そういえばこの前、実装されたばかりの「CR 牙狼 GOLD STOME 翔」を打ってきました。
結果だけ言えばチョイ勝ちだったのですが、色々な演出が見れて楽しかったです。
牙狼シリーズを打ってて今まで見たことのなかった雨宮監督のプレミアも見れましたし、写メは逃しましたが(笑)
さて、今回でラブライブ!12話の話は終わりになります。
そうです。この章にも書いてある崩壊が始まっていきます。
その時、奏夜はどのような行動をとるのか?
それでは、第49話をどうぞ!
学園祭ライブは中止となり、μ'sはラブライブへの出場を辞退してしまった。
しかし、今までの奏夜たちの活動が認められたからか、来年度も入学者を募集することになり、学校は存続することになった。
奏夜たちは学校存続のお祝いをしていたのだが、その席でことりの留学を全員が知ることとなってしまった。
ことりと長い付き合いである穂乃果は、自分に相談もなくことりが留学を決めたことが許せなかった。
そのため、穂乃果とことりがギクシャクしてしまうという最悪の結末になってしまった。
パーティは当然中止となったのだが、その後奏夜は番犬所へ向かい、ロデルにパーティでの出来事を報告していた。
「……そんなことがあったのですね……」
ロデルはことりが留学のことを明かした結果、穂乃果と確執が出来てしまったことに驚いていた。
「俺としてはずっと知らなくていきなり真実を知った結果、怒る穂乃果の気持ちもわかりますが、友達を傷付けたくない故にずっと言えなかったことりの気持ちもわかるんです」
『奏夜にとって穂乃果とことりは大切な友達だからな。2人の気持ちが理解出来るのも当然だ』
「そう考えると、辛い立場ですね、奏夜……」
「ロデル様、お気遣い誠に痛み入ります」
番犬所の神官であるロデルが一介の魔戒騎士である奏夜を気遣い、奏夜はそんなロデルの言葉に感謝して、深々と頭を下げていた。
「ことりの留学はもう決まったことだから覆すことは出来ませんが、俺は笑顔でことりのことを見送ってやりたいです。何の迷いもなく胸を張って留学出来るように……」
奏夜の本音としてはことりに留学は行って欲しくなかったが、行くと決まってしまった以上、ことりが迷わないよう笑顔で見送ろうと考えていた。
「そのためには、穂乃果とことりがギクシャクしてるのをなんとかしたいと思っています。このまま離ればなれになるのは悲しいですし……」
「そうですね……。そこら辺のところはあなたのやりたいようにやるといいでしょう。ですが、後悔だけはしないようにして下さいね」
「ありがとうございます、ロデル様」
奏夜は再びロデルに深々と頭を下げていた。
「ホラー討伐の指令はありましたが、それはリンドウに行ってもらいました。大輝もフォローに回っているので、あなたは目下の問題に集中して下さい」
ロデルの言う通り、とあるゲートが開いてホラーが出現したのだが、そのホラーの討伐はリンドウが担当になった。
現れたホラーは1体だけだったので、大輝が町の見回りを行いつつリンドウのフォローに入っていた。
リンドウも大輝も実力のある魔戒騎士であるため、奏夜の出る幕はないのだ。
リンドウがこの翡翠の番犬所に派遣され、魔戒騎士が3人になってからはこのようなケースはよくあり、奏夜はその都度ホラーを2人に任せ、μ'sのマネージャーとしての仕事をこなしていた。
今回も似たようなケースであるため、奏夜はロデルの言葉を素直に受け入れていた。
そのため奏夜は、再びロデルに一礼をしてから番犬所を後にした。
その直後、奏夜の携帯が鳴り出したため、奏夜はポケットから携帯を取り出した。
どうやら電話のようであり、その電話は絵里からだった。
それを確認した奏夜は、すぐに電話に出たのであった。
「……はい、どうした?絵里」
『あっ、奏夜!良かった……。もしかして、今って忙しいかしら?』
「いや、今日は指令もないから時間はあるぞ」
『そう……良かった……』
電話越しであるため絵里の表情はわからなかったが、ぱぁっと表情が明るくなっているだろうと予想することは出来た。
『奏夜。時間があるなら今から会わない?話したい事があるの』
「あぁ、構わないぞ」
『ありがとう!それじゃあいつだかあなたや海未と話をした公園で待ち合わせをしましょう』
「わかった」
絵里が待ち合わせに指定したのは、まだ絵里がμ'sに加入する前、奏夜、海未、絵里の3人で話をした公園であった。
『ありがとう。それじゃあ、また後でね』
絵里はそう言い残すと、電話を切ったため、奏夜も電話を切り、携帯をポケットにしまった。
「さて、行くか……」
電話を終えた奏夜は、絵里との待ち合わせ場所である公園へと向かっていった。
その公園は番犬所から近かったため、5分とかからず到着したのだが、すでに絵里は来ており、公園のベンチを1つ確保して奏夜が来るのを待っていた。
「あっ、奏夜!」
絵里は奏夜の姿を見るなり表情が明るくなり、ブンブンと手を振っていた。
そんな無邪気な一面を見せる絵里に、奏夜は苦笑いをしながら早足で絵里の待つベンチへと向かっていった。
「絵里、ずいぶんと早かったな。もしかして、電話した時からずっとそこにいたのか?」
「えぇ。そういう奏夜も早かったじゃない」
絵里もまた、奏夜がここまで早く到着するとは思わなかったからか、驚いていた。
「まぁ、この公園は番犬所から近かったからな」
「へぇ、そうなのね」
この公園が番犬所から近いということを初めて知った絵里は驚いていた。
「それで、話っていったいなんなんだ?」
奏夜は絵里の隣に腰をおろしながら、本題を切り出していた。
「奏夜ってことりの留学のことを知ってたのよね?」
「……まぁな」
絵里の話がことりの留学についてだとわかると、奏夜の表情が少しだけ沈んでいた。
「その時の話を聞いておきたいと思って。ほら、奏夜はことりのことを引き止めようとしたって言ってたでしょ?」
「あれはただのワガママだよ。ことりの夢を俺のエゴで潰したくない。だからこそ留学の話を聞いても強く止められなかったんだよ……」
このように語る奏夜の表情はどこか悲しげだった?
「ごめんね、奏夜。海未や小津先生も話を聞いていたとはいえ、あなたにかなりの業を背負わせてしまったわね……」
ことりの留学を聞いていたのは奏夜だけではなく海未と剣斗も聞いていたのだが、奏夜が誰よりもこのことに責任を感じており、絵里は申し訳なさそうにしていた。
「気にしないでくれ、絵里。俺はμ'sのマネージャーとして、当たり前のことをしているだけだから……」
「そう……」
奏夜の瞳は憂いを帯びていたが、言葉に偽りがないからか意思の強さも感じ取れ、絵里はなんて言葉を返せばいいかわからなかった。
「……奏夜。実はね、話があるなんて、ただの建前で、本当はあなたの顔が見たくなっちゃったの」
そのため、絵里は今日奏夜と会いたいと思った本当の理由を語っていた。
「え?」
絵里からのまさかの言葉に奏夜は面食らっていた。
「だって、ことりが留学の話をして、穂乃果とギクシャクしちゃったでしょ?奏夜はそのことを気にしてるんじゃないかって心配で……」
絵里が奏夜の顔を見たいと思ったのは、奏夜のことを心から心配していた。
「絵里……。ありがとな、俺のことを心配してくれて」
奏夜は誰かが心配してくれていることが素直に嬉しかったため、穏やかな表情で微笑んでいた。
そんな奏夜の笑顔を見て恥ずかしくなったからか、絵里は頬を赤らめていた。
「……俺なら大丈夫だ。俺にはまだやらなきゃいけないことがあるからな」
絵里の言う通り、ことりと穂乃果がギクシャクしていることは気にしていた奏夜だったが、気落ちしている訳ではなかった。
「やらなきゃいけないこと?」
「あぁ、とりあえずはことりと穂乃果を仲直りさせなきゃいけない。すれ違ったままさよならなんて寂し過ぎるからな」
「奏夜の言いたいことはわかるけれど、それは難しいのではないかしら?」
絵里もまた、穂乃果とことりがすれ違ってしまった一部始終を知っているため、2人を仲直りさせるのは簡単なことではないと思っていた。
それは奏夜もわかっているハズだが、奏夜は何故か動じることもなく、冷静だった。
「大丈夫だ。そこに関しては俺にいい考えがあるんだ」
「いい考え?」
「あぁ、まずはことりが留学に行く前にライブを行いたいって思ってる。ことりの門出を祝うライブだ。共にライブをすれば、きっと……」
奏夜は9人最後となるライブを計画していた。
そのライブを通して、ことりと穂乃果のギクシャクした関係を改善したいというのが狙いである。
『俺としては嫌な予感がするがな。それに、今の穂乃果がライブをすんなりと受け入れるか?』
「そうね。私としては賛成だし、みんなも賛成すると思うけれど……」
キルバはそんな奏夜の計画がそう上手くいくはずはないと予想しており、絵里も不安な感じになっていた。
「俺もそこは不安だけど、大丈夫だ。俺を信じてくれ」
奏夜は意思の強い目をしており、そのような眼差しで絵里のことを見ていた。
「……そうね。あなたはこうして私たちのことを引っ張ってくれたんだものね……。私は信じるわ。奏夜のことを」
「絵里……ありがとう……」
絵里は奏夜のことを心から信じており、奏夜はそんな絵里に礼を言っていた。
「とりあえず、みんなにも話をするわね」
絵里は携帯を取り出すと、穂乃果とことりを除いた全員と連絡が取れる状態に設定をして、グループ通話を開始した。
そこで絵里は奏夜の提案したライブについて話をしていた。
ライブについては誰も反対する者はおらず、明日穂乃果やことりに話をすることで話はまとまっていた。
その話が終わったところで、グループ通話は終了したのであった。
「さてと……。とりあえずは明日だな」
「えぇ、そうね」
「話は終わったことだし、そろそろ帰るか?」
「ねぇ、奏夜。せっかくだから、家まで送ってくれないかしら?」
「え?」
奏夜は絵里が自分からこのようなことを言ってくるとは思っていなかったからか、驚きの表情を見せていた。
「……何よ。たまには2人きりで帰るのもいいでしょ?」
奏夜が驚いているのが気に入らなかったからか、絵里はぷぅっと頬を膨らませていた。
「まぁ、指令はないし、構わないけど……」
奏夜が絵里の話を承認すると、絵里の表情がぱぁっと明るくなっていた。
「本当?それじゃあ、行きましょうか♪」
奏夜と絵里はベンチから立ち上がり、そのまま公園を後にしようとするのだが……。
「……!?ちょ、絵里!?」
絵里は唐突に奏夜と腕組みをしており、そんな絵里の行動に奏夜は驚きながら頬を赤らめていた。
「何よ、たまにはいいでしょ?」
「別に嫌ではないが、誰かに見られたらまずくないか?」
奏夜の心配する通り、絵里はスクールアイドルであるため、このような姿を誰かに見られたら大変なことになると予想された。
「大丈夫よ♪ほら、行きましょっ♪」
こうして絵里は半ば強引に奏夜と腕を組み、絵里の家へと向かっていった。
《やれやれ……。絵里のやつ、ずいぶんと大胆だな》
キルバは絵里の大胆な行動に呆れていた。
その後奏夜は絵里と腕を組んでいるところを幸い誰にも見られることなく絵里の家に到着することが出来た。
しかし、絵里の家の前に妹である亜理沙と、たまたま遊びに来ていた穂乃果の妹である雪穂に見つかってしまい、色々と追求を受けることになるのだが、それはまた別の話である。
その後奏夜はげんなりとしながら帰路についたのであった。
※※※
翌日、朝のホームルームの時点で、ことりの留学の話がクラス全体に行き渡ってしまった。
クラスメイトたちはみんなことりがいなくなることをとても残念がっていた。
そして、クラスの中でちょっとした変化が起こっていた。
休み時間になると、何かと奏夜のところに来ていた穂乃果だったが、奏夜のところに行こうとせず、ただ机で突っ伏して寝ていた。
奏夜だけではなく、海未やことりとも話すこともなくなり、そんな関係性の変化に、クラスメイトたちは困惑していた。
そして昼休み、奏夜は教室を抜け出すと、屋上に来ていた。
昨日絵里や他のメンバーにも話した9人最後のライブの話を穂乃果やことりにするためである。
昨日その打ち合わせを行い、絵里が穂乃果とことりを呼び出す算段となっていた。
現在屋上には奏夜と海未。さらには絵里を除いた全員が待機していた。
「穂乃果……果たして来てくれるでしょうか?」
海未は本当に穂乃果が屋上に現れるか不安であるため、このように言葉を洩らしていた。
「来るさ。いくら穂乃果でも、絵里からの呼び出しは無下には出来んさ。クラスのみんなの目もあるからな」
「確かにそうですね……」
奏夜が自信満々で答えたからか、海未の不安は自然と消え去っていた。
その直後、屋上の扉が開かれると、絵里と穂乃果。そして、剣斗が屋上に入ってきた。
「……みんな、遅くなってすまない」
「ちょうど屋上へ行こうとしたら小津先生とバッタリ会ってね。一緒に来たってわけ」
絵里は何故剣斗と一緒に屋上に来たのかを説明していた。
「ところでことりは?」
「ごめんなさい。教室に行った時には既にいなかったの。だから穂乃果だけ呼んだわ」
「まぁ、いいさ。ことりには後で話をすればいいんだから」
「……何の用なの?屋上に呼び出して……」
このように本題を切り出す穂乃果は暗い表情をしており、まるで別人だった。
「すまんな、穂乃果。いきなり呼び出して」
「ほら、ことりが留学しちゃうでしょ?その前に9人でライブ出来ないかなと思ったのよ」
そんな穂乃果に奏夜は困惑しながらも謝っており、絵里が本題を切り出していた。
「おぉ!ことりの門出を祝うのが目的なのだろう?うむ、それはイイアイディアだと思うぞ!」
剣斗は初めてライブの話を聞いたため、自然と表情が明るくなり、ライブを行うことに賛同していた。
「ことりには後でその話はするつもりだよ」
「うむ!ことりがいなくなるのは寂しいが、いつまでも悲しむのはイイとは思えない。明るく門出を祝うとしよう!」
「凛もそう思うにゃ!!」
「……あんたたち、はしゃぎ過ぎよ」
剣斗と凛はライブに対してかなり前向きな意見を出しており、あまりの明るさに、にこはジト目で剣斗と凛のことを見ていた。
「小津先生の言う通りよ!だってこれがμ's9人の、最後のライブになるんだから」
「……」
絵里はさらに穂乃果をなだめるかのように言葉を続けるのだが、穂乃果は何も語ろうとはせず、俯いていた。
「……穂乃果。まだ落ち込んでいるのですか?」
海未は心配そうに穂乃果のことを見つめており、しばらく経った後に穂乃果は顔を上げた。
「……私がもう少し周りを見ていれば、こんなことにはならなかった」
穂乃果は穂乃果でライブの失敗やことりの留学。それに、ことりとのすれ違いに責任を感じているのか、このように口を開いていた。
「そ、そんなに自分を責めなくても!」
責任を1人で背負おうとしている穂乃果に、花陽は異議を唱えていた。
「私が余計なことをして、余計なことを言ったから、そーくんは死にそうになった!」
さらに、穂乃果は学園祭前日に奏夜に対して言ったことに対しても責任を感じていた。
「いーや。あれは穂乃果が悪い訳じゃない。その言葉を真に受けて、心に大きな隙を作った、俺の心の未熟さが招いた結果だ」
奏夜は自分が弱いからジンガに魔竜の牙を奪われ、重傷を負ってしまったと思っていた。
しかし、奏夜はそれを反省し、今後の糧にしていこうと思っているためそこまで気にしてはいなかった。
「自分が何もしなければこんなことにはならなかった!!」
穂乃果は気持ちが高ぶっているからか、少しだけ語気が強くなっていた。
「……本当にそう思うのか?」
「え?」
奏夜の言葉が予想外だからか、穂乃果はキョトンとしていた。
「確かに何もしなかったらことりの留学はなかったかもしれない。だけど、俺たちが何もしてなかったら廃校は本決まりだ。そうだとしたら俺たちがこうやって集まることはなかっただろうな」
「あっ……」
奏夜の言葉は窓を得たものだったため、穂乃果は言葉を失っていた。
そして、他のメンバーはまっすぐと奏夜のことを見ていた。
「確かにそーくんの言う通りだけど、やっぱり……」
穂乃果には奏夜の言葉を反論することは出来なかったのだが、それでも食い下がっていた。
「これまでのことはなるべくしてなったことなんだ。今更タラレバを言っても仕方ないだろ」
「奏夜の言う通りよ。そうやって全部自分のせいにしようとするのは傲慢よ」
「その通りだ。奏夜も先ほど言っていたが、ここでタラレバを言ったところで何にもならないし、何も始まらない。そんなことがとてもイイとは思えないな」
「……」
そんな奏夜の言葉に絵里と剣斗の2人が乗っかっており、その言葉を聞いて、穂乃果は再び黙ってしまった。
「それに、ラブライブに出られなかったのは残念だけど、きっとまた第2回が開かれるさ」
この頃にはすでにラブライブ本戦は終わっており、当初の予想通り、A-RISEの優勝で幕を閉じていた。
「そうよ!今回はダメだったけど、次があるわ!だから落ち込んでる暇なんてないわよ」
次のラブライブの時にはことりはいないため、9人ではなく8人で出場することになるだろうが、真姫は次のラブライブに前向きだった。
「その通りよ!今度こそ夢の舞台に出てやるんだから!」
真姫だけではなく、にこも次のラブライブに向けて燃えており、花陽と凛もウンウンと頷いていた。
しかし……。
「……出場してどうするの?」
穂乃果は言ってはいけない言葉を言ってしまったからか、穂乃果の言葉の後、その場の空気が凍りついていた。
「もう学校は存続したんだよ?だから、出たってしょうがないよ」
「穂乃果ちゃん……」
μ'sのリーダーとしてみんなを引っ張ってきた穂乃果がこのようなことを言うとは思わなかったからか、花陽は悲しげに穂乃果のことを見ていた。
(……あちゃあ……。やっぱり穂乃果はことりの留学のせいで、スクールアイドルに対してのモチベーションも下がっちまってたか……)
奏夜は穂乃果がこのようなことを言うだろうと密かに予想しており、予想通りな展開になっていることに対して奏夜は頭を抱えていた。
「……それに、無理だよ。私たちがどれだけ練習して努力したってA-RISEみたいにはなれっこない。時間の無駄だよ」
穂乃果はスラスラと失言を言っており、その度に空気が凍りついており、それと同時に奏夜たちの絆に亀裂が入る音が聞こえてくるような気がしていた。
そんな穂乃果の言葉をにこが許せるはずはなく、唇を噛み締めて、両手の拳をギュッと握りしめていた。
「……あんた。それ、本気で言ってるの?だったら許さないわよ」
「……」
μ'sのメンバーの中で誰よりもアイドルが好きで、アイドルへの思いなら誰にも負けないにこは怒りに満ちた表情でこう問いかける。
しかし、穂乃果は何も答えようとはしなかった。
「許さないって言ってるでしょ!?」
にこは怒りのまま穂乃果に詰め寄ろうとした。
しかし……。
「ダメ!!」
真姫はそんなにこに抱きつく形でにこのことを止めていた。
「離しなさいよ!にこはね、あんたが本気だと思ったから!本気でアイドルをやりたいんだって思ったからμ'sに入ったのよ!ここに賭けようって思ったのよ!」
にこは感情的に自分の思いを語っていたのだが、にこの瞳からは涙が浮かび上がっていた。
にこだけではなく、抱きついてにこを制止している真姫もまた、涙目になっており、花陽と凛も泣きそうな表情をしていた。
「それを、こんなことくらいで諦めるの!?こんなことで、やる気を無くすの!?」
にこはこのように問いかけるのだが、穂乃果は答えようとはしなかった。
(ったく……。仕方ないな……)
穂乃果がここまでやる気を無くしてしまったことを予想した奏夜はある行動を取ることにした。
その行動とは……。
「……穂乃果。お前の言い分はわかった」
奏夜がこのように口を開くと、全員の視線が奏夜に集中していた。
「確かに、ラブライブを制したA-RISEのパフォーマンスは凄かったよな。今の俺たちじゃA-RISEみたいなパフォーマンスは確かに出来ない」
「ちょっと奏夜!あんたまで何言ってるのよ!」
にこは奏夜が穂乃果と同じような暴言を言っていると思っているからか、怒りを露わにしていた。
「だが、努力してそう言うなら仕方ないが、今の穂乃果は努力を放棄している。そんなことを言う資格はないと思うがな」
奏夜は鋭い目付きで穂乃果を睨みつけると、穂乃果は少しだけたじろいでいた。
「穂乃果。お前がどうしたいのか、大体は察することは出来るけど、お前の口から聞きたい」
奏夜は穂乃果のことをジッと見つめており、穂乃果は未だに俯いたままだった。
「……答えろ、穂乃果。お前はいったいどうしたいんだ?」
「……」
奏夜はこのように問いかけるのだが、穂乃果はなかなか答えようとはしなかった。
しかし、穂乃果の放った一言で、その場の空気がさらに凍りつくことになる。
それは……。
「……辞めます。スクールアイドル……辞めます」
この一言でその場の空気がさらに凍りつき、奏夜と剣斗以外の全員は言葉を失っていた。
そんな中、奏夜はその言葉を予想していたからか平静を保っており、剣斗もまた、動じることはなかった。
「……わかった」
「ちょっと、奏夜!?」
スクールアイドルを辞めるという穂乃果の言葉を奏夜はあっさりと承認しており、絵里は驚きを隠せなかった。
「確かに学校は存続された。だからと言ってここにいるみんなはスクールアイドルを続けたいと思っているんだ。そんな気持ちを持っている奴がいても正直邪魔なだけだ」
奏夜はスクールアイドルを辞めると言う穂乃果に対して容赦のない言葉を言っており、それを聞いた他のメンバーはハラハラしていた。
さらに……。
「穂乃果。お前が本当にスクールアイドルを辞めたいというなら私は止めはしない。だが、スクールアイドルの活動は部活としての活動なのだ。退部届を私のところまで持ってくるように」
剣斗はアイドル研究部の顧問として、このような発言をしていた。
「はい……」
剣斗の言葉に力無い返事をした穂乃果はそのまま屋上を後にした。
穂乃果がいなくなり、その場は重苦しい空気が支配していた。
(さてと……。ここからが本番だな)
穂乃果がスクールアイドルを辞めると言うことを読んでいた奏夜は、これから先どうするかを考えていた。
そんなことを考えていると……。
「奏夜、さっきのはいったいどういうつもりですか?」
「どういうつもりとは?」
海未は鋭い目付きで奏夜を睨みつけて問い詰めるのだが、奏夜はわざととぼけた返しをしていた。
「穂乃果ちゃんのこと、どうしてあんなにあっさりと見捨てちゃったの?あれじゃいくらなんでも……」
「そうよ!穂乃果があんなことを言うのは許せないけど、だからって!!」
海未が答える前に花陽と真姫が奏夜のことを問い詰めていた。
そんな2人の言葉に海未はウンウンと頷いており、にこと希は俯いていた。
しかし、絵里は奏夜に何か考えがあると理解していたからか、そこまで心配そうな表情はしていなかった。
「お前らの言いたいことはわかる。だけど、あのまま穂乃果を引き止めて何になる?それで穂乃果が考えを改めると思うのか?」
「そっ、それは……」
奏夜の言葉は的を得ているため、真姫はこれ以上の反論が出来なかった。
「それに、本気で穂乃果のことを見捨てるならあんなことは言わない。ただ単純に出て行けと言ってるだけだろうな」
奏夜は穂乃果のことを完全に見捨てた訳ではないことはしっかりと説明していた。
「そーや君、これからいったいどうするの?」
「そうだよ。穂乃果ちゃん、本気でスクールアイドルを辞めるみたいだよ?それに、ことりちゃんの留学だってあるし……」
奏夜が何かをしようとしていることは理解していたが、凛と花陽は不安を露わにしていた。
「何、心配はいらないさ。奏夜は何か考えがある。だから穂乃果を屋上に呼び出し、あのように言わせたのだろう?」
「ま、そんなところかな。だから、穂乃果のことは俺に任せてくれないか?これから策を実行しようと考えてるんだ」
奏夜に何か妙案があると知ったものの、海未たちは不安を抱いており、素直に奏夜のことを信じられなかった。
そんな中……。
「そうだな。奏夜はこの状況をなんとかする策があるのだろう?だったら、奏夜を信じてみるのが1番だとは思わないか?」
剣斗は奏夜のことを心から信頼しているからか、奏夜のやろうとしていることに全面的に賛成だった。
「それに、お前たちにとって奏夜は大切な友なのだろう?そんな友がやろうとしていることが信じられないか?」
「そ、それは……」
友人である奏夜を信じる。そんな思いで剣斗はこのように問いかけていた。
真姫はそんな剣斗の言葉を否定できず、言葉を詰まらせていた。
剣斗の言葉を否定するということは、奏夜のことは大切な友人でないと言っているのと同じだからである。
「……私は信じるわ、奏夜のこと」
そんな中、絵里はこのように口を開くのだが、その表情は凛としていた。
「エリチ……?」
「だって、奏夜はいつだって、μ'sのため、私たちのために頑張って、さらには私たちのことを守るために戦ってくれているんだもの……」
絵里はμ'sに加入するタイミングが遅く、奏夜とは何度も衝突したのだが、だからこそ奏夜が自分たちのために動いていることが理解出来ていた。
「……そうだね。確かに奏夜君はいつも私たちのために頑張ってくれた。こんな状況だからこそ、奏夜君のことを信じないと!」
そんな絵里の言葉に触発されるように花陽も奏夜のことを信じようとしていた。
「そうにゃそうにゃ!だってそーや君は大切な友達だもん!」
「そうだったわね。きっと奏夜なら私たちじゃ出来ないことを可能にしてくれる……」
「そうやね。なんたって奏夜君はウチら9人の女神を守る光の騎士やもんね♪」
「……仕方ないわね……。今回ばかりはあんたのことを信じるわよ、奏夜」
「えぇ。私としてもこのまま穂乃果やことりとギクシャクしたくはありません。だからこそ、奏夜を信じたいと思います」
こうして、1人、また1人と奏夜のことを心から信じることにしており、メンバー全員が奏夜のやろうとしていることに賛同していた。
「それは無論私もだ。私は一応この学校の教師だ。その教師の立場でやれることがあるならばなんだってやろう。例えμ'sのファンが1人もいなくなろうが、奏夜のことを信じる者が誰もいなくなろうが、私は奏夜を信じる!何故なら、奏夜は大切な友だからな!」
「剣斗……」
剣斗だけではなく、みんなが自分のことを信じてくれている。
奏夜にはそのことが何よりも嬉しかった。
『ま、俺は応援しか出来ないが、一応は信じてやるよ。なんたって俺は奏夜の相棒だからな』
奏夜の相棒であるキルバは、憎まれ口を叩きながらも、奏夜のことを信じていた。
「……みんな、本当にありがとな。この問題は俺に任せてくれ」
奏夜は自分を信じてくれた全員に感謝をしており、穂乃果の問題を必ず解決させることを約束していた。
こうして、昼休みは終わりそうになったため、解散となり、奏夜は海未と共に教室へと戻っていった。
(……このままμ'sを崩壊なんてさせはしないさ……。μ'sは、俺が絶対に守ってみせる!)
教室に戻る途中、奏夜はこのように決意を固めており、その表情は自然と凛としたものになり、目付きは鋭くなっていた。
奏夜にとって、本当の戦いはこれから始まるのであった……。
……続く。
__次回予告__
『まったく……。μ'sがこのようなことになってしまうとはな。これからどうなるのやら。次回、「思惑」。みんなの思いが交錯する!』
原作通り、穂乃果がスクールアイドルを辞めると宣言してしまいました。
海未からのビンタはなかったですが……。
奏夜は何かをしようとしているのですが、いったい何をしようとしているのか?
今回は絵里の可愛い部分が見え隠れしていましたね。
さすがはKKEだ!
僕の推しは穂乃果なので、個人的には辛い展開ですが、ここから挽回していくと思います。
それにしても、剣斗は本当に良キャラですよね。
ここまで奏夜のことを信じて応援してくれるとは。
そんな剣斗の力があるからこそ、奏夜は前向きでいられるのだと思います。
剣斗のモデルとなったFF14に登場する「オルシュファン」というキャラも牙狼ライブに出てくる剣斗のようにとてもイイキャラをしています。
あまりいうとネタバレになるので言いませんが……。
興味がある方はぜひFF14をやってみてください。(布教)
さて、次回のタイトルは思惑とありますが、様々なキャラが今何を考えているのかが明らかになります。
そして、剣斗が何故奏夜のことを友と呼んでいるのか?
それも明らかになる予定なので、楽しみにしていて下さい。
それでは、次回をお楽しみに!