僕が投稿しているこの牙狼ライブは、2月6日をもって、投稿してから1年が経ちました!
この1年は、FF14と共にあった1年でもあったため、あっという間な1年でした。
1年経っても文章力の成長はありませんが(笑)
こんな感じではありますが、これからも牙狼ライブをよろしくお願いします!
牙狼ライブ1周年記念作品も、現在ネタを詰めてるところです(笑)
さて、今回はララが何故秋葉原に来たのか明らかになります。
それでは、第59話をどうぞ!
来年の3月に第2回ラブライブが行われることになったのだが、穂乃果はそれに出なくても良いと言うのであった。
そんな穂乃果の真意がわからず、μ'sメンバーは戸惑うのであった。
そんな中、ラブライブへの思いを断ち切れないにこは、穂乃果を神田明神に呼び出し、とある勝負を申し出る。
その勝負は有耶無耶になったのだが、奏夜たちはラブライブへの思いを語り合うことで、穂乃果もラブライブへ出たいという本音を告白する。
それだけではなく、ラブライブに優勝するというあまりに大きな目標を掲げるのであった。
その直後、奏夜はララという少女と出会う。
この少女は魔戒法師であり、前から奏夜のことを遠くから監視をしていたのであった。
奏夜は初めは敵意を向けていたのだが、ララの年相応で無垢な対応に、キルバはララに敵意がないことをすぐに感じ取るのであった。
こうして奏夜は、ララと共に番犬所へ向かい、そこで話をすることになった。
「……お、来ましたね、奏夜」
2人が番犬所の中にある神官の間に入ると、ロデルは奏夜の姿を見つけて、すぐに声をかけるのであった。
「はい、ロデル様」
奏夜はロデルに声をかけられたため、深々と頭を下げるのであった。
ララもそれにつられて頭を下げる。
「奏夜、ラブライブが再び行われることは知っていますね?」
「はい。μ'sも参加するということを確認したところです」
ラブライブ出場を決めるまでは色々あったのだが、奏夜はあえてそこは伏せることにしたのであった。
「おぉ!それは楽しみです!A- RISEとの直接対決は厳しいでしょうが、私はそれを楽しみにしているのです!」
「はい。俺も、厳しいとは思ってますが、みんながA- RISEに負けないパフォーマンスが出来るよう、見守って行くつもりです」
「期待してますよ。……ところで奏夜。彼女は?見たところ魔戒法師のようですが……」
ロデルはここでようやく、ララの存在を認識するのであった。
「翡翠の番犬所の神官であるロデル様。お目にかかれて光栄です。私はララ。蒼哭の里から来た魔戒法師です」
ララは丁寧にロデルに挨拶をしており、改めて頭を下げるのであった。
「蒼哭の里……。確か、魔戒道を使わなければ行けない人里離れた場所に存在する集落でしたね?」
「はい。私は、その里に眠るとある物を守る使命を受けているのです」
「とある物?それはいったい……」
ロデルは、ララが守ろうとしているものの正体がわからず、首を傾げていた。
「……竜の眼……。この言葉に心当たりがあるのではないですか?」
「!?まさか、竜の眼って……!」
竜の眼というキーワードに奏夜は驚きを隠せないようであり、顔の色が青くなっていた。
「ええ、そうよ。私の里で守っているのは、とあるホラーが封じられた眼なの。そのホラー、ニーズヘッグを蘇らせようとしてるホラーがいるということを聞いたわ」
「まさか、もう1つの魔竜の眼がそんなところに隠されていたとはな……」
『道理で俺たちやジンガが血眼になって探しても見つからない訳だ』
ここで魔竜の眼に関する手がかりを掴めるとは思わなかったので、奏夜は驚いていた。
「そうかもね。それで、この里に魔竜の眼が眠ってることがバレるのも時間の問題だと思って、先手を取って眼を守ることにしたの」
どうやらララの守っているものというのは、奏夜たちが復活を阻止しようしている、ニーズヘッグの眼のようであった。
ララは、どこからか、何かしらの封印が施されている小型のケージのようなものを取り出すのであった。
「!もしかして、この中に……?」
「ええ。魔竜の眼が封印されているわ」
『やれやれ……。まさか、お嬢ちゃんが直接持っているとはな。その里に置いておいた方が安全ではないのか?』
「少し前まではそうだったからそうしてたわ。だけど、眼の存在がバレるのは時間の問題。里に魔竜の眼があると知られたら、里は危機に晒されることになる」
「もしかして、あなたは里を守るためにここへ来たというのですか?」
このロデルの問いかけに、ララは無言で頷くのであった。
「これは、蒼哭の里の長老から私に課せられた使命なんです。だからこそ私は里とこの眼を守らないと……」
ララは、故郷である蒼哭の里と、魔竜の眼を守るという重い使命を受けて、この秋葉原へとやってきたのである。
「まぁ、外の世界を見てみたいっていう気持ちもあったんだけどね♪」
それだけではなく、ララは里の外の世界のことを話でしか聞いていなかったため、外の世界にとても興味があったのであった。
だからこそ、この使命を受けることを了承したのである。
「ララの事情はわかるけど、蒼哭の里だって魔戒騎士や魔戒法師はいるだろ?彼らと協力して里を守るって発想はなかったのか?」
奏夜は、ララの話を聞いて疑問に感じたことをぶつけていた。
「確かにそうなんだけどね。蒼哭の里の人たちって、この里さえ助かれば他はどうでもいいって考えの人ばかりでね。だからこそ人里離れたところにあるんだけど……」
『お前は、そんな奴らのために利用されているという訳か』
キルバのこの追求に、ララは無言で頷いていた。
「それで、魔戒法師としては若い私がこっちへ行く事になってね。他の魔戒騎士や魔戒法師は里から出る訳にはいかず、里を守ってるって訳」
「何だよ、それ……!確かに、故郷を守ることは大事だとは思うけど、ララ1人に重い責任を押し付けることはないだろ……」
ララから蒼哭の里の体制について聞かされた奏夜は、怒りを露わにするのであった。
「なんで奏夜がそんなに怒るの?これは里の体制の話なんだし」
「それはわかってるけど……!」
『やれやれ……。これが奏夜の性格なんだよ』
「……ふーん……」
ララは、誰かのために怒ったり出来る奏夜の性格を知り、少しだけ頬を赤らめながら話を流していた。
「私はそんな里の体制を見ちゃってるから、魔戒騎士をあまり信用出来ないんだよねぇ」
『だとしたら、何故番犬所へ来たんだ?信用出来ない魔戒騎士に助けを求める理由はないだろう?』
「確かにね。だけど、信用出来ないからって協力しないなんて言ってられる状況じゃないんだよ。それに……」
「それに?」
「……奏夜だったら信用出来るかもって思えたんだ。だって、奏夜は誰かのために一生懸命になれる人でしょ?私、あなたのことを見てたけど、それは感じたんだ」
魔戒騎士だけではなく、μ'sのマネージャーをしている奏夜は、自分以外の誰かのために動ける人間であり、ララはそれを感じ取っていた。
「だからこそ、私は近いうちにあなたにコンタクトを取って、協力して欲しいと思ったの。……まぁ、バレちゃったけどね♪」
ララは蒼哭の里から離れて降り立ったこの秋葉原の地で、初めて奏夜を見たのは、絵里と一緒にカフェへ向かっているところであった。
奏夜の話は風の噂で聞いていたのであった。
若い魔戒騎士が、元魔戒騎士のホラーを討滅したということを。
絵里と行動を共にする奏夜を見て、ララは故郷である蒼哭の里の魔戒騎士とは違う雰囲気を持っていることをすぐに感じ取っていた。
だからこそ、それ以来奏夜のことを監視するようになったのだが、奏夜にすぐバレてしまったのであった。
「とりあえず、この翡翠の番犬所としては、あなたに協力を惜しまないつもりです。魔竜の眼を奪われる訳にはいきませんからね」
「ロデル様。ご協力、ありがとうございます」
番犬所が力を貸してくれると知り、ララは深々と頭を下げていた。
「急いで統夜やリンドウ。それに大輝と剣斗を呼び出して下さい。今後についての話をしたいと思っています」
「ハッ!かしこまりました!」
ロデルの付き人の秘書官2人は、統夜たちを呼び出す準備を行うのであった。
統夜たちの到着を待っているその時であった。
「……あれ?電話だ……」
奏夜の携帯が突如鳴り出したので、奏夜は携帯を取り出すのだが……。
「げっ!う、海未!?」
電話の相手は、なんと海未であった。
「ろ、ロデル様。失礼します」
奏夜はロデルに詫びの言葉を入れると、すぐに電話に出るのであった。
「も、もしも……」
奏夜はおそるおそるもしもしと言おうとするのだが……。
『奏夜!!あなたはいったいどこをほっつき歩いているのですか!?もう練習を始めようとしてるのですよ!?』
奏夜がいつまでも来ないからか、海未の怒鳴り声が響き渡っており、奏夜は思わず携帯を離すのであった。
「わ、悪い!今番犬所に来てるんだよ。急な呼び出しがあってな……」
本当は呼び出されたのではなく、ララと一緒にここへ来たのだが、咄嗟にこのように答えたのである。
『魔戒騎士の仕事があるのはわかりますが、それならばそうと私たちに連絡をくれれば良いではないですか!まったく、奏夜は……』
ここから海未の説教が始まっていき、奏夜は顔を真っ青にするのであった。
その直後、「そーくんにも事情があるんだし、そこまでにしてもいいんじゃ……」と、ことりのフォローが聞こえてきた。
『ことりは奏夜に甘すぎます!』
このようにことりのフォローを、海未は一蹴するのであった。
(まずいぞ、こうなったら、海未の話は長いんだよなぁ……)
奏夜は今回みたいに海未から説教を受けることは何度もあり、その度に話が長いので、今回も長くなるだろうと奏夜はげんなりするのであった。
それを見かねたロデルは、今座っている神官のための椅子から立ち上がると、そのまま奏夜に近付いていくのであった。
「奏夜、電話を代わって下さい」
「あ、はい……」
奏夜は海未の説教を聞き流しながらロデルの言葉に返事をするのであった。
『ちょっと奏夜!聞いてるんですか!?』
と、海未からは怒りの言葉が飛び交うのだが……。
「海未、悪い!ちょっとだけ待ってくれ!」
奏夜は海未の話を遮ると、そのまま携帯をロデルに手渡すのであった。
「……もしもし。μ'sの園田海未さんですね?」
『あっ……。はい……。あの、あなたは?』
突然奏夜の声ではなくなった為、海未は戸惑いを見せるのであった。
「ご紹介が遅れました。私はロデル。奏夜が所属している翡翠の番犬所の神官です」
『ま、まさか……!あなたが!?』
「ええ。あなた方μ'sの活躍は奏夜から聞いてますよ。それに、私個人としても応援してましてね」
『そうだったのですか……』
「非常に申し訳ないのですが、奏夜を呼び出したのは、今後についての大事な話をするためなのです。ですので、μ'sの貴重な練習時間ではあるでしょうが、我々に奏夜の時間を頂けるでしょうか?」
ロデルは丁寧に事情を説明し、海未に納得してもらおうとしていた。
『あっ、はい……。わかりました……』
海未は唖然としながらも、納得せざるを得なかったからか、このように返していた。
「わかって頂き、恐縮です。μ'sの皆さんとはゆっくり話をしたいものです。それでは、失礼します」
ロデルはこのように話を終わらせると、そのまま電話を切り、携帯を奏夜に返すのであった。
「ろ、ロデル様。ありがとうございました!」
「構いませんよ。このようなフォローも、私の仕事と心得てますし、μ'sのメンバーと話せたのも嬉しいですしね♪」
ロデルはポロっと本音をさらけ出しながら、再び自分のいるべき場所へ戻るのであった。
こうして、ロデルの助力によって、奏夜は海未の説教を回避するのであった。
そうこうしているうちに統夜たちが到着したため、全員揃ったところで、ロデルはララのことを話すのであった。
「……!?そこのララって魔戒法師が未だに見つけられない魔竜の眼を持っているって本当なんですか!?」
『なるほどな。通りで、これだけ血眼になって探しても見つからない訳だぜ……』
統夜は魔竜の眼の手がかりを得たことに驚いており、イルバは度重なる捜索を行っても、魔竜の眼が見つからなかったことに納得していた。
「早い話が、お嬢ちゃんの持ってる眼を守ればいいってことなんだな?」
ロデルから話を聞いたリンドウは、これから自分たちが何をなすべきなのかを察していた。
「そうです。さらには、もう1つの魔竜の眼と魔竜の牙を奪ったジンガの拠点を突き止め、これらの奪還を行うのが目下の目標です」
「なるほどな。ニーズヘッグ復活に必要なものを揃えておけば、後々封印するのに役に立つだろうからな」
「うむ!ニーズヘッグを復活させる訳にはいかないからな!」
これから自分たちが何をすべきか見えてきたからか、剣斗はやる気に満ちた表情を浮かべるのであった。
「……ララとか言ったな。ニーズヘッグの復活を阻止するためにも、俺たちは協力を惜しまないつもりだ」
「だからこそ、俺たちを頼ってくれよな」
「うむ!これだけ腕の立つ魔戒騎士が揃っているのだ。大船に乗った気持ちでいるといい!」
「……」
大輝、リンドウ、剣斗の3人の力強い言葉に、ララは呆然としていた。
「……ララ?どうしたんだ?」
「魔戒騎士って、こんなにも誰かのために頑張ろうとすることが出来る人たちなんだね……」
「誰かのために頑張る……。当たり前だろ?俺たちは守りし者なんだから……」
ララの言葉に、統夜は怪訝な表情を浮かべるのであった。
「お前の里にだって魔戒騎士はいるんだろ?」
「ええ、蒼哭の里にも魔戒騎士はいるわ。だけど、実力もないのにプライドだけ高くて、守るのは人じゃなくて己の体裁だけ……。だからこそ私は魔戒騎士を信用出来なかったの。……ここに来るまでは」
「そうだったのか……」
ララの言葉の真意を理解した統夜は、ララの心情を察するのであった。
「ま、プライドが高くて体裁を守ろうとする魔戒騎士はお前の里だけにいる訳じゃない」
「そういう魔戒騎士が多いのもまた事実だからなぁ」
魔戒騎士として、多くの経験を積んできた大輝とリンドウは、全員が守りし者としての本分をわきまえている訳ではないことをよく理解していた。
「里の魔戒騎士は信用出来ないけど、あなたたちなら信用出来る。お願い、私に力を貸して!」
「……当然だ。俺たちはララと、魔竜の眼を必ず守ってやるさ」
「……ありがとう」
こうして、使命を受けて里を離れたララは、協力者と巡り合うことが出来たのであった。
「ララ、魔竜の眼に施してある封印は、あなたにしか解けないのですね?」
「はい。このケージには、私が封印の術を施しました。私以外には誰だろうと封印は解けません」
ロデルは、魔竜の眼がどのように封印されているのか確認を取っていた。
「……わかりました。ララ、あなたは必要な時以外は極力その眼を出さないようにしてください。敵に存在がバレる可能性がありますから」
「わかりました!」
「そしてあなたは、ニーズヘッグ復活を阻止するために派遣された魔戒法師として扱わせてもらいます。それが、元老院や蒼哭の里と軋轢を起こさない良策かと思いましてね」
「ロデル様、お気遣い、感謝いたします」
ロデルが咄嗟にこのような対応をしてくれたことに、ララは心から感謝していた。
「統夜、あなたはジンガたちに悟られないよう、引き続き魔竜の眼を探す役割を継続してください」
「わかりました」
「他の皆さんは、今まで通り、魔戒騎士としての使命を果たして下さい。……あと、可能であればジンガの拠点の捜索もお願いします」
ロデルは的確に指示を出していき、奏夜たちはそれに頷いていた。
「魔竜ニーズヘッグ復活を阻止するために、みんなで力を合わせましょう!」
『はい!』
こうして、今後についての話は終わり、奏夜たちは解散となるのだが……。
「ララ、あなたは少しだけ残って下さい。これからについての話をしておきたいのです」
「わかりました」
ララはロデルに呼び出されたため残ることになり、他のメンバーは番犬所を離れるのであった。
番犬所を後にした奏夜は、大急ぎで学校へと戻るのであった。
奏夜が屋上に到着した時には既に柔軟などの基礎練習が終わったところであり、奏夜は遅れたことを改めて謝罪していた。
穂乃果たちはそれを許し、練習を再開するのだが、全員にクレープを奢らなければならなくなったのはまた別の話である……。
※※※
翌日、奏夜は朝の日課であるエレメントの浄化を行ってから登校するのであった。
学校に到着し、教室の中に入ると……。
「あっ、そーくん!おはよう!」
「おう、穂乃果。おはよう」
「奏夜、おはようございます」
「そーくん、おはよぉ♪」
「海未、ことり。おはよう」
穂乃果、海未、ことりの3人が挨拶をしてくれたため、奏夜は3人に挨拶を返すのであった。
「みんな、昨日はごめんな。さっさと戻るつもりが遅くなっちまって」
「うぅん。そーくんも事情があるんだもん。仕方ないよ」
「ええ、その通りです。その分、奏夜には然るべき対応をしてもらいましたし」
「……まあ、おかげさまで俺の財布はかなり寒くなったけどな……」
奏夜は昨日、番犬所に呼ばれてすぐに合流出来なかったことを改めて謝罪するのであった。
練習終了後、奏夜は9人全員にクレープを奢ることになり、その分、経済的打撃は受けたのだが……。
「昨日はご馳走さま♪美味しかったよ♪」
「……まぁ、みんなが喜んでくれたならそれで良いんだけど……」
「そーくんも忙しくしてるんだもんね……。あまり無理はしないでね」
「気遣い、ありがとな。だけど、これからはラブライブも目指すんだ。気合はいれないとな」
奏夜は、封印された魔竜の眼を持つララを守り、ラブライブ優勝を目指す穂乃果たちを導かなければいけないため、かなり忙しくなることが予想される。
しかし、奏夜に休む暇はないのである。
そのような話をしていたらその時である。
「お前ら、席についてくれ!」
始業チャイムが鳴り、剣斗が教室に入ってきた。
剣斗の言葉を聞き、生徒たちは次々と自分の席に座り、奏夜たちも同様に自分の席に座るのであった。
副担任である剣斗が教室にやってきたことを奏夜は疑問に思っていたが、どうやら担任である山田先生が今日は風邪で休むみたいなので、副担任の剣斗が来たみたいである。
そして、そのまま朝のホームルームが始まるのだが……。
「みんな!今日は朝からとびきりイイ知らせがある!なんと、このクラスに新しい仲間が増えることになったぞ!」
剣斗の唐突な言葉に、クラスメイトたちはざわついていた。
(転校生ねぇ……。なんでまたこんな時期に……)
転校生が来ること自体珍しいイベントなのだが、秋になろうとしているこの時期に転校生ということに奏夜は驚きを隠せないのであった。
「剣斗せんせーい!!その人って男の子ですか?女の子ですか?」
奏夜がそんなことを考えていると、ヒフミトリオの1人であるミカが、剣斗にこのような質問をしていた。
「ふふ、まあ、慌てるな。……では、入って来てくれ!」
剣斗は扉の方を向いて転校生を呼ぶと、教室の扉は開かれて転校生は現れた。
どうやら転校生は女の子みたいであり、クラスメイトたちは新たなクラスメイトとなる女の子のことをジッと見ていた。
そんな中、奏夜だけは転校生の女の子を見て、驚きを隠せずにいたのである。
その理由は……。
「……うむ!自己紹介を頼めるだろうか」
「はい!……皆さん、初めまして!私は蒼井ララと言います。気軽にララって呼んで下さい!親の仕事の都合でこっちへ引っ越すことになりました!仲良くして下さい!よろしくお願いします!」
(!!?ら、ララ!?何でここに!?)
《ほぉ、こいつは驚いたな。まさか転校生として現れるとはな》
転校生の正体は、なんと蒼哭の里からこの街へやってきたララであり、音ノ木坂学院の制服を着ているララを見て、奏夜は驚きを隠せずにいたのであった。
「可愛い子だね♪」
「はい。元気いっぱいな感じが好印象です」
ことりと海未は、初めてララを見て、このような印象を受けていた。
「ララちゃんかぁ。仲良くなれると、いいよね、そーくん!」
穂乃果は自分の言葉を同意してもらおうと奏夜の方を振り向くのだが、奏夜は冷や汗をかきながら、顔を真っ青にしていたのである。
「……?そーくん?」
奏夜の様子がおかしいことに、穂乃果は首を傾げるのであった。
ララは、そんな奏夜の姿を見つけると、満面の笑みを見せるのであった。
剣斗はララに空いている席に座るよう話をすると、ララはその席まで移動するのだが、なんと奏夜の隣の席であった。
「うむ!このクラスに新しい仲間が増えたのだ。みんな、仲良くしてやってくれ!」
剣斗のこの言葉に、クラスメイトたちは「はーい!」と返事をしたところで、朝のショートホームルームは終了するのであった。
「……おい、ララ。これはいったいどういうことだよ」
奏夜はすかさず、ララに事情の説明を求めるのだった。
「ふふっ、やっぱり驚いてる♪私がここに来た理由は後でちゃんと話すからね♪」
ララは奏夜が予想通りのリアクションをしていたからか、満足そうに微笑んでいた。
(昨日ロデル様に残るように言われてたけど、まさか……!)
《そう考えるのが自然だが、後で直接本人から聞くしかなさそうだな》
本来ならばすぐにでも話を聞きたいと思っていた奏夜であったが、教室で魔戒騎士や魔戒法師についての話をするわけにはいかないため、時間を作ってじっくりと話を聞くことにしたのであった。
休み時間になると、あっという間にクラスメイトたちはララのところに集まり、質問攻めが始まるのであった。
「……あはは、凄いね。みんな、ララちゃんのところに集まってる」
クラスメイトたちから質問攻めを受けているララを見て、ことりは苦笑いをするのであった。
「ところで奏夜。さっきから様子がおかしいですが、大丈夫ですか?」
「……ああ、問題ない」
「ねぇねぇ、そーくん。さっきララちゃんとコソコソ話をしてたよねぇ?もしかして、ララちゃんとは知り合いなの?」
「……まあ、そんなところだ」
奏夜は穂乃果たちにも話すつもりだったので、知り合いだということは隠すつもりはなかった。
奏夜とララが知り合いであると偶然近くで聞いていたフミコは……。
「ねえ、ララちゃん。今、奏夜君と知り合いだって聞いたけど、本当なの?」
「うん。本当だよ」
ララもそこは否定しなかったため、クラスメイトたちはざわつき始めた。
そして……。
「まさか……。2人は付き合ってるとか?」
「「「!!」」」
ヒデコはニヤニヤしながらこう問いかけると、そんなヒデコの言葉に、穂乃果、海未、ことりの3人は過剰に反応していた。
「アハハ、そんなんじゃないって!」
ララは照れる様子を見せることなく、ヒデコの言葉を否定するのであった。
「なぁんだ。つまんないな……」
奏夜とララの関係が期待していたものではなかったため、ヒデコは唇を尖らせていた。
「ただ……」
ララはこのように前置きをして立ち上がると、穂乃果の席のところにいる奏夜に向かっていった。
そして……。
チュッ……。
「……んな!?////」
ララは奏夜の頬にキスをしており、唐突な展開に奏夜は顔を真っ赤にするのであった。
「今からそういう関係になってもいいかなって思ってるけどね♪」
ララは、少しだけ頬を赤らめなが、大胆なことを言ってのけたのだ。
このララの宣言に、クラスメイトたちは大きな歓声をあげている。
そんな中……。
「「「……」」」
穂乃果、海未、ことりの3人はドス黒いオーラを放って奏夜を睨みつけるのであった。
「そーくん……?これはいったいどういうことかなぁ……?」
「あ、いや、その……」
「本当に奏夜は見境がないですね……。知り合いだという転校生も口説こうとは……」
「もう、そーくんはことりのおやつにしちゃってもいいよね?」
穂乃果、海未、ことりの3人はジリジリと奏夜に迫っており、奏夜の顔は真っ青になっていた。
「奏夜。少しお話をしましょうか……?」
「おい、海未!ちょっと待て!もう授業が始まっちまうぞ!」
「心配ないよ♪そーくんは具合が悪くなって保健室へ行ったって伝えとくから♪」
「海未ちゃんが付き添ってるともね♪」
「まさかの連携プレー!?」
もうすぐ授業は始まるので、海未からの説教は回避できると思ったが、穂乃果とことりが協力することにより、避けることは出来なくなってしまった。
その結果……。
「奏夜!こっちへ来なさい!」
「ちょ!?引っ張るなって!だ、ダレカタスケテ〜!」
海未は奏夜の首根っこを掴みながら何処かへと向かっていき、奏夜はこのように叫びながら引きずられるのであった。
奏夜がこのように叫んだことに対して、遠く離れたところにいる花陽が反応するのだが、それはまた別の話である。
奏夜は、次の授業を受けることは出来ず、海未から説教を受けるのであった。
※※※
そして放課後……。
「……へぇ、そんなことがあったのね……」
現在、アイドル研究部の部室には剣斗を含む全員が揃っているのだが、ララもアイドル研究部の部室に来ていた。
そして、海未の口から朝の顛末が語られるのであった。
「アハハ……。だから奏夜君、放心状態なんだね……」
花陽は、まるで抜け殻のような奏夜を見て、苦笑いをするのであった。
「それにしても、本当に見境がないわね、奏夜は」
「まったくだわ。奏夜ってば本当に天然フラグメーカーよね……」
海未の話を聞いて、真姫とにこは呆れ果てていたのであった。
「おいおい、人聞きの悪いことを言わないでくれよな……」
天然フラグメーカーと言われたことに対して、奏夜はジト目で異議を唱えるのであった。
「いえ。そう言われても仕方ないですよ。ねぇ、奏夜?」
「ひっ!?だから、散々説明しただろうが!知り合いなのは間違いないけど、ララは魔戒法師だって!」
奏夜は朝に説教されたことを思い出して顔を真っ青にしながらもララが魔戒法師であることを説明していた。
「えぇ!?魔戒法師だったのぉ!?」
ララが魔戒法師だと知り、花陽は驚きを隠せなかった。
「うむ!私も話を聞いた時は驚いたがな」
どうやら剣斗は事情を知っているみたいであった。
「なぁ、ララ。何でこの学校に来るようになったのかを教えてくれよ」
奏夜は未だにララから事情を聞くことが出来なかったため、改めてララから話を聞こうとしていた。
「そうだね。私もそのつもりでここへ来たんだし♪」
ララは何故音ノ木坂学院に転校生として現れたのかを語り始めた。
「……これは、ロデル様からの提案なの」
「え?ロデル様から?」
ララの思いがけない言葉に、奏夜は驚いていた。
「魔竜の眼を守るのであれば、奏夜や剣斗の近くにいた方がいいからって」
『なるほどな。確かに俺たちの近くにいれば、何かあればすぐに対応出来るからな』
「それだけじゃなくて、ロデル様は外の世界を知らない私に見聞を広めて欲しいという思いから、転校生としてここへ来る手続きを整えてくださったの」
故郷である蒼哭の里しか知らず、外の世界のことをわかっていないララのことを、ロデルは気にかけていた。
学校へ行くことで、外の世界が良いものであることを教えるために、ララを転校生としてここへ派遣したのであった。
「そうだったのか……」
「私としてはロデル様に感謝してるわ。憧れだった学校っていうのに通えるんだもん♪」
ララは普通の女子高生としての生き方も見せてくれたロデルに感謝をしていた。
「そういう訳だからさ、これからもよろしくね、奏夜。剣斗!」
「わかったよ。俺もここに通って色々学ばさせてもらったからな。改めてよろしくな、ララ!」
「うむ!ここでの経験が守りし者としての務めに活きてくる。とてもイイことだと思うぞ!」
ララがここへ来た真意を知り、奏夜と剣斗はララのことを歓迎するのであった。
「……仕方ありませんね。ララが魔戒法師だと知った以上、朝のことは許す事にします」
「海未……ありがとな!」
「ただし、奏夜がまた見境ない行動をしたその時は……。わかってますね?」
「わ、わかってるよ!」
どうにか海未も奏夜のことを許したみたいであり、自体はこのまま落ち着くと思われたが……。
「ねぇ、ララちゃん!もし良かったらなんだけど、このアイドル研究部に入らない?」
「え?ちょっと、穂乃果!?」
穂乃果がまさかの提案を出してきたため、海未は驚いていた。
「実は私も勧誘しようと思っていたわ。奏夜や小津先生の側になるべくいるべきなのなら、それが1番だと思うの」
「そうやね。それに、カードも言うとるんよ。……新しい風がμ'sに幸福をもたらすって」
絵里は穂乃果同様にララを勧誘しようと考えており、希は占いの結果、穂乃果や絵里の提案に賛同していた。
「μ'sの新メンバーだにゃ!」
「でも、いいのかなぁ?これからラブライブを目指すのに、メンバーを増やそうだなんて」
「花陽の言う通りね。今からメンバーを増やしたら、フォーメーションを変えるのが大変よ」
「そこにはにこも同じ意見よ」
「それは確かにそうだけどさ……」
花陽、真姫、にこの3人が反対意見を出したことに、穂乃果は唇を尖らせていた。
「誘ってくれてありがとう。でも私はμ's……だっけ?そのメンバーになるつもりはないわ」
「そっか……」
ララは穂乃果の誘いを断っており、穂乃果は落胆の色を見せていた。
しかし……。
「……まぁ、そのアイドル研究部の部員として、みんなのお手伝いをするのは構わないけどね」
ララは、1人の部員として、μ'sの手伝いをすることは反対していなかった。
ここでララの真意を知り、穂乃果の表情はぱぁっと明るくなっていた。
「うん!これからよろしくね!ララちゃん!」
「こちらこそ、よろしくね♪」
「私たちのところは先輩後輩をなくしてるから、気軽に仲良くしてね♪」
ことりはララに、先輩禁止を行っていることを説明するのであった。
「わかったわ。みんな、私のことはララでいいわ。よろしくね!」
「……ハラショー♪」
「ララちゃん、これからよろしくね♪」
「にこたちのサポート、しっかり頼むわよ」
「ララちゃん、よろしく!歓迎します!」
「よろしくだにゃあ!!」
「……ま、よろしくね」
ララがアイドル研究部に入ることになり、3年生組と1年生組は、ララのことを歓迎していた。
「よろしくね!ララちゃん!」
「これからよろしくお願いしますね、ララ!」
「ララちゃん、よろしく!!」
そして2年生組も、ララのことを歓迎していた。
「……こういうのも、悪くないね……」
ララは何かをするのにここまで歓迎されたのは初めてだったからか、心の中が暖かくなっていた。
「みんな、これからもよろしくね!」
ララはそんな気持ちがあるからか、満面の笑みを浮かべるのであった。
奏夜たちは改めて自己紹介を行い、ララはμ'sの新たなる仲間となったのである。
ララがμ'sの手伝いをするようになり、これからどのようなことが奏夜たちを待ち受けるのか……。
それは、奏夜たちにはまだわからないことであった……。
……続く。
__次回予告__
『ラブライブに出場するのは決まったが、まさかこのような問題があるとはな。次回、「課題」。さて、これからいったいどうなることやら……』
ララ、可愛いよ、ララ。
ララは炎の刻印の中でも好きなキャラでした。
あの展開をリアルタイムで見ましたが、あの展開に戸惑い、呆然としたことを思い出しました。
あのED詐欺は許されない……(笑)
牙狼ライブのララはμ'sの手伝いをすることで、どう奏夜たちと関わっていくのか?
穂乃果たちの新たなライバルとなるのか?(笑)
ちなみに、ララの故郷である、蒼哭の里は、牙狼でよく登場する類の里ではありますが、その里の体制については、FF14に登場する都市である「イシュガルド」を参考にさせてもらっています。
どのように参加にしたかはネタバレになるので伏せておきますが……。
気になる方は、ぜひエオルゼアに降り立って下さい!(布教)
僕は「Zeromus」というサーバーで遊んでるので、FF14を始めようと考えてる方は是非「Zeromus」に!(さらに布教)
前書きでも牙狼ライブ1周年記念作品のネタを詰めてるか考えてますが、コラボするライダーを、エグゼイドかキバのどちらかにすることにしました。
上手くまとまれば両方もありかなと思っています(笑)
1周年記念作品の投稿はいつになるかは未定ですが、気長にお待ち下さい。
さて、次回はラブライブ二期の第2話に突入します。
ですが、現在とは少しだけ展開を変えようと思っています。
どのように展開が変わるのか?
また次回も投稿が遅くなるかもしれませんが、少しずつでも執筆して、投稿は続けていこうと思っているので、よろしくお願いします!
それでは、次回をお楽しみに!