またまた投稿が遅くなってしまいましたが、今日は穂乃果の誕生日であるため、今日はどうしても投稿したいと思い頑張りました。
穂乃果!誕生日おめでとう!!
今日は僕を始めとして、穂乃果推しの皆様にとって特別な1日になると思います。
さて、そんな記念すべき日に新章に突入します。
タイトルは、「崩壊と再生の絆編」となっております。
この話はラブライブの12話から一期の終わりまでの予定となっております。
学園祭ライブが中止となり、これからいったいどうなってしまうのか?
それでは、第47話をどうぞ!
第47話 「代償」
奏夜たちはラブライブ出場を勝ち取るために学園祭ライブを成功させようと頑張っていた。
そんな中、穂乃果は学園祭ライブに向けてやる気が空回りしてしまい、練習時間以外にも練習するようになる。
その結果、穂乃果は体調を崩してしまい、本番中に倒れてしまった。
その後、穂乃果はすぐに保健室へと運ばれたのだが、倒れた原因はやはりオーバーワークであった。
ライブが中止となったことにより、剣斗はその対応に追われ、理事長にも報告するのだが、理事長から厳しい言葉を受けることになる。
その結果、とあることを言い渡されてしまったのだ。
それは、すぐにμ'sのメンバーも知ることになる。
一方奏夜は、学園祭前日にオーバーワークをしている穂乃果を止めようとしたのだが、思いがけない言葉を浴びて心に深い傷がついてしまう。
そんな中、ジンガと遭遇してしまったのだが、そんな状態ではジンガに勝てるわけはなかった。
奏夜はジンガの剣によって刺されてしまい、魔竜の牙も奪われてしまう。
偶然その場にいた統夜やアキトのおかげで奏夜は一命を取り留めたのであった。
アキトが苦手な法術を使ってまで奏夜を救ったのだが、奏夜は激痛に耐えながら学校へ向かい、学園祭ライブを見届けていた。
その途中に穂乃果が倒れてしまい、奏夜の傷がそれとほぼ同時に再び開いてしまう。
出血もあり、危険な状態であったのだが、統夜やアキト。さらに唯たちの協力によって奏夜は西木野総合病院に運ばれていった。
それに真姫も同行しており、病院に向かう前に真姫は奏夜の症状を事前に真姫の父親に話していた。
西木野総合病院に到着するなり、奏夜は入り口で待機していた医師や看護師たちによってストレッチャーに移動され、そのまま処置室へ運ばれていった。
処置室に運ばれ、医師や看護師は奏夜の傷を見て驚いていた。
思っていたよりも傷が深かったからである。
しかし、アキトの施した法術が多少は聞いているのか、今開いている傷はジンガにつけられた時の半分になっており、ナイフで刺されたような傷になっていた。
しかし、深い傷であることは間違いないため、傷の縫合が行われていた。
他のメンバーが真姫から奏夜のことを聞かされ、病院へと駆け付けたのは、ライブが中止になって2時間後のことであった。
「そーや君!」
凛は処置室の前に到着するなり、大きな声を出していた。
そのため……。
「り、凛ちゃん!しー、だよ?」
ここは病院であるため、大声を出している凛を花陽がなだめていた。
「ご、ごめんなさいにゃあ……」
「それで、奏夜の容態は?」
凛は大きな声を出したことを素直に謝っており、絵里が奏夜の容態を確認しようとしていた。
「まだ処置は続いているんだが、とりあえず命に別状はないとのことだ」
現在も奏夜の治療は続いていたが、命の危機は去ったみたいだった。
とりあえず奏夜が無事だということがわかり、絵里たちは安堵していた。
「それで、いったい奏夜に何があったっていうのよ?」
奏夜の無事がわかったところで、にこはずっと気になっていた話を切り出してきた。
「……そうだな。みんなには話しておくべきだろう。奏夜の身に何が起こったのか」
「とりあえず、場所を変えようぜ。ここだと誰かに聞かれる可能性があるからな」
今統夜たちがいるのは処置室の前であり、そこで一部始終を話してしまっては他の人に聞かれる可能性があるため、場所を変えて話をしようとしていた。
「だったら会議室で話をしましょう」
「それじゃあ、私たちはここで奏夜君の治療が終わるのを待っているね」
紬は奏夜の治療が終わるまでここで待機することを提案しており、それに他の軽音部メンバーが同意して頷いていた。
「悪いな、みんな。お願い出来るか?」
「うん♪任せて♪」
「奏夜君のことは私に任せて、統夜先輩はみんなにしっかり話をしてきて下さい」
「あぁ、もちろんだ」
こうして、軽音部メンバーはここに残ることになり、他のメンバーは会議室に向かうことになった。
「それじゃあ、みんな。こっちよ」
この病院の院長の娘である真姫はこの病院の構造をよく理解しており、真姫が先導する形で会議室へと向かっていった。
会議室へ到着すると、統夜はμ'sのメンバーに、学園祭前日の出来事を語り始めた。
奏夜が夜に練習をしていた穂乃果を止めようとしていたこと。
その時に言われた穂乃果の言葉に奏夜が深く傷ついてしまったこと。
さらに、ジンガが現れてしまい、敗北。体を剣で突き刺された挙句魔竜の牙を奪われてしまったこと。
統夜が全ての話を終えると、絵里たちは険しい表情をしていた。
「……そんなことがあっただなんて……」
「悪いな、絵里。初めて尊士と出くわした時に俺が無理にでもネックレスを預かっていたら、このようなことにはならなかっただろうに」
奏夜が重傷を負ったのも、魔竜の牙を奪われたのも、自分に非があると感じていた統夜は、絵里に謝罪をしていた。
「謝らないでください。奏夜は私たちを守りたいという一心であのネックレスを預かってくれたんですから」
絵里は、ネックレスを奪われたことについては気にしていないみたいだった。
「……それにしても、穂乃果は奏夜に何てこと言ってんのよ」
「そうだよ。住む世界が違うだなんて……」
さらに、穂乃果が奏夜に対して言った言葉を思い出すと、にこと花陽は苛立ちを募らせていた。
「……みんな、あまり穂乃果を責めないで下さい」
「海未の言う通りよ。穂乃果の性格はみんなよくわかっているでしょう?」
海未と穂乃果の発言に怒るにこや花陽をなだめる発言をしており、2人の説明に納得したからか、にこと花陽はこれ以上何も言えなかった。
「その言葉に1番傷ついてるのは、奏夜だ。でも、あいつなら大丈夫だ。きっとこの問題を乗り越えて這い上がってくるさ」
アキトは、奏夜であれば自分の心の弱さを克服することが出来ると信じていた。
「……そうですね。私もそう信じています」
穏やかな表情で語る海未の言葉に、他のメンバーも無言で頷いていた。
「それよりも、奏夜ってば、剣で刺されたんでしょ?そんな傷を負ってたらライブどころじゃないっていうのに、無茶するんだから……」
このように呟くにこの表情からは怒りと心配という感情が読み取れたため、それだけ奏夜のことを心配しているということが理解出来た。
奏夜をここまで心配しているのはにこだけではないのだが……。
「……奏夜君はそのことを必死に隠してたんだね」
「うん。ライブ前に余計な心配をかけさせたくなかったんでしょうね。来なかったとしても私たちは心配するし、来たとして怪我のことがバレたら、私たちもライブどころじゃないでしょうしね」
「だからそーや君は凛たちにあんなきついことを言ったんだね」
1年生組の3人は、奏夜の怪我の話を聞き、奏夜の心境を推測していた。
そんな中……。
「……」
希は考え事をしているのか、浮かない表情をしていた。
「……希?どうしたの?」
「……い、いや!なんでもないんよ。なんでも……」
希は絵里に声をかけられてハッとして、どうにか話を誤魔化そうとした。
しかし……。
「なんでもないことないじゃない!あなた、学園祭の時も何か考え事をしていたわよね?」
希は学園祭の時もこのように考え事をしており、そのことを絵里は見抜いていた。
「ねぇ、いったいどうしたのか教えてくれない?この状況で隠し事はなしにして欲しいの」
「「……」」
絵里の言葉に希だけではなく、何故かことりも浮かない表情をしていた。
「ことり……」
何故ことりがそんな表情をしているのかを察した海未は、悲しげな表情を浮かべながらも何も言わなかった。
そうしているうちに、希は語り始めた。
「……ウチな、学園祭の前日、いつものように占いをしてたんよ。そしたら、死神のカードを引いてしもうてな」
「死神……。ずいぶんと縁起が悪いわね」
希が死神のカードを引いたと知り、真姫は死神というあまりの縁起の悪いカードの存在に浮かない表情をしていた。
「死神のカードは、何かの崩壊とかを意味するんやけど、今思えば、カードはこの結果をわかってたのかもしれなかったんよ」
死神のカードの意味を説明した希は、再び浮かない表情をしていた。
「希……」
「それに、あのカードを引いて、学園祭当日に奏夜君がなかなか現れなかった時、奏夜君に何かあったのかって心配になってたんよ。まさか、あんなことになってたなんて……」
希は自分の引いたカードがライブの失敗だけではなく、奏夜の身に起こったことまで予見していたことに驚いていた。
「希……」
何故希が浮かない表情をしていたことがわかり、絵里は心配そうに希のことを見ていた。
その直後、コンコンとドアをノックする音が聞こえてきた。
突然のノックに、全員が驚きながらも「はい!」と統夜が返事をすると、1人の男性が入ってきた。
「うむ……。みんな、ここにいたのだな」
「!小津先生……」
会議室に入ってきたのは、ライブ中止に関しての対応に追われていた剣斗であり、剣斗がやって来たことに絵里は驚いていた。
「唯たちにみんなはここだと聞いてな。それよりも、遅くなってすまないな。ようやく事態が落ち着いてきたところだ」
「すいません、小津先生……。嫌な仕事を全て引き受けてくださって……」
「気にするな。私は一応教師なのでな。当然のことをしたまでだ」
剣斗は絵里がしなければならない仕事も全て引き受けてくれており、絵里はそのことに感謝をしていた。
「私がここへ来たのは、奏夜の容態を聞きたいのもあるが、理事長の意向を伝えに来たのだよ」
「理事長の意向……ですか?」
「うむ……」
剣斗はこのように前置きをすると、申し訳なさそうに話を続けていた。
「……音ノ木坂学院のスクールアイドル、μ'sのラブライブへの出場は認められないというものだ」
『!!?』
剣斗から告げられた衝撃の告白に、その場にいた全員が驚愕していた。
「ら、ラブライブに出られないなんて……。何でなのよ!?」
ラブライブの舞台を夢見ていたにこにとって、この言葉は到底受け入れられるものではなかった。
「理由は……。言わずともわかるだろう?」
「そ、それは……」
何故ラブライブに出れないのか?
剣斗の言う通り、その理由はにこもわかってた。
そのため言葉を詰まらせるのだが、やはり納得は出来なかった。
「理事長が穂乃果の話を聞いて、そのことに対して厳しい言葉をぶつけられたよ。穂乃果のオーバーワークを教師として止められなかったのかってな」
「そんな!?小津先生は私たちを支えてくれて、何にも悪くはないのに」
剣斗はこの音ノ木坂学院に来てから、μ'sのことをずっと支えてくれていたため、剣斗が理事長から厳しい言葉をぶつけられるのは納得いかなかった。
「いいのだ、花陽。今回のライブ中止は誰のせいでもないし、穂乃果の異変に気づけなかった全員の責任とも言える。だからこそ、私も責められて然るべきなのだよ」
「えぇ。小津先生の言う通りよ。今回のライブについては誰が悪いと訳じゃなくて、私たち全員の責任よ。だからこそ、気持ちを切り替えましょう」
絵里は剣斗の言葉に全面的に同意しており、他のメンバーをまとめる発言をしていた。
他のメンバーもその通りだと感じていたからか、ウンと頷くのだが……。
「……だけど……」
「奏夜君は気にするやろうね」
「そうね。奏夜は真面目だし、今回のことは全部自分のせいだって全部1人で抱え込もうとするのが容易に予想出来るわ」
「……ふーん……」
真姫は奏夜の心情を察する発言をしており、それを聞いた凛は、素直に感心しながら真姫のことを見ていた。
「?何よ、凛。私のことをジッと見て」
「いやぁ、真姫ちゃんって、そーや君のことをよく見てるんだなぁって感心してただけにゃ!」
「!?う、うるさいわね!////奏夜は仲間なんだから当然でしょ?」
凛に痛いところを突かれたからか、真姫は頬を赤らめながらムキになっていた。
「あれぇ?真姫ちゃん、照れてるのかにゃ?」
「照れてない!」
「真姫ちゃん、可愛いにゃあ♪」
そんな真姫を凛がからかっており、真姫はムキになって反論をしていた。
『やれやれ……。相変わらずあのお嬢ちゃんはツンデレだぜ……』
イルバは真姫のことをツンデレであるとすぐに見抜いており、会うたびにツンデレな態度に呆れていた。
「……は、話を続けても良いだろうか?」
「「す、すいません……」」
凛が真姫をからかったため、話がそこで止まってしまい、剣斗は申し訳なさそうに話を続けようとしていた。
そのため、話を中断していた凛と真姫は素直に謝っていた。
「……奏夜については、私に任せてくれないか?奏夜ならすぐに立ち直るだろうが、我が友の支えとなりたいのだ」
「……小津先生……」
剣斗は奏夜の力になることを願っており、そんな剣斗の姿勢に、海未は心を打たれていた。
「でも、先生は何でそこまで奏夜のことを買っているんですか?」
「そうね。いつも奏夜のことを我が友って呼んでるけど、私はそのことに違和感を感じてたのよね」
「確かに……。そこは私も疑問だったのよねぇ」
絵里、真姫、にこの3人は、何故剣斗が奏夜のことを友と呼ぶのかずっと気になっていた。
「知りたいか?私が何故奏夜のことを友と思っているのかを」
この剣斗の問いかけに、絵里たちだけではなく、統夜とアキトも頷いていた。
奏夜と同じく剣斗とは修練場で知り合った統夜でさえも、何故剣斗が奏夜のことを友と呼び慕っているのかは疑問であった。
「……ふふ、それはな……」
剣斗がそのことについて語り始めようとしたその時、コンコンと扉をノックする音が聞こえてきた。
「はい!」
統夜がノックに反応すると、会議室の扉が開かれ、梓が中に入ってきた。
「統夜先輩、奏夜君の治療が終わりましたよ!」
梓は奏夜の治療が終わったことを報告しに来たみたいだった。
「そうか!それで、奏夜は?」
奏夜の治療が終わったことがわかり、統夜だけではなく、その場にいた全員の表情が明るくなっていた。
「しばらく入院が必要だとは言っていたけど、命に別状ないってお医者さんは言ってました」
「よ、良かったぁ……」
奏夜の無事がわかり、ことりは安堵しており、他のメンバーも安堵していた。
「今、ムギ先輩たちが入院の手続きをしてくれています」
現在、紬たちは入院の手続きを行ってくれていた。
「わかった。後のことは私たちに任せて、みんなは帰るといい。今日は色々なことがあり過ぎて疲れただろう?」
剣斗は絵里たちの体調を気遣い、家に帰そうとしていた。
「……わかりました。小津先生や統夜さんたちのご厚意に甘えさせてもらいます」
絵里はそんな剣斗の提案を受け入れており、他のメンバーも誰も反対はしなかった。
奏夜の無事もわかったところで絵里たちは帰ることになり、西木野総合病院を後にしといた。
絵里たちに話を終えた統夜たちは紬たちと合流し、入院の手続きを終わらせた。
治療は終わったものの、奏夜は未だに意識がない状態であり、いつ眼を覚ますかはわからないとのことであった。
唯たちは明日からいつものように大学の講義があるため、手続きが終わるなり斎藤の運転する車で東京を離れることになった。
統夜、アキト、剣斗の3人も1度番犬所へ戻って学園祭で起こったことをロデルに報告することにしていた。
番犬所へ到着した3人は、すぐさまロデルに学園祭ライブが途中で中止になったことと、穂乃果が熱で倒れ、奏夜の傷が開いて西木野総合病院へ入院したことを報告したのであった。
μ'sのことを応援していたロデルは残念がっていたが、奏夜から話を聞いていた時からこうなることは予想していたのである。
エレメントの浄化やホラー討伐は翡翠の番犬所に所属しているリンドウや大輝に行ってもらい、統夜と剣斗には奏夜のフォローを頼んでいた。
そして現在、元老院が全力をあげてジンガの居所を調べており、居場所が判明次第、統夜と剣斗には魔竜の眼と牙の奪還を行ってもらう予定でいた。
番犬所への報告を済ませた統夜と剣斗は交代で奏夜の看病を行うことにした。
しかし、剣斗は学校があるため、奏夜の看病は統夜がメインで行うことになったのであった。
※※※
そして、奏夜が目を覚ましたのは、翌日の昼であった。
「……う、うん……?」
奏夜がゆっくりと目を覚まし、最初に飛び込んできたのは、見覚えのない天井であった。
「……よう、奏夜。やっと目を覚ましたみたいだな」
統夜は穏やかな表情をしながら、奏夜が目覚めたことに喜んでいた。
ちなみに、奏夜が今入院しているのは個室であり、これは院長の娘である真姫の声かけのおかげでもあった。
「統夜さん……。俺は一体……」
「奏夜、お前はジンガと戦って傷を負ったろ?学園祭の時にその時の傷が開いちまったんだよ」
統夜は冷静に奏夜の身に起こったことを説明していた。
「……!そうだ!ライブは!?……っててて……」
奏夜はガバッと起き上がるのだが、それと同時に、奏夜に激痛が襲ったのであった。
「奏夜、あまりに無理するなよ。お前は病み上がりなんだから」
「す、すいません……」
統夜は急に起き上がる奏夜をなだめており、奏夜は痛みが治まったのか、そのまま起き上がっていた。
「ライブだが、穂乃果が倒れたのはお前も見ただろう?当然ライブは中止になったけどな」
「そう……でしたか……」
奏夜はここでライブの中止を聞いて落胆していた。
奏夜は剣斗のライブの中止を聞いていたハズなのだが、この時、奏夜は激痛に苦しんでいたため、ちゃんと話を聞いていなかったのである。
「あと、ライブの時に倒れた穂乃果だが、やはり風邪みたいで、今でも寝込んでるみたいだぞ」
「……」
穂乃果が寝込んでいると知り、奏夜は険しい表情をしていた。
「……奏夜。これはお前だけの責任じゃない。穂乃果の異変に気付けなかった全員の責任なんだ。だから、1人で全部背負い込むなよ」
「……はい。わかっています……」
穂乃果の問題は自分1人で背負い込むものではない。
それは奏夜も頭では理解していたが、やはり心の中では自分を責めていたのであった。
「……奏夜。もう1つ、お前に話さなきゃいけないことがある」
「話……ですか?」
「あぁ、落ち着いて話を聞いてくれよ」
統夜はこのように前置きをしてから本題を切り出した。
「……ラブライブだけどな、μ'sは出場を辞退したんだ」
「……え?」
統夜の口から告げられた言葉を聞いた奏夜は驚いており、その内容が信じられなかった。
「……理由として1番大きいのはやはり穂乃果のオーバーワークだろうな」
『ま、倒れるほどの無茶をしたんだ。そう決めるのは妥当だろうな』
「……何でこんなことになったのか。だいたい察することは出来るだろ?」
「……はい」
奏夜はμ'sがラブライブの出場を辞退した理由について、思い当たる節がいくつもあった。
「剣斗も理事長に色々言われたそうだが、絵里も理事長に呼び出されて色々言われたそうだ。無理をし過ぎていたのではないか?こんな結果を招くためにアイドル活動をしていたのか?ってな」
「……」
理事長の言っていることは的を得ているため、奏夜は悔しさのあまり唇を噛んでいた。
「それに、ラブライブの出場を辞退したと言ったろ?もうランキングにはμ'sの名前は無くなっているんだよ」
「……!」
奏夜はベッドの近くに置いてあったスマホを慌てて取り出し、スクールアイドルのサイトを開いた。
そしてランキングを確認するのだが、統夜の言う通り、そこには「μ's」の名前はなかった。
「……そう……ですよね……」
ライブが中止になったと知ってから、奏夜もこの展開は予想しており、奏夜は悲痛な表情を浮かべていた。
「奏夜、あまり気を落とすなよ。お前らの目的はラブライブに出ることじゃなくて廃校阻止なんだろ?」
統夜は奏夜たちμ'sの本来の目的を言って、奏夜のことをなだめていた。
「はい……」
奏夜もまた、その目的はよくわかっていたが、やはり気持ちは晴れなかった。
「ま、しばらくは入院することになるんだ。魔戒騎士の仕事やジンガのことは俺たちに任せてゆっくりと体を休めろよ」
『奏夜。とりあえず今は傷を完治させるのが急務だ。色々考えなきゃいけないことはあるだろうが、それは後回しにするんだな』
奏夜の相棒であるキルバもまた、奏夜のことを気遣う発言をしていた。
「ま、そういうわけで、俺はもう行くな。あっ、そうそう。みんなも近々お見舞いに来るって言ってたぞ」
このように告げると、統夜は病室を後にした。
「……」
統夜がいなくなり、奏夜は再びベッドに横になるのだが、その表情は険しいものだった。
『……奏夜。さっきも言ったが、今は傷を治すことだけを考えろよ。俺たちの目的はラブライブじゃなくて廃校阻止なんだからな』
「わかってる……。わかってるけど……」
奏夜は頭ではキルバや統夜の言葉を理解はしていた。
しかし、色々と納得出来ないところがあるみたいだった。
『それに、お前が思い詰めていたらあいつらは余計に心配するだろうが』
「……!そうだな……」
奏夜は夏休みに色々と思い詰めていた結果、散々穂乃果たちを心配させてしまった。
今、その時と同じ状況になりそうだったため、それをキルバが止めており、その言葉に奏夜は納得していた。
『数日は退院出来ないだろうし、今のうちに体を休めておくんだな。復帰したら色々忙しくなるからな』
「……あぁ。色々とやらなきゃいけないことがあるからな」
ラブライブには出れなかったものの、これからのμ'sの活動をどうするのかという問題や、ことりの留学問題など、解決しなければいけない問題は多いため、ここからは奏夜の手腕が問われることになる。
奏夜は今でも自分のせいでこのような結果になってしまったと思ってしまったため、学園祭でのマイナスを取り戻そうと考えていた。
それを成すためには素直に療養する必要があると感じていた奏夜は、大人しく体を休めることにした。
学園祭ライブが中止になり、ラブライブへの出場辞退という大きな代償を支払うことになった奏夜たちだったが、奏夜は再スタートすることを考えていた。
しかし、ことりの留学問題が、μ's崩壊の引き金となってしまうことを、奏夜たちは知る由もなかった……。
……続く。
__次回予告__
『奏夜が無事に復活したのはいいのだが、まさかこのようなことが起きてしまうとはな。次回、「友達」。崩壊の序曲が、今始まる!』
新章はラブライブの12話からと言いましたが、今回は学園祭ライブの後日談となってしまいました。
前作の主要キャラであるけいおん!メンバーはすっかり奏夜たちの補助役になってしまいましたね。
そんな形でも登場させられるのはありがたいことなのですが。
剣斗もまた、任務で音ノ木坂学院に潜り込んでいるハズなのですが、すっかり教師が板についているみたいです。
修練場で教官をしていた剣斗にとって教師は天職なのかもしれませんね。
これから剣斗はさらに奏夜たちと深く関わっていきますが、何故剣斗は奏夜のことを友と呼ぶようになったのか?
これは徐々に明らかになっていきます。
さて、次回はいよいよラブライブ!第12話の話に突入します。
前章の終わりからシリアスな展開が続いてきましたが、次回もさらにシリアスになっていくと思います。
次回の投稿も遅くなるとは思いますが、なるべく早く投稿したいとは思っています。
なので、次回をお楽しみに!