この小説もようやく50話。一期の話はもうすぐ終わりますが、僕の駄文小説をここまで読んでいただき、本当にありがとうございます。
最近FF14の交流サイトである「LODESTONE(ロードストーン)」というサイトにて、日記の投稿を始めました。
FF14はプレイヤーキャラの名前を奏夜の先輩騎士である統夜の名前を使っています。
日記も主に牙狼コラボについてのことを書いているので、すぐわかると思います。
ぜひ、見ていただけると嬉しいです!
さて、今回は穂乃果がスクールアイドルを辞めてしまい、他のメンバーがこれからどうするのかが明らかになります。
奏夜やμ'sはこれから一体どうなってしまうのか?
それでは、第50話をどうぞ!
ことりの留学がμ'sメンバーの全員に知れ渡り、そのことがきっかけで穂乃果とことりがギクシャクしてしまった。
奏夜としてはことりに留学して欲しくなかったが、その話を覆せないのなら、笑顔で見送りたいと思っていた。
そのため、ことりが留学する前に9人でライブをすることを奏夜は提案し、屋上にて穂乃果にもその話をした。
しかし、穂乃果は学校存続の時点で目的は達成したため、これ以上のアイドル活動は無意味だと思っていた。
そんな穂乃果の態度ににこが憤る中、穂乃果はスクールアイドルを辞めるということを宣言する。
その宣言を聞いた奏夜は決して止めることはせず、そのまま帰してしまった。
しかし、奏夜は穂乃果をそのままにするつもりはなかった。
奏夜は穂乃果の問題を自分の力で解決させることを提案しており、最初は海未たちは困惑していたが、剣斗の熱いひと押しのおかげで、奏夜のことを素直に信じることが出来た。
こうしてこの話は終わったのだが、奏夜たちのやり取りを1羽の黒い蝶が見つめていた。
その蝶は奏夜たちがいなくなると、どこかへ向かって飛んで行った。
その蝶が向かっていったのは秋葉原某所にある、今は使われてはいない廃ビルだった。
その廃ビルのとある一室に、魔戒法師の法衣を思わせる格好をしている女性がおり、その蝶は女性の手の平の上に止まると、その姿が消滅したのであった。
女性はどうやらその蝶から情報を引き出していたようであり、情報を得た女性は同じビルのとある部屋へと移動していた。
「……失礼します。ジンガ様」
その女性が向かったのは、奏夜たちが敵対しているホラーであるジンガの拠点であり、女性はそんなジンガの秘書をしているアミリという女性であった。
「おう、アミリか。どうしたんだ?」
ジンガはワインを飲みながらビルの窓から見える景色を眺めており、そんな中現れたアミリから要件を聞いていた。
「はい。ジンガ様のご命令通り、例のμ'sとやらの足取りを探っておりましたが、興味深い情報を入手いたしました」
アミリはジンガに対して頭を下げながら自分の放った蝶から得た情報を報告しようとしていた。
「ほう?聞かせてもらおうか」
「かしこまりました。……あのμ'sとかいうグループですが、どうやらそのメンバーの1人が海外へ行くことになったみたいで、そのことが引き金となり、バラバラになっているみたいです」
「なるほど……。そいつは面白いことになったもんだ」
μ'sがバラバラになりつつあるというアミリの報告を聞いたジンガは愉快そうにしており、その話を肴にワインを飲んでいた。
「例の魔戒騎士が何やら動こうとしているみたいですが、恐らくは無駄なことでしょう」
「そうかもな。μ'sの1人が海外へ行くんだろう?それが覆らないなら、奴らが1つに纏まることはないだろうな」
ジンガはアミリの報告を聞き、μ'sが再起する可能性はゼロに近いと思っていた。
しかし……。
「もしそのμ'sとやらが再起して、それがあの小僧の原動力になったら厄介だからな……」
ジンガは奏夜のことを幼く未熟な魔戒騎士だと思ってはいるものの、そこまで過小評価はしていなかった。
「……アミリ。お前は再び奴らの動きを探り、そのメンバーがいつ留学するのかを突きとめろ」
「ハッ、かしこまりました」
ジンガから新たなる指令を受け、アミリは深々と頭を下げていた。
「尊士。万が一奴らがその留学を阻止しようとする動きがあったなら、全力でそれを邪魔しろ」
「かしこまりました」
この場には尊士もおり、尊士はジンガの指令を聞き、深々と頭を下げていた。
「さて、貴様はどう動く?如月奏夜。せいぜい、もう1つの眼が見つかるまでの間の余興くらいにはなってくれよ」
ジンガは奏夜たちに訪れたこの危機を、自らの余興として利用しようとしていた。
ジンガがそんな企みをしていることを、奏夜たちは知る由もなかった……。
※※※
穂乃果がスクールアイドルを辞めると宣言した日の放課後、穂乃果とことりを除く全員がアイドル研究部の部室に集まっていた。
これからのことを話すためである。
「奏夜が穂乃果の問題を何とかするとは言ってたけど、これからどうするつもりなの?」
全員が集まり、本題を切り出してきたのは真姫だった。
「こんな状態じゃとてもスクールアイドルとしての活動は出来ないわ。だから、一時的に活動を休止した方がいいと思うの」
「俺もそうしてもらえると助かる。今のμ'sはバラバラなんだ。そんな状態でμ'sとしては活動するのは無理だ」
「そんな!!私は何があろうと続けるわよ!」
絵里と奏夜の意見に、にこが異議を唱え、自分はスクールアイドルを続けることを宣言していた。
「そうしたいなら残りたいメンバーだけでも残ればいいと思う」
「え?」
奏夜の言葉が予想外だったからか、にこは面食らっていた。
「μ'sとしての活動は無理だとは言ったけど、スクールアイドルとして活動するのは無理だとは言ってないからな。μ's再起のために練習出来る人はやっておいてもらえるとこちらとしては助かる」
μ'sの再起のため。
バラバラであるメンバーにとって、これほど勇気付られる言葉はなかった。
「……かよちんと真姫ちゃんはどうするの?」
そんな中、凛は不安げな表情のまま、花陽と真姫が今後どのような行動をとるのかを聞いていた。
「私もスクールアイドルは続けたい!にこちゃんも同じ気持ちだと思うけど、私もアイドルやスクールアイドルが好きだもん!」
花陽もまたにこと同じくらいスクールアイドルのことが好きであり、スクールアイドルに対する情熱は誰にも負けない程であった。
「私も続けるわよ。私はにこちゃんや花陽のような情熱はないかもしれないけど、私はスクールアイドルに出会えたおかげで音楽に向き合うことが出来たんだもの。こんな形で終わらせたくはないわ!」
花陽だけではなく、真姫もまたスクールアイドルの活動を続ける決意を固めていた。
真姫は将来は医大に進学し、医者になることで父親の跡を継ぐと考えていた。
その勉強のために好きな音楽は諦めるべきだと思っていたのだが、スクールアイドルと出会ったことにより、好きな音楽を続けることが出来て、音楽と向き合うことが出来た。
真姫は父親にスクールアイドルをすることを認めてもらうために勉強も頑張って続けており、成績は落としていない。
それほどの努力をするほど、真姫はスクールアイドルの魅力に惹かれていたのであった。
「そっか……。そうだよね!凛もスクールアイドルを続けるよ!だって、みんなと一緒に何かをするのは、すっごく楽しいんだもん!」
凛は他のメンバーのような確固たる動機はなかったものの、スクールアイドルの活動を続ける決意を固めていた。
「……ごめんなさい。私としてもみんなと続けたいのだけれど、μ'sが再起すると信じて、今のうちに生徒会の仕事をしておきたいの」
「そうやな。それはウチも同じ気持ちや」
「まぁ、2人は生徒会長と副会長だからな。それは仕方ないか」
絵里と希は申し訳なさそうにしながら、活動休止中にスクールアイドル活動は行わないことを告げていた。
2人の立場を考えると、奏夜はそれも仕方ないと思っており、それを咎める者はいなかった。
こうして、絵里と希はスクールアイドル活動を一時的に休止することになったのだが、1年生組とにこの4人はスクールアイドル活動を続けることにしていた。
そして……。
「……すいません。私もしばらくは弓道部の活動に専念させて下さい。大会も近いですし、気持ちを落ち着かせたいのです」
弓道部と掛け持ちでスクールアイドル活動をしている海未は、色々立て続けに起こった出来事によって乱れた心を落ち着かせるために少しだけスクールアイドル活動を離れる決意をしていた。
「ふむ……。だとしたら、絵里と希と海未の3人がひとまず活動を休止し、残りのメンバーが改めて活動を続けるということで良いのか?」
剣斗はこのように確認を行っており、全員は無言で頷いていた。
「わかった。私がアイドル研究部の顧問であることに変わりはないが、みんなのことを全力でサポートするつもりだ。全ては友である奏夜のため。そして、我が友にとってかけがえのない存在であるμ'sのためだ」
剣斗は引き続きアイドル研究部の顧問は続ける決意をしており、それだけではなく、奏夜やμ'sのためにサポートをしていこうと考えていた。
「剣斗……ありがとな」
そんな剣斗の姿勢を聞いた奏夜は、心から感謝をしていた。
「……ねぇ、小津先生。聞きたいことがあるんだけど」
「?何だ?真姫。私で良ければ何でも答えるぞ!」
真姫はずっと気になることがあるみたいであり、そのことを剣斗から聞き出そうとしていた。
「先生って何で奏夜のことを友だなんて呼ぶわけ?やっぱり、すごく違和感を感じるわ」
「確かに……。それは私も気になってたわ」
真姫の投げかけた疑問は、絵里だけではなく他のメンバーも気になっていたことであった。
「実は俺も気になってた。剣斗に友と言われるのは心地よいけど、何で俺のことを友と呼んでくれるのか?ってな」
実は奏夜もまた、剣斗が何故自分のことを友と呼んでいるのか疑問に思っていた。
「ふふ、気になるか?何故私が奏夜のこもを友と呼んでいるのか……」
剣斗のこのような問いかけに、全員が無言で頷いていた。
「だが、何故と言われてもそこまで大した理由はないのだがな……」
「え!?そうなんですか!?」
そんなにたいそうな理由はないと知り、絵里は驚いていた。
「奏夜、お前はこの前の修練場の時に我が友のことを最期まで信じてくれただろう?あの時から私はお前の友になりたいと思っていたのだ」
「剣斗……」
奏夜は番犬所からの指令で修練場を訪れたのだが、その時、修練場に保管されていた魔竜の眼を1人の男が持ち出してしまった。
その男は飯田玲二という、修練場の教官の1人だった。
玲二は魔竜の眼を代々管理していた里の人間だったのだが、その力の危険さを知り、里の総意として魔竜の眼を秘密裏に処分しようとしていた。
同じ任務に同行していた統夜とリンドウは、玲二が魔竜の眼を悪用しようとしていると疑っていたのだが、奏夜はそうは思えなかった。
そんな奏夜の純粋な思いに統夜とリンドウは心を打たれ、玲二のことを信じてみることにしていた。
結果的に玲二はジンガに殺されてしまうのだが、奏夜は玲二のことを信じ続けていた。
「そういえば、そんなことがあったと言っていましたね」
奏夜はこの話をμ'sのメンバーにもしていたため、海未たちはその時のことを思い出していた。
「奏夜はまっすぐで、曇りなき心を持つ男だ。そんな男だから私は友になりたいと思っていたのだよ。元老院からの指令でこの学校に来ることになり、お前と再会した時は本当に嬉しかったぞ」
「まさかと思うけど、その嬉しさのあまり、奏夜のことを友って呼んでた訳?」
「うむ。そんな感じだ」
剣斗が何故奏夜のことを友と呼ぶのか、その真意がわかると、奏夜以外の全員は少しだけ呆れていた。
「俺も最初は戸惑ったけどさ、不思議と悪い気持ちはしなかったんだ。剣斗がアイドル研究部の顧問になってくれて、共に時間を過ごしていくうちに、俺と剣斗は本当の意味で盟友になれたと思うんだ」
「その通りだ!お前も同じ事を思っていてくれて嬉しいぞ!」
奏夜は今、剣斗のことを心から友だと思うようになっており、そんな奏夜の気持ちを聞けた剣斗は喜びを隠せずにいた。
「私は我が友のことを最後まで信じてくれた。だからこそ私はお前の力になってやりたいと思っていたのだよ」
「なるほど。だから小津先生は私たちのことを積極的に応援してくれたのですね?」
海未のこのような問いかけに、剣斗は「うむ」と返事をしていた。
「だからこそ私は奏夜の曇りなき心を守ろうと思ったのだ。お前は私にとって、大切な友なのだから……」
剣斗はしみじみとこのように答えており、さらなる剣斗の真意が奏夜にとっては嬉しかった。
海未たちもまた、剣斗が何故奏夜のことを友と呼ぶのかを理解し、その友のために力を尽くしていることを理解していた。
そのため、海未たちもまた、そんな剣斗の姿勢が嬉しいからか、表情が穏やかになっていた。
「……さて、この話はもう終わりだ。これからはみんなバラバラになってしまうだろう?大丈夫だ。そうだとしても私たちの心は1つなのだから……」
剣斗がこのように話をまとめていたのだが、奏夜たちは穏やかな表情のまま、その話を聞いていた。
こうして音ノ木坂学院のスクールアイドルグループであるμ'sは、活動を一時的に休止したのであった。
※※※
翌日の放課後、穂乃果は職員室にいる剣斗を訪ねていた。
剣斗にとあるものを手渡すためである。
「……穂乃果か。もしかして、退部届か?」
「……はい」
そう答えると、穂乃果はアイドル研究部。高坂穂乃果と記入された退部届を剣斗に手渡した。
「……穂乃果。私がこんなことを言うのはおかしいかもしれないが、本当にいいのか?お前の気持ちは察するが、何もスクールアイドルを辞めることはないと思うが……」
剣斗は穂乃果の意思を確認するために、あえて穂乃果のことを引き止めていた。
「……いいんです。元々学校を存続させるためにスクールアイドルを始めたんで。それに、今のμ'sに私の居場所はありませんから……」
このように語る穂乃果の表情はどこか悲しげだった。
(穂乃果……。あんなことを言うとはらしくないが、色々と責任を感じてる故の言葉なのだろうな……)
剣斗はそんな穂乃果の表情からこのようなことを感じ取っていた。
「……穂乃果。お前の気持ちはわかった。これは預かっておこう」
「ありがとうございます……。失礼します」
穂乃果は力無い感じで剣斗に一礼をすると、職員室を後にして、そのまま帰路についたのだった。
その途中、穂乃果は浮かない表情のまま家に向かって歩いていた。
そして、穂乃果はスクールアイドルを辞めたことについて考えていた。
(……私が周りを見ていなかったから、ことりちゃんの留学に気付けないどころか、ことりちゃんを傷付けた……。それに、そーくんにあんな酷いことを言って、それがきっかけでそーくんは死にそうになった……!)
穂乃果はやはり、自分の言動に責任を感じているみたいだった。
(そんな私は、もうスクールアイドルとしてはいられない……)
そんなことを考えていたからこそ、穂乃果はスクールアイドルを辞める決意をしたのであった。
(これで良かったんだ……。これで……!)
穂乃果は自分の選択は間違っていないと自分に言い聞かせていたのだが、やはり心には迷いがあるみたいだった。
こうして穂乃果はそんなことを考えながら家に帰っていった。
そして穂乃果が家に帰っている頃、奏夜は教室の自分の席に座っていた。
「さて……。まずは何から始めるべきか……」
奏夜はこのように呟くと、何かを考え込んでいた。
《おい、奏夜。あいつらにあそこまでの啖呵を切っておいて何も考えてないのかよ》
キルバは奏夜が何も考えずにあそこまでのことを言ったと思ってしまったからか、呆れ果てていた。
(そんな訳はないだろ。だけど、今回のことはちょっとでも失敗すれば全てがパーだからな。だからこそ慎重に策を立てないと……)
奏夜としては穂乃果やことりの問題を解決させるためにある程度のビジョンが描いていたのだが、失敗は許されないため、いつも以上に慎重だったのである。
《ま、それならいいがな》
どうやら奏夜の説明を聞き、キルバは納得したようであった。
奏夜とキルバがテレパシーで話をしていたその時だった。
「あっ、奏夜君!まだ教室にいたんだ」
教室にヒフミトリオの3人が入ってきて、その1人である、短いツインテールが特徴のミカが奏夜に声をかけてきた。
「よう、ヒフミの3人」
「アハハ……やっぱその呼び方なんだね……」
奏夜はずっとこの3人のことはヒフミトリオと呼んでおり、そのことにミカは苦笑いをしていた。
「それよりも聞いたよ!なんだか、大変なことになってるみたいだね」
「まぁな。でも、大丈夫……」
大丈夫だ。ヒデコの問いかけにこのように返す奏夜だったが……。
(……ん?待てよ?)
それと同時に何か思いついたみたいだった。
しばらく考えていると……。
(……!繋がった!これはまさに……脳細胞がトップギアってところだな)
《おいおい、何言ってんだよ……》
奏夜は妙案を思いついたみたいなのだが、奏夜の言い方にキルバは呆れていた。
「なぁ、3人とも。ちょっといいか?3人に頼みたいことがあるんだ」
「頼みたいこと?」
奏夜が唐突にこのようなことを言うのが意外だったからか、フミコは首を傾げていた。
「私たちに出来ることなら何でも言って!」
ミカは、奏夜が自分たちのことを頼ってくれたのが嬉しかったからか、喜びを露わにしながら奏夜の相談に乗ろうとしていた。
それはヒデコとフミコも同じ気持ちだったため、ウンウンと頷いていた。
「すまんな。実はな……」
奏夜は話をする前に今のμ'sがどのような状態になっているのかを説明した。
3人はことりの留学のことは知っていたものの、それが引き金となって穂乃果とことりがギクシャクしてしまったことと、さらにそれがきっかけで穂乃果はμ'sを辞めることになってしまったことを奏夜は説明していた。
「そんなことがあったんだね……」
「だから最近奏夜君たちはあまり一緒にいることがなかったんだね」
奏夜から事情を聞いた3人は、μ'sが事実上休止状態になったことに驚いており、さらには奏夜たちのクラスでの動きを思い出し、その疑問に納得していた。
「それでな、3人にお願いしたいんだけど……」
奏夜は3人にお願いしたいことを話したのだが、話がそこまで大それた話でなかったため、面食らっていた。
「え、そんなんでいいの?」
「あぁ。これは3人じゃないと出来ないことだからな」
3人は奏夜のお願いに驚くのだが、奏夜はそんな3人だからこそ頼めることだったため、お願いをしていた。
「わかった!任せといて!」
「そうだね。このままμ'sがなくなっちゃうのは嫌だもんね!」
ミカとヒデコはやる気に満ちた感じで、奏夜のお願いを了承していた。
「すまんな……。本当に助かるよ」
「そんなに謝らないでよ。私たちだって、ずっとμ'sのお手伝いをしてたんだよ?こういう時だからこそ私たちを頼ってほしいな」
奏夜は心から3人に感謝をしていたのだが、フミコはそこまで申し訳なさそうにしている奏夜のことをなだめていた。
「……そうだな……。そうだったな……」
ヒフミトリオの3人もまた、μ'sのことを手伝っている。
そんな当たり前なことを思い出した奏夜は穏やかな表情で微笑んでいた。
「それじゃあ、3人とも、頼むな」
「任せといて!」
「奏夜君!これが上手くいったらみんなで遊ぼうね!」
「あぁ!ぜひ誘ってくれよな」
奏夜のこの言葉を聞いて満足したのか、ヒフミトリオの3人は笑みを浮かべながら教室を去っていった。
「さてと……。ここからが本番だな」
ヒフミトリオの3人がいなくなり、奏夜は真剣な表情を浮かべていた。
《おい、奏夜。あんな作戦で本当に上手くいくのか?》
キルバもまた、奏夜の作戦を聞いていたのだが、その作戦が上手くいくのかどうか疑問だった。
(上手くいくさ。きっと穂乃果は大切なことを思い出す。きっと俺たちのところに戻ってきてくれるさ)
《そう上手くいくとは思えないがな》
キルバは奏夜の作戦が上手くいくとは思えなかった。
(ことりの留学を阻止するのだって、鍵を握るのは穂乃果だ。あいつの力ならきっと……)
この作戦が上手くいけば、そのままことりの留学問題もどうにか解決出来るかもしれないと期待を寄せていた。
《ま、あとはお前さんたちの努力次第だ。せいぜい頑張るんだな》
奏夜の立てた策がどのような結果で終わろうとも、キルバは奏夜のことを応援しようとしていた。
(あぁ。もちろんそうするつもりさ)
奏夜は海未たちにこの問題を解決すると啖呵を切った以上、全力で結果を残そうと考えていた。
(けどまぁ、今は慌てて動く時じゃないからな……。本当に動き始めるのはこれからだ。だからこそ、俺は目の前にある騎士の使命を全うするとしよう)
奏夜はあることをヒフミトリオの3人に託したため、事が動くまでは魔戒騎士として使命を果たそうと考えていた。
そのため、席を立つと、帰り支度を整えてから番犬所へと向かっていった。
奏夜は番犬所に到着すると、ロデルに今のμ'sの近況と、これから自分がしようとしていることを報告していた。
当然ロデルはそのことに驚くのだが、μ'sのことを応援しているロデルは全力でそのことを成すよう、奏夜に告げたのである。
この日は指令はなかったため、奏夜はロデルに一礼をしてから番犬所を後にした。
こうして、μ'sは一時的に活動休止となり、事実上崩壊してしまった。
しかし、奏夜はまだ諦めておらず、この問題をどうにか解決させようとしていた。
そして、他のメンバーたちは、それぞれの思いを胸に一時的にバラバラの道を行くことになった。
しかし、自分たちの本当の気持ちを知っているため、穂乃果とことり以外の全員の気持ちは1つにまとまっていた。
そして、それと同時に本心がわからない人物が2人いた。
……自らスクールアイドルを辞める決意をした穂乃果と、自らの夢のために海外へ留学することになったことりである。
穂乃果にしてもことりにしても、それが2人の本当にやりたいことではないのではないかと奏夜は確信していた。
そして、奏夜はそれを確かめるために動き始める。
9人の女神であるμ'sを、本当の意味で再生させるために……。
……続く。
__次回予告__
『まったく……。ここまでややこしいことになるとはな。おい、奏夜。本当に上手くいくんだろうな?次回、「再生」。これがμ's再生の序章になればいいんだがな』
今回は穂乃果とことり以外のμ'sメンバーがこれからどうしていくのかが明らかになりました。
μ'sは事実上活動休止となってしまいましたが、メンバーの心は1つだと思います。
そして、何故剣斗が奏夜のことを友と呼んでいるのかが明らかになりました。
ここまで大切に思われているとは奏夜はイイ友を得ることが出来ましたよね。
そんな剣斗の存在が奏夜の力になっていると思います。
さて、次回は崩壊したμ'sを何とかするべく奏夜が動き出します。
奏夜はμ'sを救うためにどのような行動を取るのか?
そして、穂乃果はこのままスクールアイドルを辞めてしまうのか?
それでは、次回をお楽しみに!