IS/MS   作:ジャスティ―☆

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15話突入となります!!
本編へどうぞ!


ニュータイプと告げられた彼

MSを格納したゲンとフォード隊長は困り果てていた。

別に機体が故障してしまったとかではない。

原因はスタークジェガンの脚部で必死にしがみついている兎耳をつけた女性にある。

因みにその機体はゲンの専用機だ。

 

「姉さん・・・いい加減離れて下さいッ!!」

 

「イ~ヤ~だぁ~!!これを分解するまで絶対に離れないもん!!」

 

近くの整備員は分解する気か!?と困った表情をしている。

それに分解されては困る。

彼女によってこの世界に存在するはずのない技術が流出してしまう可能性がある為だ。

駄々を捏ねる彼女を見た千冬は大きな溜め息をつく。

 

「この機体にはタチバナ少尉が乗っているんだったな、見苦しい所を見せてしまってすまない。それに大事な機体を・・・」

 

「いえ・・・確かに分解されちゃ困りますけど、触るぐらいなら何ともないですから」

 

「そういって貰えると助かる」

 

千冬はそういって駄々を捏ね続けている彼女の元へ。

どこから出したのか、千冬の手には出席簿が出現し振り上げられ、それが兎耳をつけた彼女の頭に振り下ろされる。

広大なMSデッキ内に乾いた音が鳴り響いた。

それを聞いたフォード隊長は呟く。

 

「お~いい音してんなぁ。この世界じゃ出席簿は兵器なのか?」

 

「そんなわけないでしょう・・・」

 

もう何がなんだか分からない。

ゲンはこの状況を理解できなかった。

 

「いったぁ~い!!もうちーちゃん何すんのさ!!」

 

「大人にもなって駄々を捏ねるな馬鹿者!それと彼に謝れ」

 

千冬はそういってゲンに指を指す。

兎耳をつけた女性はゲンに顔を向けると急に目が鋭くなる。

すると彼女が動き出した。

 

「ッ!!」

 

とっさに反応したゲンは後ろに下がる。

ゲンがさっきまで立っていた位置に彼女が着地した。

しかし油断してしまったゲンは腕をがっちりと捕まれてしまう。

彼女の鼻先がゲンの鼻先につく勢いで彼女は顔を近づけてきた。

必然的に彼女と目が合ったゲンは固まってしまう。

暫くすると彼女の方から口を開いた。

 

「・・・やっぱりだ。今の反応の良さ、普通の人間よりも能力が高い。ねぇキミ・・・・さっきの質問に答えてなかったよね?」

 

「し、質問・・・?」

 

「何で私の動きが読めたの?」

 

あの時と全く同じ質問をされたゲンは答えようがなかった。

何せゲン自身がニュータイプである事を自覚していないからだ。

答えられずにいると・・・。

 

「それはタチバナ少尉がニュータイプだからだ」

 

声がした方に顔を向けると、そこにはベネズ中佐を連れたユウ艦長が立っていた。

 

「ニュータイプ・・・俺が?」

 

「あぁ、タチバナ少尉の高すぎる反応速度が原因でMSが追い付けていなかったんだ。あの時何かを感じたのだろう?ニュータイプは・・・人並み外れた直感力と洞察力、並外れた動物的直感。そして空間認識能力を持っていて独特の脳波を発すると言われている。恐らくタチバナ少尉は空間認識能力で彼女が来たのを感じたのかもしれない」

 

ニュータイプだとユウ艦長に言われたゲンは未だに混乱していた。

 

「その様子だとキミ・・・自覚してなかったんだ。でも今の説明で納得したよ、気になってたんだ。普通の人間にしては反応が良すぎる、それに私の動きが正確に読み取れてた。普通ならこんなことあり得ない」

 

彼女は掴んでいたゲンの腕から手を離しユウ艦長に向き直る。

 

「地球連邦軍所属、ドゴス・ギア級3番艦ペガサス・コーウェンの艦長、ユウ・カジマ大佐だ。ここに来たと言うことは、何か用があって来たのだろう」

 

大体予想は出来る。

彼女は・・・篠ノ野束はこの世界に存在するISの創設者だ。

世界で467個しかないISのコアの内1つを完全消滅させてしまったのだ。

彼女が黙っているはずはない、そして彼女直々に出向いて来た。

 

「・・・・・・・」

 

急に黙ってしまった彼女にユウ艦長は困ってしまう。

何か気に触ることを言ったかとベネズ中佐に聞くと彼女もさっぱりと答える。

すると千冬が前に出てきた。

 

「すまない、束は親しい人物か興味のある人物にしかあまり口を開かないのでな・・・」

 

「そうか・・・、ならこの件はタチバナ少尉に一任する」

 

「艦長!?」

 

丸投げされたゲンは思わず声をあげてしまった。

ゲンは彼女に腕を捕まれるなり質問をされたりしたが仲がいいわけではない。

それに一度戦った間柄で、敵対心もあるかもしれない状況でユウ艦長にこの件を一任されてしまったのだ。

ゲンが驚くのも無理はなかった

 

「そんな絶望したような顔をしないでくれ、フォローはする。何かあればすぐに駆けつけよう」

 

ユウ艦長は千冬達に顔を向ける。

 

「色々とありすぎて皆疲れているだろう、今日はもう休もう。貴女方にはすでに部屋を用意してある、気象が落ち着くまでゆっくりしていってくれ。もちろん篠ノ之博士にも部屋を用意する。それまではタチバナ少尉が案内してくれるはずだ。ではどうぞごゆっくり」

 

ユウ艦長はこのあとやることがあるので失礼すると一言言い残し、ベネズ中佐を連れてMSデッキを後にした。

残されたゲンは未だに状況が整理できずにフリーズしている。

そんな彼にフォード隊長が声をかける。

 

「とんだ災難だな、ゲン」

 

「勘弁してくださいよ・・・どうしたらいいんですか」

 

「とりあえず彼女達を案内してやってくれ、MSに関しては俺が全部やっておく」

 

「すみませんフォード隊長」

 

「気にすんなって!・・・ゲン、お前がニュータイプだとしても俺は今まで通り接していく。俺だけじゃない、ユウ艦長や大隊の皆もそう言うさ。お前は人間であることに変わりはないからな。気負うなよ」

 

「はい!」

 

「んじゃな!」

 

フォード隊長は軽く敬礼をして整備班と合流し整備や戦闘記録の解析を始める。

残されたのはゲンと千冬達だけとなった。

気まずい雰囲気だが、こうしていても仕方がない。

吹っ切れたゲンは彼女達を部屋に案内する。

 

「あー・・・、聞いての通り案内役を任されましたゲン・タチバナ少尉です。至らない所があるかもしれませんが、宜しくお願いします。何か分からない事があれば聞いてください。あ、質問次第では艦長に聞いてから答えるので時間がかかる事をご了承ください」

 

「それじゃしっつも~ん!!」

 

またしても篠ノ野博士に質問を受けてしまった。

千冬はまたかと呆れ、山田先生は困惑している。

一人の少女が顔を真っ赤にしているのはなぜだろう?

 

「えっと・・・何でしょうか?」

 

「キミが乗ってたのって、モビルスーツ?っていうんだよね!」

 

「え、えぇ・・・そうですね」

 

ゲンは愛機であるスタークジェガンを見上げる。

今は整備されている為、所々装甲が外されている。

 

「モビルスーツというのは総称で、機体にはそれぞれ種類があります」

 

「ふ~ん。でもでも、ここには似たような機体しかないよ?」

 

「ここにはノーベンバー大隊の保有するMSが保管されてます。大隊によって保有するMSが異なり、別のMSデッキに分けられてます」

 

彼女達は興味深々に話を聞いてくれていた。

 

「あの・・・」

 

次は珍しく一夏が質問と言って手をあげる。

 

「ん?」

 

「MSには種類があるんですよね?名前とかってあるんですか?」

 

「もちろんあるよ。今ここにある機体はRGMー89ジェガンD型、地球連邦軍の主力量産機です」

 

「これが量産機・・・」

 

千冬はそう呟いていた。

彼女達からしてみれば、こんな巨大人型兵器が量産されているのかと考えるだけで恐ろしく思うだろう。

だがそれはこちらの世界での話、ゲン達のいた世界ではそれが当たり前なのだ。

 

「でもタチバナ少尉の機体だけ何か違いますよね?」

 

「お、いいところに気づいたね一夏。機体自体は一緒だけど特務仕様になっているんだ。RGMー89Sスタークジェガン、簡単に言えばジェガンのバリエーション機になるね」

 

暫く質疑応答を繰り返したゲンは時計を見る。

かれこれ30分くらいここにいるのでそろそろ案内を始める。

 

「さて、色々聞きたいことはあると思いますがそろそろ部屋に行きましょうか。付いて来てください」

 

ゲンは彼女達を連れて居住区画へと向かった。




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