今日はクリスマスイブですね。とは言っても仕事だし、予定はないのですが……。
さて、今回はタイトルの通り、生徒会が話の中心となります。
そう、アニメ2期編の前日談です。
それがどのような話になっていくのか?
それでは、番外編をどうぞ!
奏夜が桜ヶ丘にて人馬ホラーと呼ばれるロフォカレを討滅してから数日が経過していた。
その日の放課後、絵里と希はμ'sの練習を休み、生徒会の仕事に専念していた。
もうじき2人の生徒会の役割は終わるのだが、新しい生徒会の役員を決めなくてはいけないのである。
音ノ木坂学院では、生徒会長と副会長を、現行の生徒会メンバーによる推薦で決めるのが伝統であった。
その他のメンバーは、立候補によって決めるのだが、推薦した者が拒否をした場合は、同様に立候補で決めることになる。
……推薦された者が拒否をするケースは稀であり、大抵はすんなり決まるのだが……。
そんな課題がある中、絵里と希は生徒会の仕事をしていた。
生徒会のメンバーではないが、2人の手伝いをしてる者がいた。
それは……。
「……絵里。例の資料は言われたところに運んできたぞ」
その人物とは奏夜であり、絵里にとある仕事を頼まれてそれをこなして生徒会室に戻ってきたところである。
「悪いわね、奏夜。生徒会のメンバーじゃないのに、雑用を押し付けてしまって……」
「気にするなって。絵里と希は色々忙しいだろ?それに、雑用など、μ'sのマネージャーをしてるんだから慣れっこさ」
絵里は、仕事を手伝ってくれた奏夜に申し訳ないと思っていたが、奏夜は気にしておらず、おどけながら返事をしていた。
「うんうん♪さすがは奏夜君、頼りになるわ♪」
「そう言ってもらえて光栄だね。さて、次は何を手伝えばいい?」
「……」
奏夜は絵里に次の仕事の指示を仰ごうとするが、絵里は難しい表情で何かを考えていた。
「……絵里?」
「エリチ?どうしたん?」
そんな絵里の様子を見た奏夜と希は首を傾げながら、このように訪ねていた。
「……ねぇ、奏夜。やっぱり私はあなたを生徒会長に推薦したいんだけど、どうにか受けてくれないかしら?」
どうやら絵里は、奏夜が次期生徒会長に相応しいと思っているみたいであり、推薦しようとするのだが、ことごとく断られてしまっていたのである。
「またその話か……。だから言ったろ?俺は生徒会長になる気はないって」
絵里のお願いは1度や2度ではなかったため、奏夜は少しだけげんなりしながらその話を断っていた。
「それにしても、何でそこまで生徒会長になるのが嫌なん?μ'sのマネージャーや生徒会の手伝いを時々してくれた奏夜君なら生徒会長にうってつけやと思うんやけど」
「μ'sのマネージャーといっても所詮は裏方。そんな奴が生徒会長なんて絶対あり得ないよ」
μ'sのマネージャーの仕事は完全に裏方であることを理解している奏夜は、生徒の代表である生徒会長には相応しくないと思っていた。
「確かにそうかもしれないけど……」
「ウチらのために動いてくれた奏夜君なら、生徒の手本になり得ると思うんやけどな」
希も奏夜が生徒会長に相応しいと思っているからか、絵里に加勢して奏夜を説得していた。
しかし、奏夜が頑なに生徒会長になることを拒むのにはもう一つ理由があった。
「それにだ。俺は人知れずホラーを狩る魔戒騎士だ。いつ指令があるかもわからないのに、生徒会長だなんてとても出来ないよ」
奏夜はこの学院の生徒である前にこの街を守る魔戒騎士であり、ジンガの問題を抱えている今、生徒会長をしている余裕など、奏夜には持ち合わせていなかったのである。
「……そう……。そういうことなら、仕方ないわよね……」
絵里は奏夜の事情を理解したからか、生徒会長への推薦は諦めたが、がっくりと肩を落としていた。
「絵里、そんなに落ち込まないでくれよ。俺には俺の事情があるんだからさ」
「それはわかってるわよ。だけど、他に生徒会長に相応しい人を探さなきゃいけないのよ?次の生徒会長を今の生徒会長が推薦するのがこの学校の伝統だもの。出来ればそれは守りたいのよ……」
推薦を断られ、立候補によって生徒会長を決めたことは過去に何度もあったものの、この学校の伝統が推薦によるものであるからか、絵里は立候補によって生徒会長を決めることは避けたいと思っていた。
「生徒会長に相応しい人ねぇ……」
生徒会長に相応しい人物とはいったい誰なのか、奏夜は考えていた。
(やっぱり生徒の代表なんだし、カリスマ性はあった方がいいよな?それで、みんなを引っ張っていける……)
《……おい、奏夜。そんな人物に1人心当たりがあるんだが》
(奇遇だな、キルバ。俺も同じ事を考えていた。きっと同じ意見だと思うぜ)
奏夜は生徒会長に相応しい人物像を考えていると、どうやら思い当たる人物が1人だけいるみたいだった。
それに関して、奏夜とキルバの意見は一致していたのである。
「……なぁ、絵里。俺なんかよりも生徒会長に向いている奴はいると思うけどな」
「奏夜、それはいったい誰なの?」
「それは自分で考えて探してくれ。ちょっと考えればわかるはずだからさ」
奏夜は、その人物を絵里に見つけさせようと思ってあえてはっきり教えることはしなかった。
「何よ……。教えてくれてもいいじゃない」
奏夜が素直に教えてくれないことが不満なのか、絵里はぷぅっと頬を膨らませていた。
「絵里、そんなにむくれないでくれよ。俺は意地悪で言ってるんじゃないんだからさ」
「奏夜君の言う通りやで、エリチ。これは生徒会の問題やからな。答えは奏夜君に頼らずに決めるべきなんや」
「それはわかってるけど……。やっぱり意地悪だわ」
奏夜や希の言い分はわかっているのだが、絵里はやはり納得していなかった。
「あ、そうだ!生徒会の仕事がひと段落したらどっか行かないか?奢るからさ」
自分の言動が絵里に苦労を強いることになると判断し、それが申し訳ないと思っていた奏夜はこのような提案をする。
奢るという言葉に反応した絵里は表情がぱぁっと明るくなっていた。
「本当!?それじゃあ、最近出来たカフェに行ってみない?私、ずっと行きたいなあって思ってたのよ!」
どうやら絵里は行きたいところがあるみたいであり、興奮気味になっていた。
「ねぇ、希。希も行くわよね?」
「……いや、ウチは生徒会の仕事が終わったら帰らせてもらうわ。神社でのバイトもあるしな」
希は神田明神で巫女のバイトがあるため、生徒会の仕事が終わったら帰るつもりだった。
「それに、奏夜君と2人でデートやん。チャンスやで、エリチ♪」
「ふぇ!?でっ……!?////」
希はこのように絵里に耳打ちをしており、それを聞いた絵里の顔は真っ赤になっていた。
「?どうしたんだ?2人とも」
「ふふっ、何でもないんよ。ほら、早く仕事を終わらせないとカフェも行けないで♪」
「そっ、そうだな」
希に上手く話をはぐらかされた奏夜は、絵里や希の仕事を手伝い、手早く今日の分の仕事を終わらせるのであった。
生徒会の仕事が終わると、希は早々に神田明神へと向かい、奏夜と絵里は、絵里が行きたいというカフェに向かっていた。
「……なぁ、絵里。その店に行くのは本当に2人でいいのか?穂乃果たちも呼んだらついて来そうだけど」
「……何よ、私と2人きりは不満なの?」
奏夜の2人きりを躊躇する発言が気に入らなかったからか、絵里はむすっとしていた。
「いや、そう言う訳じゃなくてだな……」
「ふふっ、たまにはいいじゃない。こうやって2人きりで出かけるのも」
絵里は本気で怒っている訳ではないみたいであり、無邪気な笑みを浮かべていた。
「まぁ、確かにそうだが、2人きりで出かけるなんてデートみたいじゃないか。そこはスクールアイドルとして大丈夫なのか?」
「こんなこと言ったら、にこが怒るかもしれないけど、変な噂が流れたらその時はその時よ♪」
奏夜は、スクールアイドルである絵里によからぬ噂が流れないか心配していたが、絵里は特に気にする素振りはなかった。
「だって私はスクールアイドルである前に普通の女の子だもの♪出来るなら恋愛だってしたいわよ」
『……お前のその言い振りは彼氏がいたことあるみたいな感じだったが?』
「まぁ、そうは言っても彼氏はいたことはないのだけれどね」
「意外だな……。絵里って美人だし、彼氏の1人くらいいてもおかしくはないんだけどな」
「び、美人!?////」
奏夜は無自覚で絵里のことを美人と言ったみたいであり、絵里は恥ずかしいからか、顔を真っ赤にしていた。
奏夜が無意識に絵里のことを美人だと言ったことに気付いたのは、絵里の顔が真っ赤になって数秒後のことであった。
「あ、いや。美人と言っても口説いてる訳じゃなくて、えっとだな……」
『やれやれ……。お前の思ったことを口に出す癖が仇になったな。これを穂乃果たちにバラしたらどんなことになるか……』
「ヤメロ!そんなことしちゃいけない!」
穂乃果たちのお仕置きを恐れた奏夜は、このようなキルバの発言を必死に止めようとしていた。
そんな奏夜の必死さを見て、絵里はクスクスと笑みをこぼすのである。
「……まぁ、さっきのことは忘れてあげるわ」
「本当か!?」
どうやら絵里はキルバのように穂乃果たちに先ほどの奏夜の発言をバラそうという気持ちはないみたいであった。
「その代わり……」
このように前置きをすると、絵里は奏夜の腕を組み、身を寄せるのであった。
「ちょっ、絵里!?////」
突然の出来事に奏夜は驚きを隠せないようであり、顔を真っ赤にしていた。
「ふふっ、たまにはいいじゃない、こういうのも。……ほら、行くわよ」
このように強引に話を通すと、そのまま絵里が行きたがっていたカフェへと向かっていった。
絵里はここまで大胆なん行動を取ったにも関わらず、平然としていた。
しかし、心の中では……。
(……あぁ!思わずやってしまったわ!ちょっと大胆過ぎたかしら?恥ずかしいわ……)
あまりに大胆な行動をした自覚はあるみたいであり、顔には出さなかったものの、恥ずかしがっていた。
そして、奏夜は……。
(え、絵里のやつ、最近スキンシップが多いような気がするが、俺のことを……?いやいや!それは有り得ないだろ!)
絵里が自分のことが好きなのでは?という疑念を抱くのだが、それをすぐに払拭していた。
(仮にそうだとしたとしても、付き合うなんて出来ないよ。だって、俺は……)
奏夜は、自分が魔戒騎士であり、いつ命を落としてもおかしくないことをよく理解しているため、誰かと付き合うということは考えられなかった。
そのため、奏夜は一瞬だけ悲痛な表情を浮かべていた。
2人はそれぞれこのような思いを抱きながら、カフェへと向かうのであった。
……そんな2人を、遠くから見ている影があった。
「……ふぅん、あれが例の元魔戒騎士のホラーを倒した魔戒騎士なんだ。案外普通な感じなのね」
奏夜と絵里の様子を見ていたのは、奏夜とそこまで歳が離れていないおかっぱ風の短い茶髪の少女であり、妙な法衣のようなものを着ていた。
「私1人じゃあれを守り抜くことは出来ないけど、魔戒騎士は口だけで頼りにならない奴ばっかなのよねぇ」
どうやらこの少女は魔戒法師みたいなのだが、何かを守っているみたいだった。
しかし、魔戒騎士のことをそこまで信用している訳ではないみたいだった。
彼女が知り合った魔戒騎士がたまたま実力の乏しい魔戒騎士ばかりであり、魔戒騎士自体を毛嫌いしてる訳ではないみたいだが……。
「あれを例のホラーに奪われるようなことがあれば、とんでもないことになるからねぇ……。とりあえず、様子を見させてもらうわ」
どうやらこの魔戒法師の少女はゆっくりと奏夜の力を見定めようとしているみたいであり、それを決心すると、どこかへと姿を消すのであった。
誰かに見られていることなど奏夜は気付いておらず、そのまま絵里が行きたがっていたカフェへと向かっていった。
※※※
奏夜と絵里は、目的地であるカフェにたどり着いたのだが、すでに多くのお客さんで賑わっていた。
2人が訪れたカフェは、秋葉原某所に最近出来た店であり、ネットや口コミでも評価の高い、今注目の店なのである。
席はだいたい埋まっていたが、どうにか2人で座れる場所を確保することが出来た。
「それにしても、随分と客がいるみたいだな」
「そうみたいね。この店は口コミでもかなり評価が高いみたいだから来てみたけど、どうやらその口コミ通りの人気みたいね」
絵里はネットによる情報を見てここへ来たいと思うようになったのだが、本当に人気があるみたいであり、驚いていた。
そうこうしているうちに店員がやって来て、水とメニュー表を持ってきてくれたため、2人はメニューを吟味したうえで注文を済ませるのであった。
「……まったく……。次の生徒会長だけど、誰を推薦すればいいのかしら?今週中には推薦者を決めないといけないのに……」
注文を聞いた店員がいなくなると、絵里は真剣な表情で考え事をしていた。
(ったく、仕方ない……。ヒントくらいはあげるか……)
そんな絵里を見かねた奏夜は、絵里が自分で答えを見つけられるようにヒントを出そうとしていた。
「なぁ、絵里。生徒会長ってどんな人間が相応しいと思う?」
「え?そうねぇ……」
奏夜からの思わぬ質問に絵里は面食らうのだが、真剣に考えていた。
「やっぱり、生徒の代表なんだから、生徒の手本となれる人がいいわよねぇ……」
絵里の答えは漠然としているものの、それこそが生徒会長の理想像であった。
「それで、カリスマ性があって、みんなを引っ張ってくれる人だとなおいいのだけれど……」
さらに理想像を語る絵里であったが……。
「……あれ?もしかして……」
ここまで語ったところで、どうやら気付いたみたいだった。
「……ま、そういうことだ」
「確かに、穂乃果なら学校をいい方向に引っ張ってくれると思うわ……!それにしても、何で気づかなかったのかしら……」
奏夜が生徒会長に相応しいと思ってた絵里に取って、穂乃果は盲点であったからか、奏夜がヒントを出すまで気付くことが出来なかった。
そのため、そのことに対して頭を抱えるのである。
「明日、さっそく穂乃果に相談してみるわ」
「ああ、それがいいよ」
生徒会長候補が思いついたところで、絵里は出来るだけ早く行動を起こそうと考えていた。
「あのね、奏夜。1つ相談があるのだけれど……」
「?どうしたんだ?絵里」
絵里は少しだけ言いにくそうに話を切り出していたため、奏夜は首を傾げていた。
「もし穂乃果が生徒会長の話を受けてくれたら、あなたに副会長をお願いしたいの。副会長だったら問題ないはずでしょ?」
奏夜に生徒会長になってもらうのは無理と判断した絵里は、副会長になってもらいたいことを告げるのであった。
「まぁ、それなら構わないけど、穂乃果が生徒会長になってくれるなら手伝うつもりだったし……」
奏夜は穂乃果が生徒会長になった場合は、役職がなくても生徒会の手伝いをしようと考えていた。
それに、副会長であれば生徒会長に比べて負担はないため、断る理由もなかったのである。
それを聞いた絵里の表情はぱぁっと明るくなっていた。
「本当!?それじゃあ、その時は是非お願いね!」
「ああ、わかったよ」
奏夜がこの話を受けたところで注文していた品が出てきたため、奏夜と絵里は頼んだものを携帯のカメラで撮影しながら楽しんでいた。
この店は料理の見栄えや味もかなりなものであり、それが人気を裏付けているのだ。
こうして、人気のあるカフェでのんびりとした時間を過ごした奏夜と絵里は、会計を済ませて店を後にした。
奏夜は絵里に奢ると宣言していたため、食事代は全額奏夜が支払っていた。
店を後にしたところで、奏夜は絵里を家まで送り届け、魔戒騎士の仕事を行うのであった。
※※※
翌日の放課後、絵里はさっそく穂乃果を生徒会室に呼び出すのであった。
「……ごめんね、穂乃果。いきなりこんなところに呼び出して」
「うぅん。気にしないで、絵里ちゃん」
「ところで絵里、穂乃果にいったいどのような用事なのですか?」
絵里は穂乃果を呼び出したのだが、その時、海未とことりも付いてきていた。
さらには奏夜も生徒会室に来ていたのだが、絵里と希から先に来て欲しいと言われ、穂乃果たちを待っていたのである。
「あのね、穂乃果。私はあなたにお願いしたいことがあってあなたをここに呼んだの」
「?お願い?」
絵里は改まってお願いをしようとしていたため、穂乃果は首を傾げていた。
そして……。
「……高坂穂乃果さん。あなたに、次期生徒会長になってほしいの」
「……え!?」
「「えぇ!?」」
絵里からのお願いに穂乃果は困惑しており、海未とことりは驚きを隠せなかった。
そして希はこの展開を予想していたからか、笑みを浮かべており、事情を知っている奏夜はジッと事の顛末を見守っていた。
「私が……生徒会長?」
穂乃果はそう言われても実感がわかないみたいであり、呆然としていた。
「絵里、何故穂乃果を生徒会長に推薦するのですか?」
海未もまた、穂乃果が生徒会長と言われてもピンと来なかったため、真意を絵里から聞こうとしていた。
「私ね、誰が生徒会長に相応しいか考えたの。穂乃果はμ'sを始めて、みんなのことを引っ張ってくれたでしょ?そんな穂乃果だからこそ、生徒の代表である生徒会長に相応しいと思ったのよ」
「絵里ちゃん……」
自分が生徒会長に相応しい。
実感はわかないものの、そう言われることは穂乃果としては嬉しかった。
「……穂乃果、その話、受けてみたらどうだ?」
「そーくん……」
「ああ言われたら悪い気はしないだろ?それに、お前がこの話を受けるなら、俺は手伝いをするつもりだぜ」
自分は生徒会長の話を断った奏夜であったが、生徒会の仕事は手伝うことは伝えていた。
「絵里がその話をした時は驚きましたが、そういうことなら私もお手伝いさせていただきます」
「うんうん♪ことりもそーくんや海未ちゃんと同じ気持ちだよ♪」
「海未ちゃん……ことりちゃん……」
奏夜だけではなく、海未とことりも手伝ってくれることがわかり、穂乃果はその事実に勇気付けられていた。
そして……。
「……わかったよ、絵里ちゃん。私なんかが生徒会長に向いてるかはわからないけど、精一杯やってみる!」
穂乃果は次の生徒会長になる覚悟を決めたみたいであり、それを知った絵里の表情はぱぁっと明るくなっていた。
「ありがとう!そう言ってくれて、すごく嬉しいわ!」
「そうやね♪それに、おおよその生徒会メンバーも決まったみたいやしな♪」
奏夜、海未、ことりの3人が生徒会の仕事を手伝うと言ってくれたため、この3人は生徒会のメンバーとして内定したようなものだった。
「そうとわかれば、こうしてはいられないわ!」
次期生徒会長も決まったため、やる気が出てきた絵里は、1枚の紙を取り出すと、記入を始めるのであった。
「絵里、希。μ'sの練習には来れそうですか?」
「ごめんなさい。次期生徒会長が正式に決まるまではあまり練習に顔を出せないかもしれないわ」
「……俺も練習の合間に手伝うから安心してくれ」
奏夜は、μ'sの練習を見ながらも生徒会の仕事を手伝おうと考えていた。
「悪いけど、そうしてもらえると助かるわ」
「わかった。それじゃあ、そーくん。私たちは先に部室に行ってるからね!」
「ああ。俺もすぐ行くからいつでも練習できるようにしておいてくれ」
こうして穂乃果、海未、ことりの3人は生徒会室を後にすると、アイドル研究部の部室に向かうのであった。
次期生徒会長が穂乃果に決まり、絵里と希は引き続きのために忙しく動き回ることになったのであった。
※※※
そして、その頃……。
「……まさか、あの尊士がやられるとはな……」
秋葉原某所にあるジンガのアジトである廃ビルの一室で、ジンガはワインを飲みながらこのように呟くのであった。
「俺はどうやらあの小僧の力を侮っていたみたいだな……。右腕を失った今、色々策を練り直さなきゃな……」
ジンガとしても、戦力的マイナスを感じているだけではなく、忠実な部下の1人を失ったことがショックなのであった。
そんな憂いを帯びたジンガのことを、アミリは心配そうに眺めていた。
(……ジンガ様……。ジンガ様は右腕である尊士様を失って心を痛めておられる……)
アミリは、今のジンガの気持ちをこのように汲み取っており、悲しげな表情を浮かべていた。
(とは言っても、今の私の力では、ジンガ様の力にはなれない。もっと強大な力が必要になる……。例え、人間であることを捨てようとも!)
アミリは、己の命を使ってでもジンガの力になりたいと考えていた。
そのため……。
「ジンガ様!」
「おう、どうしたんだ?アミリ」
体が勝手にジンガのもとへと向かっていたのである。
「ジンガ様……。私に力をお授けくださいませ!あなた様の力になるために……」
「アミリ……お前……」
アミリからの意外な申し出に、ジンガは驚きを隠せなかった。
「俺としては、お前が側にいてくれるだけでも充分なんだがな……」
アミリは自分に良く仕えてくれているため、戦うための存在とはジンガは考えていなかったのである。
「だが、本当にいいのか?力を与えるということは、人間であることを捨てるということになるが……」
どうやらアミリは、ジンガや尊士のようにホラーになった訳ではないみたいだった。
「はい!私はあの時あなたに拾っていただかなかったら、命を落としていたでしょう。ですから、この命、我が主人であるジンガ様の崇高な目的のために使いたいのです!」
どうやらアミリのジンガに対する忠誠心は本物みたいであり、ジンガのためならば命を使うことすら辞さないほどであった。
「アミリ……。ありがとな。お前の俺に対するその忠誠心、決して無駄にはしないぜ!」
尊士を失っても、自分にはここまで慕って仕えてくれる者がいることが、ジンガには何よりも喜ばしいことであった。
「ジンガ様……!それでは……!」
「ああ、そこまで言うのなら、お前に与えてやるよ。偉大なる闇の力をな……!」
こうして、ジンガはアミリに魔戒騎士とも戦える力を与えるのであった。
ジンガがアミリに対して、どのような方法で力を与えたのかはまだわからない。
しかし、奏夜たちは知る由もなかった……。
力を手に入れたアミリの存在が、後々大きな波紋を呼ぶことを……。
そして、これから、戦いはより激しさを増していくことになる。
このことも、奏夜たちは知る由もなかった……。
……終。
__次回予告__
『まさか、あれがまた行われることになるとはな。これはいったいどうなることやら……。次回、「再来」。おいおい、それは本気で言ってるのか?』
やっぱりKKE!
推しは穂乃果ですが、絵里も好きなんです!
絵里役の南條さんは、FF14のラジオもやってますし、それを聞いてるうちに南條さんのファンになってしまいました。
絵里もいいと思うのはそこもあるかもしれません。
そして、ジンガから力をもらったアミリはこれからどう話に絡んでくるのか?
ちなみに今作のジンガとアミリの関係は、「炎の刻印」のメンドーサとオクタヴィアに酷似しています。
なので、「GOLD STOME 翔」とは違った感じになるのでご了承ください。
さて、次回はいよいよ2期編に突入します!
ここまで長かった……。
2期編は大きく物語を動かしていこうと思っていますので、期待していただけると嬉しいです。
次回の投稿はなるべく早くしようとは思いますが、年明けになっちゃうかもしれません。
すいませんが、よろしくお願いします!
それでは、次回をお楽しみに!