真っ黒な問題児も異世界から来るそうですよ? 作:ローダ
出来れば見てみてください。
黒い問題児
彼は退屈していた。
超人的な力、能力を持っていると言えば聞こえはいいが、使う場所がなければストレスの要因となるだけだった。もっとも、そもそも
彼……
多くの欲求を一般社会で抑えられていた清人は、半ば諦めていた。もう自分は普通の人間と同じように生きていくのだ、と。
そんな彼の退屈な日常は、唐突に終わりを迎えた。
ある日、清人がいつも通り布団から起きて、気だるげに朝の支度を始めようとした時。
テーブルの上に1通の封筒が置いてあった。
(……?昨日はこんなもの無かったはずだが?)
「ということは、俺が寝てる間に誰かがこれを置いていった?」
寝ている間に知らない誰かが家に入って手紙を置いていった。そんな事実を知れば、普通は気味が悪くなるだろう。
彼は違った。
「なんだよ、
何の躊躇なく清人はそれを手に取り開けた。すると、
『悩み多し異才を持つ少年少女に告げる。
その才能を試すことを望むのならば、
己の家族を、友人を、財産を、世界の全てを捨て、
我らの箱庭に来られたし』
こんな文面が書いてあった。
「家族?友人?財産?そんなもの知るか。世界なんてクソッタレだ」
そう呟いた途端、
清人は上空4000mの位置にいた。
清人だけではない。ヘッドホンを付けた金髪の少年。真っ赤なリボンを付けた少女。猫を抱いた少女。清人の他にも3人同じ目にあっている人がいた。
そして全員、口を揃えて同じことを叫んだ。
「「「「ど……何処だここ!?」」」」
いきなりのスカイダイビングに4人とも困惑する。が、重力は非情だった。
なす術なく落下する4人……いや、3人だった。清人は
他の3人を助けに行こうとも思ったが、下に緩衝材のようなものがあるのを確認すると、清人は一言だけ呟いた。
「グッドラック!」
ふざけんなと言う前に、3人は湖に投げ出された。
ボチャン!と激しい音をたててはいるが、無傷ではあるようだ。
「信じられないわ!まさか問答無用で引き摺り込んだ挙句、空に放り出すなんて!」
「右に同じだクソッタレ。場合によっちゃその場でゲームオーバーだぜコレ」
「此処……どこだろう?」
3人が湖から上がってくると、清人が悠々と翼を使って降りてきた。
清人に十六夜が話しかける。
「おいおい、ありゃどういう事だよ」
「そうよ、なんで私達を助けて……」
「その翼どういう事だちょっとカッコイイじゃねえか触らせろ!」
「ご自由にどうぞ」
「え?そっちなの?」
どうやら十六夜は清人の翼が気に入ったらしい。
それは耀も同じ様だった。
「その翼とても綺麗。あなた人間?」
「さあな、それより先に自己紹介と行こうぜ」
飛鳥は納得いってなさそうではあったが、渋々自己紹介を始めた。
「…私は久遠飛鳥よ。以後気をつけて。そちらの猫を抱きかかえている貴女は?」
「……春日部耀。以下同文」
「そう。よろしく春日部さん。そして、さっき私たちを見捨てた貴方は?」
「見捨てたとか人聞きの悪い言い方するんじゃねえよ。俺は多々良清人、仲良くしようぜ仲良く!」
「努力はするわ、清人君。最後に、野蛮で凶暴そうなそこの貴方は?」
「高圧的な自己紹介ありがとよ。見たまんま野蛮で凶暴な逆廻十六夜です。粗野で凶悪で快楽主義と三拍子そろったダメ人間なので、用法と用量を守った上で適切な態度で接してくれお嬢様」
「そう。取扱説明書をくれたら考えてあげるわ、十六夜君」
「ハハ、マジかよ。今度作っとくから覚悟しとけ、お嬢様」
心からケラケラと笑う逆廻十六夜。
傲慢そうに顔を背ける久遠飛鳥。
我関せず無関心を装う春日部耀。
そして、そんな3人を笑顔で注視する多々良清人。
そんな彼らを物陰から見ていた黒ウサギは思う。
(うわぁ……なんか問題児ばっかりみたいですね……)
召喚しておいてアレだが……彼らが協力する姿は、客観的に想像できそうにない。黒ウサギは陰鬱そうにため息を吐くのだった。
という訳で一話でした。まあ一人増えたこと以外はほとんど原作と同じです。
次回はそう遠くないうちに出ますたぶん。
感想や評価を付けていただければ幸いです。はい。モチベに関わるので何卒…。