IS/MS   作:ジャスティ―☆

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毎度遅くなりすみません(>_<)
19話突入です!
今回は束さんのお引っ越し作業です!


隠れた研究所に銀髪の少女

ペガサス・コーウェンの改修工事が行われている真っ最中、ゲンは特例で出撃していた。

何でも、束の研究所を艦内に移す為に必要な機材等を取りに行くためとか。

命令では束の護衛としか聞かされていないためゲン本人も理由を知らない。

護衛対象である束はというと・・・。

 

「・・・すう・・・zZZ」

 

補助席で眠っていた。

無理もない、彼女がロケットで飛んで来る程の距離なのだ。

誰だって眠くはなる。

操縦しているゲンも少し眠気に襲われている。

 

<ゲン、また昨日も無理したでしょ・・・高度が下がってきてるわよ>

 

サイドモニターが通信モードに切り替わりリエの呆れた顔が映し出される。

 

「ん?あぁ・・・ごめん、ありがとう」

 

操縦捍を軽く握り直し高度を上げる。

束の護衛を命令されたのはゲンだけではない、今隣で飛行しているMSを操縦しているリエもだった。

彼女はフォード隊長の愛機であるスタークジェガンを借りて出撃していた。

完全武装のスタークジェガンにベースジャバーの2機編成。

いつでも対処できるような装備での出撃だ。

しかしこの通り、何もなく静かで旅客機に乗っているかのような状態。

つい気が抜けてしまう。

 

<また寝不足ね・・・昨日は何時間寝たのよ>

 

「ん~・・・束に頼まれてた事があって徹夜してたから4時間かなぁ」

 

<もうそれ仮眠ってレベルじゃない・・・>

 

「かもね」

 

<もう、仕方ないわね・・・そっちに行くわよ>

 

リエは操縦捍を握り、機体を操作する。

スタークジェガンがベースジャバーから立ち上がりゲンの方へと飛び移る。

衝撃で少し揺れたが直ぐに収まった。

 

<目的地までは私が操作するから、それまでは寝てなさい>

 

「ん、今回ばかりはそうさせてもらうよ」

 

<あ・・・珍しく素直に従うわね、自分でもヤバイって自覚してきたんだ>

 

「うん、今回ばかりは・・・ね」

 

<そう、後は任せなさい>

 

「ありがとう」

 

通信モードから機体ステータス画面に切り替え、機体をこの体勢から動かないようホールド設定する。

補助席をみると今も変わらず束は眠っている。

それをみたら余計眠くなってきたのでゲンはシートに背中を預けて目をゆっくりと閉じた。

 

 

 

数時間後。

目的地付近に到着したゲンはリエに起こされ機体のホールド設定を解除し再び操縦捍を握った。

辿り着いたのは小さな孤島。

メインモニターで地図を表示しマーキングされた所を確認する。

どうやらこの島が束の研究所らしい。

とはいっても上からみればただの島、研究所らしきものは見当たらなかった。

 

「・・・束起きて、目的地に到着だよ」

 

「ん~・・・」

 

目を覚ました彼女は目を擦り起きる。

 

「着いたの?」

 

「うん、この島であってる?」

 

周天井モニターにズームして拡大させた島を表示させる。

 

「あってるよ」

 

「了解、浜辺だと見つかった時が面倒だから森林に着陸しよう」

 

<分かったわ、ゲリラに気を付けてね>

 

「了解」

 

レーダーをよく確認しながら高度を下げ、森林の真上でベースジャバーをホバーリングさせる。

地上に異常がないかを確かめてから着陸した。

それに続いてリエの機体も着陸、暫く不在になるゲンの機体を護衛するために武装を展開した。

機体を降りる前にゲンは携行する拳銃とアサルトライフルを点検し装備する。

それが終わり次第コックピットハッチを開けて機体から降りる。

 

「地球の地面を踏むのは何年ぶりだろう・・・」

 

「ずっと宇宙にいたの?」

 

「生まれは地球だけど住んでたのがコロニーだからね」

 

「ふ~ん・・・」

 

機体を乗っ取られないように遠隔操作でコックピットハッチを閉じる。

 

「さて、時間もあまりないからさっさと済ませよう。即席だけどベースジャバーにコンテナを着けてもらったから機材はそこに、手で持っていけるものはコックピットの下にポン投げかな」

 

「ほいほ~い!それじゃ研究所に案内するね!」

 

<二人とも気を付けて行ってね>

 

身に付けた通信機からリエの声が聞こえた。

 

「了解、俺の機体宜しくね」

 

<任せなさいな>

 

ゲンと束はその場を後にし研究所へと歩く。

途中野生動物に遭遇したりしたが10分程度で研究所の入り口らしい場所に到着した。

束は木の皮に触れると蓋の様に開く。

その中は暗証番号を入力するためのテンキーがあった。

彼女は暗証番号を入力し決定ボタンを押すと地面が横へとスライドし階段が出現した。

 

「これが入り口・・・遺跡みたいだね」

 

「元々何かの遺跡だったんだけど、束さんが大改造して研究所にしちゃった!」

 

「それが世界遺産だったらマズいよね・・・」

 

「・・・バレなきゃいいんだよ、バレなきゃ」

 

「聞かなかったことにしよう」

 

もしこれが千冬に知られでもしたら面倒なのは確実だ。

張本人である束が怒られるのは勿論だが、巻き込まれる可能性がある。

ゲンは聞かなかったことにしようと自分に言い聞かせた。

とりあえず束と共に研究所の中へと入る。

外の入り口が自動的に閉まり、階段は一瞬暗くなるが明かりがつく。

階段を降りると巨大な扉があり、束が再び暗証番号を入力すると扉が重々しく開く。

2重に鍵を掛けているようだ。

 

「束さんの研究所へようこそ!」

 

「これが・・・」

 

研究所を見渡すと、沢山の資料や機材などが沢山保管されている。

中央には造りかけらしいISが立っていた。

 

「束さんってば世界のアイドルみたいでさ、過激なファン達が私を追いかけててウザいからこうして密かに研究してるんだ!」

 

「密かにしては盛大だね・・・」

 

「IS造ってるんだもん!」

 

「それもそうか」

 

過激なファンというのは恐らく各国のお偉いさん方の事を指しているのだろうか。

千冬が言うには彼女の技術が欲しいなどの理由で各国の人たちが束を探し回っているらしい。

突然、人の気配を感じたゲンは担いでいたアサルトライフルを構える。

 

「誰だッ!!」

 

「ッ!?」

 

ゲンが銃を向けた先には・・・銀髪の少女が立っていた。

 

「女の子・・・?どこかで見たような・・・」

 

「クーちゃん!!」

 

束が銀髪の少女に抱きついた。

彼女は束の知り合いだと思ったゲンは向けていた銃口を降ろす。

 

「束様、お帰りなさい」

 

「うん、ただいまクーちゃん!」

 

「ところで束様、そちらの方は・・・?」

 

「そうだったそうだった!彼はゲン、MSのパイロットなんだ!」

 

「モビル・・・スーツ?」

 

それ以上喋らせるとマズいと思ったゲンは口を開く。

 

「束、彼女はいったい・・・」

 

「この娘はクーちゃん!ご飯作ってくれたりとか色んなことしてくれる可愛い娘だよ!」

 

「研究所での同居人ってことだね」

 

「うん!!可愛いでしょ!?」

 

「あ、あぁ・・・そうだね」

 

ゲンは苦笑いしながら束の質問に答えた。

すると銀髪の少女がゲンに近づく。

 

「・・・クロエ・クロニクルです」

 

「え、あぁ・・・ゲン・タチバナです」

 

急な自己紹介で戸惑いながらもお互いに自己紹介をする。

とても落ち着いた娘で可愛い。

しかし常に目を閉じている、目を怪我したりして見えないのだろうか?

 

「クーちゃん、突然なんだけどこれから引っ越しだよ!」

 

「引っ越し・・・ですか?」

 

「うん!束さん、漸く自分の戦いを見つけたんだ。その為にはまず拠点を移す必要があるんだよね、事情は後で話すから手伝ってくれるかな?」

 

「・・・分かりました、束様についていきます」

 

「ありがとうクーちゃん!」

 

嬉しさのあまり興奮した束はクロエという少女に再び抱きつく。

 

「・・・・ん?」

 

クロエは先程彼女についていくと宣言した。

つまり・・・彼女も艦に連れていくという事だろうか。

そう考えたゲンは額に手をあてる。

 

「艦長・・・・すみません、更に負担を掛けそうです・・・」

 

ゲンは艦長にこの事をどう報告しようかと考え始めた。




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