諸行有常記   作:sakeu

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主人公の確認

碓氷 勇人(16)※諸事情で3年分成長したが事実上は16。てか、見た目があんまり変わってない。

★おうし座 ★O型 ★身長…169センチ(本人は170はあると主張) ★体重…53キロ ★見た目…前述より男性としてはやや小柄。本人もかなり気にしてる。また顔は鼻筋はしっかり通っていて悪く無いはずだが、瞼が少々落ちており死んだ目になっている
★学歴…高校中退(向こうでは死亡のため)
★両親はともに一般人だが祖父は天降りをした元神様 ★瞳の色…黒 ★趣味…読書、睡眠
★好きなスポーツ選手……長谷川勇也(てか、作者のこのry)
★好きなミュージシャン…BUMP OF CHICKEN(これも作者のこのry) ★好きな本…推理小説系 ★好きな色…青や黒
★性格…みんなとワイワイと言うよりは1人で静かに過ごす方が好き。そのせいか、元いた世界では極端に友達が少なかった。本人はそれを少々気にしてた模様。時折、人と喧嘩したくなるようなサガを、持っていたが今ではそうでもない。(前までは影で喧嘩してた) パーソナルスペースは広く取りたい派(おかげで触れられるなどは慣れていない)感情の起伏が無いと思われがちだが、それなりにあると本人は主張。(小さいなどの身体的特徴でいじるとキレる)
★好きな女性のタイプ…スレンダーな方が良い。だが、よくは分からない(積極的な女性とは相性がいい模様)
★能力…物事を不変化する程度の能力




第48話 休憩の日の青年

 

様々な難敵達を倒して、我ら寺子屋チームは全勝でこれた。ホント、大変だった……永琳さんがいなかったら確実に死んでる。治療を受けるたびに採血するのはやめてほしいが。

ま、無事決勝進出というわけだから、良かった良かった。決勝戦の前にしばらく休憩時間を取ってくれるそうだ。この間にそれぞれの行動をとるみたいだ。

例えば紫さんや幽々子さん、じいちゃんなどのねんpゲフンゲフン……まぁ、お姉様方はお話をしてるようだ。また、こいしはチルノと達と遊んでいるようだ。爆発や弾幕が見えるのは気のせい気のせい。キットワタシツカレテンダヨ。後は……萃香さんが酒を飲んでまだ暴れてるとかかな?

まぁ、とにかく賑やかだ。疲れないのか?ま、それが幻想郷のいいところなのかなと思いつつある。

……だが、これは少々問題があると思う。

 

「……な、なぁ、妖夢……?」

「何でしょうか?」

 

別に俺が問題を起こしたわけでもない。また、レミリアが俺の血を求めようとしてるわけでもない。そう、何の問題も無いはずなのだ。

なのに、俺には緊張が走る。周りからの視線が妙に熱っぽい。

冷や汗をかきながら、俺の左腕に右腕を絡ませて引っ付く妖夢に言う。

 

「は、離れてくれないか?」

「嫌です」

 

休憩時間なのにちっともゆっくりできない、それどころか常に緊張していて逆に疲れる。休憩なのに疲れるとはこれいかに。

ドウシテコウナッタ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

原因は妖忌さんとじいちゃんの試合が終わった後にある。俺とフランドールが勝利をおさめた直後である。

 

「勝った!勝ったよ!先生!」

「ああ!よく頑張ったな!すごかったぞ?」

 

本当によく頑張ってくれた。弾幕によって砂煙をあげた後に俺が注意を惹きつけている間に上空から奇襲すると言う作戦をしっかり理解して実行できた。本当に素晴らしいと思う。

 

「うーむ……負けてしまうとは……」

「ハハ……流石我が孫じゃ!」

「やはりこれは限定的すぎるのがいかんのぅ……まだまだ鍛錬せんとな」

「いえ……見えないほど速い斬撃だけでも十分恐ろしいと思いますが……」

「私もまだ鍛錬が足りないようです……」

「なーに、2人揃って鍛錬ができるとはいいことじゃないか」

「ふっ、そうじゃな」

「まぁ、頑張れよ、妖夢」

「もちろんです!そこに勇人さんが加わってくれると嬉しいのですが……」

「ん?なんて?」

「い、いいえ……」

 

「まどろっこしいのぅ……」

 

 

「むぅー……先生!フラン頑張ったんだよ?もっと褒めて!」

「うん?あ、ああ、本当に良かったぞ?」

「言葉じゃなくて、行動で褒めて!」

「!?」

「そうか……分かった」

 

俺はフランドールの頭を撫でる。

 

「よく頑張った」

「えへへ……」

 

本当に可愛いな……娘とはこんな感じなのだろうか?従姉妹の娘も小さく人懐こくて可愛かった記憶がある。それと近い感じだな。

 

「ーーっ……!」

 

ただ、なぜか物凄い寒いオーラが……あれ?今はほのぼのとしているはずなのに……

 

「次は休憩だったな、チルノ達に会いに行ったらどうだ?」

「うん」

 

その時、フランドールの体が傾く。咄嗟に俺が支えるがフランドールの、顔色が良くない。

 

「おい大丈夫か?」

「ちょっと疲れただけだよ……」

「うーむ……流石に戦い続けて疲れたかな?永琳さんのところに行くか」

「うん、行ってくる……」

「おいおい、無茶するな俺が連れて行くさ」

 

と言い、フランドールを抱き上げる。

 

「あっ?」

「ーーーーっ!」

 

急に抱き上げたせいか少し驚いたようだが、すぐに安心したようだ。俺自体そんなに柔じゃないと思うが、フランドールは物凄く軽い。あんな戦いをしてるとは思えない重さだ。

 

「それじゃあ、フランドールを永琳さんのところまで運んできます。じゃあーーどうした?妖夢?」

「私もまだそんなことしてもらったことが無いのに……そもそも勇人さんから触れられたことなんてほとんど無いのに……しかも、フランさんのような幼い姿の吸血鬼に……やはり、勇人さんはロリコン……いえ、そんなはずは……でも、スレンダーな方が好みだと……」

 

妖夢の方を見ると、妖夢が俯いて何やらブツブツとつぶやいていた。前髪で表情は見えんが刀を持つ手には何故か力が相当入っていた。

一方、妖忌さん達は何か感じ取ったのか、

 

「よ、妖夢?」

「ゆ、勇人、早く運んであげなさい」

 

物凄く動揺していた。

 

「……ギロッ」

「ぬぅ……」

 

珍しく妖忌さんが怯んだ気がした。

フランドールを永琳さんの下まで運んだ後、特にすることが無く、ブラブラとしていた。途中で宿題の丸つけをしてしまおうと思い移動していた途中で、

 

「勇人さんフランさんはもう大丈夫なのですか?」

「ん?妖夢か、特に何の問題も無い」

「今から何をするんですか?」

「宿題の丸つけをしてしまおうとな」

「それなら私も手伝います!」

「おお!それは助かる!」

「それでは行きましょう」

 

さっきの不穏な空気は無い模様。いつも通りの真面目な顔で俺の隣に並ぶ。

どういうわけか、俺の横にピッタリとくっついて。

 

「……………………………んー?」

 

いつも通りなのは顔だけか?行動が明らかにおかしい。妖夢の方をみると、何か問題が?とでも言っているような瞳があった。むしろ問題しかない。

 

「早く行かないと休憩時間終わってしまいますよ?」

「あ、ああ」

 

あれ?俺がおかしいのか?妖夢がおかしいのか?でも、妖夢に限ってそんな……あれ?気のせいか?

混乱しながら移動をした。道中誰にも会わなかったのが幸いだった。

 

1人1人の宿題を見ながらつけ間違いが無いように丸つけをする。少しサボってしまっていたため、溜まっている。最近、チルノのに丸がつく回数が増えたのが少し嬉しい。1人1人の成長を喜びながら丸つけをする俺の左腕に妖夢の右腕が絡まる……

 

「おかしくないか!?」

「勇人さん、急に立つと腕組みにくいですよ」

「それがおかしいんだよ!離れてくれ!丸つけがし辛い!」

「嫌です」

 

即答で拒否された。試合の後にあった不穏な空気がまた出てきた気がした。そして、そのまま今に至るのだが……。

 

 

 

 

 

 

 

 

「全くもって何があったんだよ……」

 

丸つけが終わってしまったのだが、未だに妖夢は左腕に絡めている。反対の手で額に手をやる。事態がまだ呑み込めていない。

妖夢の顔を伺うが何も変わっていない。ただ、不満そうな雰囲気を醸し出している。

 

「なぁ……何か気に入らないことでもしたか?」

「……そこだけは分かるんですね」

「流石にそんなオーラを、出しているなら気づくさ」

「なら、自分で考えてください」

 

分からないから聞いたのだが……どうしたらいいのやら。ふと、後ろから声をかけられる。

 

「勇人に妖夢じゃないか!何をしているんだ…ぜ?」

「魔理沙、これは違うんだ。これはだな……あ、あれなんだ!」

「ほほう……ここまでの仲になってるとは……ま、頑張ってくれだぜ」

「だから、違うと!」

「安心しなって、お祝いの品はちゃんとやるからさ」

「一体何を勘違いしとるのだ!」

「じゃあな」

「ま、待て!行くな!」

「……ぐいっ」

「お、おい!引っ張るな妖夢!」

 

弁明も許されず、魔理沙はどこかへ行ってしまった……。

 

「これはマズイ……」

 

魔理沙ですら完全に勘違いをした。数少ない常識人であろう人がだ。他の奴らは絶対勘違いをする。それはどうにか避けなくては……妖夢の奇行ばかり考えていると。

 

「あややや、こんなところに勇人さんと妖夢さんが」

「!?」

 

こ、ここに来て1番会いたくない人に会うなんて……!会いたくない妖怪、射命丸文は俺らの姿を見ると最初は驚いたが、すぐにいいネタを見つけたと言わんばかりに近寄って来た。

 

「あの…だな?…これはだな?」

「ほほう……ついに勇人さんにも進展が……相手は妖夢さんですか……」

「何を言ってるんだ?」

「今はお取り込み中ですね、お邪魔虫は退散させてもらいます」

 

そう言い、どこかへ行こうとする時、振り返って

 

「あ、このこと早苗さんに伝えて来ますね。いや、皆さんに伝えておきますか?」

「おい!それはダメだ!」

 

それではと言いどこかへ飛び立った。ああ……なんということだ……

 

「このままだと皆さんが来てしまいますね」

「の割にはえらく冷静だな」

「まあ、自分が招いたことなので」

「そのせいで俺がピンチなのだが」

 

「……勇人さん、来ましたよ」

「へぇー……早苗を差し置いてねぇ」

「妖夢さん、何をしてるのでしょうか?」

 

戦う時よりも死を間近に感じるとは……泣きたくなってきた。

早苗は明らかに怒っている。諏訪子様も不気味な笑みを浮かべてこっちに向かってくる。

 

「何って、見ての通りですよ」

「それがどういうことかと聞いてるのです!」

「妖夢は奥手だから行動を起こさないと思ってたのにね」

「……何もしないではダメなんです」

 

そう呟くと妖夢はより強く俺の腕を引き寄せる。体は早苗とかに比べると貧相かもしれないがそれでも女性である。女性特有の柔らかさが腕に伝わり、俺の理性をゴリゴリ削る。

 

「あ……ちょ……あかんて!」

「それはずるいです!」

「勇人が変な声出してるじゃない」

「むしろ、そちらの方が好都合です!」

「へ、平然と言うーー

「それに早苗さんは勇人さんと家が近いからいつでもできるじゃないですか!」

「だ、だからって!」

 

「おーい!諏訪子、早苗、こっちに来てくれ!」

 

遠くから神奈子様の声がした。ここに来て救世主が……

 

「こ、今回は譲りますが次からは譲りませんからね!」

 

そう言い、早苗と諏訪子様は神奈子様の元へ行った。

ようやく、静かになったのだが、妖夢は力を緩める気はゼロのようだ。俺だって男である。その悲しいサガかな。いやでも、左腕に神経が集中してしまう。ああ……柔らかいし、温かいな……それにいい匂いもする……はっ!いかんいかん!限界が近いのだろうか?だが、我慢しなければならんのだ!

 

「妖夢、もういいんじゃないかな?俺だって男だぜ?それ以上はあかーー

「おかしくなりそうですか?それでも構いませんよ」

 

トンデモ発言をする妖夢。だが、それは甘い物と言うよりはどこか諦めのあるような感じだった。

 

「何かあったのか?少しぐらい話してくれてもいいだろ?」

「……勇人さんは私と腕を組むのは嫌ですか?」

「??」

「フランさんはいいのに私はダメなんですか?やっぱりロリコンなんですか?」

 

何、訳の分からんことをと言いかけて呑み込んだ。妖夢の目は本気だった。それをテキトーに返すのは良くないだろう。

 

「フランって、試合終わった後のことか?」

「……はい」

「あれはしょうがないだろ?流石に倒れかけているのにほっとくのは教師として許さない」

「分かっています、分かってるんです……」

 

今の妖夢は妖夢らしくない。彼女は真面目でとても真っ直ぐだ。何事にもスパッと迷わず決めれる人だ。真面目過ぎるのがたまにキズだが、それを含めていいことだと思う。でも、今の妖夢は歯切れが悪い。何がそうさせるのだろうか?

 

「ごめんなさい、ワガママをして……」

 

……何がそうさせるのだろうかって……明々白々じゃないか。『俺』じゃないか。彼女は俺にはっきりと好意を伝えた。早苗も然り。しかし、俺はなんやかんやではっきりと答えていない。だが、俺にもはっきりと答えらない訳がある。

だが、妖夢をここまでさせたのは紛れも無い自分だ。

 

「ずっと勇人さんのことを想っています。それは今でも変わりません。それは早苗さんもだと思います。でも、勇人さんはまだ心が向こうに残ったままです。全然こちらには向きません。それがずっと続いてしまう気がするんです」

「妖夢……」

「だから、我慢の限界が来たんです……ですが、いつまでもワガママを言っている場合ではありません。誤解も解いてきます」

 

そう言い、彼女は絡めた腕を解く。だが、俺はその解かれた左腕で妖夢の頭を抱き寄せる。

 

「……え?」

「すまない……ワガママを言っているのは俺の方だ。未だに向こうに未練を残したまま、グダグダしている。多分、これからも俺のワガママは続くかもしれない。だから、このくらいのワガママは許されるさ」

「……誤解されますよ?」

「そうだな」

 

「ただいま戻りましたよって、あああああ!」

「どうした、早苗って……おいっ!」

「あややや!これはスクープですっ!」

「妖夢〜、勇人と進展したって聞いたわよ〜って、アツアツじゃない」

「うむ、妖夢の未来は明るいようじゃ」

「慧音先生!見えないよ!」

「お前達にはまだ早い!」

 

いつの間にかほとんどの人が集合してしまっていたが、その声は様々。少々恥ずかしくなってきた。

 

「勇人さん、顔赤いですよ?」

 

と言う妖夢も赤かったが、その笑顔は優しかった。





勇人の祖父の名前を募集します。日本的な名前でお願いします。

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