やはり俺がGF文庫編集部で働くのは間違っている。   作:Balun

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時間がかかりましたが、無事2話目です。
話は全然進んでないがなぁ‼


一応今回もキャラ紹介を

不破春斗 [ふわ はると]
22歳。作家。イケメン、オシャレ、仕事が早いと3拍子そろったすごい人。オタク版葉山といってもいいかもしれない。
一方で羽島や可児の誰にも作れない作品を作れるという才能を羨んでいる部分も…。


可児那由多 [かに なゆた]
18歳。作家。原作とは違い山県ではなく八幡が担当。超天才作家であり、羽島が好き。この小説がR-15なのは大体こいつのせい。


羽島千尋 [はしま ちひろ]
16歳。羽島伊月の義理の弟。勉強はもちろん料理、洗濯などの家事能力も完璧。しかし実は秘密があり…。


今日も今日とて比企谷八幡は天才達に振り回される。

  俺、比企谷八幡は昔から騒々しく無秩序な空間よりも静かで落ち着いた空間の方を好ましいと感じるタイプの人間である。

  理由はいくつかあるのだが、強いてあげるとするならば往々にして騒いでいるのは俺とはタイプも感性もなんなら人種さえ違うとも思えるような楽しく騒いでいる自分達こそ世界の中心であるかのように振る舞い、日夜パーティーを開催している自称パーリーピーポー達だからである。

  なんだよパーリーピーポーって、あいつらタコパやら鍋パやらカレパやら何でもかんでもパーティーになっちまってわけわかんねぇな。なんならあいつら毎日何かしら理由をつけてパーティーしているまである。

  何が言いたいかというと、誰でもいいからこの混沌でカオスな空間をどうにかしてくれないだろうか……。

……ってかそれ、どっちも同じ意味じゃねぇか。

 などと現実逃避していると、一色が俺の袖をぐいぐい引っ張ってきたので顔を向けると、

 

 

 

「美味しーー‼何ですかこれ超美味しいんですけど‼先輩‼先輩‼これヤバいです。マジヤバいです」

 

 

「いや、お前の語彙力の方がヤバいから。あと、どさくさに紛れて俺の分とってんじゃあねぇよ」

 

 

「あはは。あの、比企谷さん、一色さん。まだ料理はありますから喧嘩しないでください。」

 

 

「マジですか‼じゃあおかわりください弟くん‼」

 

 

「可児さんはもうちょっとペース落とした方が……。この前も食べ過ぎて吐きかけてましたし……」

 

 

  今、俺と一色が何をしているかというと、アレですね、はい、羽島先生の家でご飯をご馳走になってますはい。

……あ、ちょっ、やめて蹴らないで‼痛いから‼あと、ご飯超美味しいです‼

 

 

 

 

 

──────────

 

 

 

 

 

  あの後、俺も一色も残っていた仕事を夕方までには終わらせ、残るは羽島先生の原稿を受けとるだけとなったところで、最後の大仕事を片付けるために羽島先生の自宅まで来ていた。

  いや、大袈裟とかじゃないからね、ほんと、何故なら羽島先生は1度だけ締め切りを[真・デッドライン]ぎりぎりまで引き延ばし、結果、編集部の地下にあるカンヅメ部屋で原稿を終わらせたという中々の問題児様なのである。ってか、[真・デッドライン]ってかっこいいな響きがゲームの必殺技みたいで。

 なんでうちの編集部の地下に部屋があるんだろうか?などとは考えてはいけない。世の中知らない方が良いこともあるのだ。

  いや、俺も知らないんだけどね。

 

 

 

「返事ないですねー。羽島先生お留守なんですかねー?

 先輩連絡先知ってますか?」

 

 

「知ってるわけねぇだろ。俺の携帯は昔から暇潰し機能付き目覚ましなんだよ」

 

 

「えぇーー。じゃあどうするんですか?これじゃあ原稿受け取れないじゃないですか‼」

 

 

 

 本当にどうしようかなぁ。これじゃあ今日中に原稿受けとれないなぁ。今日のところは出直そうかなぁ。嫌だなぁ。

 

……なんて考える純粋な時期が過去俺にもありました。

 そもそも小説家はその1日の大半をほとんど家から出ないでなんなら部屋からもほとんど出ないで過ごすなんていう生活リズムを送っている人達ばかりなのだ。

 

 特にラノベ作家などはそれが顕著であり、今から会う予定の羽島先生は食事は弟くんが作りに来てくれているらしいし、誰かが遊びに来ることや誰かと遊びに行くことはあっても一人で遊びに行くということはほとんどないらしい。って土岐がこの前飲みに行った時に言ってた。

 つまり、原稿の締め切りである今日、呼び鈴を鳴らしても返事がないということは居留守か逃げたかの2択に絞られる。

 やだ、八幡名推理‼さすが人を疑うことに関しては某小学生並なだけある。なんなら人のこと疑いすぎて挙動不審になっちゃって職質されちゃうまである。俺がされちゃうのかよ……。

 

 

 

「まぁ、落ち着け一色。入稿日になって作家が家にいないなんて理由は一つしかないだろ」

 

 

「そんなのわかってますよー。でもどうしようもないじゃないですかー。ケンケンさんに羽島先生の番号とか聞いてみますか?」

 

 

「いや、無駄だろ。家に来ても返事がないってことは電話しても返事はしないだろ」

 

 

 

 まぁ、完全に本が出せなくなくなるギリギリである[真・デッドライン]まではまだあるし俺としては最悪の場合今日受け取れなくてもいいんだが……。

 そう思ってチラッと一色を見てみるとこちらの視線には気付かず部屋のドアの真ん前に行き、ちょっと困ったような顔でドアを睨んでいる。

 確かに睨みたくもなるよな。これはいわば一色をにとっての初めての一人でやる仕事なのだ。まだ慣れていないこの仕事で初めて行う仕事で失敗するかもなんて考えてしまうと不安だろう。

 こう見えて案外責任感の強いこいつのことだ、俺に頼ってきたのだって一人では不安でどうしようもなかったがかといって病気の土岐を引っ張り出すわけにもいかなかったからこその妥協案であったのだろう。

 ハァ、と一つ大きなため息をついて一色のほうへ歩いて行く。

 

 

 

「おい、いったん出直すぞ。このままじゃあらちがあかんしな。とりあえず神戸さんに相談する。大丈夫だ、最悪なんとかする」

 

 

 

 まぁ、おそらく大丈夫だとは思うが本当に体調不良かなんかで部屋で倒れているなんて可能性もなきにしもあらずだからな。こういう時はいったん上司に相談したらいいだろう。なんなら責任ごと上司に丸投げできたらなお良いしな。

 そんなことを考えているとキョトンとした顔でこちらを見る一色が目にはいる。

 

 

 

「なんだよ。一応言っとくが俺だって上司に電話で相談くらい出来るぞ」

 

 

「あっ、いえ、そんな台詞を昔にも言ってくたなぁなんて思いまして。ほら、わたしが初めて奉仕部に相談に行った時に」

 

 

「あぁ、あったなそんなこともお前がクラスの女子から生徒会長に立候補させられたやつな」

 

 

「はい。確かそのときも先輩、そんな感じの事を言ってくれて…。まぁ、その時はあんまり先輩には期待してなかったですけど」

 

 

 

……え、待って、今?今それを言っちゃうの?そのカミングアウト数年ほど遅くないですか?

 まぁ、確かにこいつが当時奉仕部に相談に来たのも雪ノ下や由比ヶ浜がいたからこそだったんだろうけども。改めてそう言われてしまうとこっちも心にくるものがあるといいますか、ちょっと泣きたくなっちゃうといいますか、はい。

 

 

 

「でも、今は先輩に期待してますよ。わたしが困ったとき本当に助けてくれてきたの知ってますから」

 

 

 

……流石いろはす。あざとい。ちょっとグッと来ちゃったじゃねぇか。

 

 

 

「お前も相変わらずあざといな。まぁ、やれるだけやってみるわ。心配すんな」

 

 

 

 なんて柄にもなくそんなことを言ってやると一色はピタッと動きを止めるとものすごい赤い顔と勢いで俺を振り返る。

 

 

 

「はっ‼なんですかもしかして今わたしのこと口説いてましたかちょっと頼られたくらいで調子にのって彼氏ずらとかちょっと図々しいのでちゃんと告白してからにしてくださいごめんなさい」

 

 

 

 俺との距離をとるかのようにそのスーツに包まれたうでをぐぐっと両手を押し出し、ぜぇぜえと息を切らしながら一気に捲し立てた。

 

 

 

「あぁ、おう、ごめん。もうそれで良いわ」

 

 

 

 なんでそういう解釈しちゃうのかしらんこの子……。もう高校生、大学生と合わして何回振られちゃったのかもわかんないし……。

 

 

 

「いいから行こうぜ。ほら、置いてくぞ」

 

 

「あっ、待ってくださいよ、先輩」

 

 

 

 とりあえずは神戸さんに連絡して指示を仰ぐか。あぁ、仲の良い不破先生か可児先生に連絡してもらうでもいいかな。

 

 

「せんぱーい。羽島先生の原稿ほんとに受け取れますかねー?わたし今日これから先輩とご飯行くつもりだったんですけど」

 

 

「いや、なんで俺なの?俺にも都合とかあるからね?今日とか超予定入ってるし飲みに行く約束しちゃってるからね俺」

 

 

「えっ、嘘ですよね、もしかしてそれ女の人とですか?」

 

 

 

 うおっ、ビックリした。いろはす一体全体どこからそんなに低い声が出るの?ってかそもそもなんで俺はこいつとご飯行く約束してることになっちゃってるのん?

……まさか、もう一人の俺が……‼なんて考えたところでなんかどうでもよくなり立ち止まり答える。

 

 

 

「いや、神戸さんとだけど」

 

 

「あっ、なら良いです。それならわたしも着いていくのでさっさと羽島先生を見つけましょう」

 

 

 

 なんか一方的に参加表明されちゃったよ。まぁ、神戸さんもこいつなら許してくれるだろうから良いんですけどね。なんなら俺だけよりも喜んでくれそうなまであるし。

 

 

 

「あ、あのっ」

 

 

 

 声を掛けられたのは全く知らない少年、いやまて少女かな?一色の方を見ても首を横に振るのでその性別不明の人物にどうしましたか?と、聞いてみる。

 

 

 

「あの、羽島っていう名前が聞こえて……。兄さんに何か御用ですか?用事なら今、家に居ると思いますけど」

 

 

 

……やっぱし居留守じゃないですか羽島先生……。

 

 

 

 

 ──────────

 

 

 

 

 

 と、まぁ、そんな感じのやり取りがあり、弟くんに事情を説明し、部屋の鍵を合鍵で開けてもらい一色と二人で部屋に突入。中にはボードゲームを囲んで固まっている作家3人組、羽島先生、不破先生、そして俺が担当している可児先生。

……ちょっと待て、3人も居て誰もが居留守って仲良すぎませんかねぇ……。

 まさか自分の弟が原因で居留守がバレるとは思っていなかったのか驚愕から絶望へとコロコロ表情が変わっていく様子は中々の面白かったのだが、少しばかりの希望を持って原稿を催促してみると、まぁ、案の定終わっていないわけで……。

 しかし、「もうすぐ終わるので監禁部屋だけは勘弁してくださいほんと」なんて懇願されてしまったので俺と一色の監視のもと、残っている原稿を書いてもらっていると、弟くんが「兄がすみません。お詫びといってはなんですけど晩ごはんいかがですか?」なんて気を利かせてくれたのでまぁ、仕事の一環としてだし、決して美味しそうな匂いにつられたわけではないし、と自分に言い聞かせてご相伴に預かることにした。

 チラッと見たが羽島先生もすぐに終わる感じじゃなかったというのもあるが。

 神戸さんにはちゃんと事情を説明してまたの機会にっということで話が着いた。理解のある上司ってすごく良いと思います。

 まぁ、こんな仕事だからかしょっちゅうあるらしいしな予定が延期なんてことが。

 そんなことがあり冒頭にもどるのだった。

……回想長ぇよたかが数時間にどんだけイベントあるんだよ、何?ゲームなの?選択肢とか好感度とか全然見えないんですけど……。やっぱり人生はクソゲーな上ハードモードだな。

 

 

 

 

 

──────────

 

 

 

 

 

 あれから弟くんの予想通り食べ過ぎでトイレへとリバースしに行った可児先生は放っておくとして、現在、俺と一色は美味しい料理に舌づつみをうちながら時より羽島先生の原稿の進捗状況を確認している。

 

 

 

「比企谷さんとこうやって一緒にご飯食べるのは初めてですかね?」

 

 

 そう言ってジュースのグラスを片手にこちらに視線を向ける不破先生。

 

 

 

「そうっすね。自分はあまり土岐みたいに作家さん達と交流して一緒に作品を作り上げるってタイプじゃないんで」

 

 

 

 俺のように作家とはビジネスストライクな関係を貫くタイプもいれば、土岐のように作家に寄り添っていくタイプの編集者もいる。これは作家の好みの問題であって俺が現在担当しているのはそういった自分の仕事にはあまり口出ししてほしくないタイプの作家が多い。

 特に我がGF文庫のエースである可児那由多はそうした希望もあって俺の担当となった。

 そんな背景もあるので必然的に関係が薄くなりやすいタイプでもあるわけだ。

 

 

 

「那由ちゃんが珍しく自分から担当の人指名したって聞いたんで俺達どんな人かと気になっていたんですよ。特に伊月がですけど」

 

 

「いやいやいや、全然、これっぽっちも気にしてないし、カニ公がわざわざ男の編集者を指名したなんて聞いたから気になって仕事が遅れたわけではないからなそこんとこ勘違いしてもらっては困るぞ」

 

 

「あぁ、はい。それで良いんでほんと早く仕事してください。わたしほんとは今日予定あったんですから」

 

 

「……はい。ごめんなさい……」

 

 

 

 怖い、いろはす怖いから。そんなどうでもよさげな声と目で話さないで、ほんと。

 不破先生を見ると目を丸くして固まっていた。うん、わかるよ、わかる、びっくりするよね。だってさっきまで「はじめましてー、一色いろはでーす、あっ、もしかして、不破先生ですか?噂通り超かっこいいですね‼」って天然ふわふわ系女子の雰囲気だったもんな……。

 

 

「……比企谷さん、女の子って怖いですね……」

 

 

 数秒かけて再起動した不破先生の感想はある種、世の中の真理を表していたようにも感じた。

 

 

 

 

 

───それから羽島先生が原稿をあげるまで軽く2時間はかかるのだった───

 

 

 

 

 




最後までありがとうございました。
なんか長くなってきたなぁ、でも話は進まないなぁということで切りのいい部分で切りました。
なんかぐだぐただなぁと感じたらごめんなさい。


全然話は変わりますが筆者現在FGOにハマってます。
主力は邪ンヌなんですが、チョコがね、超可愛いんですよ。自分を模したチョコを食べさせるという発想が若干清姫みたいでこれデレてんですね、わかります。なんて一人でニヤニヤしてます。

ではまた、次も読んでくださると嬉しいです。ついでに感想もくれるともっと嬉しいです。

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