早いもので、もう4月になりましたね。
もうすぐでこの小説を投稿してから2ヶ月が経とうとしています。
これからも牙狼ライブ!をよろしくお願いします!
そういえば、絶狼の最終回を見ましたが、色々と凄かったですね。
まさかのものが見れましたしね……。
さて、今回は前回の続きで、奏夜たちと統夜たちの交流会となります。
今回の構図はまさしく牙狼×ラブライブ!×けいおん!となりますが、どのような話で盛り上がるのか?
それでは、第20話をどうぞ!
μ'sのメンバーが7人となり、数日が経過していた。
花陽が偶然放課後ティータイムのライブ映像を見ていたことをきっかけに、穂乃果たちは、奏夜の兄貴分である月影統夜が魔戒騎士であることを知る。
その日の夜、奏夜は帰りが遅くなった穂乃果たちを家に送ろうとしたのだが、その前にホラー、グランドオーガと遭遇したのである。
奏夜はグランドオーガのパワーに押されており、これから反撃を開始しようと思っていると、奏夜の先輩騎士である月影統夜が戦いに介入してきた。
統夜は秋葉原で用事があるようであり、N女子大学に通っている唯たち共に秋葉原へとやってきたのである。
統夜は、奏夜に唯たちと穂乃果たちを守るよう頼むと、たった1人でグランドオーガに向かっていった。
高校時代に様々な試練を乗り越えてきた統夜の実力はかなりのものであり、グランドオーガは、そんな統夜に圧倒されていた。
そして、白銀騎士奏狼の鎧を召還した統夜は、その圧倒的な力で、グランドオーガを蹂躙したのである。
鎧を解除した統夜は、奏夜たちや穂乃果たちと少し話をすると、自分たちの泊まるホテルに遊びに来ないかという提案をしていた。
その提案に乗った奏夜たちは、統夜先導のもと、秋葉原某所にあるホテルへと向かったのである。
そのホテルとは……。
「「「「「「「「……」」」」」」」」
自分たちが考えていた以上に立派なホテルであったため、奏夜たちは言葉を失っていた。
「……おい、お前ら、どうした?早く行くぞ」
奏夜たちが唖然としていることなど御構い無しと言った感じで、統夜たちはホテルの中に入っていったため、奏夜たちは慌てて後を追いかける。
ホテルの中に入ると……。
「……お帰りなさいませ、紬様。皆様」
ホテルの支配人と思われる男性が、紬たちの姿を見つけると、深々と頭を下げていた。
どうやら統夜たちは既にこのホテルにチェックインしたようなのだが、チェックインしてすぐに、統夜とイルバがホラーの気配を探知したため、現場に急行したようであった。
紬様と、重役のような扱いを受けている紬を見て、奏夜たちは唖然としていた。
(……こ、これは凄いわね……。パパは病院を経営しているけど、ここまでの富豪ではないわよ……!)
真姫の家も、父親が病院を経営しているからか、秋葉原の中では富豪の部類に入るのだが、上には上がいたため、真姫は特に驚きを隠せなかった。
(……それにしても、何でこの人たちはこの紬って人と仲良くなれたのかしら……?)
紬以外のメンバーは、とても金持ちの人間とは思えず、平凡な人物という印象だったため、紬と統夜たちが何故友達なのかという疑問を、真姫は抱いていた。
「……あのね、この8人は私のお友達なの。一緒に泊まりはしないのだけれど、お話をしたいと思って連れてきたの」
「……かしこまりました。直ちにお部屋をご用意致しましょう」
ホテルの支配人らしき男は、従業員らしき男を呼び出すと、何か指示を出し、それを皮切りに、従業員たちが慌ただしく動き始めた。
そんな慌ただしい動きを見た奏夜は、少しばかり申し訳ないと思っていた。
この従業員たちは自分たちのためにここまで慌ただしく動いてくれているからである。
奏夜は申し訳ない気持ちだったのだが、穂乃果たちは唖然としていたため、そこまでの気持ちにはなれなかった。
その場で待機することおよそ数分後……。
「……紬様。皆様。お待たせいたしました。お部屋の準備が出来ましたので、ご案内いたします」
どうやら、話をするためだけの部屋の用意が出来たようであり、奏夜たちと統夜たちは、支配人らしき男の案内で、とある部屋へと向かった。
案内された部屋は、ちょっとしたパーティーを行う時に使われる部屋のようであり、奏夜たち8人と、統夜たち6人が入ってちょうど良いスペースだった。
「……ほわぁ、広いねぇ」
「まさか、こんな部屋を用意してくれるなんてな」
「はい。驚きです」
「そうだよな……」
どうやらこの部屋に驚いているのは奏夜たちだけではなく、唯、律、梓、澪の4人も驚いていた。
「……それでは、軽いお食事とお飲物を用意いたします」
「うん、お願いね」
支配人らしき男は、こう告げて紬に一礼すると、部屋を後にして、どこかへと移動した。
「……さて、食事と飲み物が来るまで、のんびりお話でもしてましょうか♪」
紬が満面の笑みを浮かべながら奏夜たちにこう告げるのだが、奏夜たちは未だに驚いているのか、言葉を失いながら唖然としていた。
そんな中……。
「紬さん……でしたっけ?あなたはいったい何者なんですか?こんなホテルに泊まれたり、支配人があそこまであなたの事を敬ったり」
紬の凄さが浮き彫りになっていたため、真姫は、紬がどのような人間なのかを問い詰めていた。
「……ま、ムギのことを知らなかったらそう思うのも当然だよな」
「確かに、そうですよね」
紬との付き合いが長い統夜と梓は、そこまで驚きことはないのだが、μ'sの1年生組やにこのように、初対面の人間がここまでの環境を見せられたら、訝しげに感じるのも納得だろう。
「ムギの家は、桜ヶ丘でもかなりのお金持ちなんだよ」
「別荘もいくつか持っているみたいで、私たちはそこで合宿をしたりもしたよねぇ♪」
律と唯の説明を聞いて、奏夜たちはこのホテルに泊まれるのも納得したようであり、ウンウンと頷いていた。
(……それにしても、別荘……ね。ウチにも別荘はあるけど、それよりも広いのかしら?)
真姫の家も、父親が病院を経営しているだけあって、秋葉原でもかなりの富豪であり、別荘も所有している。
奏夜たちがその真実を知ることになるのは、もう少し先の話である。
紬のことがわかったところで、奏夜たちと統夜たちは、適当に椅子に座ることにした。
「……さて、料理と飲み物はまだ来なさそうだし、改めて自己紹介でもしようぜ」
統夜がこのような提案をしたのだが、その場にいる全員が頷いたため、統夜たちは自己紹介をすることにした。
「したらまずは俺から行くか……。俺は月影統夜。白銀騎士奏狼の称号を持つ魔戒騎士だ」
最初に自己紹介をしたのは、言い出しっぺである統夜からであった。
『それでは俺も自己紹介をしておこう。俺様はイルバ。統夜の相棒の魔導輪だ』
続けて、統夜の相棒であるイルバが自己紹介をするのだが、奏夜以外のμ'sのメンバーは、そんなイルバをジッと見ていた。
「……あなたも魔導輪なんですね……」
「キー君とはちょっと違うけど、あなたも可愛いね!」
穂乃果は、イルバのことをジッと見つめながらこのように呟いていた。
『だからそのキー君はやめろ!』
穂乃果のつけたあだ名が未だに気に入らないのか、キルバはこのように抗議をしていた。
「アハハ……。キルバもあだ名をつけられてるんだな……」
奏夜の相棒であるキルバがあだ名をつけられているとは思っていなかったからか、統夜は苦笑いをしていた。
『やれやれ……。それに、俺様が可愛いとは解せんな』
イルバが可愛いという穂乃果の発言が気に入らなかったのか、イルバは呆れていた。
「それにしても、キー君かぁ。いいあだ名だね!イルイルもそう思うよねぇ?」
「イルイル?」
唯はイルバのことを「イルイル」と呼んでいたのだが、そのあだ名に、穂乃果は首を傾げていた。
『唯!お前さんは相変わらず俺様を変なあだ名で呼ぶな!』
イルバは唯たちにその存在を認知された時から唯にイルイルと呼ばれており、その度にイルバは異議を唱えていた。
それは現在も健在であり、そんな唯とイルバのやり取りを見た奏夜たちは苦笑いをしていた。
「それじゃあ、次は私!私は平沢唯!N女子大学に通う大学2年生だよ!」
統夜とイルバに続いて自己紹介をしたのは唯だった。
「私は秋山澪。唯と同じ大学2年生だ。よろしくな」
「私は琴吹紬よ。みんなからはムギって呼ばれているわ♪」
唯、澪、紬と、順調に自己紹介が終わり、律は「待ってました!」と言わんばかりに「ふっふっふ……」と怪しい笑みを浮かべていた。
そして……。
「……容姿端麗、頭脳明晰。……幸せ笑顔で幸せ運ぶみんなのアイドル。……田井中ぁ、り、つぅ!!」
律がこのような自己紹介をした瞬間、澪が律に拳骨をお見舞いしており、ゴツンという鈍い音が響き渡っていた。
「自分だけ盛りすぎだろ!」
「いやぁ……。スクールアイドルやってる穂乃果たちの前だから、これくらいのことをしないとインパクトに欠けると思って……」
律は、澪に殴られた部分を優しくさすりながら、このような弁解をしていた。
「ったく……。そういうところは高校の頃から変わってないよな、律は……」
律とは長い付き合いである統夜も、当時と変わらない律に呆れていた。
「……私は中野梓だよ。最近先輩たちと同じ、N女子大学に入ったんだ。改めてよろしくね」
そんな律をスルーしつつ、梓が自己紹介をしていた。
「それにしても、梓さんとにこ先輩ってやっぱり似てますよねぇ」
このホテルへ移動する前も、互いに他人のような気がしなかった2人は固い握手を交わしていたのだが、そんな2人を穂乃果は改めて眺めていた。
「やっぱりそう……なのかなぁ?」
梓はにこのことをジッと見つめながら首を傾げていた。
「うんうん、似てると思うぞ」
律は梓とにこを交互に見比べると、ウンウンと頷いていた。
「なんだかよくわかんないけど、あなたとなら仲良くなれそうな気がするわ」
「そうだね……。それは私も同じ思いだよ」
小柄でツインテール同士、何か感じるものがありからか、2人は互いのことをジッと見ていた。
「ま、そこはともかくとして、次は俺たちかな?」
ここで統夜たちの自己紹介は終わったため、続けては奏夜たちの自己紹介が行われた。
「俺は如月奏夜。μ'sのマネージャー兼ダンスコーチで、陽光騎士輝狼の称号を持つ魔戒騎士です」
「それにしても、μ'sのマネージャーとダンスコーチかぁ……」
「当時のやーくんよりも忙しそうだねぇ」
「あのなぁ……。当時の俺だって忙しかったんだぞ?まぁ、今の奏夜程じゃないけどな」
統夜は軽音部時代にどのように過ごしていたのかを思い出していたため、梓と唯の言葉に反論する言葉は見つからなかった。
『俺も自己紹介をしておこう。俺の名はキルバ。まだまだ未熟な奏夜をサポートする魔導輪で、どの魔導輪よりも最高に格好いい魔導輪だ!』
「「「「「「……」」」」」」
キルバのナルシスト全開な自己紹介に、統夜たちは思わず言葉を失ってしまった。
「キー君!そんなに格好つけた発言をするから、統夜さんたちが戸惑ってるじゃん!」
『だからキー君はやめろ!』
キルバは相変わらず穂乃果がキー君と呼ぶのが気に入らないからか、異議を唱えていた。
『やれやれ……。どうやらお前さんも呼ばれ方には苦労しているみたいだな……』
イルバもまた、唯に「イルイル」と呼ばれているため、同じように変なあだ名で呼ばれているキルバに同情をしていた。
「……それじゃあ私が自己紹介するね!私は高坂穂乃果です!音ノ木坂学院に通う高校2年生で、μ'sのメンバーです!」
奏夜、キルバと続いて、μ'sのメンバーとして最初に自己紹介をしたのは穂乃果であった。
「園田海未です。μ'sの活動とは他に弓道部に所属しています?よろしくお願いします」
「へぇ、海未は弓道部としても頑張ってるんだ」
「大変そうねぇ」
「まぁ、確かに大変ですが、私はこの日々に充実してますから」
海未は確かに忙しい毎日を送っており、澪と紬は驚いていたのだが、海未はこの毎日に不満はないのである。
「それじゃあ次は私ですね♪私は南ことりです。μ'sの衣装を担当しています!」
「へぇ、あの衣装はことりちゃんが作ったんだね!」
「さわちゃんに負けないくらいの出来だよな」
「さわちゃん?」
律の言っていたさわちゃんなる人物がわからず、ことりだけではなく、他のメンバーも首を傾げていた。
「あぁ、さわちゃんっていうのは、軽音部の顧問である山中さわ子先生のことだよ」
「あの人は衣装作りが趣味みたいでね。軽音部の部室にはたくさんの衣装があるの」
「まぁ、あれはほとんどさわちゃんの趣味が入ってるコスプレ衣装だけどな」
統夜、梓、律の3人が、軽音部の顧問であるさわ子についての説明をしていた。
3人のいう通り、さわ子は衣装作りが趣味であり、自分の作った衣装を誰かに着せるのはもっと好きであり、統夜たちはまるでさわ子の着せ替え人形のように、様々な衣装を着せられたのであった。
桜ヶ丘高校軽音部の部室にはたくさんの衣装がある。
その言葉を聞いたことりは、目をキラキラと輝かせていた。
「こ……ことりちゃん?」
ここまで明るい表情をしたことりを見たことがなかったからか、穂乃果は困惑していた。
穂乃果だけではなく、海未と奏夜も同様なのだが……。
「す、凄いです!今度、その衣装を見てみたいですし、その山中先生にも会ってみたいです!」
「まぁ、さわちゃんもμ'sのことは知ってるだろうし、そう話したら喜ばれるんじゃないのか?」
「そうだな。あの人のことだ。μ'sの衣装のことを話したら血相変えてこっちに飛んでくるかもしれないぞ」
さわ子の衣装はどれもクオリティが高く、さわ子はどの衣装も妥協をすることはしなかった。
衣装の作り甲斐があるスクールアイドルの衣装が作れると聞いたら、目をギラギラと輝かせるだろうと想像した統夜は、苦笑いをしていた。
こうして、奏夜を含めた2年生組の自己紹介は終了した。
「それじゃあ、次は凛たちだね!私は音ノ木坂学院1年生の星空凛です!よろしくお願いしますにゃ!」
続けて1年生組の自己紹介が行われたのだが、最初に自己紹介をしたのは凛だった。
「凛ちゃん、元気いっぱいだね!」
「そうだな。そういうところは律そっくりかもしれないな」
「えぇ?そんなことはないと思うけどにゃ!」
律は元気いっぱいなところが凛と似ていると言われ、何故かドヤ顔で語尾に「にゃ」とつけてみた。
「「「「「……」」」」」
そんな律に呆れているのか、統夜たちは言葉を失い、特に統夜と澪は、ジト目で律を見ていた。
「そ、そんな目であたしを見るな!」
そんな冷ややかな目線が耐えられなかったのか、律はあたふたとしていた。
「そ、それじゃあ、私の自己紹介をしますね。私も同じ1年生の、小泉……花陽です。よろしくお願いします……」
続けて花陽が自己紹介をするのだが、花陽は恥ずかしがりながら自己紹介をしていた。
「かよちゃん!可愛い!」
そんな花陽のことが気に入ったのか、唯は花陽に抱きついていた。
「ふぇっ!?あの……その……」
いきなり唯に抱きつかれてしまい、花陽は困惑していた。
すると……。
「唯先輩!早く離れてあげて下さい!花陽ちゃんが困ってるじゃないですか!」
それを見かねた梓が唯を注意したため、唯は渋々花陽から離れたのだった。
しかし、唯は梓のことをジッと見るのだが……。
「……あずにゃん、ヤキモチ?」
「なっ!?」
唯の唐突な言葉に、梓は顔を真っ赤にしていた。
「なるほど……。いつも唯に抱きつかれてるのは梓だから、面白くなかったんだな」
「だー!!何でそうなるんですか!!」
どうやら律の言葉は違うようであり、梓はムキになって反論していた。
そんな律と梓のやり取りに、花陽は穏やかな表情で笑みを浮かべていた。
「それじゃあ、次は私ね。私は西木野真姫。μ'sの曲は私が作っているの」
「へぇ、あなたが作曲を担当しているのね。放課後ティータイムの作曲も、私が担当しているのよ」
真姫が作曲を担当していると聞き、同じく作曲をしている紬が反応していた。
「そうなの?今度あなたと色々相談してみたいわ。作曲について悩んでるところもあるしね」
「もちろん♪後で連絡先を交換しましょう♪」
こうして真姫は、その後紬の連絡先をゲットし、作曲について相談していく機会が増えていくことになった。
「……それじゃあ、次はにこの自己紹介ね」
1年生組の自己紹介が終わり、最後ににこの自己紹介が行われようとしていた。
(……何故だろう。嫌な予感がするんだけど……)
《お前もそう思っていたのか。実は俺もそう思っていた》
奏夜とキルバが嫌な予感を抱きながら、にこの自己紹介が行われようとしていた。
「……にっこにっこにー♪あなたのハートににこにこに~♡笑顔届ける矢澤にこにこ~♪にこにーって覚えてラブにこっ♡」
……奏夜たちの期待を一切裏切ることはなく、にこは自分流の自己紹介を行っていた。
(や……やっぱりその自己紹介をしやがったな……)
《そこは期待を一切裏切らなかったな》
にこの自己紹介を聞いた奏夜の表情は引きつっており、キルバも呆れ気味であった。
「「「「「「……」」」」」」
にこの自己紹介に戸惑っているのか、統夜たちは言葉を失っていた。
(ほら見ろ!統夜さんたちもリアクションに困ってるじゃないか!)
統夜たちがにこの自己紹介に対するリアクションに困っているのを見ていた奏夜が取った行動とは……。
「……ま、まぁ!これで全員の自己紹介が終わった訳ですね!」
……奏夜はにこの自己紹介を完全にスルーして、なかったことにしようとしていた。
にこはそんな奏夜の態度が面白くなかったのか……。
「くぉら!奏夜!!せっかくのにこ渾身の自己紹介をスルーするんじゃないわよ!!」
自らの自己紹介をスルーされたにこは、奏夜に近付くと、鳩尾に華麗なボディーブローをお見舞いしていた。
「……ゴギャン!!」
にこのボディーブローが見事に炸裂し、奇妙な声をあげた奏夜は、その場にうずくまっていた。
「……そ、奏夜!大丈夫か?」
「フン!」
統夜が心配そうに奏夜を見る中、にこは少しばかり膨れっ面になってそっぽを向いていた。
「アハハ……平気です。こういうのは慣れっこですから……」
奏夜はゆっくりと立ち上がりながら、苦笑いをしていた。
「……奏夜。お前も色々と苦労してるんだな」
統夜は奏夜の事情を察したからか、奏夜の肩に手を置くと、ウンウンと頷いていた。
そんなやり取りが行われていると……。
「……皆様、お待たせ致しました。お食事とお飲物の用意が整いました」
ホテルのスタッフが何名か入ってくると、サンドイッチなどの軽食やちょっとしたおやつ。
その他にもスイーツに紅茶と、晩餐というよりかは、少しばかり豪勢なティータイムの準備が整ったようであった。
その豪勢なメニューたちに、奏夜たちだけではなく、統夜たちも驚いており、目をキラキラと輝かせていた。
こうして、食事の用意が整ったところで、統夜たちと奏夜たちは、ティータイムを楽しみながら、互いについて話をしていた。
奏夜たちはμ'sのメンバーが7人になった経緯を説明したり、統夜たちは高校時代の話をしたりしていた。
統夜たちは高校時代、軽音部に所属していたのだが、奏夜たちのように脇目も振らずに練習に打ち込んでいた訳ではなく、毎日のようにお茶ばかり飲んでだらけていた。
そんな統夜たちの実態を知って、にこは少しばかり怒っているのだが、それこそが統夜たちであると、統夜は怒るにこをなだめていた。
そのような話をしばらく続けていたのだが……。
「……そういえば、統夜さんはこっちに用事があるって言ってましたけど、その用事って何なんですか?」
奏夜は、統夜が秋葉原で用事があるということを思い出し、その話を切り出していた。
「……あぁ、実はな。今度この翡翠の番犬所に1人の魔戒騎士が配属されることになってな。何故か俺がそこの管轄を案内することになったんだよ」
「そういえば、ロデル様も大輝さんもそんなことを言っていたような……」
統夜の説明通り、近日中に、この翡翠の番犬所に1人の魔戒騎士が配属されることになっていた。
アスハという魔戒法師が行った魔戒騎士狩りが行われてからおよそ2年が経過しており、奏夜のようにその当時に魔戒騎士になった者が魔戒騎士として立派に成長したのである。
そのため、魔戒騎士の人手不足の問題は多少解決されたため、今回のように様々な魔戒騎士が様々な番犬所に所属されることになり、番犬所に魔戒騎士がいないということはなくなったのであった。
「新しい魔戒騎士か……。どんな人なんだろうな?」
「さぁな。俺はアキトの兄貴としか話を聞いてないんだよ。だから、その案内にはアキトも同行するらしい」
「なるほど、だからアキトさんは秋葉原に来ていたんですね」
にこがアスモディに襲われて奏夜が助けた時に、アキトが大輝と共に援護に来てくれた。
元老院所属のアキトが何故ここにいるのか理由がハッキリしたため、その理由がわからずにモヤモヤしていたことも解消されて、奏夜は安堵していた。
そして、新しく配属されるアキトの兄とはどんな人物なのか?
密かに期待をしていたのである。
「あの……。アキトさんって?」
にこ以外のメンバーはアキトに会ったことがないため、穂乃果は首を傾げていた。
「あぁ、アキトっていうのは、元老院という全ての番犬所を総括する機関の魔戒法師で、俺の盟友なんだよ」
アキトの盟友である統夜が、アキトについての説明を行っていた。
「魔戒法師……」
「それって確か、法術を使う人たちのことでしたよね?」
にこ以外のメンバーは魔戒法師を実際に見たことはないのだが、奏夜から話だけは聞いていた。
ことりの説明を聞いた統夜は、無言で頷いていた。
「あいつはひょうきんな奴で、誰とでも仲良くなれる奴だし、お前たちともすぐ仲良くなれると思うぞ」
アキトの性格をよく知っている統夜はこのように語り、奏夜はウンウンと頷いていた。
こうして、アキトがどのような人物なのか、穂乃果たちは楽しみにしており、奏夜はこれから来ると思われるアキトの兄がどのような人物なのか、期待していたのであった。
その後、穂乃果が統夜の武勇伝を聞きたいと話を切り出してきたため、統夜は高校に通いながら魔戒騎士として活躍していた話を語り始めた。
統夜の目の前には様々な強敵が立ちはだかっており、その度に統夜は仲間たちと力を合わせてその困難を乗り越えていった。
統夜の語るこれらの話はそこら辺にある冒険小説よりも面白いものであり、奏夜だけではなく、穂乃果たち。そして、統夜の戦いを見守ってきた唯たちも、目をキラキラさせながら話を聞いていた。
そのため、話を聞きながら食もかなり進んでおり、統夜の話が終わった頃にはテーブルにはほとんどのものが残っていなかった。
統夜の話が終わったところで、程よい時間になったため、奏夜たちおよび統夜たちによるお茶会は幕を閉じた。
時間も遅くなってしまったため、紬は何台かタクシーを手配し、奏夜たちはそのタクシーに乗り込み、それぞれの家に帰ることになった。
家が近いため、奏夜と穂乃果は同じタクシーに乗り込み、他愛のない話をして盛り上がっていた。
タクシーを降りた2人は別れの挨拶を済ませると、互いの家へと戻っていった。
こうして、先輩騎士である統夜のことを知った長い1日は幕を閉じて、翌日以降、統夜たちに会うことを楽しみにしながら、奏夜は眠りについたのであった……。
……続く。
__次回予告__
『穂乃果たちも多少は有名になったとはいえ、こんなこともせねばならんとはな。次回、「取材」。ま、これくらいはしっかりやっておかないとな』
今回は、いつもと比べたらやや短めとなりました。
前作である「牙狼×けいおん 白銀の刃」から2年が経っているとはいえ、統夜たちは相変わらずみたいです。
なので、前作を読んでくれた人は安心してくれたかな?と思っています。
今回、軽音部の顧問であるさわ子の名前が出て来ましたが、もしかしたら今後登場するかもしれません。
さて、次回はラブライブ!の第6話に突入します。
タイトルが取材とありますが、奏夜たちはどのような取材を受けることになるのか?
それでは、次回をお楽しみに!