牙狼ライブ! 〜9人の女神と光の騎士〜   作:ナック・G

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お待たせしました!今回は番外編となります。

今日はついにFF14の追加ディスクである「紅蓮のリベレーター」の発売日です!

すでにアーリーアクセスは始まっていて、先に始めてるプレイヤーはけっこういましたが、僕は今日から始めるので楽しみにしています。

今回はそんな紅蓮のリベレーターの発売記念の番外編を投稿しました。

FF14の話になってしまうため、わからない人は多いかと思いますが、出来るだけFF14未プレイの人でも楽しめるようにしようとは思って頑張りました。

ですが、やはりわかりにくいところはあるかもなので、そこはごめんなさい。

それでは、番外編をどうぞ!




紅蓮のリベレーター発売記念作品 「光の騎士と光の女神たち 前編」

……ここは秋葉原ではないどこか。

 

この地は秋葉原のような都市ではなく、まるで荒野のような土地であった。

 

そんな場所でとあることが起きていた。

 

それは……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……くん!そーくん!!起きて!!」

 

「ん?んぁ……?」

 

奏夜は穂乃果に声をかけられたため、目を開けてゆっくりと起き上がっていた。

 

すると……。

 

「ほ、穂乃果!?何だよお前!その格好は!」

 

奏夜は私服でも音ノ木坂学院の制服でもない格好をしている穂乃果を見て驚いていた。

 

何故か穂乃果は騎士のような鎧を身につけていたからである。

 

「いやぁ、私も気が付いたらこんな格好をしてたからびっくりしたよ!だってまるでゲームのキャラクターみたいなんだもん!」

 

どうやら穂乃果自身も騎士のような格好をしていることに驚いているみたいだった。

 

すると……。

 

「奏夜。目が覚めたみたいですね」

 

「良かったぁ♪」

 

続いて、海未とことりが奏夜の前に現れたのだが……。

 

「う、海未!?ことり!?お前らもか!?」

 

どうやら海未とことりもいつもとは違う格好をしており、奏夜は再び驚いていた。

 

「私、何でこのような格好をしているのでしょう?それに、弓も……」

 

「ことりも……。この本、どうやって使うんだろう?」

 

「穂乃果は剣と盾だよ!まるで魔戒騎士みたい!」

 

海未はどうやら弓使いの格好をしており、弓を持っていることに疑問を感じていた。

 

そしてことりは魔法使いのような格好であり、何故か本を持っていた。

 

穂乃果は騎士のような鎧の他に、剣と盾を装備していた。

 

「なぁ、他のみんなはどうしてるんだ?」

 

「あぁ、他のみんななら……」

 

穂乃果はとある方向を指差すと、そこには3年生組と1年生組の姿があった。

 

しかし、6人もまた、いつもとは違うまるでファンタジーのような格好をしていたのである。

 

「アハハ……。お前らもそうなのか……」

 

「うん!なんだかよくわからへんけど、カードを使うなんてウチにピッタリやろ?」

 

希もまた、魔法使いのような格好であり、謎の球体にカードのようなものを持っていた。

 

「この格好はよくわからないけれど、勉強が出来る私にはこの本はピッタリなのかもしれないわね」

 

真姫も同じように魔法使いのような格好であり、ことりと似たような本を持っていた。

 

「にっこにっこに〜♪みんなのアイドルにこにーは、みんなを笑顔にする、魔法使い始めましたぁ♪」

 

にこはどうやら正真正銘の魔法使いの格好であり、魔法使いが使う杖のようなものを持っていた。

 

「な、何で私、こんな格好をしてるのぉ……?」

 

花陽もにこと似た格好をしており、杖はにこのものと異なっていた。

 

「かよちん、可愛いにゃあ♪」

 

そして凛は、戦士のような格好をしていたのだが、武器らしいものは装備していなかった。

 

「……ウフフ♪賢い可愛いエリーチカじゃなくて、賢い格好いいエリーチカに変更しなきゃダメかしら?」

 

絵里は騎士のような格好をしており、何故か槍のようなものを持っていた。

 

『……それにしても、穂乃果たちがおかしい格好をしてるというのに、お前はいつも通りなんだな、奏夜』

 

キルバの指摘通り、穂乃果たちはいつもとは違う格好をしているのに対して、奏夜はいつもと同じ格好をしていた。

 

「確かにそうだよな……。どうやら魔戒騎士としての力は失ってないみたいなんだよ」

 

『どうやらそうみたいだな』

 

穂乃果たちに何かしらの変化が起こっている中、奏夜には変化は起こっではいなかった。

 

「なんでそーくんだけそのままなんだろう?」

 

「それに、私たちのこの格好はいったい?」

 

自分たちが何故ゲームのキャラクターのような格好をしているのかも疑問だったが、奏夜だけがそのままだということも疑問であった。

 

「それだけじゃないわ」

 

「そうやねぇ。ここは明らかに秋葉原やないやろ?ウチらはなんでこんなところにいるんやろう?」

 

奏夜たちがいた秋葉原とこの地は明らかに違っており、自分たちが何故このようなところにいるのか疑問だった。

 

「確か俺たちは穂乃果の家にいたんだよな?」

 

「そうそう!穂乃果が面白いゲームがあるって話をしていて、みんなで見に来たのよね?」

 

「アハハ……。とは言っても最近始めたばかりなんだけど……」

 

奏夜たちはどうやら穂乃果の家にいたみたいであった。

 

穂乃果がハマったゲームを見に来たためである。

 

「それって確か、ファイナルファンタジーだっけ?」

 

「そう!ファイナルファンタジー14だよ!ヒデコたちに勧められて、最近始めたんだよね」

 

「まさかとは思うけど、ここって……」

 

「いやいやいや!ゲームの世界に来てるとか、あり得ないだろ!」

 

穂乃果が最近になってオンラインゲームであるFF14を始めたと知り、真姫はとある仮説を立てようとしていたのだが、奏夜はその仮説を否定していた。

 

「だけど、穂乃果の家に行って穂乃果がそのゲームをやろうとしてたのは覚えてるけど、それ以降の記憶が曖昧なのよねぇ」

 

「……!確かにそうだけど……!」

 

絵里の言葉通り、どうやら奏夜たちの記憶は一部のみ失っているようであり、その事実が真姫の仮説を確信に変えつつあった。

 

そんな事実に奏夜たちが戸惑っていたその時だった。

 

「……来ましたか。光の騎士と光の女神たちよ。私はあなた方が来るのを待っていました」

 

そう言いながら現れたのは、フード付きのコートを着ており、顔には妙なレンズのようなものをつけている長身の男だった。

 

「……何者だ!」

 

奏夜は現れた男に警戒をしており、魔戒剣を抜こうとしていた。

 

「待ってください。私はあなた方の敵ではありません」

 

奏夜が男に対して敵視を向けていることに対して、男は焦りを見せていた。

 

『おい、奏夜。どうやらこの男からは敵意を感じないぞ』

 

「えっ?そうなのか?」

 

キルバの言葉を聞いて、奏夜は魔戒剣を抜くのをやめていた。

 

「その妙な指輪の言う通りです。私はあなたたちの敵ではないのです」

 

「あの、あなたは……?」

 

「私の名はウリエンジェ。この神々に愛された地、「エオルゼア」の救済のために動いております」

 

「エオルゼア……。それがこの世界の名前なのですね?」

 

男は自分のことをウリエンジェと名乗っており、エオルゼアというのは、今奏夜たちがいるこの世界の総称のようであった。

 

「あなた方はこのエオルゼアの人間ではない。ですのでまずは説明しましょう。このエオルゼアについてのことを……」

 

ウリエンジェはこうして語り始めた。

 

この世界……エオルゼアについての話を。

 

このエオルゼアという世界は、エーテルと呼ばれる不思議な力が存在しており、その塊であるクリスタルが存在している。

 

この世界は争いが絶えない世界のようであり、この地の東方から「ガレマール帝国」と呼ばれる国の侵攻が行われていたり、蛮族と呼ばれる者たちが「蛮神」と呼ばれる荒ぶる神を呼びおろしていたりしていた。

 

そんな脅威が多い中、ウリエンジェはそんなエオルゼアの救済のために動いており、志を共にした組織である「暁の血盟」に所属して活動していた。

 

「なるほど、帝国に蛮神か……」

 

『ずいぶんとキナ臭い話ではあるがな』

 

「この世界のことはわかりました。ですが、何故私たちがこの世界に呼ばれたのですか?」

 

「そうだよねぇ。魔戒騎士のそーくんはともかく、私たちは何の力もない一般人なのに……」

 

魔戒騎士としてホラーを討伐している奏夜ならばこの世界に呼ばれたと言っても納得なのだが、スクールアイドルではあるが何の力もない穂乃果たちまでこの世界に呼ばれたというのは疑問であった。

 

「いえ。あなた方には超える力と呼ばれる不思議な力を秘めています。我らに力を貸してくれている冒険者と、我が盟主と同じ力を……」

 

「超える力……?」

 

「別に凛たちはそんな凄い力を持ってるなんて思えないけどなぁ」

 

「!もしかして、この世界に来た影響もあるんじゃないの?」

 

「なるほどな。だとしたら納得ではあるが……」

 

「あなた方が元の世界に戻れるかはわかりませんが、私たちはそのお手伝いをさせてもらいますよ」

 

「……そうしてくれると助かる」

 

どうやらウリエンジェは奏夜たちの力を借りたいのもあるのだが、奏夜たちが元の世界に戻れるよう手助けもしてくれるみたいであった。

 

「そうであれば我が暁の血盟のアジトへと案内しましょう。すぐそこにチョコボキャリッジを用意しております」

 

「チョコボ?」

 

聞いたことのない単語に奏夜たちは首を傾げていた。

 

「案内します。どうぞこちらへ」

 

ウリエンジェがどこかへと移動を開始したため、奏夜たちはそれについていった。

 

すると、そこには一台の馬車のような乗り物が置かれており、それを牽引しているのは見たこともない生物だった。

 

「クエッ♪クエッ♪」

 

「か……可愛い♪」

 

この生物がどうやらチョコボというみたいなのだが、そんなチョコボを見たことりはキラキラと目を輝かせていた。

 

「本当ですね♪」

 

どうやら花陽もことりと同じことを考えていたようであり、ことりと花陽は2匹のチョコボと戯れていた。

 

「「クエッ♪クエッ♪」」

 

どうやら2匹のチョコボはことりと花陽に撫でられたりするのが嬉しかったようであり、2人に甘えていた。

 

「なるほど、これがチョコボっていうのか……」

 

「まるで、鳥と馬が合わさったかのような生き物ですね……」

 

奏夜と海未は、チョコボをまじまじと眺めながらこのような分析をしていた。

 

ことりと花陽がしばらくチョコボと戯れた後、奏夜たちとウリエンジェはチョコボキャリッジに乗り込んだ。

 

「……さぁ、行きましょう。まずはこの先にある「ホライズン」という町を越え、その先にある「ベスパーベイ」と呼ばれる港町に向かいます。その街に我が暁の血盟のアジトがあります」

 

こうウリエンジェが暁の血盟のアジトへの道のりを説明したところでチョコボキャリッジは動き始めた。

 

チョコボキャリッジは奏夜たちの時代にある車や電車よりも明らかに速度は遅かったものの、見たことのない景色を楽しんでいたため、そこまで苦ではなかった。

 

こうして間もなくしてホライズンに到着し、奏夜たちは秋葉原の街とは明らかに違う風景を眺めていた。

 

すると、穂乃果はとあることが気になっていた。

 

「あの……。この街では小さい子も働いていますけど、子供が働くのも当然なんですか?」

 

穂乃果は子供並に小さい人が普通に働いているのを見て、それが疑問であった。

 

「このエオルゼアには様々な人種が存在しています。おそらくあなたが見たのは「ララフェル」と呼ばれる種族でしょうね」

 

「ララフェル……」

 

「それにしても、この世界は驚くことばかりだな」

 

『よく言うよ。お前は魔戒騎士として色々あり得ないことをしてただろう?』

 

「確かにそうだけど……」

 

「あなた方の話しているその魔戒騎士というのは何なのですか?」

 

間もなくホライズンを出るというタイミングで、ウリエンジェがこのような疑問をぶつけていた。

 

『この世界にはホラーはいないみたいだし、話してもいいんじゃないか?』

 

「そうだな。あんたには話しておくよ。魔戒騎士やホラーの話を」

 

まだ目的地であるベスパーベイに到着するまでは時間があるため、奏夜は語り始めた。

 

奏夜たちの世界には、陰我という闇をゲートとして現れ、人間を喰らうホラーと呼ばれる魔獣が存在し、そんなホラーを討滅するのが奏夜のような魔戒騎士であるという話をしていた。

 

「なるほど……。人を喰らう魔獣と、それを狩る魔戒騎士ですか……。あなたたちの世界にも、厄介な魔獣が存在するのですね……」

 

「まぁな。だからこそ、俺は戦っているんだ。守りし者として……」

 

「守りし者……ですか……」

 

どうやらウリエンジェは、奏夜の言っていた守りし者という言葉に反応していた。

 

「……もしかして、あの街が?」

 

トンネルのようなものを越えると、街のような光景が見えてきた。

 

「そうです。ここが「ベスパーベイ」。この町に私たち暁の血盟のアジトがあります」

 

こうして奏夜たちはベスパーベイと呼ばれる町に到着して、奏夜たちはチョコボキャリッジから降りていった。

 

「ここまで連れてきてくれてありがとね♪」

 

「凄く楽しかったよ♪」

 

ことりと花陽は、奏夜たちをベスパーベイまで運んでくれた2匹のチョコボを労い、チョコボの頭を撫でていた。

 

「「クエッ♪」」

 

どうやら花陽とことりに撫でられたことが嬉しかったのか、チョコボたちは喜んでいた。

 

「あなたたちは先に我らのアジトである「砂の家」に向かっていて下さい。この先にある大きな建物がそうです」

 

「わかった。俺たちは先に行ってるよ。行こう、みんな」

 

奏夜たちは1度ウリエンジェと別れると、そのまま近くにある暁の血盟のアジトと思われる建物へと向かった。

 

奏夜が先頭で、その建物の中に入るのだが……。

 

「……フンフフンフフ〜ン♪すーなのこーやにおはな〜がさ〜いた〜♪」

 

ホライズンで見かけたララフェルと呼ばれる種族なのだろうか?

 

小柄な女性が、妙な歌を歌っていた。

 

奏夜たちがゾロゾロと建物の中に入ってくると、女性は気付いたようであり、歌を聞かれたことを驚いていた。

 

「なっ、なんでっすか?あなたたちは!しかも、こんなにゾロゾロと……」

 

「確か、砂の家ってここだよな?俺たち、ウリエンジェの紹介で来たんだけど……」

 

「ウリエンジェさんの紹介でっすか?」

 

この女性は、訝しげな表情で奏夜たちのことを見ていた。

 

「……嘘を言ってはいけないでっすよ。ウリエンジェさんがそんな簡単に人をこの砂の家に招くことはしないんでっすから」

 

どうやらこの女性は奏夜たちの言葉を信じていないようであり、奏夜たちはどうすればいいかわからず困っていた。

 

すると……。

 

「タタル、彼らの言葉は嘘ではありませんよ。私が招待しました」

 

ウリエンジェが現れ、奏夜たちが本当に自分の紹介だということを伝えていた。

 

「ほ、本当にウリエンジェさんの紹介だったんでっすか?失礼しました!」

 

タタルと呼ばれた女性は、ここでようやく奏夜たちの言葉が本当であると理解したようであった。

 

「私はタタルといいまっす。この暁の血盟の受付と事務を担当していまっす」

 

タタルは自己紹介をし、自分の役割も説明していた。

 

「なるほど、受付とか事務も大切な仕事だもんな」

 

「そうでっす!私はこの仕事に誇りを持っていまっす!」

 

奏夜の言葉を素直に捉えたタタルは、「ふんす!」とドヤ顔をしていた。

 

その後、奏夜たちは自己紹介をしていた。

 

「なるほど、ソウヤさんにホノカさん。ウミさんにコトリさん。ハナヨさんにリンさんにマキさん。そして、エリさんとノゾミさんとニコさんでっすね?覚えました!」

 

僅かな自己紹介であったにもかかわらず、タタルは奏夜たちの顔と名前を一致させていた。

 

「凄いな、もう名前を覚えるなんて……」

 

「受付や事務をしている私にしたらこれくらいは当然でっす!」

 

タタルは再びドヤ顔をしており、そんなタタルの様子に奏夜たちは苦笑いをしていた。

 

「さて、中に入りましょう。こちらです」

 

こうして奏夜たちはウリエンジェの案内で砂の家の中に入っていった。

 

中は意外と広々としており、奏夜たちはキョロキョロと周囲を見回しながら進むのだが、奏夜たちが案内されたのは一番奥の部屋だった。

 

「あの……ここは?」

 

「ここは暁の間と呼ばれています。ここに、我らが暁の血盟の盟主が待っております。行きましょう」

 

奏夜たちは暁の血盟の盟主が誰なのかわからないため少しだけ緊張するのだが、ウリエンジェが先頭となり暁の間に入っていったため、奏夜たちも後を追っていた。

 

暁の間に入ると、一番奥には金髪でスタイルの良い女性が立っており、それ以外にも何名かがこの暁の間に来ていた。

 

「……ミンフィリア。少しよろしいでしょうか?」

 

「あぁ、ウリエンジェさん。どうしました?」

 

「先ほどリンクシェルで話した例の10人を連れてきました」

 

「あぁ、あなたたちがそうなのね。いらっしゃい!歓迎するわ」

 

金髪の女性はミンフィリアと呼ばれており、彼女は奏夜たちのことを歓迎しているみたいであった。

 

「あの……。あなたは?」

 

「私はミンフィリア。ウリエンジェさんが話してたと思うけど、暁の血盟の盟主をしています」

 

どうやらミンフィリアがこの暁の血盟の盟主であるみたいであり、そのことに奏夜たちは驚いていた。

 

「それにしても、確かにみんなからは不思議な力を感じるわ。……特にあなた」

 

ミンフィリアは奏夜たちから不思議な力を感じていたのだが、彼女は奏夜を指していた。

 

「お、俺ですか?」

 

「あなたからは、私と同じ力の他に、別の力も感じます」

 

「別の力……。あぁ、俺は魔戒騎士でもありますから」

 

「魔戒騎士?」

 

どうやらミンフィリアは魔戒騎士という言葉を初めて聞いたみたいであり、首を傾げていた。

 

「俺たちはこの世界の人間ではありません。俺たちの世界には、人の闇をゲートに現れて人を喰らうホラーという魔獣が存在しているのですが、俺はそんなホラーを狩って人を守る魔戒騎士なんです」

 

「人の闇をゲートに現れる魔獣……」

 

「まるでアシエンみたいな存在だな……」

 

奏夜たちの話を聞いていたララフェルの男性は、難しい表情をして考え事をしていた。

 

「アシエン?」

 

「私たちの真の敵の1つよ。まぁ、その話はおいおいね」

 

どうやらアシエンと呼ばれる存在はホラーと似ているところがあるみたいなのだが、詳しい話は省略されていた。

 

「さて、話をする前に自己紹介でもしましょうか。私たちのメンバーもおおよそ揃っているし」

 

本題を切り出す前に、全員の自己紹介を行うことにしていた。

 

先に自己紹介を行うのは暁の血盟のメンバーからであった。

 

「僕はパパリモ。この暁の血盟のメンバーで、シャーレアンっていう街の賢人の1人なんだよ」

 

「賢人?」

 

「まぁ、要するに偉い人って覚えておけ」

 

「なるほど!」

 

パパリモの言っていた賢人という言葉に穂乃果は首を傾げており、奏夜は簡単に説明をしていた。

 

「あたしはイダ!パパリモの相棒ってところかな?みんな、よろしくね!」

 

続けて自己紹介をしたのは、白い帽子のようなものを被っていたのだが、金髪が見え隠れしている女性で、仮面をつけていた。

 

「あのっ、何で仮面をつけているんですか?」

 

「アハハ……。まぁ、あたしのことはいいじゃない!ほら、ヤ・シュトラ!今度はあなたが自己紹介をしなさいよ!」

 

どうやら仮面をつけている理由は触れられたくないみたいであり、つづけて白い髪で、まるで猫のような見た目の女性だった。

 

「やれやれ……。仕方ないわね」

 

猫のような女性は少しだけ呆れながら自分の自己紹介をすることにした。

 

「私の名前はヤ・シュトラ。パパリモと同じでシャーレアンの賢人の1人よ。まぁ、よろしくね」

 

この女性、ヤ・シュトラもまた、シャーレアンの賢人と呼ばれており、このように自己紹介をしていた。

 

「素敵な人ね……」

 

「なんだか真姫ちゃんみたいだにゃ♪」

 

「ヴェェ!?べ、別に私はそんなんじゃないわよ!」

 

「それにしても、ヤ・シュトラさんでしたっけ?猫みたいな感じがしますが、それって……」

 

「あぁ、私は「ミコッテ」と呼ばれる種族なの。ミコッテを見るのは珍しいかしら?」

 

ことりの指摘通り、ヤ・シュトラは人間と猫が合わさったかのような見た目をしており、ヤ・シュトラはミコッテと呼ばれる種族であった。

 

ホライズンやベスパーベイでは見かけなかったため、奏夜たちは少しだけ驚いていた。

 

「まぁ、ヤ・シュトラの自己紹介はここまでにしておいて、次は俺かな?」

 

続いて自己紹介を行おうとしているのは、白い髪の少しだけ軽そうな男であった。

 

「俺の名はサンクレッド。こんな可愛い子達と知り合えるなんて光栄だよ。親交を深めるためにも今度食事でも……」

 

サンクレッドは自己紹介をした後に穂乃果たちを口説こうとしていた。

 

「……サンクレッド。この子達に手を出したら、恐らくあの子が黙ってないと思うわよ」

 

「……」

 

穂乃果たちを口説こうとしていたサンクレッドを見て、奏夜はジト目で彼を睨みつけていた。

 

「アハハ……。冗談だって、冗談!」

 

「サンクレッドが言うと、冗談に聞こえないのよね……」

 

サンクレッドは冗談だと言っていたが、それが冗談だとは思えないヤ・シュトラは苦笑いをしていた。

 

今自己紹介したメンバーの他にミンフィリアとウリエンジェを含めたこのメンバーが、暁の血盟の主要メンバーである。

 

他にも暁の血盟の主要メンバーはいるのだが、ここには姿を現してはいないようだった。

 

こうして暁の血盟のメンバーの自己紹介が終わり、奏夜たちが自己紹介をしようとしたその時だった。

 

奏夜たちのいる暁の間の扉が開かれると、1人の青年が中に入ってきた。

 

その青年は赤の入った黒い髪で、赤いコートを羽織っていた。

「……あら、いらっしゃい。待ってたわ。トウヤ」

 

「!?」

 

ミンフィリアがこの青年のことをトウヤと呼んでいたため、奏夜は彼の顔を見たのだが、その顔を見て奏夜は驚愕していた。

 

奏夜の先輩騎士である月影統夜とそっくりだったからである。

 

「と……統夜……さん!?どうしてこんなところに!?」

 

「?君は……俺のことを知ってるのか?」

 

トウヤと呼ばれた青年は、自分のことを見て驚いている奏夜を見て、首を傾げていた。

 

「えっ……?」

 

トウヤのまるで他人のようなリアクションに、奏夜は困惑していた。

 

『奏夜、落ち着け。確かにあいつの着てる魔法衣と似ているが、奏狼の紋章はない。こいつはあの統夜と似ているだけだ』

 

「ゆ、指輪が喋った!?」

 

どうやらこの世界でもキルバのように喋る指輪は珍しいようであり、トウヤは驚いていた。

 

「アハハ……。そう……だよな……」

 

奏夜たちの目の前にいるトウヤは、奏夜たちの知っている統夜とは別人であり、そのことに奏夜は落胆していた。

 

そんな中、キルバが喋ることに驚いていたのはトウヤだけではないようであり……。

 

「へぇ、喋る指輪だなんて、珍しいわね」

 

「確かにそうね。腕の良い彫金師でもきっと作れないんじゃないかしら?」

 

ミンフィリアとヤ・シュトラは、キルバが喋るということに強い興味を示していた。

 

さらに……。

 

「それだけじゃなくて、その指輪からはエーテルのような力を感じる。1度分解して調べてみたいくらいだ」

 

パパリモは、キルバから力を感じ取っており、より強い興味を示していた。

 

『悪いが、断固お断りだ!』

 

キルバが分解されることを良しと思うハズもなく、拒否反応を示していた。

そのことに、パパリモは残念そうにしていた。

 

「あ、改めて彼を紹介するわね。彼はトウヤ・ツキカゲ。私たち暁の血盟に協力をしてくれている冒険者よ」

 

「ど、同姓同名……!?」

 

『ほう……。さすがにそれは俺も予想外だぞ』

 

奏夜たちの目の前にいるトウヤは、どうやらあの月影統夜と同姓同名であり、そのことに奏夜とキルバは驚いていた。

 

それは穂乃果たちも同様であり、目をパチクリとさせていたのだが……。

 

「トウヤ。彼らは何かしらの要因があってこのエオルゼアに迷い込んできた子達よ。あなたや私と同じ超える力を持っているみたいだわ」

 

「えっ!?そうなのか!?それは驚きだけど……」

 

トウヤがその事実に驚いており、その後は奏夜たちが自己紹介を行うことにした。

 

奏夜はトウヤにも自分が魔戒騎士であることを伝えていた。

 

他のメンバーは、スクールアイドルの活動を行っていることも話していた。

 

にこに至ってはいつも通り「にっこにっこに〜♪」をしており、トウヤや暁の血盟のメンバーを困惑させていたのだが……。

 

「……魔戒騎士にスクールアイドルか……」

 

「魔戒騎士の話はさっき聞いたけど、あなたたちはアイドルをやっているのね」

 

「それなら納得だよ!だってみんな、本当に可愛いなって思ったもん!」

 

イダは穂乃果たちの容姿のことを褒めており、それが嬉しかったからか、穂乃果たちは恥ずかしそうにしていた。

 

「それよりも、先ほど話していた超える力っていったいなんなんですか?」

 

奏夜は度々話題に出ていた超える力という言葉が気になっていた。

 

「そうね……。簡潔に言ってしまえば、超える力というのは、一部の者にのみ与えられた特別な力といったところね」

 

「特別な力……」

 

「私やトウヤは特定の人物の過去を「視る」ことが出来るの。まぁ、この力は自分では制御出来ないのが難点なんだけどね」

 

「過去を視るって、なんか凄いですね……」

 

ミンフィリアの語るスケールの大きな話に、穂乃果は驚いていた。

 

「俺たちも過去を視るなんて出来るんでしょうか?」

 

「それはわからないわ。超える力と言っても、その人によって力は異なるもの。あなたたちは、この世界に迷い込んだ影響でその力を得たのでしょうね」

 

奏夜たちに過去を視る力があるかどうかはわからなかったミンフィリアであったが、奏夜たちが何故超える力を持つようになったかは察することが出来た。

 

「……トウヤ。あなたに来てもらったのは、協力して欲しいことがあるからよ」

 

「協力して欲しいこと?」

 

ミンフィリアの言葉をオウム返しのように繰り返したトウヤは首を傾げていた。

 

「実は、正体不明の蛮神が現れたという報告が上がってきたの」

 

「正体不明の蛮神……!」

 

ミンフィリアの言葉を聞いて、トウヤは深刻そうな表情をしていた。

 

「詳しいことはまだ何もわかっていないの。だけど、蛮神であるならば放っておくわけにはいかないわ」

 

「そうだな……。とりあえず、調べてみる必要がありそうだ」

 

トウヤは正体不明の蛮神について調査をするために行動を開始することにした。

 

「あっ、俺も行くよ。この世界のことも調べておきたいし」

 

奏夜は蛮神について調査をするトウヤに同行しようとしていた。

 

「でも……」

 

「大丈夫。俺は元の世界でも戦ってたんだ。足手まといにはならないさ」

 

「トウヤ。ソウヤと一緒に調査に当たるといいわ。彼であれば、あなたの力になれるハズよ」

 

「まぁ、ミンフィリアがそう言うなら大丈夫か」

 

ミンフィリアは奏夜の醸し出す雰囲気から彼が歴戦の勇士であると感じ取り、奏夜の力も借りたいと考えていたのである。

 

「みんなはここで待っていてくれ」

 

「えぇ!?私たちだけ留守番!?」

 

奏夜は穂乃果たちに留守番するように告げたのだが、穂乃果たちは納得していなかった。

 

「その方がいいかもしれないわね。ソウヤは戦いの経験があるみたいだけど、あとのみんなは戦いの経験はないのでしょう?」

 

「っ!それはそうですが!」

 

「だったらこうしたらどうかしら?あなたたちも今は戦う力があるのだから、自分がどんなことが出来るのか練習してみたらどう?」

 

「なるほど、それなら無駄に時間を使うこともないですしね」

 

ヤ・シュトラの提案に、海未だけではなく、他のメンバーも納得したようだった。

 

「あなたたちの練習には私が付き合うわ」

 

「そうね。ヤ・シュトラ。お願い出来るかしら?」

 

穂乃果たちが自分たちの力を理解するための練習にヤ・シュトラは協力することを了承していた。

 

「僕も行こう。彼女たちの人数も多いし、こちらも人数を割いた方がいいだろう」

 

「あっ、あたしもあたしも!」

 

ヤ・シュトラだけではなく、パパリモとイダも穂乃果たちの練習に付き合うことになった。

 

「それじゃあ俺も……」

 

「サンクレッド。あなたはダメよ。あなたはこれから別件で仕事があるでしょ?」

 

「そ、そんなぁ……!」

 

どうやらサンクレッドは個人的に穂乃果たちの練習に付き合いたかったようだが、それをミンフィリアに一蹴されてしまった。

 

「それじゃあ、みんな。各自行動開始よ。トウヤとソウヤは何かわかったらすぐ私に連絡して」

 

「あぁ、わかった。行こう、ソウヤ」

 

「わかった!」

 

トウヤは暁の間を後にすると、奏夜はそれを追いかけるように暁の間を後にして、正体不明の蛮神について調査を行うことになった。

 

そして、穂乃果たちは今自分が身につけている装備を使いこなすために練習を行うことになった。

 

奏夜たちのエオルゼアでの戦いは、今始まったばかりである……。

 

 

 

 

 

 

 

……後編に続く。

 

 




本当は1話でまとめたかったのですが、ここから戦闘が多くなりそうだったので前後編にさせてもらいました。

奏夜たちがFF14の世界「エオルゼア」に迷い込み、これからそこでの戦いが行われていきます。

次回は奏夜だけではなく、穂乃果たちが戦うという貴重なシーンが見られるかも?

そこはご期待ください。

次回の番外編が終われば、また本編に戻ろうと思っています。

今回の話は完全に僕の趣味が全開なのですが、楽しんでもらえたらな幸いです。

なんだかよくわからなかったら本当にごめんなさい。

次回も続くのでご了承いただけたらと思います。

それでは、次回をお楽しみに!


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