牙狼ライブ! 〜9人の女神と光の騎士〜   作:ナック・G

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お待たせしました!第42話になります!

最近投稿が遅いのが続いてしまい、すいません。

3日に1話の投稿は厳しくなってきましたが、どれだけ遅くなっても投稿はしようと思っているのでよろしくお願いします。

さて、今回は夏の定番イベントである祭回です。

μ's9人で過ごす祭りは一体どのようなものになるのか?

それでは、第42話をどうぞ!




第42話 「夏祭」

奏夜が内なる影との試練を乗り越え、魔導馬光覇の力を得てからおよそ10日が経過していた。

 

奏夜たちはラブライブ出場に向けて練習に励んでおり、穂乃果たちは日に日に実力をつけていった。

 

それを表すかのようにランキングは上がっていき、30位まで上がっていった。

 

ラブライブ出場が本当に見えてきたため、穂乃果たちは毎日の練習にも熱が入っていた。

 

奏夜もまた、決意を新たにしているからか、魔戒騎士としても飛躍的に成長しており、ロデルや大輝を驚かせていた。

 

そしてμ'sのマネージャーとしてもしっかりと仕事をこなし、ラブライブ出場を目指す穂乃果たちを支えていた。

 

「……ねぇねぇ!知ってる?今日の夜、隣町で花火大会があるんだって!」

 

今日の練習が終わり、奏夜たちは一休みをしていたのだが、そんな中、凛が唐突に話を切り出していた。

 

「花火大会かぁ……。いいね!」

 

「そうね!みんなで行ってみるのもいいんじゃない?」

 

凛の切り出した話に、穂乃果とにこが大いに食いついていた。

 

「花火大会ですか……」

 

「ひ、人が多いところはちょっと……」

 

花火大会といえば多くの人がその会場に集まってくるため、海未と花陽は人でごった返す会場へ行くことに抵抗があった。

 

「あんたたち、何言ってるのよ!アイドルたるもの、人が多いのは望むところじゃない!」

 

そんな海未と花陽に喝を入れるかのように、にこはこのような言葉を送っていた。

 

「それに、お祭りといったら浴衣でしょ?みんなで浴衣を着てお祭りっていうのもいいかもね♪」

 

「そうねぇ。みんなでこうやって思い出を作ることも大切なことだと思うわ」

 

そんなにこの言葉に賛同している訳ではないのだが、ことりと絵里もまた、花火大会に行くことは賛成だった。

 

「私、あまり騒がしくて人がごちゃごちゃしてるところには行きたくないのよねぇ……」

 

「あんた……。それは東京に住んでる人間が言うこと?」

 

「それに、真姫ちゃんはみんなと一緒に出かけるのが嫌なんか?」

 

「べっ、別に嫌な訳じゃないわ!」

 

「だったら問題ないよね♪」

 

真姫は花火大会に行くこと自体乗り気ではなかったのだが、希に半ば強引に言いくるめられてしまい、渋々了承していた。

 

そんな真姫を見ていた海未と花陽もまた、花火大会に行くことを了承していた。

 

「ところで、そーや君は大丈夫かにゃ?」

 

「んー、指令があれば無理だけど、多分大丈夫だと思うぞ」

 

奏夜もまた、花火大会に行きたいと思っていたからか、楽観的なことを言っていた。

 

「奏夜。この後番犬所に行くのでしょう?一応確認してみて下さい」

 

「あぁ、もちろんそのつもりだったよ」

 

「それじゃあ、今日はこのまま解散して、19時に駅に集合でいいかな?」

 

待ち合わせの時間と場所を穂乃果が設定しており、それに賛同した他のメンバーは頷いていた。

 

こうして花火大会に行くことは決定し、1度解散することになった。

 

奏夜はそのまま番犬所へと向かい、花火大会に行けるかどうかロデルに確認してみることにした。

 

「……花火大会……ですか?」

 

番犬所に到着し、魔戒剣の浄化を終えた奏夜は、ロデルに今日行われる花火大会のことを話していた。

 

「はい。夏休みももうすぐ終わりですので、穂乃果たちと思い出を作る良い機会だと思うのです」

 

「なるほど……。まぁ、今のところは指令もないですし、行ってきても良いのではないですか?」

 

「いいのですか?」

 

奏夜は本当に花火大会行きを許可してくれるとは思っていなかったからか、驚いていた。

 

「えぇ。あなたも日々の仕事で疲れているでしょうし、良い息抜きになるのではないですか?」

 

ロデルは魔戒騎士として忙しい毎日を送っている奏夜のことを気遣っていた。

 

「それに、あなたがいればμ'sのメンバーに何があっても対応できますからね」

 

それだけではなく、奏夜にμ'sのボディーガードもやってもらいたいとロデルは思っていたのである。

 

「アハハ……。もちろん、そのつもりです」

 

「ですが、あなたはμ'sのマネージャーであり、その顔は知られてる可能性は高いです。行動は慎重に行うようにして下さい」

 

「わかりました。そこは肝に銘じておきます」

 

「神官である私がこんなことを言って良いのかはわかりませんが……。奏夜、思い切り楽しんできなさい」

 

ロデルはこのようなことを言って微笑むのだが、その様子は番犬所の神官というよりかは保護者のような表情であった。

 

「ありがとうございます!……失礼します」

 

奏夜はありがたいことを言ってくれるロデルに一礼をすると、番犬所を後にした。

 

番犬所を後にした奏夜であったが、待ち合わせの時間までまだ余裕があったため、1度家に帰ることにした。

 

花火大会に出かけるため、服を着替えるためである。

 

「うーん……。何を着ていくべきか……」

 

奏夜はいくつか着る服の候補を決めていたのだが、その中から1つを選ぶことが出来ず、迷っていた。

 

2つは奏夜なりにコーディネートした私服であり、もう1つは浴衣であった。さらに甚平も置かれており、奏夜はこの4つで迷っていたのである。

 

『穂乃果たちも浴衣なんだろう?お前も浴衣でいいんじゃないのか?』

 

「それも考えたんだけど、浴衣や甚平じゃ魔法衣と似合わないからな」

 

『おいおい……。魔法衣も着ていくつもりかよ……。手で持ってれば問題ないんじゃないのか?』

 

「確かにそれなら安心か……。浴衣を着ていかないとあいつらがうるさそうだしな」

 

奏夜個人としてはお気に入りの私服を着たいと考えていたが、穂乃果たちは浴衣を着ていくと話していたため、奏夜も浴衣を着ていくことにした。

 

着替えを済ませた奏夜は、待ち合わせの時間近くまでテレビを見てのんびりとしており、待ち合わせの15分前に奏夜は先に穂むらへと向かうことにした。

 

遅刻をする可能性のある穂乃果を迎えに行くためである。

 

奏夜が家を出ようとしたその時、突然ピンポーンと、インターホンの音が聞こえてきた。

 

「はーい!」

 

誰が来たのか首を傾げながらも、奏夜は玄関へと向かっていき、扉を開けた。

 

すると、そこに立っていたのは……。

 

「エヘヘ……。そーくん、来たよ♪」

 

奏夜の家を訪れたのはなんと今から迎えに行こうと考えていた穂乃果であった。

 

穂乃果は浴衣を着ており、髪型はいつものサイドテールではなく、髪を上に集めてそれをお団子風にまとめていた。

 

「……////」

 

普段とは違う穂乃果の雰囲気にドキッとしたからか、奏夜は頬を赤らめていた。

 

「そーくん……。どうかな?穂乃果……変じゃない?」

 

「変じゃないよ。凄く似合ってる」

 

「本当!?エヘヘ……。嬉しいな♪」

 

穂乃果は奏夜に浴衣姿を褒めてもらって嬉しかったからか、頬を赤らめながら微笑んでいた。

 

そんな穂乃果を色っぽいと感じたからか、奏夜はさらにドキッとしていた。

 

「?そーくん?どうしたの?」

 

「な、なんでもない!」

 

「?」

 

奏夜が何故ここまで慌てふためいているのかわからず、穂乃果は首を傾げていた。

 

「とりあえず、行こうぜ。穂乃果」

 

「うん!」

 

こうして奏夜と穂乃果は一緒に奏夜の家を後にすると、そのまま待ち合わせの場所である駅へと向かっていった。

 

 

 

 

 

 

 

※※※

 

 

 

 

 

 

 

 

 

奏夜と穂乃果が待ち合わせの場所である駅に到着したのは、約束の時間の5分前であり、その時には既に全員が揃っていた。

 

「おっ、早かったですね。奏夜、穂乃果」

 

「穂乃果ちゃん、可愛いよ♪」

 

「ありがとう♪ことりちゃんも可愛いよ♪」

 

「本当?嬉しいな♪」

 

ことりと穂乃果は顔を見るなり互いを褒め合っており、互いにその言葉を聞いてニコニコしていた。

 

「それにしても、奏夜もちゃんと浴衣を着てきたのね」

 

「まぁな。俺だけ私服だと、みんなに文句を言われそうって思ったからな」

 

「わかってるじゃないの、奏夜」

 

奏夜は空気を読んで浴衣を選んでおり、その選択に、にこは笑みを浮かべていた。

 

「それにしても……。似合わないわね、あんたの浴衣姿は」

 

「うるせー!自分でもわかってるっての!」

 

真姫は自分が思っていることを正直に言っており、そのことに対して奏夜は唇を尖らせていた。

 

「まぁまぁ……」

 

そんな真姫と奏夜の様子を見た花陽は、なだめながら苦笑いをしていた。

「それにしても、みんな揃って浴衣を着て花火大会だなんて、最高に楽しいにゃ♪」

 

「そうやね。夏休みももうすぐ終わるし、いい思い出になると思うしね♪」

 

凛の言う通り、現在は奏夜を含む全員が浴衣を着ており、そんな状態で花火大会に行くということは、μ'sの絆を深めるだけではなく、夏休みの思い出になることが容易に予想出来た。

 

「それよりもだな……」

 

奏夜は絵里の浴衣姿をまじまじと眺めていた。

 

「なっ、何よ……////」

 

絵里は奏夜に自分の浴衣姿をガン見されているのが恥ずかしくなったのか、頬を赤らめていた。

 

「絵里って浴衣凄く似合ってるよな。なんて言うか、色っぽいし、イイと思うぞ」

 

「そ、そうかしら?////だけど、あなたにそう言ってもらえて、凄く嬉しいわ!」

 

絵里は奏夜に褒めてもらえたことが嬉しかったようで、満面の笑みを浮かべていた。

 

そんな絵里に奏夜はドキッとしており、2人の間にいい雰囲気が流れていた。

 

「む〜……!」

 

そんな様子が面白くなかったからか、穂乃果はぷぅっと頬を膨らませており、奏夜を睨みつけていた。

 

「とっ、とりあえず!もう電車もう来るだろ?早く行こうぜ!」

 

奏夜はこのままだと他のメンバーから追求がありそうだと予想したため、逃げるように駅の中へと入っていった。

 

「あっ!奏夜!待ちなさい!!」

 

そんな奏夜を過ごして慌てて追いかける形で、穂乃果たちも駅の中へと入っていった。

 

奏夜たちは切符を購入し、電車に乗り込むと、秋葉原から二駅離れたところで降りた。

 

この駅から歩いて数分のところから出店が並んでいたのだが、すでに多くの人で賑わっていた。

 

「うわぁ……。凄い人だねぇ……」

 

穂乃果は、人でごった返す会場を見て、驚きを隠せずにいた。

 

「まぁ、ここら辺じゃ1番盛大な花火大会みたいだしな」

 

奏夜は凛からこの花火大会の話を聞いてから携帯で調べてみたのだが、どうやら盛大な花火大会のようであった。

 

「ねぇねぇ!お店がいっぱいだよ!早く行くにゃ♪」

 

様々な出店を見て、目をキラキラと輝かせていた凛は、その出店へと向かっていった。

 

「あっ、凛ちゃん!待ってよぉ〜!!」

 

そんな凛を花陽が追いかけていき、そんな2人の様子を見て、奏夜たちは苦笑いをしていた。

 

「……俺たちも行くか」

 

「そうね。行きましょう!」

 

奏夜たちもゆっくりと凛や花陽を追いかけていき、奏夜たちは様々な出店を楽しむことにした。

 

「あっ!そーや君!リンゴ飴美味しそうだよ!」

 

「まぁ、祭の定番だしな……」

 

奏夜は出店に置かれているリンゴ飴を眺めており、凛は何かを懇願するかのように奏夜を見ていた。

 

「……リンゴ飴くらい自腹で買えよ……」

 

リンゴ飴はそこまで高い訳ではないため、そんなリンゴ飴をおねだりしている凛に、奏夜は呆れていた。

 

「えぇ?だって、他にも食べたいものがいっぱいあるんだもん!!だからお願い、そーや君!」

 

「……ったく……。仕方ないな……」

 

「本当!?そーや君、ありがとにゃ♪」

 

奏夜は渋々凛にリンゴ飴を奢ることになり、それが嬉しかった凛は、奏夜に飛びついていた。

 

「ちょっ、凛!人が多いんだから抱きつくなって!」

 

いきなり凛に抱きつかれて恥ずかしかったからか、奏夜は頬を赤らめていた。

 

「あっ!そーや君、照れてるのぉ?」

 

「そういうんじゃないっての!」

 

凛は奏夜に抱きつきながら奏夜をからかっていたのだが、奏夜はムキになって反論していた。

 

そんな奏夜の様子を見て満足したからか、凛は奏夜から離れていた。

 

「……奏夜」

 

奏夜は海未に呼ばれたため、その方を振り向くのだが、海未はドス黒いオーラを放っており、奏夜は冷や汗をかいていた。

 

「な、何だよ!」

 

「凛だけにリンゴ飴を奢るなど……。考えている訳ではないですよねぇ?」

 

「あ、当たり前だろ?ハハ、最初からみんなに奢るつもりだったさ!」

 

奏夜はその予定はなかったのだが、違うと答えるのが怖かったため、こう答えるしかなかった。

 

《やれやれ……。あからさまな嘘をよくつけるよな》

 

(うるさいよ!仕方ないだろ!?この状況じゃ断れないし)

 

そんな奏夜の嘘をキルバは見通していたのだが、奏夜はその嘘を本当にするしかなかったのである。

 

「リンゴ飴とか久しぶりだなぁ♪」

 

「奏夜、遠慮なくご馳走になるわね」

 

9人分のリンゴ飴を奢ることが決まり、ことりは久しぶりに食べるリンゴ飴にワクワクしており、真姫は遠慮なくリンゴ飴をもらうことにしていた。

 

奏夜は自分の分を含めた10人分のリンゴ飴を購入し、穂乃果たちにリンゴ飴を配っていた。

 

(さて……。今日はいくらお金を使うことになるのやら……)

 

《奏夜。明日からは節約をしないとな》

 

最近は出費が多いため、キルバはそこを心配した発言をしていた。

 

奏夜たちはリンゴ飴を食べながら出店の散策を行っており、次に目を付けたのが射的であった。

 

「……おっ、射的か」

 

「射的ってお祭りっぽくてええよね♪」

 

「せっかくだからやっていきませんか?」

 

希と海未はどうやら射的にノリノリみたいであり、奏夜たちは射的に挑戦することになった。

 

希と海未は後で行うことにして、他のメンバーが射的に挑戦していた。

 

「あーん!上手く出来ないよぉ〜!」

 

「わっ、私も……!」

 

最初にことりと花陽が挑戦したのだが、どうやら上手くいかなかったようである。

 

次に凛とにこが挑戦するのだが……。

 

「駄目だぁ!全然当たらないにゃあ!」

 

「ぐぬぬ……!にこにーの射的は正確無比なハズなのに……」

 

どうやら凛とにこも全然駄目みたいであった。

 

続いて挑戦したのは、穂乃果と絵里であった。

 

「あぁ!惜しい!あとちょっとだったのに!」

 

どうやら穂乃果はあと一息のところで失敗したみたいだった。

 

そして絵里は、全ての弾を使い切ったところで、どうにか景品を取ることが出来た。

 

「ハラショー♪やったわ♪」

 

景品を取ることに成功し、絵里はまるで子供のようにはしゃいでいた。

 

「おぉ!凄いよ!絵里ちゃん!」

 

「エヘヘ……。射的って難しいけれど、凄く楽しいのね♪」

 

どうやら景品を取ることに成功したことで気を良くしたようであり、絵里は嬉しそうにしていた。

 

続いて挑戦したのは、射的をやりたいと言っていた海未と希であった。

 

最初に挑戦したのは希だったのだが……。

 

「……よし!ここや!」

 

失敗しながら徐々に狙いを調整していき、最後の1発はその甲斐あってか狙いは完璧だった。

 

こうして、希もまた、景品をゲットすることに成功したのであった。

 

「お!希ちゃんも凄いね!」

 

「エヘヘ……。ウチのスピリチュアルな射的、完璧やったろ?」

 

希は徐々に狙いを定めて確実に目標を捉える様に穂乃果は興奮しており、希はドヤ顔をしていた。

 

こうして希が成功する中、続いて挑戦したのは、弓道部もしている海未であった。

 

「……」

 

持っているのは弓ではなく射的用の銃なのだが、海未はまるでこれから矢を放つかのように集中し、狙いを定めていた。

 

そして……。

 

(……ラブアローシュート!)

 

これを他のメンバーや奏夜に聞かれるのは恥ずかしかったため、海未は目を見開いて心の声でこう叫ぶと、海未の狙いは正確であり、1発で景品を獲得していた。

 

「……おぉ!凄いよ!海未ちゃん!」

 

「ハラショー!さすがは弓道部ね、海未は」

 

「ふふ……。これくらいは当然です!」

 

海未は自分の完璧な狙いに満足しているからか、「ふんす!」と言いながらドヤ顔をしていた。

 

「さて……まだまだ行きますよ!」

 

これで勢いづいた海未は、残りの弾を使うのだが、全て狙いが完璧であり、弾の数だけ景品を獲得したのであった。

 

「す、すげぇな海未……」

 

ここまで海未の狙いが完璧だと思わなかったからか、奏夜は唖然としていた。

 

「ふふん……これくらいは当然ですよ」

 

完璧な狙いに気を良くしたからか、海未はドヤ顔をしていた。

 

「……そのドヤ顔がなんかムカつくな……」

 

奏夜は海未のドヤ顔に少しばかりイラっとしていた。

 

「……奏夜?何か言いましたか?」

 

このように訪ねた海未は、何故か満面の笑みであった。

 

「イエ、ナニモ」

 

奏夜は何故か片言で誤魔化すのだが、海未は満面の笑みのままで奏夜の足を思い切り踏んでいた。

 

「いってぇ!!」

 

海未の踏みつけは思ったよりも効果があったようであり、奏夜は本気で痛がっていた。

 

「さぁ、奏夜は放っておくとして、次は真姫の番ですよ?」

 

「えっ、えぇ……」

 

奏夜と海未のやり取りに真姫は少しだけ引きながらも、射的を始めていた。

 

真姫も狙い自体は良かったのだが、力が足りなかったからか、命中しても、的が落ちることはなかった。

 

「むー……!!もうちょっとだったのに!!」

 

あと一息で景品をゲット出来そうだったため、悔しかったからか、真姫はぷぅっと頬を膨らませていた。

 

「……いてて……。よし、今度は俺だ!」

 

海未に足を踏まれて痛そうにしていた奏夜であったが、気を取り直して射的を始めることにした。

 

しかし……。

 

 

 

 

 

 

 

スカッ!スカッ!

 

 

 

 

 

 

「あ、あれ?おかしいな……こんなハズじゃ……」

 

ここまでことごとく狙いを外すとは思っていなかったからか、奏夜の表情は引きつっていた。

 

「これは……」

 

「なんていうか……」

 

「奏夜。あんた下手くそね」

 

「私たちの中で一番下手くそなんじゃないの?」

 

ことりと花陽がフォローに困る中、真姫とにこは容赦のない発言をしていた。

 

「うるせー!たまたまだよ!たまたま!見てろよ!」

 

真姫とにこの容赦のない発言に奏夜は唇を尖らせており、最後の1発に挑もうとしていた。

 

奏夜は射的用の銃を構えて狙いを定めるのだが……。

 

「奏夜。そんな適当な構えではいけませんよ」

 

海未は弓道をやっているため、奏夜の構えのダメなところをすぐに見極めていた。

 

「このように脇を締めてですね……」

 

海未は奏夜に身を寄せると、構え方のレクチャーを丁寧に行っていた。

 

「……こうするのです。わかりましたか?」

 

「おっ、おう……////」

 

海未がここまで積極的な動きを見せるとは思わなかったからか、奏夜は顔を真っ赤にしており、返事も生返事になってしまっていた。

 

それを見ていた穂乃果たちは……。

 

「……海未、さりげなく奏夜とスキンシップだなんて、やるわね」

 

「ふふっ、海未ちゃんってああいうの1番苦手そうやのに、大胆やねぇ♪」

 

「なるほど……。海未ちゃん、やりますね……!」

 

普段は奥手な海未が見せたあまりに大胆な行動に、絵里、希、花陽の3人は驚いていた。

 

一方海未とは長い付き合いである穂乃果とことりは、相手が奏夜だからこそ、このような大胆な行動が出来たのだと予想していた。

 

しかし……。

 

「「……なんか面白くないなぁ……」」

 

今度は奏夜と海未が良い雰囲気になっており、それが面白くなかったからか、穂乃果とことりはぷぅっと頬を膨らませていた。

 

奏夜は海未のレクチャーの甲斐があってか、最後の1発は見事に命中し、景品を獲得することが出来た。

 

「よっしゃ!!やったぜ!海未!」

 

「はい!お見事です!奏夜!」

 

景品を取れたことに奏夜は喜んでおり、海未とハイタッチをしていた。

 

そのハイタッチが終わったところで、海未はどうやら一気に恥ずかしくなったみたいで……。

 

「あっ……。あの、奏夜……。すいません。あんなにくっついてしまって……」

 

奏夜が弾を放った時には既に奏夜から離れていたのだが、奏夜にくっついていたのは事実であり、海未は奏夜が嫌だったらと考えてしまったため、そのことを謝罪していた。

 

「気にするなって。ちょっと照れたけど、嫌ではなかったからさ」

 

「そうですか……。それなら良かったです!」

 

奏夜が嫌ではないということがわかり、海未の表情がぱぁっと明るくなっていた。

 

「「……」」

 

やはり奏夜と海未はいい雰囲気になっており、そのことが気に入らなかった穂乃果とことりは……。

 

 

 

 

ガン!!

 

 

 

 

 

「いってぇ!」

 

奏夜の足を思い切り踏んでおり、奏夜は再び訪れた激痛に苦しんでいた。

 

「「ふん!」」

 

穂乃果とことりは膨れっ面のまま、そっぽを向いていた。

 

《奏夜。ハッキリ言って自業自得だからな。何度も踏まれてるのは》

 

(げ、解せぬ……)

 

キルバは奏夜が何故ここまで何度も足を踏まれているのかを理解しており、奏夜はそのことに納得していなかった。

 

こうして射的を終えた奏夜たちは、他の出店も見て回ることにしていた。

 

奏夜たちは目に留まった出店で足を止めつつ、そこの商品を購入し、食べながら移動をしていた。

 

そんな中、ことりが目を留めたのは、なんとお面屋さんであった。

 

「ねぇねぇ、そーくん!見て見て!色々なお面があって面白いね!」

 

お面屋さんには今流行りのヒーローのお面や、魔法少女アニメの主人公のお面。さらには動物のお面など、バラエティに富んだ種類があったため、ことりはキラキラと目を輝かせていた。

 

そんな中、ことりは自分用にお面を買いたいと思ったのか、鳥のお面を購入していた。

 

「ねぇねぇ、そーくん!見て見て!チュンチュン♪」

 

「アハハ……。ことりっぽくて良いと思うぞ」

 

「本当!?嬉しいな」

 

奏夜はことりのことを素直に褒めており、ことりはそれが何よりも嬉しかった。

 

そんな中、ことりは奏夜につけて欲しいと思っているからか、さらにとあるお面を購入していた。

 

それは……。

 

「……ひょっとこ?」

 

お祭りのお面屋さんでよく見かけるお面の1つであるひょっとこのお面であった。

 

「うん!そーくんにつけてほしいと思って買っちゃった!駄目かな?」

 

「べ、別にいいけど……」

 

奏夜はことりからひょっとこのお面を受け取ると、そのお面を実際につけてみた。

 

すると、それがおかしかったからか、穂乃果たちは揃って爆笑していた。

 

「わ、笑うなよ!」

 

「アハハ……。ごめんごめん」

 

ことりはみんなを代表して奏夜に謝っていた。

 

「まぁ、別にいいけどさ……」

 

奏夜は唇を尖らせながらもひょっとこのお面を頭の上にセットしており、ことりも同じようにしていた。

 

こうしてお面屋さんを後にした奏夜たちはさらに出店を見て回っていた。

 

出店を見て回りながら色々な食べ物を楽しんだ奏夜たちは満足したからか、出店を回るのは一度中断することにしていた。

 

「さてと……。それじゃあ、花火を見る場所を確保しましょう。人が多いから早くしないと場所がなくなってしまうわ」

 

このように絵里が仕切っており、奏夜たちは今日の本来の目的である花火を見に行くため移動をしようとした。

 

しかし、タイミングが悪かったからか、人混みの波に飲まれてしまった。

 

「ちょっ!?人が多すぎだろ!!」

 

《花火が始まるのも近いからなのか?ずいぶんと人が増えたな》

 

(感心してる場合かよ!!これじゃ穂乃果たちとはぐれるだろうが!)

 

奏夜は人混みの波に飲まれてしまったせいで、徐々に穂乃果たちの姿が遠ざかってしまった。

 

そして、その人混みがなくなると、そこに穂乃果たちの姿はなく、奏夜が1人ポツンと取り残されてしまった。

 

「あれ?……みんなは?」

 

《どうやら、さっきの人混みのせいではぐれてしまったみたいだな》

 

(だったら、携帯で連絡を……)

 

奏夜は穂乃果たちと連絡を取るために携帯を取り出そうとするのだが……。

 

(あれ?あれ!?)

 

どこを探しても携帯が見当たらず、奏夜は焦りを見せていた。

 

《おい、奏夜。お前、ギリギリまで私服にするか浴衣にするか迷っていただろ?もしかしたら、ズボンのポケットに携帯を入れっぱなしにしていたんじゃないのか?》

 

(……あっ!そうだった!)

 

奏夜は家に携帯を置きっぱなしにしていたことを思い出し、顔が真っ青になっていた。

 

(仕方ない……。とりあえずみんなを探すか……)

 

このままここに留まっていては、1人で花火を見る羽目になってしまうため、奏夜は穂乃果たちを探すことにした。

 

 

 

 

 

※※※

 

 

 

 

 

 

「……参ったな……。みんなとはぐれちゃったよ……」

 

穂乃果もまた、人混みの波に飲まれてしまったせいで、奏夜だけではなく、他のメンバーともはぐれてしまっていた。

 

しかも、どうにか人混みを避けられたのは、人通りの少ない場所であったのである。

 

「早くみんなと合流しないと、花火が始まっちゃうよ……」

 

穂乃果は急いで奏夜たちと合流すべく移動を開始しようとしていたのだが……。

 

「……あれ?μ'sの高坂穂乃果じゃね?」

 

「ねぇねぇ、君ってμ'sの高坂穂乃果だよね?」

 

チャラそうな男性2人組が穂乃果の姿を見つけるなり、声をかけてきた。

 

「は、はい……。そうですけど……」

 

「俺たち、ファンなんだよねぇ。こんなところで会えるとは思わなかったよ」

 

「あっ、ありがとうございます……」

 

穂乃果は奏夜以外の男性との接し方があまりわからないからか、少しだけよそよそしい返事をしていた。

 

「ねぇねぇ。他のメンバーと来てるの?」

 

「は、はい……」

 

「ふーん。そうなんだ」

 

「ねぇねぇ。俺らと一緒に回らない?μ'sのみんなと一緒も楽しいと思うけど、それより楽しいと思うからさ!」

 

この男性2人組は、穂乃果をμ'sのメンバーと知っていて、ナンパをしようとしていた。

 

「あっ、いえ……。私、早くみんなと合流したいので。これで……」

 

これがナンパであることを察した穂乃果は、2人組の誘いを断り、その場を離れようとした。

 

しかし……。

 

「おい、ちょっと待てよ」

 

「こっちが下手に出てるからって付け上がりやがって……」

 

すぐさまその場を離れようとする穂乃果が面白くなかったからか、2人は穂乃果の腕を掴みんでいた。

 

「いっ、嫌!やめてください!」

 

穂乃果は声をあげて抵抗はするが、そんな2人の男の様相に、穂乃果は怯えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

穂乃果が2人組にナンパされそうになっているのと同時刻、奏夜は穂乃果がいるエリアの近くを捜索していた。

 

「……やっぱりいないか……」

 

奏夜は穂乃果たちを探すのだが、見つからず、焦りを見せていた。

 

(変な男にナンパとかされてなきゃいいけど……)

 

奏夜はそんなことを考えながら移動をしていた。

 

すると……。

 

「いっ、嫌!やめてください!」

 

穂乃果の声が聞こえてきたので奏夜はその方を向くと、2人組の男に腕を掴まれて抵抗している穂乃果を見つけた。

 

奏夜の嫌な予感が的中してしまったのである。

 

「!穂乃果!それに、あいつら……!」

 

穂乃果を無理やりナンパをしようとしている2人組の男に怒りを覚えた奏夜はそのまま向かっていこうとしたのだが……。

 

『……奏夜、ちょっと待て』

 

「キルバ、止めるな。穂乃果がピンチなんだぞ」

 

『そうじゃない。ロデルも言っていたろう?お前はμ'sのマネージャーとして顔が知られてるから何があったら慎重に行動しろと』

 

キルバは奏夜の行動を止める訳ではなく、冷静さを欠いた奏夜をなだめるためにこのようなことを言っていたのである。

 

『そんなお前が迂闊なことをして、マネージャーが暴力を振るったなんて話が拡散したらμ'sの立場も危うくなる。ラブライブ出場は無理だろな』

 

キルバが指摘した通り、奏夜はμ'sのマネージャーとして多少は顔が知られている。

 

そんな奏夜が2人組を返り討ちにするのは簡単だが、そのあと、μ'sのマネージャーが暴力を振るったと根も葉もない話を拡散されてしまったら、せっかくラブライブ出場目指して頑張っている穂乃果たちの努力を水の泡にしてしまう。

 

μ'sのマネージャーである奏夜としては、それは避けたいと思うところであった。

 

「じゃあ、どうすればいいんだよ……。って、そうだ!」

 

どうやら奏夜には良い策が思いついたようであり、それを実行することにした。

 

「……なぁ、これ以上騒がれたらマズイよな」

 

「そうだな。祭りなんてどうでもいいから、いつものあそこに連れ込むか」

 

「そうだな。思い切り楽しむとしようぜ」

 

どうやら2人組はこのまま穂乃果をどこかへ連れ込もうとしており、自分がこれから何かをされると察した穂乃果は顔を真っ青にしていた。

 

2人組が穂乃果をどこかへと引っ張ろうとするのだが、それより前に、どこからか紙くずのようなものが飛んできて、それが2人に当たっていた。

 

「いたっ!誰だ!ナメた真似した奴は!」

 

男の1人は紙くずのようなものが飛んできた方向を見ると、そこにいたのは、浴衣を着ており、妙なコートを手にした男性なのだが、何故かひょっとこのお面を顔につけていた。

 

そう。奏夜が考えた策というのは、ひょっとこのお面を被って正体を隠し、そのまま2人組を撃退するというものであった。

 

奏夜の身体能力があれば、お面を外されるような失態を起こす可能性は低いため、この策を実行したのである。

 

「なんだてめぇ、妙なお面しやがって」

 

奏夜のつけているひょっとこのお面を、2人は訝しげに見ていた。

 

穂乃果はこのひょっとこのお面に見覚えがあるようであり……。

 

「……あっ!そーく……」

 

穂乃果がそーくんと言おうとするのだが、奏夜は無言で人差し指を口に当てていた。

 

皆まで言うなと言うことを伝えるためである。

 

「なんだよ、だんまりかよ……。引っ込んでろ!」

 

奏夜がだんまりなことが気に入らなかったからか、男の1人は穂乃果の手を離すと、そのまま奏夜に向かっていった。

 

ホラーと戦っている奏夜が男の動きを捉えられない訳もなく、男が殴りかかろうとする前に奏夜は足を出し、男を転ばしていた。

 

「てめぇ!このやろう!」

 

もう1人の男も、穂乃果の手を離して奏夜に向かっていくが、奏夜はまるで合気道のような動きで男を吹き飛ばしていた。

 

「「こ、こいつ……!」」

 

2人組はゆっくりと立ち上がり、奏夜を睨みつけていた。

 

(やれやれ……。仕方ない。キルバ、今から俺が言うことをそのまま言ってくれ)

 

《なるほどな。お前はお面をしてるから俺が喋ってもバレないという訳か》

 

奏夜は現在お面で顔を隠しているため、ここでキルバが喋ったとしても、バレることはないため、奏夜はキルバに何かを言わせようとしていた。

 

奏夜がテレパシーでキルバに言ってもらいたい内容を話すと……。

 

『……今のはほんのご挨拶だ。これ以上この子にちょっかいをかけようと言うのなら次は容赦はしない』

 

魔導輪特有の機械じみた声は、2人組を怖がらせるには効果は抜群であった。

 

「ひっ!?な、なんだよこいつ!」

 

「お、覚えてろよ……!」

 

奏夜の圧倒的な存在感に怯えた2人組はおきまりの捨て台詞を吐くと、逃げるようにその場から立ち去っていった。

 

「やれやれ……。顔を隠してる奴に覚えてろも何もないだろうが……」

 

2人組の捨て台詞に奏夜は呆れながら、お面を外すと、そのまま穂乃果に近付いていった。

 

「そーくん……」

 

「穂乃果、大丈夫か?」

 

「う、うん。そーくんが守ってくれたから……」

 

「俺がついてながら怖い思いをさせてごめんな」

 

奏夜は穂乃果の発見が遅かったからこそ、2人組のナンパを許してしまったため、そのことを謝罪していた。

 

「大丈夫だよ!ホラーと比べたら……。全然……怖くなんか……」

 

ホラーと比べたら先ほどの2人組は怖くないというのはその通りではあるのだが、奏夜は穂乃果が強がっていることを察していた。

 

そのため、奏夜は穂乃果の頭をポンポンと優しく撫でていた。

 

「え?」

 

「穂乃果。無理するなよ。本当は怖かったよな……」

 

奏夜は優しい声でささやき、穂乃果を安心させようとしていた。

 

そんな奏夜の声に安心した穂乃果の瞳からは涙が溢れてきた。

 

そして、穂乃果は奏夜に抱きつくと、堰が切れたかのように泣いていた。

 

「怖かった!怖かったよぉ!!」

 

「ごめんな……。でも、大丈夫だからな」

 

奏夜は優しい表情で穂乃果の頭を撫でており、優しい声でなだめていた。

 

この状態がしばらく続いており、穂乃果が落ち着くまで、奏夜はずっと穂乃果の頭を撫でていたのであった。

 

「……ご、ごめんね、そーくん。浴衣がちょっと濡れちゃった……」

 

泣きやんだ穂乃果は、奏夜から離れると、申し訳なさそうにしていた。

 

「いいっていいって。これくらい」

 

しかし、奏夜は気にしてはいないようであり、おどけながらこう答えていた。

 

「それよりも、もうそろそろ花火が始まる時間だろ?早いとこみんなを探そうぜ」

 

そうこうしているうちに花火開始の時間が迫っていたため、奏夜は移動を開始しようとした。

 

しかし、穂乃果は奏夜の浴衣の袖をクイッと引っ張り、それを止めていた。

 

「?穂乃果、どうした?」

 

「あのね……。手、繋いでも……いいかな?」

 

「あぁ、構わんよ。ほれ」

 

どうやら穂乃果は奏夜と手を繋ぎたいようであり、奏夜は自分から穂乃果の手を握っていた。

 

「ふぇ?……あっ、ありがと……」

 

奏夜から手を握ってくれるとは思わなかったからか、穂乃果は頬を赤らめており、恥ずかしそうにしながらも奏夜に礼を言っていた。

 

こうして2人は他のメンバーを探すために移動を開始するのだが、どうやら穂乃果の携帯には連絡が入っていたようで、他のメンバーは先に場所の確保をしていたようであった。

 

それを頼りに2人は移動をして、どうにかみんなと合流することが出来た。

 

「……あっ、奏夜!穂乃果!」

 

「まったく……。姿が見えなくなったから心配したわよ。2人……と……も……」

 

にこは奏夜と穂乃果の姿を見て固まっていたのだが、それは2人が手を繋いでいたからである。

 

「ふ、2人とも、何で手を繋いでるのぉ!?」

 

「「あっ、これは!」」

 

奏夜と穂乃果は慌てて手を離していたのだが、他のメンバーはジト目で奏夜を睨みつけていた。

 

「そーくん、どういうことなのかなぁ?」

 

ことりは笑顔ながらもドス黒いオーラを放っており、奏夜を睨みつけていた。

 

「あっ……いや……これは……その……」

 

「これは詳しく話を聞いた方が良さそうねぇ」

 

「奏夜……。覚悟は出来ていますか?」

 

このままではお話という名のお仕置きを受けてしまう。

 

そう考えた奏夜の顔は真っ青になっていた。

 

どのようにこの場を切り抜けるか考えていたその時、花火大会開始の時間になったからか、大きな花火が打ちあがっていた。

 

「あ!始まったにゃ!!」

 

「綺麗……♪」

 

花火が始まったことにより、みんなの視線は花火の方に移っており、お話という名のお仕置きは有耶無耶になっていた。

 

そのことに奏夜は安堵しながら花火を見ていた。

 

「……ねぇ、そーくん」

 

「ん?何だ?」

 

花火が始まって間もなく、穂乃果が奏夜に話しかけていた。

 

「今日はありがとね……。穂乃果のことを守ってくれて」

 

「当然だろ?俺はみんなを守るって誓ったんだ。この言葉を違えるつもりはないよ」

 

「そーくんはいつも私たちのことを守ってくれてるんだもんね……。だから……」

 

穂乃果はゆっくりと奏夜に近付いていった。

 

そして……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

チュッ……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……んな!?////」

 

穂乃果は奏夜の頬にキスをしており、あまりに突然な出来事に、奏夜の顔は真っ赤になっていた。

 

「……いつも私たちを守ってくれてありがとね♪私たちのナイトさん♪」

 

穂乃果は魔戒騎士である奏夜をナイトと称しており、少しだけ頬を赤らめながらも満面の笑みを浮かべていた。

 

そんな穂乃果を見て奏夜はドキッとしたからか、奏夜の顔は真っ赤になっていた。

 

(……俺、何でこんなにドキドキしてるんだ?もしかして、俺は……。いや、まさかな……)

 

奏夜は今自分が抱いているこの感情の正体を察してはいたのだが、その可能性を否定し、そんな気持ちに蓋をしようとしていた。

 

穂乃果は奏夜の頬にキスをした後、花火に見入っており、奏夜はそんな穂乃果の横顔を見ながら自分がどんな気持ちを抱いているのかをずっと考えていた。

 

こうして、大きな思い出となった花火大会は幕を下ろし、奏夜たちは電車に揺られて秋葉原に帰ってきた。

 

秋葉原に着いた奏夜たちはそのまま解散し、奏夜もまた、帰路についていた。

 

夏休みももうすぐ終わり、二学期が始まろうとしていた。

 

二学期が始まるということは、ラブライブ出場グループが決まる日も近くなるということだ。

 

奏夜たちにとって、ここからが正念場となるのであった……。

 

 

 

 

 

 

……続く。

 

 

 

 

 

 

__次回予告__

 

『ついに二学期が始まったか。これからは色々頑張っていかなきゃいけないんだがな……。次回、「教師」。まさか、あの男が教師とはな……』

 

 




穂乃果たちと過ごす夏祭り凄く楽しそうですね。

メンバーの浴衣姿を独占出来る奏夜はかなり羨ましいです(笑)

穂乃果がチャラ男にナンパされるというベタな展開もありましたが、そんなイベントがあったからこそ、穂乃果にもフラグが立ったと思います。

奏夜が羨ましすぎるぞ!コンチクショウ!(笑)

さて、次回は教師とある通り、とあるキャラクターが教師として登場します。

それは一体誰なのか?

この話を投稿する前に、FF14の追加ディスクである「紅蓮のリベレーター」の発売記念の番外編を投稿しようと思っています。

現在頑張って制作中です。

FF14を知らない人でも楽しめるような内容にはしたいと思っていますので、ご期待ください!

それでは、次回をお楽しみに!


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