諸行有常記   作:sakeu

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第36話 それぞれの日の青年&少女(前編)

結局、昨日は軽くしばいた後、何もなかった。

いや、何も無いってわけでもなかったかな?

確か、あの後……

 

 

 

 

「もう、いいんじゃないか?」

「ま、まだよ」

「そうかい……」

 

ずっと、腕を組んでる状態なのだが……ま、いいか。

 

「あなたは本当によく分からないわね……」

「俺もよく分かりません」

「はぁ…」

「?」

 

なぜため息つかれんだ?

 

「ねぇ」

「なんだ?」

「さ、さっきは、ありがと……」

「なぁに、あんぐらいどーってこと無いって」

「そう……」

「なんだ?らしくないぜ?」

「べ、別に!」

「はいはい……」

 

「それじゃあ、私はここで」

「うん、じゃあね、メリー」

「さようなら、メリーさん」

「それじゃあ、勇人、蓮子を襲っちゃダメよ?」

「何言ってんだ?」

「ふふ…じゃあ、バイバイ」

「なんだよ……」

 

うーん……分からん人だなぁ。

 

「さぁ、私達も帰るわよ!」

「了解」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あー、疲れた」

「明日も手伝ってもらうからくたばらないでよ」

「へいへい……」

 

「勇人って、ご飯が先?それともお風呂?」

「飯が先だ」

「そう、なら夕飯作るの手伝って」

「了解」

「あんた、了解ばっかり言ってるわね……」

「そうか?」

「まぁ、いいわ。ところで料理はできるのよね?」

「人並みには」

「器用だもんね」

「それ、理由になるか?」

「いいから、手伝いなさい」

「了解、何を作るんだ?」

「肉じゃがで」

「そう、ならじゃがいもと人参の皮剥きを……って、ピーラーは?」

「はい」

「どうも」

「あと、切っといてね」

「了解」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅ、あとはしばらく煮るだけね…」

「結構、早く終わったな」

「そりゃあ、2人でやったもの」

「それもそうか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「もう、良さそうね。勇人、準備して」

「はいはい……」

 

 

 

 

 

「それじゃあ、いただきます」

「いただきます」

「うん、しっかりできてるわ」

「悪くは無いな」

「何よ、その微妙なコメントは」

「いいじゃないか」

「あっそう」

 

 

モグモグ……

 

 

「ねぇ」

「なんだ?」

「向こうの世界でさ」

「うん」

「か、彼女とか作ってないよね?」

「!?ゴホッ!にゃにを!?」

「ぷっ……にゃにを……」

「ぬぁ!噛んだ!」

「で、どうなの?」

「うーん……いる」

 

 

「はぁ!?」

「ハハ!冗談だぜ」

「…!そ、そうよね!コミュ障のあんたができるわけないわね」

「失礼だな!」

「だって、中学生の頃は私以外でまともに目を合わせて話す女子なんていなかったじゃない」

「い、いや、それはだな……」

「男子とすら、まともに話すやつ少なかったんじゃないの?」

「お、俺は1人が好きなのだよ!」

「のくせ、生徒会に入り、部長をやると……」

「しょうがないだろ?やれって言われたから」

「そういうことにしておくわ」

「そういうことなんだよ」

 

「あんたはもしここにずっといたなら、どうなってたと思う?」

「さぁな、未来の事は預言者でも無いから分かんないな」

「まぁ、でも、ずっと変わらないと思うぞ、俺は」

「そうね、あんたが人懐こい人にはならなさそうね」

「逆になったら、なったで気持ち悪いがな」

 

 

 

 

 

 

 

 

「ごちそうさまでした」

「ごちそうさん」

「風呂に入る?」

「先に入らないのか?」

「先に入っていいわよ」

「どうも」

「そうだ、寝巻きはこれを着る?」

「はぁ!?なんで、女物を着らなきゃいけないんだよ!ちゃんとあるわ!」

「ええー、絶対、似合うって」

「嫌だね」

「似合うから!」

「そ、そうなのか?」

「ええ!もちろん!さ、着ましょう!」

 

「だが、断る」

 

「ええ……」

「そんなもん着るのはプライドが、許さん」

「つれないわよ」

「そんなこと言っても着らんぞ」

「はいはい……」

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ…、ああー……」

 

やっぱ、風呂は気持ちいいな……眠くなってきた……まぁ、俺、早風呂派なんですが……

 

「ふぅ、さっぱりした……」

「お?上がったわね」

「ああ、って何してんだ?」

「ゲーム」

「もう寝ろよ」

「まだ、11時じゃない」

「もう、11時だろ」

「でも、これパワ●ロよ?」

「な、なに!?」

「やりたくないの?」

 

う、や、やりたいな……久々に文明的な娯楽だもんな……だが、寝る子は育つのだ……寝るべきだ、寝るべきなんだ……

 

「でも、やりてぇー!」

「はい、やってなさいな」

「ううー……」

 

くそ、欲望には勝てなかった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

\カキーン! 入った!ホームラン!/

 

「よっしゃ!流石だぜ!」

「あら、そのチーム」

「おお、上がってたか?やっぱり、ソフトバンクは最強だぜ!俺がいない間もきっと……」

「残念、去年は2位よ」

「ガッデム!はぁ?まさか?」

「はいはい、いいから、もう時間よ?」

「そうだな、寝るか」

 

 

 

 

 

 

 

 

「ベッドは1つしか無いわ」

「だろうな、リビングで寝る」

「でも、あんた、結構寝るときこだわりあるじゃない」

「背に腹はかれられぬ、しょうがないからここで寝る、何か抱くものがあればいいんだが……」

 

そうすれば、熟睡できるのだが……

 

「別に昨日のようにすればいいじゃない」

「what!?」

「えらく流暢に言ったわね……」

「年頃の男女が同じベッドは良くないぞ!健全では無い!」

「むしろ、あんたが健全な男子じゃないでしょ」

「は、はぁ?どこがだよ」

「逆に男の子が、そんなことに興味ない方がおかしいわよ」

「な!……そ、それは置いといてだな、一緒に寝るのは良くないから遠慮する」

「別にあんたが襲わらなければいいじゃない」

「うっ……」

「ね?今日も少し冷えるしね?」

「むぅ……」

「決まりね」

「あ、ちょっと……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ…どうしてこうなった……」

「勇人、抱き枕はいらないの?」

「欲しいが、お前持ってないだろ?」

「持ってないけど、代わりになる物はあるわ」

「おお!そうか、どこだ?」

「ん」

「は?」

「だから、ん」

「お前……?」

「そうよ」

「頭打ったか?」

「あなたこそ打ったんじゃないの?」

「いや、俺は正常だ」

「私もよ」

「そうか、正常な君は君を抱き枕にしろと?」

「そ、そうよ」

 

「じゃあ、い、いくぞ?」

「どうぞ」

 

ギュ……

 

「ん……」

「……」

 

や、柔らかい……やっぱり、女なんだな。そして、暖かい……意外と寝れるかも……

 

「スゥー……」

「なんでこの状態で寝ちゃうのよ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ……」

「最近、ため息多いぞ、早苗」

「そうだよ、幸せが逃げちゃうよ?」

「だって……最近はあまり勇人さんと一緒に居れてないですし……」

「そうだな……1週間は白玉楼にいて、1日ここに居たと思ったら、1週間外の世界に里帰りだもんな」

「ば、バカ!神奈子!」

「ん?」

「うっ……そうですよね……私は一緒に居れない運命ですかね……」

「い、いや、大丈夫だぞ?きっと帰ってきたらここに戻って来るからな?」

「そうだよ」

「そういうわけにもいかないわ〜」

「おいおい……急に出てこないでくれよ……縁起悪いよ」

「何よ、私が不吉の象徴みたいな言い方は……」

「実際、あんたろくでもないことをするだろ?」

「そうかしら?まぁ、そこは置いといて、彼、帰ってきたら一人暮らしさせる予定だから」

「え!?」

「な、なんでです!?」

「もう彼も独り立ちしたいお年頃でしょ?」

「そ、そうですけど……」

「それに彼を襲う妖怪がいても簡単に倒されるようなやわな人間じゃないわよね?」

「そうですけど……」

「あと、これから妖夢と競うわけでしょ?対等にならないとね?」

「む、絶対に負けませんよ!」

「どの辺に住むのだ?」

「安心なさい、妖怪の山の麓よ」

「そうかい……」

「負けられませんよ…」

「そうだよ!早苗、あのまな板半人前には負けられないからね!」

「ええ!」

「あとは……特に無いかしら」

「なら早くどっかに行ってくれると嬉しいがな」

「あら、冷たいわ〜、そんなんだから、男運が無いのよ〜」

「はぁ!?」

「じゃあね」

「ま、待ちやがれ!」

「行っちゃった」

「チッ、なんなんだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ブンッ、ブンッ、ブンッ……

 

「ふぅ〜、もう少し続けますか…」

「その辺にしておけ」

「ですが、師匠……」

「やりすぎも良く無い、ちょうどよくやるのが肝心じゃ」

「分かりました……」

「しょうがないわ〜、素振りでもしないと勇人のこと考えちゃうんですって〜」

「な!?何を!?幽々子様!?」

「確かにあいつが婿として来るのは嬉しいが……雑念の元になってしまうのはな……」

「何行ってんのよ、妖夢も年頃の女の子よ?恋だってするわ」

「そ、そうじゃな……もう、あの小さい時の妖夢じゃないんじゃな……」

「お主は少々孫を可愛がり過ぎじゃないか?」

「な、何を!?」

「まぁ、その気持ちはわからんでもないが……」

「そうじゃろ?」

「2人揃って親バカ、もといじじバカね」

「幽々子様、その言い方は……」

「そうそう、紫がね、勇人が帰ってきた時、一人暮らしさせるんですって」

「「「!?」」」

「理由は勇人もこの幻想郷のパワーバランスの一角となってもらうため、やっぱり、年頃だからとかの理由なんだけど……まぁ、これで妖夢も早苗と対等に勇人に会えるんじゃない?」

「そ、そうですね!」

「そうか……勇人も大きくなったんじゃな……もう、一人暮らしできる歳なのか」

「それとて、妖夢、日々の鍛錬に支障をきたすようなことは許さんぞ?」

「分かってます!でも、絶対に早苗さんには負けませんよ!」

「頑張ってね〜」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「霊夢はいるかしら?」

「いるわよ」

「いるぜ」

「相変わらずね、勇人を見習って仕事ぐらいしなさいよ」

「してるわよ」

「その結果がね……」

「まぁ、貧乏巫女だからな」

「それより、紫は何の用かしら?」

「勇人のことなのだけど、彼もこの幻想郷のパワーバランスの一角を背負ってもらうわ」

「まじか!?流石だな!勇人は」

「それだけ?」

「いいえ、ちょっとこのお札を見て欲しかったのよ」

「それ、勇人との連絡用のお札じゃない」

「そうよ」

「何か、問題あるのかぜ?」

「ええ、今日ね急に大きな霊力が流れたのよ」

「へー、どのくらい?」

「そうね、少し私の肌が焼けちゃったわ」

「それは相当な霊力ね、見せてちょうだい」

「何か分かったかしら?」

「んー……この霊力……どっがで感じたことあるわ……」

「それって、午前中に無かったか?」

「そうだったわね、それと同じだわ」

「さすが霊夢、すぐに忘れる」

「そう……どの辺かしら?」

「あそこかしら?」

「あそこじゃあ分からないわよ」

「メンドくさいわ……」

「いいから教えなさい」

「はいはい……ちょっと来なさい」

 

 

「ここよ」

「そう、確かに同じ霊力を感じるわね……何故かしら?」

「分からないわよ」

「そう……後で調べますか」

「用が済んだら戻りなさいよ」

「そうね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うーん……あの場所は外の世界と何か関係ありそうなね……」


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