読んでくださる方々のお陰で書くのが楽しくなりました!
本編へどうぞ!
艦長室に入室したフォード隊長とゲン・タチバナ。
敬礼をし、今来たことを報告する。
「艦長、フォード・ファーミング大尉、ゲン・タチバナ少尉を連れて参りました」
「あぁ、それでは行こうか」
ユウ・カジマは椅子から立ち上がる。
いきなりの事でなんの話かわからないゲン・タチバナは質問をする。
「行くって、どちらにですか?」
「女神が目を覚ましたと医務室から連絡があったんだ。エコーズに任せようとしたが、きっと怯えてしまうだろう。だから直接俺が行こうと決めたんだ」
「あぁ・・・そうですね」
「エコーズがいくら特殊部隊とはいえ脳筋しかいなさそうですからね」
「フォード隊長・・・それ、ローベル大尉とエコーズ隊長のバルト中佐に聞かれたら事ですよ」
「もういるがな」
気づけば三人の後ろにバルト中佐とローベル大尉がいた。
「バルト中佐にローベル大尉、何か用か?」
二人はユウ・カジマに敬礼をする。
「いえ、俺達の噂話をしているようなので様子を見に来ました」
バルト中佐はフォード隊長に顔を向ける。
「そしたらフォードがエコーズは脳筋の集まりだと発言したとか」
「実際そんなもんだろバルト」
「はぁ・・・俺とローベル大尉ならいいが、他の隊員に聞かれたらまたMS戦を挑まれるぞ」
「ボコボコにしてやるさ、それに退屈してたんだ」
「その腕でなぜエコーズに来なかったんだか」
バルト中佐とフォード隊長は幼なじみらしい。
連邦軍の士官学校では二人とも成績優秀者で、パイロットとしての腕も飛び抜けていた。
だが、エリートを目指すバルト中佐とパイロットとして活躍したいフォード隊長は互いに別の道を進むことになり、今に至る。
バルト中佐はペガサス・コーウェンに駐留するエコーズの隊長に上り詰め、フォード隊長は総撃墜数が73機の撃墜王だ。
「難しい事は苦手なんだ、察しろ」
「あぁ、脳筋ということか」
「言ってくれるなぁバルト」
本当に仲のいい二人だ。
中佐と大尉がこんな会話をしているのだ、他の人からしてみれば怖くて逃げ出すだろう。
・・・佐官にタメ口、ただ事では済まないからだ。
「ローベル大尉、その辺どうなんですか?」
「うん、脳筋はいるよ」
「即答ですね」
ローベル大尉は即答だった。
「そろそろ行こうか、皆」
「「了解!」」
ユウ・カジマは4人を連れて女神のいる医務室へと向かった。
医務室についたユウ・カジマ達。
ふたつのベッドには患者用の衣服を着て拘束されている二人の女神。
丁度検査が終わったらしく、女神達は入室してきたユウ・カジマ達に顔を向ける。
女性医務官のフェリー中尉が椅子から立ち上がる。
「お待ちしてました艦長」
「待たせてすまない、二人の容態は?」
「バイタルは正常、一人は軽い打撲だけです」
ゲン・タチバナがジェガンのシールドで海に叩き落とした痕が出来てしまったようだ。
「それで?」
「・・・二人とも頑なになって話そうとしません」
「そうか・・・、すまんが話をさせてほしい」
「はい」
フェリー中尉は白衣を着て部屋を出る前にゲン・タチバナに声をかけた。
「ゲン、調子はどうかしら?」
「良好ですよフェリー中尉」
「そう、また暇なときに来なさいな」
フェリー中尉は医務室を後にした。
医務室には女神二人とユウ・カジマ達の四人だけとなった。
ユウ・カジマはベッドに近づき口を開く。
「私はこの艦の艦長を務めているユウ・カジマだ。君たちの所属や階級、名前を聞かせてほしい」
「・・・テロリスト共に口を開くつもりはない」
女神達がユウ・カジマ達を睨み付ける。
女神からしたら俺達はテロリストらしい。
それもそうだ、何の前ぶりもなくユウ・カジマ達が突如この世界に現れたのだから。
「参ったな・・・この世界じゃ俺達はテロリスト扱いらしい」
ユウ・カジマはそういって溜め息をついた。
おそらく原因は自分にあると考えたゲン・タチバナはユウ・カジマに伝える。
「艦長、女神が完全に敵対しているのは自分が原因だと思います」
「タチバナ少尉?」
「あの時私はビームサーベルで一人の女性を焼き殺してしまった」
「・・・なるほど」
理解したバルト中佐はそういって腕を組んで壁に寄りかかり、ゲン・タチバナが話そうとしていたことを口にした。
「敵に戦友を殺された、その仇撃ちである敵に話す舌など持たないと・・・」
「よせよバルト、お前らエコーズからしてみれば素人以下の兵士なんだろうがそれが普通なんだよ」
エコーズの隊員は一人になってでも感情的にならず冷静に特殊任務を遂行するように訓練されている、要は完全な殺戮兵器だ。
敵に戦友を殺されたらその敵を恨み復讐するのが普通なのだ。
「だがなフォード、彼女達は日本国自衛隊という組織から出撃要請されたのだろう?普通ならば自衛隊という組織が我々を対処するはずだ。だが最初から彼女達が来た、つまり彼女達は特殊部隊かもしれないだろ」
ゲン・タチバナは彼女達に顔を向ける。
一人が殺意の籠った目でゲン・タチバナを睨み付けていた。
「貴様が・・・貴様が殺したのか!?」
「そうだ、俺が殺したんだ」
「よくも・・・ッ!!」
突然彼女が暴れだすが、ベッドに取り付けられている拘束具で起き上がることはできない。
「この化け物が!レーザーで焼き殺すなんて・・・人の殺し方じゃない、お前らは化け物だ!!」
パンッ!!
乾いた音が部屋に響き渡る。
ゲン・タチバナは彼女の頬を平手で叩いたのだ。
突然のことにユウ・カジマ達は驚いていた。
ゲン・タチバナは彼女の腕を強く掴む。
「正しい殺し方なんてあってたまるか!!俺達は兵士だ、けどな・・・好きで人殺しやってるわけじゃない!!俺達は・・・守るために戦っているんだ!!それに今回仕掛けてきたのはお前らだろ!?通信で聞いてたけど、好き勝手言って攻撃したのはどこの誰だよ!!」
「タチバナ少尉!」
ユウ・カジマにもう止めろと言われ、ゲン・タチバナは彼女の腕から手を離す。
ゲン・タチバナは踵を返し、医務室の扉を開ける。
「タチバナ少尉、何処にいくんだ」
「・・・MS巡回の交代がありますので、自分はこれで失礼します」
そういってゲン・タチバナは医務室を退室した。
「すみません、自分もMS巡回の交代がありますので失礼します。・・・あとそこの嬢ちゃん、俺の部下が悪いことをした。だがあいつの言った事は心に留めておいた方がいい」
彼女にそういい残し、フォード隊長は医務室を後にした。
「ローベル、あの坊主がキレるなんて珍しいな」
「でも彼の言うとおりだと思いますよ、俺達は好きで殺しをしてる訳じゃないですから」
「言い方を変えれば残酷だが、殺しが仕事でもある」
「矛盾してますけど、それが軍人なんですよね」
女神達に再び顔を向けると一人は涙を流して泣いていた。
もう一人は怯えて固まってしまった。
「これでは話を聞くことすらできないな・・・」
ユウ・カジマは困り果てた。
最初は相手が怯えないようにして話を聞こうとしていたが結局怯えてしまった。
それがこの結果である。
「すまないがバルト中佐とローベル大尉は2人の監視をしてくれないか?」
「了解しました」
「お任せください」
互いに敬礼をし、ユウ・カジマは医務室を後にした。
一方MSデッキでは、整備員が数人集まってある話をしていた。
なんでもゲン・タチバナが珍しく機嫌を悪くしていて、カタパルトでMSを発進させる際に今まで見たことのないような速度で飛び出し、それを慌てて追いかけたフォード隊長がいたらしい・・・。
読んでくれてありがとうございます!
更新が遅くなりましたが、意見等お待ちしてます!(^o^)