諸行有常記   作:sakeu

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第5章 幻想郷武道大会
第42話 始まりは終わり、終わりは始まりの日の青年


 

「はあ……戻ってきたと言うのかな?」

 

戻ってきたでいいか。……ここに骨を埋めるんだからな。寂しくないと言えば嘘になる。友達は少ない方だが、家族や蓮子のような人たちのおかげで、あそこで生きていたくないとは一度も思ったことはない。

でも、運命には逆らえないか……

ヘコタレてる場合じゃないよな!もう、ここで生きて行くことにしたんだから!

 

 

 

「「勇人さん!」」

 

「ん?おお、早苗と妖夢じゃないか、わざわざ迎えにとは」

「当たり前じゃないですか!」

「1週間、勇人さんに会えないのを我慢してたんですよ!?」

「ハハハ……」

 

戻ってきたのだから言うべきセリフがあるな。

 

「ただいま、そして これからよろしくな」

 

一瞬、不思議そうな顔をしたがすぐに満面の笑みで

 

「「おかえりなさい、勇人さん」」

 

ここにも俺の居場所はあるんだよな……なんやかんやで、俺は幸せ者だな。

 

 

「感動の再会は終わったかしら〜?」

「紫さん!?」

「驚かないでよ〜、慣れたもんでしょ?」

「いや、久々なもんで……」

「ふふ……それより、貴方の住む場所だけど……」

「ああ……また、早苗たちにお世話になるんですね?迷惑かな……」

「違うわ、一人暮らしをしてもらうわよ?」

「一人暮らしねぇ……は? 一人暮らし?」

「そうよ、萃香に頼んで家を作ってもらったわ」

「萃香って、あの飲兵衛の?」

「その通り あとでお礼言いなさい」

「は、はぁ……」

 

1週間で建てたのか?うーん……酷くこざっぱりしてなきゃいいんだが。柱とかが結構ゆるゆるなんてシャレになんねぇからな……

 

「場所はどこですか?」

「妖怪の山の麓よ」

「へぇ……よく、天狗たちが許可しましたね」

「まぁ、貴方なら襲うこともないだろうし、襲われても問題ないでしょうからね」

「素直に喜んでいいのか……?」

「荷物は既に運んであるからあとは貴方だけよ」

「そこまで……重ね重ねありがとうございます……」

 

お世話になりっぱなしだなぁ……あ、萃香さんにお礼をしないとな……お礼の品は酒かな?

 

 

 

「もう、話はいいですよね?」

「ええ、いいわよ」

 

うーん……酒っても何がいいのか、さっぱりだ……

 

「なら、これまで溜めてきた分をここで……」

「そうですね……」

 

ああ、寺子屋のこともあったな……慧音さんに任せっぱなしだからなぁ……何かするべきかな……

 

「勇人さん?」

 

授業はどのようにするかな?ああ……チルノの対策も講じないとな……

 

「完全に自分の世界に入っちゃってますね……」

 

一人暮らしを、するんだっけ?うーん……家事はある程度できるが、めんどくさがって掃除とかあんまりしないからなあ……

 

「久々の再会なのに……」

「こうなったら……勇人さん!」

 

ガバッ!

 

「ぬぁ!?どうした妖夢?」

「久しぶりに帰ってきたのですから、こっちのことも見てくださいよ!」

「ああ……そうだな」

 

急に抱きつくもんだから驚いたなあ。まぁ、確かに今考えてもしょうがないな。それにしても、妖夢の頭ってこんな低いところにあったけ?撫でるにはちょうどいい高さだな。

 

「あ……ん……」

 

あ、無意識に撫でてしまってた。まぁ、妖夢も気持ちよさそうだしいいかな?

 

「むぅ……妖夢さんだけずるいです……こうなったら私も……」

 

ギュ……

 

「ヘヤァ!?ど、どうした?早苗?」

「妖夢さんだけずるいです、わ、私も頭撫でてくださいよ!」

「分かったから」

 

これじゃあ、サンドイッチじゃないか……

 

 

 

 

 

「あらあら、モテモテね」

「わしの孫じゃからのう、そりゃあモテるわい」

「貴方ってモテるタイプだっけ?」

「そ、そ、そうじゃだぞ!昔なんて人気すぎて大変じゃったわい!」

「そう……貴方はこれでよかったと思うかしら?」

「さあ……これが良いっとはっきり分かるなら苦労せん。じゃが、これしか方法はないのじゃろ?よかったとか悪いとか言ってもしょうがない。とにかくその道を進むだけじゃ」

「そうね」

 

 

 

 

 

 

 

 

早苗と妖夢との再会のあと、とりあえず、守谷神社と白玉楼に行って、挨拶した。ただ、その度に

 

「お?少し男らしい顔になったんじゃない?」

「そうだな、少し成長したみたいだな」

 

 

「あら、すっかりイケメンになっちゃって」

「ふむ……一皮向けたようじゃな」

 

 

そんなに変わりましたかねぇ……3年分成長したとはいえ、急激に変わるもんじゃないでしょうに

そうそう、家のことだが不安でたまらなかったが杞憂だったようだ。ていうか、よくあの短期間でできたなぁと思う。平屋の家だが、一人暮らしには十分すぎる大きさだ。風呂や台所はしっかり完備されている。てか、かなり現代的じゃね?電球があり、古いけど洗濯機がある。電気通ってんの?と思ったが紫さんいわく、

 

「全部霊力で動くわよ〜、お礼は河童にね」

 

河童の科学ってスゲー。こりゃあ、きゅうり一箱ぐらい送らないとな。

とりあえず、その日は新しい家で過ごした。

 

 

 

 

 

翌日の朝は驚くほど普通だった。自分で起き、飯作って、着替えて寺子屋へ。あら?まるでずっと一人暮らしをしてたみたいだな。

そもそも、自分で起きれたのが驚きだ。

 

 

 

「お久しぶりです、慧音さん」

「おお!勇人か!久しぶりにだな!」

「はい、みんなは元気ですか?」

「ああ、元気過ぎて大変だったよ」

「俺のいない間は本当にありがとうございます」

「なぁに、これぐらい大丈夫さ。ということは、今日からもだな?」

「ええ、頑張りますよ!」

 

久々にみんなに会うか……

 

「そうだ、2人新しく、学びに来た子がいるからな」

「2人ですか」

 

どんな子だろうか?はっきり分かるのは人外ということだけだな。

 

「おーっす、みんな久しぶりだな 君たちは初めましてかな?」

「あ!勇人先生だ!」

「お久しぶりです!」

「久しぶりなのかー」

「へー、この人がフランちゃんたちが言う先生なの?」

「は、初めましてです!」

 

「自己紹介は出欠を取った後にな」

 

えっと……チルノ、大妖精、ルーミア、リグル、ミスティア、フランドールでここからが新入生だな、えとえと、古明地こいし、八雲橙、この子は……藍さんの子供?違うか……狐と猫だもんな……なんか、関係はあるだろうな。

 

「……!?」

 

1人余分にいるぞ!?誰だ?あの子は?って

 

「萃香さん!?」

「おー、勇人だな。あの時以来か?」

 

全然気づかなかった……違和感が……ねぇ?

 

「今失礼なこと考えてたでしょ?」

「いや、まさか……あ、家の件ありがとうございます」

「そう、そのことでここにいるんだ」

「あー、お酒でいいですか?」

「それも悪かないが、これに参加してもらおうとな!」

 

なんだ?幻想郷武道大会?

 

「どうだ、勇人?ってなんでお前が……」

「おお、慧音、ちょうどいいところに!」

「子供達がいるのだから酒はやめてくれ」

「悪りぃ悪りぃ、それよりもこれ参加してくれるか?」

「なんだ?幻想郷武道大会?私はそう言うタイプじゃないから遠慮するよ」

「俺も遠慮しときます……」

「んー?まさか、家の恩を忘れたと言うのかい?」

 

な!?ここでそれを出すとは……

ふむふむ……チーム制か……4人出場?

 

「いや、俺、出れないじゃないですか?」

「ん?だから、ここに来てんじゃないか」

「だからって、生徒たちを巻き込まないでくださいよ……」

「えー……お前だって暴れたいだろ?」

「うん!最近弾幕ごっこもしてないし!」

「こ、こら!何言ってる!」

「慧音も勇人が1人で参加する羽目になるよ〜」

「な……それじゃあ流石にボロボロに……」

 

こ、こいつ、脅すとは……

 

「わ、分かった……メンバーはあとで言う」

「そうこなくっちゃ!勇人、楽しみにしてるよ!」

 

消えた!?はぁ……ここはなんでもありだったな。

 

「慧音さん、本当、すいません……」

「しょうがないさ、流石に1人じゃきついだろ?体育の一環ということにしておこう」

「本当すいません……」

「そんなことより、新しい子の紹介だ」

「そうですね……」

 

 

 

「私は古明地こいしだよー、よろしくねー」

「ああ、えっと……地霊殿?に住んでるのか?」

「うん、そうだよ!お姉ちゃんと可愛いペットと住んでるんだよ!」

「そうか、よろしくな」

「わ、私はや、八雲橙です!」

「えっと……紫さんとか藍さんとかに、関係あるのかな?」

「はい!私は藍しゃまの式です!」

「そういうことな……よろしくな!」

 

「えー、俺は碓氷勇人だ。これからよろしく頼む」

「勇人先生って強い人間なんでしょ?」

「えっ、それは分からないな……」

「フランちゃんたちが強いって言ってたよ!」

「そうだよ、あたいの先生はサイキョーね!」

「確かにお強いですよ!」

 

お、おお……

 

「それに頭もいいって藍しゃまが言ってました!」

「あ、ありがたい話だな」

 

か、過大評価じゃないすかねー……

 

「そういえば、萃香さんと何を話してたんですか?」

「あ、ああ……」

「私が話すよ、今度だな、萃香が、主催で武道大会を開くらしい。それで寺子屋チームとして参加して欲しいそうだ」

 

そういえばルールは……なし!?ありとあらゆる手段でこい!?

 

「4人必要なのだが……2人は我々教師が、そこであと2人なのだが……」

「はい!私が出る!」

「フランか、他には?」

「あたいが……」

「だ、だめだよ!強すぎる人がわんさかいるんだよ?」

「あたいはサイキョーだから問題ない!」

「流石に危ないって……」

「なら、私がー」

「こいしか、この2人なら申し分ないな」

 

「あ!もう、大ちゃんのせいで参加できなかったじゃない!」

(だって、紅魔館の人や霊夢さんたちまで出るって聞いたんだもん……)

 

「決まったな、よしこの話は終了だ、あとは授業だ 久々の勇人の授業だからしっかり聞けよ!」

 

 

武道大会ねぇ……はぁ……ゆっくりはできなさそうだな……身体鍛えとくか……

 

ま、今は授業だな!

 

「よし、今から授業始まるぞ!」

「「「「「「「はい!」」」」」」」

 

 

 

「勇人の参加も決まったな……面白くなりそうだ……な?霊夢?」

「勝手に私も参加させないでよ……」

「でも、あいつとは戦ってみたいんだろ?」

「さぁ……」

「私は戦ってみたいね、あ、勇儀んところも、誘うかな」

「やめなさいよ……」

 

いいねぇ、こりゃあ本当に、楽しみだ!


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