諸行有常記   作:sakeu

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第7話 常識を打ち破った日の青年

「起きろー、起きろー」

 

誰だ?俺はまだ眠いからほっといてくれ。

 

「起きないなー、こうなったら」

 

ん?足音が少し遠ざかったぞ?

 

ドッドッドッ タッ

 

なんだこの音と思った瞬間

 

「起きろー!」

 

ゴフッ!

 

「ぐはっ!な、何しやがる!」

 

「おー、起きたかー」

 

目の前には奇妙な帽子を被った女の子がいた。年は妹くらいか?少し下か?どっちにしろ、なぜ腹にダイブした?

 

「いてて…」

 

「おい、気をつけろよー、君は大怪我してるからな」

 

その怪我人にダイブしたのはどこのガキだ!

 

「やっとお目覚めになられましたか。」

 

と扉から少女が現れた。髪は緑色で蛇と蛙をもよおした髪飾りをつけてる。格好は巫女服?にしては露出が高い気がする。身長は俺の方が高いか、良かった。ただ、左肩はズキズキするし、右手なんかぐるぐる巻きで使えねぇ。

 

「はぁ…どうすっかこれ…」

「あ、安心してください。とりあえず私たちが看護することになっています。」

「それはどうも…あぁ、自己紹介がまだだったな、えーっと、俺の名前は碓氷勇人だ。よろしく。」

「これは丁寧に。私は東風谷早苗です。よろしくお願いします。」

と彼女は微笑みながら自己紹介してくれた。かなりの美人でスタイルも良い、さぞかしモテるのだろうなぁ。ただ、ここで美人っていうのは危ない気がするので、一応聞いておく

「俺を食べる気はねーよな?」

「え?私は人間ですよ。人は食べませんよ。」

 

良かった。命は助かりそうだ。それはしてもこの娘は礼儀正しいな。責任感も強そうだし。とりあえず、任せても大丈夫そうだ。

 

「私名前は洩矢諏訪子だよー。後私は神様だよー」

 

子供の、戯言か。

 

「これは本当ですよ。」

 

へー。エァ?どう見ても俺より年下…

 

「あんたよりはずっと年上だね。」

 

なんだ、なんか川に落ちてから俺の常識が…

そんなことよりだ、

 

「ここはどこですか?」

「あ!ここはですね、守谷神社です。」

 

守谷神社?聞いたことのない神社だ。

 

「多分、貴方は聞いたことがないと思います。だって、貴方、外界から来たのでしょう?」

 

外界?

 

「あ!外界と言っても分かりませんね。まずここの世界は幻想郷と言います。貴方はここの世界の外から入って来たのです。」

 

幻想郷?どういうこっちゃ。

話を聞くとここの世界は忘れ去られた物はが来るそうだ。だから、妖怪もいる、神もいる。なんて世界だ。道理で自分の常識が通用しない訳だ。

 

「俺は所謂外界に帰れるのか?」

「えぇ、かえ「無理よ」

「!!」

「お、オメェは」

「こんにちは、幻想入りしたばかりの時以来かしら」

「俺を食いにきたのか?」

「いいえ、教えにきたのよ、貴方が忘れ去られた物だと」

「はぁ?」

「もう貴方は、外界では死んだことになっているわ。言いたいのはそれだけ。これからの新しい生活でも楽しみなさい。それはそうと、自己紹介がまだだったわね。私の名は八雲紫。以後、よろしくね。」

「…………碓氷勇人だ。」

「それじゃぁ、また今度お会いしましょう」

「おい、待て!ってもう行ったか。ッチ」

「碓氷さん、紫さんとは何かあったのですか?」

「あいつに食われかけて、死にかけた」

「え!でもどうして生きているのですか?」

「あいつに一泡吹かせたからかな?」

「す、すごいです!あの方は妖怪の中でも最強クラスですよ!!」

そ、そうか。てか、近い近い俺はパーソナルスペースは広くとるタイプなんだ。

「あ、すいません少し興奮してました。ところで外界の世界について聞きたいのですが。」

「全然いいよ。俺が答えれるなら」

 

そこから、外界の話をした。彼女も少し前まで外界に居たそうだ。

ただ、ジョジョ好きなのは驚いたなぁ。まぁ、俺も弟の影響でジョジョを5部まで読んだなぁ。あ、好きなキャラはエシディシと吉良吉影です。東風谷さんは承太郎って言ってたなぁ。まぁ、カッコいいしな。どこまで進んだのですか?と聞かれ8部まではいったよといった時の彼女反応は面白かった。かなり感情が豊かだなぁ。

 

「ところでここはどんなことがあるんだ?あの、あの八雲っていう奴のあの能力はなんだ?」

「そうですね…紫さんは境界を操る能力を持っています」

「どんな能力なんだ?」

「えーっと、貴方も見たと思いますが、あれはスキマと言って、遠距離を繋いだり、幻と実体の境界も操れます。」

「そんなに強い奴だったのかよ」

 

命があって本当に良かった。

 

「なら、東風谷さんも能力を持っているのか?」

「えぇ、奇跡を起こす能力です!」

 

これまた、チートな能力を…奇跡は偶然で起こすはずなのに必然的に起こせるとは…

 

「ただいまー」

「あ、神奈子様だ」

 

と言うと彼女は声のする方へ言った。

 

「どうすっかな…俺…」

「神奈子様、彼が碓氷さんです」

「そうか、宜しく、碓氷」

「はぁ、よろしくお願いします…」

「八坂神奈子だ」

「よろしくお願いします、八坂様」

「そんなに固くなくていいよ」

「はぁ…」

 

こちらは、さっきのロリ神とは違い威厳があり、神様っぽい。

 

「で、俺の顔に何かついてます?」

「あぁ、すまない、紫のやつが面白い奴だと言ってたもんでな。案外普通の顔だな。」

 

さいですか。

 

「ところで碓氷」

「はい?」

「ここにすぐに身体が治る薬があるのだが…飲むか?」

 

そりゃぁ、早く治したいので

 

「えぇ、飲みます」

「ちょっと、神奈子様…」

 

ゴクッ

 

うへぇ、変な味。良薬口に苦しか。

 

「……………………!?」

 

いてぇ!身体中いてえ!特に左肩、右手なんかもげそうだ!

 

「ぐぐぐぐ…はぁーはぁー、ック」

 

やばい、脂汗まで出てきた。

 

「アハハハ!言い忘れてたが、それ飲むと身体中痛くなるぞ」

 

先に言ってクレェェェ!!

 

 

 

ー10分後ー

 

 

 

 

「フゥーフゥー、死ぬかと思ったら」

 

だが、身体はしっかり治った。前より身体が軽い気がする。まさに最高にハイッて(ry

 

「とりあえず今日は泊まっていってください」

 

なんか悪い気がするが、あても無いので、

 

「じゃあ、お言葉に甘えて。お世話になります。」

「それでは、夕飯の支度をしてきます」

「俺も手伝おうか?」

「大丈夫です、しっかり身体を休めてください」

さいですか。

「俺の荷物はどこかにあるのか?」

「それなら、あそこに」

「どうも」

 

東風谷さんは夕飯の準備をしにいった。うーむ、暇だなぁ。そうだ、荷物の中は…

リュックには筆箱、教科書、ノート、財布など…

セカンドバックには部活用の練習着とジャージとウィンドブレーカー(ズボンのみ、上は着ない主義だ)

スマホもあるが、充電できる訳なさそうなので使わないようにしておく。くぅー、音楽聴きてぇ。まぁ、あーだ言ってもしょうがないので、

 

「勉強すっか」

 

何が楽しくて勉強かて?楽しくねぇよ。でも、習慣てのは怖いもんで、なんかしないといけない気がする。とりあえず、数学の円の方程式でも…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「碓氷さーん、夕飯ができましたよー。」

 

と呼びましたが返事がありません。どうしたのでしょうか?寝ていらっしゃるのでしょうか?客間を見ると、

カリカリカリ……

ものすごい勢いで何か書いています。とても集中しているようです。私には気づいていないようです。何か数字や見たことのない文字がいっぱい並んで……うーん、頭が痛くなりそうです。

 

「そうか、ここはこうゆうことか。ん?どうかしたか?」

「あ、夕飯ができました、一緒に食べましょう。」

「了解です」

 

そういえば、神奈子様と諏訪子様以外の人に食べてもらうのは、初めてな気がします。お口に合うでしょうか…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

どうも、俺は一旦集中すると周りが見えなくなるらしい。東風谷さんが近くにいることに気がつかなかった。後、今更ながらものすごく腹が減った。あの時からどれぐらいたったのやら…

とりあえず、夕飯だそうなので東風谷さんについて行こう。

 

「おっ、碓氷」

「八坂さん、それと洩矢さん?」

 

なんか、洩矢さんって年上のはずなのに呼び方に違和感が…

 

「なんで、私だけ疑問形にした?」

「まぁまぁ、いいじゃないか。それより君は少々他人行儀すぎる。別に呼び捨てでもかまわんよ」

 

そうは言っても、神様を呼び捨てだななんて少し抵抗が…

 

「それでは俺も東風谷さんと同じように神奈子様と諏訪子様で…」

「うーん、まだ、堅苦しいが、まぁいいか」

「私も呼び捨てでかまいませんよ」

「じゃあ、東風谷でいいかな?」

「上の名前じゃあ、違和感があるので下の名前でお願いできますか?」

 

うーん、参ったなぁ。俺は基本、人は苗字で呼んでいる。だから、あまり下の名前で呼ぶのは慣れてない。

 

「こch…」

 

あぁ、そんな目で見ないでくれ!しょうがない、意を決して俺は

 

「改めて、よろしく、早苗」

 

うん、慣れねぇ。なんか、恥ずかしい。

 

「はい、勇人さん」

 

うむ、照れ臭い。

そんな事もありながらも俺らは食事を始めた。

ただ、カレーが出できたのは、驚いた。てっきり、和風なものかと。でも、かなり美味しかった。久々、腹一杯食った気がする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なぁ、あんたは何か能力を持っているのかい?」

 

と夕飯を食べ終わってゆっくりとしてたら、諏訪子様から聞かれた。

 

「多分、俺は能力なんて持ってないですよ。」

「ふーん…じゃあ、そんな不思議な力に興味はあるかい?」

「…ないと言えば嘘になりますかね…」

「じゃあ、霊力でも使えるように修行すれば?」

 

へぇー、霊力なんてあるんだ…は?

 

「俺がそんな力使えるんですか?」

「多分、使えるよ。君には霊力が感じられる。他の人よりは、才能があるかもしれないよ。」

「マジか……」

 

てか、どうやってわかるんだ?あれか、気みたいなやつなのか?

 

「うまく使えば、空も飛べるようになるよ」

 

え!?マジかよ!ひみつ道具なんか必要無くなるじゃんか。

 

「まぁ、ここの世界において、力ある奴はみんな飛べるけどねぇ、早苗だって飛べるぞ」

「………」

 

なんなの?空が飛べるのが自転車に乗れる感覚でできるなんて…科学者が聞いたら泣くぞ。

 

「どうだい、修行してみるかい?」

 

そりゃぁ、答えは

 

「えぇ、もちろんです!」

「勇人さーん、お風呂いいですよー」

おぉ、お風呂にも入れさせて貰えるのか。感謝しきれない。

「着替えどうします?」

「うーん、一応着替えはあるから大丈夫」

 

もちろん、着替えはジャージだ。

 

 

 

 

 

 

 

「…………ふぅ、生き返る〜」

 

それにしても、ここの風呂は広い。家の風呂よりは広い。くつろぎながら、色々あったおかげで溜まった疲れをとるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今何時だろう、……10時か」

 

俺は腕につけてた時計を見た。ここには、時計が見当たらないのでつけといてよかったと思う。もう、こんな時間か。

 

「ふぁぁ、眠い」

 

俺は早寝遅起き型だ。睡眠は大事。いつも、この時間には寝る。なんか、やっとまともに寝れる気が…いいや、早くねよう。

 

「これでようやく今夜も熟睡して寝れる……」

 

そんな、呑気なことを言いながら、早苗たちに寝ることを告げ、準備して貰った布団で眠りにつくのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅー」

 

やっと片付けが終わりました。今日はいつもと違ったのでつい、料理を作り過ぎたのですが、彼は食べてしまいました。あの体にどこへ入っていったのでしょう。それで、あの体型とは…羨ましいです。彼もとい勇人さんはお風呂に入るとすぐに寝てしまいました。まぁ、色々あったので疲れたのでしょう。それにしても、お風呂の時間は短かったです。早風呂派なのでしょうか。

ちょっと、彼のことについて考えてみます。容姿は、いい方だと思います。だからと言って、目を引き付けさせるほどではないかもしれませんが。鼻筋がしっかり通っていますが、目は少し瞼が下がっていて視線が悪い感じがします。そのせいでしょうか、目が死んでるように見えます(ちょっと失礼ですね)。髪は黒で、てっぺんが少々元気な感じがします。体格は小柄なほうです。男ですから、私よりは背が高いです。

ただ、何より不思議なのは、特に変わったところはなく、いたって普通の青年のはずですが、あの紫さんに一泡吹かせた人なのです。もしかして、何か能力があるのかも…気になりますね…

 

「早苗〜」

 

あ、諏訪子様が私を呼んでます。

 

「何でしょうか?諏訪子様」

「突然で申し訳ないけど、明日からあの勇人君に霊力の使い方教えあげられないかな?」

「えぇ、かまいませんよ。でも、どうして?」

「彼にはちょっと才能がありそうだからねぇ…」

やはり、彼には何か力を持っているのでしょうか?

「明日からで良いのですね?」

「あぁ、よろしく頼むよ」

「任せてください」

 

ちょっと明日が楽しみです。




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また、質問、リクエストもどんどんください!

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