諸行有常記   作:sakeu

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起床からスタートが多い気がするが……しょうがないね!





第37話 それぞれの日の青年&少女(後編《現代》)

「……ん、ふぁ……」

 

うーん……今何時だろう……そうだ、今日は休日だから早起きしなくてよかったっけ?サークルの活動もそんなに早くないから、うん、まだ寝よう……それにしても、朝なのにすっごい暖かい……

 

「スゥー……」

「……」

 

そうだったわ……それにしても、すっかり熟睡ね。本当に男かしら?まぁ、でもこうしていられるならいいか……

 

「二度寝しちゃおう……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「んぁ……朝か……」

 

もう少し寝たいな……あー……なんだろう、暖かいな……余計に眠気を……

 

「……!?」

 

うわっ!そうだった……はぁ、蓮子は俺のこと女と認識してんじゃないのか?流石にそれはダメージが……

 

「あー……」

 

目が覚めちまった。二度寝する気がおきん。そうだ、俺が朝飯作ろうっと。

 

「っと、その前に」

 

着替えよう。もう、向こうから女装の勧めをされるのは勘弁だ。何が楽しくて女装なんか……ぜーったい、しないからな!

 

「流石に学ランは無いよな……」

 

昨日と同じく、ジーパンとパーカーでいいか……上は灰色、下は黒だ。目立たないのがいいのだ。え?オシャレ?知らない子ですね。

 

 

 

「おう……」

 

寝癖が……直そう……

 

「む……」

 

こやつ、中々曲者だ。元気にはねよって……

 

「はっ……」

 

ビンッ

 

「……」

 

ビンッ

 

「ぬぁ!」

 

元気過ぎるぜ!あーもう、いいや。さ、朝飯作ろうっと。

 

「冷蔵庫の中は……これでいいか」

 

目玉焼きとウィンナーでいいや。え?簡単だろって?朝飯はそんなに凝らなくてもいいんだよ。

 

「……」

 

ジュー……

 

「ふぁ……勇人、おはよう……」

「おはよう、朝飯作ってるぞ」

「え?あんたが自発的に行動するなんて……」

「たまたま、早起きしただけだ」

「熱あんじゃない?」

「健康そのものだ、ほら、顔洗ってこい」

「分かった……」

 

あいつは俺をなんだと思ってる?そんなに自発的に行動するのがおかしいか?確かに積極的なタイプでは無いが……

 

 

「ほら、食べるぞ」

「はいはい、いただきまーす」

「いただきます」

 

モグモグ……

 

「今日は何するんだ?」

「そうね……あんたはあと何日ここに居られるの」

「そうだな……今日も含めたら……4日後には帰るからな……」

「そう……なら、3日はサークルに協力してもらえるわね」

「別にフルでも構わないが?」

「少し別のことしてもらうわ」

「そうか」

 

「で、他にどんな活動すんだ?」

「うーん……まぁ、流れでね?」

「計画性無しか……」

 

 

 

 

ーサークル活動1日目ー

 

「で、今日は?」

「見ての通りよ」

「廃ビルね」

「そりゃあ、見れば分かるよ……」

 

これまた、オンボロな……

 

「ここでは、幽霊が多発してるとかしないとか」

「信憑性薄すぎだな」

「でも、他にあては無いしね」

「面倒臭いな……」

「もしかして、幽霊が怖いとか?」

「なんで、今更幽霊に驚かならんのだ?」

 

もう、そんなもん経験済みだっつの。

 

「それじゃあ……レッツゴー!」

「はぁ……よく慣れてますね」

「そりゃあ、あなたが居ない間のパートナーですもの」

「はぁ……」

 

 

「うわぁ……」

 

ひでぇな……本当にボロボロじゃねぇか、どこも今にも崩れそうだぜ。

 

「てか、ここに入っていいのか?」

「勇人、こんな言葉があるのよ」

「なんだ、急に」

「バレなきゃ犯罪じゃないのよ?」

 

反射的に手が額に行く。無許可ならそう言え。

 

「ということで、メリー何か見える?」

「特に……」

 

「なーんにも無いな、霊力も感じない……」

 

ガツッ!

 

「ブベラ!?」

 

なんでここは少し低いんだ?デコぶつけたじゃねぇか……

 

「どうした?」

「いやべt カッ…… ぬぁ!」

 

バタッ!

 

「プ……アハハハハハ!!こけた!アハハハハハ……」

「ぐっ、こ、こんな屈辱……」

 

ち、畜生、なんでつまづいたんだよ!?

 

「はぁー、帰ろうぜ?」

「もう少し探検しましょう」

「分かった……」

 

 

「あ、メリーさん、そこで何を?」

「これ見てよ」

「うわぁ……」

 

見事に天井に穴が……これまた大きいな……

 

「ちょっと、登ってみますね」

「気をつけなさいよ」

「心配なk……ん?」

 

ゴンッ!

 

「ゲブ!?」

 

なんで、石が……

 

「あっ……」

 

ズドーン!

 

「トト!?」

「だ、大丈夫かしら?」

「大丈夫ですよ……そんなにやわじゃ無いです……」

 

いた〜、なんでピンポイントでくるかなー。

 

「はぁ……なんかおかしいな……」

 

チュー……

 

「ネズミか……それ以外に生物はいなさそうだな」

「不潔ね」

「まぁ、これだけ荒廃していればね……」

「チュー!」

 

すっ

 

「クヌム!?せ、背中に!?」

 

な、なんで?

 

「うわ、ちょ…くすぐってー!メリーさん取って!」

「ちょっと動かないで!」

「そう言われても、くすぐったくて!」

 

カッ

 

「あ」

「え?ちょっと、って、キャッ!」

 

バタンッ!

 

とりま、メリーさんを下敷きにするのは防げた……

 

「すんません……」

「大丈夫よ……それより、どいt「あー!」あー」

「な、何してるのよ!」

「これはだな……」

「バカ!」

「アヌビス!?」

「ちょっと、落ち着きなさいな、ただの事故よ」

「そ、そうなの?ごめん」

「俺には?」

「次行くわよ」

「もう勘弁してくれ……」

 

以下ダイジェスト

 

「床に穴があるわね、ちょっと見てきて」

「了解」

 

暗くて見えんな……

 

バサッ!

 

「ぬぉ!?コウモリ……か……?」

 

あ……

 

バタッ!

 

「バステト!?」

 

 

 

「ふぅ……くそっ」

 

あそこにドアが。

 

「はぁ」

 

バンッ!

 

「セト!?」

 

「勇人、大丈夫!?って、何してんのよ」

「もう帰ろうぜ……」

 

 

 

 

「今日はこれで終了よ」

「ああ……」

「なんであんただけボロボロなのよ……」

「もう嫌だ、お家帰る……」

「なんか呪われてるようだったわね、別に変わったのは無かったけど……」

「単にこいつの運が無いだけよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーサークル活動2日目ー

 

「今日は大学でか?」

「特にすることが無いからね」

「まあ、勇人君も少しここのことが知りたいでしょ?」

「そうですね」

「それにしても、昨日からよく立て直したわね」

「はは……」

「ふふ……」

 

 

 

「ふーん……」

 

色々な部活があるのな。

 

「勇人、こっち来てみて!」

「ん?なんだ?」

 

「こんにちは、ファション部です!」

 

はー……珍しい部活だな。

 

「へー……でも、なんでここに?」

「部長と知り合いなのよ」

「で?」

「でね、ちょっと、モデル頼まれたのよ」

「ほほう、蓮子とメリーさんか、確かにスタイルはいいよな」

「私たちはしないわよ」

「あ!あなたが蓮子とお知り合いで今回モデルをやってくれる……」

「ん?ちょっと、蓮子、どいうことだ?俺がモデルだなんて」

 

そうだ!俺じゃあ身長が足りない……シクシク……くそったれ!

 

「お、俺じゃあ向いてないんじゃぁ、他に適任がいるだろ?俺よりも背が高いやつとか……」

「そういうわけにもいかないんですよ」

「なぜに?」

「そうね、"女装"だからね」

「……!?」

 

ダッ!

 

「おっと行かせないわよ?」

「ググ……男の女装なんか見たく無いだろ、ね?メリーさん?」

「あなたの女装は興味あるわ」

「うぇ?」

「大丈夫ですよ、サイズは大丈夫です!」

 

グハッ!俺が小さいと言うのか……

 

「ね?モデル、やってちょうだい?」

「ことw「それじゃあ、こちらに」やめろ!」

 

 

ー青年着替え中ー

 

 

「さ、出てきてください!」

「い、嫌だ!」

 

「ほら!」

「ぐぅ」

 

屈辱だ……スカートを履かせられるなんて……カツラにパッドって……

 

「「……」」

 

「うぅ……」

「やっぱりね……」

「そうね」

 

ぶわっ

 

 

シクシクシクシク……

 

「本当に似合うわね」

「そうでしょ?」

「多分、女の子といってもバレないんじゃないかしら?」

「そうね」

 

「俺は男、俺は男、俺は男、俺は男……」

「勇人」

「何?」

「今日はずっとその格好ね」

「はぁ?やめてくれ……」

 

散々な日だ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーサークル活動3日目ー

 

「あー……」

 

心身共に疲労困憊だ……なんなのだろうか、サークルって……もう、わけが分からん。

 

「んー、その様子だと今日はダメそうね」

「誰のせいだよ」

「今日は休みなさい、その代わり明日してもらいたいことがあるの」

「何だ?」

「それは……後で……」

「はぁ……もうプライドは傷つけないでくれよ」

「大丈夫よ」

「安心できねぇ」

 

初めてだよ、こんなに屈辱的な気分にさせられたのは、敗北感(?)まで感じるよ……

 

「とりあえず、今日は休んでてね?」

「そうする……」

「それじゃあ」

「いってらっしゃい」

「いってきます」

 

がちゃん

 

「はぁ……寝るか……」

 

もう身も心もボロボロだ……全く厄いな……


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