諸行有常記   作:sakeu

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第64話 前哨の日の青年

はぁー……なんだろうか、この浮遊感。それに程よい風……いや、強いか?

それにしても、心地いいな……もう少し睡魔に身を委ねようか……

 

んー……流石にいつまでも寝ちゃあいけないか……はぁ……

 

「…………んぅ?いつつ…………」

 

胸の傷が少し痛んだ……気がした。傷は永琳さんの魔法のお薬で綺麗さっぱり治っている。だが、何となく痛んだ気がした。

 

目を開けると、空を飛んでる事に気付く。なるほど、浮遊感の正体はこれか。てか、実際に浮遊している。しかし、何故飛んでる?

 

「起きたか?勇人」

「あ?あ、あぁ。ここは………ってじいちゃん!?何で!?」

 

お、俺はじいちゃんに抱えられていたのか?そ、それにお、お姫様抱っこだと……?

 

「いやぁ、あの娘たちが勇人の取り合いをしておってな。それじゃと勇人もおちおち寝てられんじゃろ」

 

俺を取り合いって……物じゃないんだから……まぁ、寝させてくれる心遣いは嬉しいが。何なら、そのまま休ませてくれてもいいのだが。

 

「それもそうだ」

 

「さてっと、そこの爺さんとあの娘たちには話したんだが勇人にも話しておかなきゃならない話があるんだが………聞いてくれるよな?」

 

話か……あの城のことだろう。確かに興味があるが……聞いて損はないと思うので聞こう。

流石に抱っこされたままでいるのも示しがつかないので降ろしてもらい宙に浮く。

 

「わっぷ!!………んで?話って?」

 

京谷の羽にぶつかり変な声が出る。つくづく締まらんなぁ……

 

「ん、おっけ。んじゃあ先ずは………」

 

京谷は空に浮かぶ天空の城ラpy……このボケはいい加減飽きたか。まぁ、空に浮かぶ城を指差す。

 

「あれか?」

「そう、あれ。あの天空城の事」

 

ズバリ予想通り。ホント何なのだろうか?俺の休暇を奪いよってからに…………

 

「それがどうかしたのか?ヤバそうなのは分かるが」

 

ただでさえ、急に城が現れた事が一大事だってんのに宙に浮く城ときたらねぇ……尋常な事じゃないよな。

 

「………あの城の名前は『ヘブン・クラウド』って言って、本来は『別世界のDIO』と『その仲間』が居た城なんだ」

 

「‼︎⁇」

 

『別世界のDIO』?これまた面倒な……もはや別世界という事に対しては何も言うまい。ここでは何でもありだ。

 

「驚くのも無理は無いね。そもそも君たちから見ればDIOは空想上の人物、存在しない人物だ」

 

そりゃそーだ。漫画のお話だとずっと思ってたからね。その上に別世界だなんて。

 

「でも、私たちは戦った。あの恐ろしくも妖しい雰囲気を放った………あの怪物とね」

 

と言う咲夜はどこか怯えてるようで少しふるえていた。それを京谷が抱き寄せる。ふむ、人がおるのになんて大胆な。しっかし、何処と無く熱い視線を感じるがキニシナイキニシナイ。

 

「それでだ、俺だな。………どうやら、俺を狙って来ていたそうだ」

「京谷を!?………でも、何で………?」

「俺が………DIOの生まれ変わりだったからだ」

「んなっ!!?DIO!?」

「あぁ………いや、正確には『DIO』と『ジョナサン・ジョースター』の生まれ変わりなのさ。そして、命を狙われた。でも、俺たちは勝てた………その筈だった」

「そして、あのヘブン・クラウドとやらがこの幻想郷に現れた………そういう事じゃ勇人」

 

という事は本来なら俺らは無関係と……しっかし、また何でここに……こちとらからしたら迷惑極まりない事なのだが。

 

「だからこそ、この件は早く終わらせたいんだ。もしかしたら………だけど、あの城からはオーラを感じられない。ダミーの可能性はあるんだけど」

 

早く終わらせたいという事には激しく同意である。サッサと終わらせて寝たい。また、明日も仕事なんだよ。

ただ、ダミーという言葉は聞き捨てならない。偽物の可能性もあるだと?これが偽物か?なら、本物はどんだけなんだよ。

 

 

そんな中、例の城『ヘブン・クラウド』に近づくと城から『レーザー』が発射された。

 

「「「ッ!!!?」」」

 

それほど速くなかったので反応が少し遅れたがかわせた。他も大丈夫のようだ。

ふむ、防衛機能があるか。

 

京谷と咲夜が散開しているが俺とじいちゃんは京谷の元へ行く。

 

「おい京谷!!何か撃ってきたぞ!?あれもヘブン・クラウドとやらの攻撃なのか!?」

「いや、俺たちの時は攻撃してこなかった。恐らくあれは偽物。誰か………俺たちの世界の能力者が出した物だと推測出来る」

「偽物!?あのデカイ城が!?しかも、能力者!?一体誰が!?」

「そこは分からない。俺たちの知らない能力者なのか、はたまた俺たちの世界の事情を知っている別世界の能力者なのか。兎も角、迎撃しながら侵入するから攻撃の用意をして!!」

「わ、分かった」

 

全くもって謎ばかりである。空に浮かぶ城。神の御枝か、悪魔の仕業か。

 

 

京谷達は例の如く、"スタンド"で迎撃。俺は見る事が出来ず感じる事しかできないが。妖夢達も剣や弾幕で迎撃をする。

俺自身も銃で迎撃する。そうしながら徐々に接近していく。

 

「こっちに入り口がありました!!皆さん来てください!!」

 

おお!!ナイスだ!妖夢!

妖夢の指示に従い入り口に入る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「皆無事か?」

「な、何とか平気だ………」

「う~む、丁度良い運動になったわい」

「私もそこまで」

「「妖夢(さん)と同じく」」

 

み、皆元気だな……

 

ただ、それにしても城の内部は……どうなってんだ?見渡すといくつもの道のりがある。つまりは迷路のような造りになっている。なんて、面倒な造りしてんだ……

 

兎に角、グダクダ言ってもしょうがないのでちゃっちゃと終わらせましょうか!


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