでくれよ…」

 

統夜もまた、リアクションに困ったからか、苦笑いをしている。

 

「これは、なんというか、まぁ……」

 

「うむ……」

 

「……なんか違うんだよなぁ」

 

剣斗とララは戸惑いの声をあげるなか、奏夜はジト目で穂乃果たちを見ていた。

 

「ちょっと待ちなさいよ!私だけ顔が見えないじゃない!」

 

にこは、自分だけ顔が見えない剣道の防具を付けていることに異議を唱える。

 

「いつもと違って新鮮やね!」

 

「スクールアイドルってことを考えると、色んな服を着るというコンセプトは悪くないわね」

 

「だよねだよね!」

 

絵里は色んなな部活の衣装を着るというコンセプトに前向きな気持ちを持っており、それに穂乃果も同意している。

 

ちなみに、剣道の防具以外は全てさわ子お手製の衣装であり、道具に関しては、様々な部活借りたものを使用していた。

 

「そう言われると確かにコンセプト的には悪くはないとは思うがな……」

 

そんな中、剣斗は悪くはないと思いながらも、言葉を濁らせていた。

 

「悪いけど、これだとふざけてるようにしか見えないんだよな。俺がそう感じてしまっているしな」

 

奏夜は、自分の思って意見をハッキリ言って、この衣装は良くないことを伝えていた。

 

「そんなことはないよ!」

 

「なんでそう言いきれる?」

 

「そ、それは……」

 

穂乃果は奏夜の反対意見に異議を唱えようとするも、違うと言い切るだけの理由を見い出せず、言葉を詰まらせる。

 

「少なくとも、ふざけてるって感じてるのがここにいるんだ。本当にふざけてないっていうのなら、そう思われないために、色々工夫をしていく必要があるぞ。本場まで時間はないけど、そこまで出来るのか?」

 

『……』

 

奏夜の言葉は正論だったからか、穂乃果たちはこれ以上何も言うことは出来なかった。

 

「別に責めてる訳ではないぞ?それに、せっかくさわ子先生が色々衣装を用意してくれたんだから、色々試してみたらどうだ?」

 

「そうそう。せっかくさわ子先生が色々衣装を用意したんだ。じゃないと、俺がここまで来た意味がないってもんだぜ」

 

「そうだよね……。よーし!色々試してみようよ!」

 

『おお!!』

 

奏夜だけではなく、統夜からの言葉もあったからか、穂乃果たちは、さわ子が用意した衣装を試着して、μ'sにインパクトを与えるための模索を行っていた。

 

そんな中、穂乃果たちが最後に試着したのが……。

 

「おお!なんかこれ、魔戒法師っぽい衣装だよ!」

 

穂乃果が今着てる衣装は、魔戒法師の魔法衣のレプリカであり、以前さわ子が作った衣装をμ's用にカスタマイズしたものであった。

 

そのため、前は5着しかなかった衣装も、μ'sに合わせているからか、4着増えて、計9着用意されている。

 

それも、全て異なる種類のものだ。

 

「うむ!皆、なかなか似合うではないか!どの衣装もとてもイイ!!」

 

剣斗は、魔戒法師の衣装のクオリティの高さに、感嘆の声をあげる。

 

「そうね。素材はさすがに違うけれども、それでもパッと見は魔法衣そのもだわ」

 

そして、魔戒法師でもあるララも、さわ子お手製の衣装のクオリティの高さには驚かされていた。

 

「驚いたな…。魔戒法師の衣装のレプリカのことは知ってたけど、まさか数が増えているとは……」

 

統夜は高校2年生の学園祭の時に、さわ子が魔戒法師の衣装のレプリカを作っていたことは実物を見ていたので知っていたが、あれから数年経ち、それが増えていたのは予想外だったのである。

 

『ああ。それに、新しく増えたやつも、相変わらずクオリティが高いよな。これには俺様も驚きだぜ』

 

イルバは、新しく増えた衣装の出来の良さを賞賛しており、それに統夜も同意してるのか、無言で頷いていた。

 

「これなら、ふざけてるわけでもないし、イメージを変えるのにはいいかも!」

 

穂乃果は魔戒法師のレプリカの衣装への手応えを感じているのか、この衣装でやっていくことを前向きに考えていた。

 

しかし……。

 

「確かに悪くはないんだけど、なんか違うんだよなぁ……」

 

奏夜は衣装のクオリティには驚いていたものの、この衣装でパフォーマンスすることは違和感を感じていたため、首を傾げる。

 

『確かにな。それに、この衣装を表向きに出すのもまずいかもしれん。こういうきっかけで魔戒騎士や魔戒法師の存在が表向きになる可能性もあるしな』

 

「キルバがそういうなら、この衣装でパフォーマンスっていうのは厳しいかもしれないわね」

 

「そういうことなら仕方ないねぇ」

 

キルバの話を聞いた絵里と希は、この衣装でパフォーマンスすることを断念することを話、受け入れられた。

 

「まぁまぁ。またみんなで色々考えてみようよ!」

 

そこで、ことりがすかさずフォローに入る。

 

「うん。そうだね。色々考えてみようよ!」

 

魔戒法師の衣装のレプリカを含め、さわ子の持ってきた衣装をひと通り試着しても、これだというものはなかったため、改めてどうしていくのか話し合うことになった。

 

「そういえば、俺たちの時はそこまでのことは考えなかったよなぁ」

 

『まぁ、俺たちの時はまだそこまでスマホも普及してなかったしな。それに、すぐに却下になったから俺様も何も言わなかったんだ』

 

「なるほど…」

 

自分たちの時とは事情が違うことに納得したからか、統夜はうんうんと頷いていた。

 

インパクトを与える衣装というのが思いつかなかった穂乃果たちは、屋上へ向かうと、インパクトを変えるにはどうするのか、とある方法を実践することにした。

 

この時には、統夜はさわ子の衣装を持ち帰り、音ノ木坂学院を後にする。

 

こうして、穂乃果たちが行ったのは……。

 

 

 

 

 

 

 

「おはようございま〜す!……あっ、ごきげんよう」

 

穂乃果は何故か海未の練習着を着ており、仕草も海未の真似をしていた。

 

「海未、ハラショー」

 

「絵里、早いですね」

 

今度は、ことりが絵里の練習着を着ており、仕草も絵里を真似ている。

 

「「…そして凛も!!」」

 

「うっ、うぅ……」

 

凛の練習着を着ているのは海未であり、海未は凛の仕草を真似るのが恥ずかしいのか、モジモジとはしていた。

 

「無理です!!」

 

そして、海未は速攻でギブアップ宣言をするのだが……。

 

「ダメですよ、海未!ちゃんと凛になり切って下さい!あなたが言い出したのでしょう?空気を変えてみた方がいいと!」

 

穂乃果は、海未の口調のまま、海未に凛になりきるよう促す。

 

その言葉は正論だったからか、海未は反論出来なかった。

 

「さあ!凛!」

 

「うっ、うぅ…」

 

海未は、自分の格好をした穂乃果に迫られ、追い詰められていた。

 

ここは、自分もやらなければ先に進まない。

 

そう考えた海未は覚悟を決めたのか……。

 

「……にゃぁぁぁぁぁぁ!さあ!今日も練習、いっくにゃあ!!」

 

海未は恥ずかしさを振り切り、全力で凛になり切ろうとしていた。

 

「ナニソレ、イミワカンナイ」

 

続けて現れたのは凛なのだが、真姫の格好をしており、仕草や表情など、完璧に真姫になり切っていた。

 

「真姫、そんな話し方はいけません!」

 

「面倒な人」

 

凛は真姫になり切ったまま、ぷいっとそっぽを向く。

 

「ちょっと凛!それ私の真似でしょ?やめて!」

 

自分のなり切りが気に入らないのか、希の格好をした真姫が、凛に詰め寄るのであった。

 

「オコトワリシマス」

 

間髪入れずに自分になり切る凛に、真姫は思わずたじろいでしまう。

 

「おはようございます。希?」

 

「う、うえぇ……」

 

海未になり切った穂乃果は、希という名詞を強調してるからか、真姫は再びたじろいでしまった。

 

「あー!喋らないのはずるいにゃ!」

 

「そうよ。みんなで決めたでしょ?」

 

凛になり切った海未は、まるで本人が乗り移ったかのように真姫に抱きついており、絵里になり切ったことりは、正論で真姫を説得する。

 

「べっ、別に、そんなこと……。言った覚えは…ないやん?」

 

真姫は照れた様子をみせながらも、少しでも希になり切ろうと本人の喋り方を真似ていた。

 

それを聞いていた穂乃果たちの表情は明るくなる。

 

「おお!希、さすがです!」

 

海未になり切っている穂乃果は、このように真姫に対して賞賛の声をあげる。

 

すかさず屋上の扉が開かれるのだが、次に現れたのが……。

 

「にっこにっこに〜♪あなたのハートににこにこに〜♪笑顔届ける矢澤にこにこ〜♪青空も〜、にこっ!」

 

次に現れたのは花陽なのだが、完璧ににこになり切っており、本人お得意の自己紹介も完璧にこなしていた。

 

「ハラショー!にこは、思ったよりもにこっぽいです!」

 

「にこっ♪」

 

絵里になり切ったことりに賞賛され、花陽は満足そうにしていた。

 

すると……。

 

「にこちゃ〜ん。にこはそんなんじゃないよぉ〜?」

 

次に現れたのはことりになり切ったにこなのだが、先ほどの花陽の名乗りに異議を唱えようとしていた。

 

「いやぁ〜、今日もパンが美味い!」

 

それから間隔を置かずに希が現れたのだが、穂乃果になり切っているのか、パンを美味しそうに頬張っていた。

 

「穂乃果、また遅刻よ」

 

「ごめぇん」

 

「わ、私って、こんな?」

 

「ええ」

 

穂乃果は、普段の自分がこんなのかと思い知らされたのか、思わず素に戻ってしまっていた。

 

こうして、9人中8人が別人になり切っていたのだが……。

 

「大変です!」

 

最後の1人である絵里が現れたのであった。

 

絵里は花陽になり切っており、普段はあまり出すことのない高い声になっているからか、完璧に花陽になり切っていた。

 

「みんなが……みんながぁ〜!!……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……変よ」

 

花陽になり切っていた絵里は、すぐさまいつもの絵里に戻ると、ジト目で現状の違和感を訴えていた。

 

『…まぁ、もっともだな』

 

心の中では色々思うところがあったキルバではあったが、全員が終わるまではあえて口を開かなかったのだ。

 

「正直、これはなんのコントなのかと思っちゃったわ……」

 

奏夜、剣斗、ララの3人は別人になりきるのには参加しておらず、ララは先ほどの穂乃果たちのなり切りをこのようにコメントしつつ、苦笑いをする。

 

「私としては、これはこれで面白いと思うのだがな」

 

「まぁなぁ。だけど、こんなのすぐにボロが出るし、パフォーマンスには向かないよなぁ」

 

「うむ。その通りだな」

 

奏夜と剣斗はこのアイデアを否定はしなかったものの、冷静にパフォーマンス向きではないと判断していた。

 

「奏夜。私たちもちょっとやってみるか?」

 

「おいおい、剣斗。何を言って……」

 

剣斗の唐突な言葉に、奏夜は苦笑いをするのだが…。

 

「そうじゃないだろ?剣斗」

 

剣斗はさっそく奏夜になり切っているのか、奏夜のことを剣斗と呼ぶのであった。

 

「やれやれ……」

 

奏夜は苦笑いをしながらも、剣斗に合わせることにした。

 

「…うむ!自分ではない者になり切る!イイ!!とてもイイ……!!」

 

奏夜は目をカッと見開いて、全力で剣斗になり切っていた。

 

それを見た穂乃果たちは思わず苦笑いをする。

 

「これは……」

 

「なんというべきか……」

 

「……やっぱり変ね」

 

ララと海未がコメントに困る中、絵里は先ほどのようにジト目で評価していた。

 

奏夜と剣斗もそれは実感しているのか、互いに顔を見合わせて苦笑いをする。

 

こうして、別人になり切るという案はダメだということがわかり、パフォーマンスにインパクトを与えるのにはどうするべきか再び考えなければならなくなったのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方その頃……。

 

「…ジンガ様。あなた様より授かりし力、だいぶ定着してきました」

 

秋葉原某所に潜伏しているジンガの拠点にて、アミリはこのような報告をジンガに行っていた。

 

「そうか。こちらとしても、だいたいの準備は整ったところだぜ」

 

ジンガは、アミリからのこの報告を心待ちにしていたからか、表情が明るくなった。

 

アミリにとある力を与えたジンガは、その力が定着するのを待ちつつ、ララが持っていると判明している魔竜の眼をどのように奪うかの策を考えていたのである。

 

「!そ、それでは……!」

 

「ああ。いつぞやかお前が報告してくれた、あの魔戒法師の小娘から竜の眼を奪い、ニーズヘッグを復活させる!」

 

ジンガによるこの宣言は、ニーズヘッグ復活のために動き始めるというものであった。

 

「アミリ。その前哨戦って訳じゃないが、お前にはさっそくひと働きしてもらうぜ」

 

「はっ!なんなりとお申し付け下さい!」

 

ジンガに心からの忠誠を誓うアミリは、ジンガからの命令ならば、どんなことであろうとこなす覚悟を持っていた。

 

「ふっ、頼もしいな。頼むぜ、アミリ」

 

そのようなアミリという存在にジンガは頼もしさを感じており、さっそくアミリにとある指令を出すのであった。

 

この時、奏夜たちは知る由もなかった……。

 

これからそう遠くない未来にジンガが動くということを……。

 

そして、かつてない程の激闘が待ち受けているということも……。

 

 

 

 

 

 

 

 

……続く。

 

 

 

 

 

 

 

 

__次回予告__

 

『やれやれ……。奏夜たちは色々と迷走しているようだな。そんな中でも、暗躍する影があるとはな……。次回、「変化 後編」!その暗雲、輝く刃で斬り裂いてやれ!』

 




今回はハロウィン回ですが、けっこう話を飛ばしてるところがあったと思います。

その理由としては、次回の後編は、本編だけではなくオリジナルの話も入れようと考えているからです。

それがどうなるのかは次回を楽しみにしていて下さい!

そして今作にも現れたさわちゃんのハイクオリティな衣装!

前作では、放課後ティータイムのメンバーが魔戒法師の格好をしていましたが、今回は穂乃果たちが魔戒法師の格好を!

新たに4人の魔戒法師の衣装が追加されましたが、前回の分も合わせて誰の衣装が追加されたかはあえて伏せておきたいと思います。

μ'sのメンバーがどのような魔戒法師の格好をしているかは、皆さんの想像にお任せすることにします。

さて、次回ではオリジナルの話を入れると書きましたが、動き出すジンガとアミリ。

奏夜たちを待ち受けるものとは?

次回の投稿はいつになるかわかりませんが、なるべくモチベーションを上げて、早めに投稿したいと考えています。(毎度言っているが、徐々に亀投稿に)

それでは、次回をお楽しみに!


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