諸行有常記   作:sakeu

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第34話 サークル活動の日の青年

 

「ふぁ……結局何もしなかったわね…」

 

やっぱり、普通じゃないわ。男女同じベッドの中にいるのに何もしてこないだなんて、本当に男かしら?あ、そうだ、いつか女装させようかな……文化祭でしてくれなかったし。

 

「それにしても、よく寝るわね」

 

まだ、身長気にしてるのかしら?確かに伸びてないけど……寝る子は育つからって……

熟睡だわ……少しいたずらしてしまおう。

 

「スゥー…スゥー…」

 

「勇人の寝顔もなかなかレアね……」

 

あの、無愛想な顔と違って、いかにも幸せそうな顔してる。

 

「えいっ」

 

ムニ、ムニ

 

ちょっと、頰をつねる。

 

「……スゥー…スゥー…」

 

今、こうして見ると、勇人は顔は悪くない方かな。やっぱり、鼻筋が通ってるのが大きいのかな?まぁ、体は大きくないが。

 

「今、何してもバレないよね……」

 

勇人は無防備だ。こ、これなら、き、キスも可能かしら?

や、やってしまおう。

 

か、顔が…息がかかる。

 

「ん…… ガサッ スゥー…スゥー…」

「あ……」

 

もう、何よ!なんでそこで寝返りうつかなぁ。

 

「はぁ…朝ごはん作ろう……」

 

勇人は起こさない限り寝てるだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ほら!起きなさい!」

 

うーん……まだ、眠い……

 

「もう少し……」

「何言ってんの!今日から早速活動に参加してもらうんだから!」

「今、何時?」

「7時よ」

「まだ、寝る……」

「起きな……さい!」

「ぐへっ!」

 

グオォォ……腹にダイブすな!

 

「お目覚めかしら?」

「お陰様でな……」

 

もう少し寝かせてくれたっていいだろう?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ところで、活動って何すんだ?」

「そうね、今日は気になる神社があるからそこに行くわ」

「そうか。ところで、お前料理できたのな」

 

意外と美味い。いや〜、蓮子ってなんとなく不器用そうなイメージがある。

 

「失礼ね、私だって女よ?」

「そうだな」

「そうだ、服どうする?女物着て行く?」

「ノーセンキューだ、ちゃんと持って来てる」

「あら、似合うと思ったのに」

「嫌だね、プライドが許さない」

「相変わらず、変なプライドだけは高いわね、背は高くないくせに」

「な、なんだと!」

「はいはい、食べてしまったなら、早く行くわよ」

 

口ではもう、蓮子に勝てない気がする。

それにしても、神社か……まぁ、有りがちな感じだな。

 

「ほら、準備できたなら早く来なさい!」

「へいへい……」

 

ピンポーン

 

「あ、ちょうどね」

「ん?誰だ?」

「ちょっと、待ってねー」

 

ガチャ…

 

「おはよう、蓮子」

「おはよう、メリー」

「勇人さんも、おはよう」

「ああ、おはよう、メリーさん」

 

わざわざ来たのか……時間もピッタリだな……

 

「よし、行くとしますか!」

「ええ」

 

 

 

 

ー青年&少女達移動中ー

 

 

 

 

 

 

 

「着いたわ」

「うわ……」

 

ボロッボロの神社じゃねぇか。本当になんかあんのかね……

 

「メリー、何か見える?」

「んー…もう少し見ないと分かんないわ」

 

俺ができることってあるか?はっきり言ってここでの俺は完全に役立たずな気がする。

 

 

 

 

 

 

「結局、何もないな」

「そうね、ハズレね」

「残念、時間余ったけど、どうする?」

「そうね……そうだ!勇人、あんた向こうの世界で不思議な力手に入れたんでしょう?ちょっと見せてよ!」

 

ん?どっちだ?霊力か?それとも不変にする方か?

 

霊力でいいか。どう見せるか……スーパーサイヤ人風にすればいいかな?

 

「分かった、少し離れてくれ」

 

 

「はぁー…」

 

全身に霊力を流すのはなかなか苦労するが、見た目も派手になるし、使うことも無いだろうしいいだろう。

 

ツツツ……バチッ!

 

「ん!?あれが?」

「まるで、電気みたいだわ……」

 

バチバチバチバチバチバチバチ!

 

「ふぅー…これでいいか?」

「すごいじゃない!なんなのあれ?」

「霊力って言うやつだ、こんな使い方はしないがな」

 

はっきり言って、霊力の無駄使いだ。ただ、また霊力が上昇している気がする。

 

「それって普通の人には見えるのかしら?」

「わっかんない」

「そう」

「本来はどう使うの?」

「まぁ、弾として撃ったり、はたまたは相手に流して気絶させたり、飛んだり、肉体強化したりと」

「へー…は?飛べんの!?」

「ああ、ここでは飛ばないが」

「えー、なんでよ」

「どう考えても目立っちまうだろ?それだけは避けないといかんのだ!」

「ぶー……」

「それって、結界にも使えるのかしら?」

「使えるのだろうけど、俺が使えるかは分かんないな」

「まぁ、勇人も普通じゃないことが証明されたところで、お昼近いしどっかでご飯食べに行こう?」

「なら、私たちの通ってる大学の学食でどうかしら?」

「お、いいねぇ、そういえば、どこにいってるか知らないな」

「それなら、早くいきましょ!」

 

 

 

 

 

ー青年&少女達移動中…ー

 

 

 

 

 

 

 

「ここよ」

「はー、ここってなかなか頭いいとこだよな?」

「そうよ、もし、貴方が神隠しに会わなければ無理やりここに受けさせただろうけど」

「何それ、怖い」

「冗談よ?」

「へいへい、とりあえず、学食に行こうぜ」

「そうね、少しお腹空いたわ」

「あんたお金は持ってるの?」

「もちろんだ、ほら」

「そこんところはしっかりしてるわね」

「女に奢ってもらうのはなんか、嫌だからな」

「あっそう」

 

 

 

俺は無難にうどんを蓮子はカレーをメリーさんは普通に定食を頼んだ。

 

「あんたって、うどん好きだっけ?」

「麺類では一番だな」

「ふーん、一口頂戴」

「ほら」

 

ズルズル……

 

「私のも上げるわ」

「ん、サンキュー」

 

パクッ

 

 

「ふふ……」

「ん?どうしたの?メリー」

「1人で笑うなんて少々不気味だぞ?」

 

って、周りの人の視線を感じる。ていうか、めっちゃ見てる。なんだ?女性はきゃっきゃ言ってるし、男性陣はすごい形相で睨んでる。

 

「いやだって、ねぇ?2人とも仲がよろしいことで」

「「?」」

「本当に面白いわね。だって、貴女達、あーんし合っちゃって、熱いわね」

「ぬあ!?」

 

シュワット!こ、これって間接キスになるんじゃあ……

 

「べ、別にいいじゃない!」

「ええ、いいわよ」

 

「はぁ」

 

 

「あ、蓮子じゃん」

 

「あ……須藤…」

「ん?知り合いか?」

 

ん?メリーさんどうした?裾引っ張って。

 

(なんですか?)

(あいつのことなんだけど)

 

んー、あれだな。世間一般で言うイケメンってやつか?茶髪の頭に人気俳優が如くのルックス、背も高い……ぐっ、背が高いだなんて。

それに、周りの女性もきゃーきゃー言ってる。

 

(あのイケメン君ですか?)

(まぁ、そうだけど、注意しなさいよ?)

(?)

 

どういうことかな?

 

「一緒に食べてもいいかな?」

「い、いや、今はサークルでの集まりで……」

「そうよ、ちょっと話し合いしてるの、後にしてくれるかしら?」

 

な、なんだ?メリーさんがすごく冷たい態度を……

 

「へー……でも、彼はいいんだ?」

「彼はサークルのメンバーだから」

「ここでは見たこと無いけど」

「そりゃあ、別の大学の子だし」

「じゃあなんでここに?」

「サークルのメンバーだからよ」

「別の大学なのに?」

「蓮子の中学校からの知り合いだからよ」

 

さ、さすが、メリーさん。質問をどんどん返してく。

 

「ふーん……そうだ自己紹介するよ、僕の名前は須藤光二郎。よろしく」

「どうも、俺の名前はう…」

 

は!本名は言っちゃダメだな、下の名前は他の人に聞かれてる可能性があるので苗字だけでも偽装しないと……何かないか?

 

「……吉良勇人です…よろしく…」

 

これはひどい。でも、しょうがないよね!?とっさになぜか吉良さんが浮いたんだもん。カッコいいじゃん!

 

「そう、勇人君だね。それじゃあ、また、後で」

「あ、どうも…」

 

 

 

 

「ふー……人と触れ合うのは苦手だ」

 

変な気を使ってしまう。

 

「で、どうしたんだ?2人とも顔が怖いのだが」

「ちょっと、ね」

「はぁ…私が話すわ。名前は聞いての通り、須藤光二郎。頭も良く、運動も格闘術に秀でて、かつあのルックス、物腰も柔らかいそして、お金持ち。と絵に描いたような人気者ね」

「ふーん……で、蓮子に関係あんのか?」

「そうね、蓮子はあいつから告白されたのよ」

「!?」

「もちろん、蓮子は振ったけど、相手もなかなかしつこくてね、あんな感じに何回もアプローチしてんのよ」

「そうよ!私には……とがいるし…」

「それが問題か?」

「そうね、そのアプローチがだんだんエスカレートしてるのよね、集団の力も使い始めたわ、お似合いのカップルだと周りに言わせたりとかね」

「……。ま、とりあえず、トイレ行ってくる」

「はぁ…早く行って来なさい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねぇ、蓮子!今の勇人君って子知り合いなんだよね?」

「付き合ったりしてんの?」

「まさか、蓮子は光二郎君とお似合いだって」

「……」

 

なんなのよ、もう。面倒臭いったらありゃしない。

 

「そうよね、確かにあの子、地味だし」

 

む…何も知らないくせに。

 

「でも、私は意外とタイプかも」

「え?まじで?」

「だって、どことなくミステリアスな感じがするじゃん?」

「あー、分かる」

 

分かってねーよ。

 

「紹介とかしてくれない?」

「いや、無理ね。彼、ここには帰省として来てるからその間だけ」

「あー、残念」

 

 

 

「ただいまっと、お取り込み中か?」

「いいえ、とりあえず、戻りましょう?」

「そうだな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、私買いたのがあったわ、少しコンビニに行ってくるわ」

「俺もあるわ、蓮子、先に帰っててくれるかな?」

「ええ、分かったわ」

 

 

 

 

「はぁ…」

 

なんなのよ、本当に。あの時、思い切って私の彼氏ですとか言ってしまったら良かったかしら?須藤のアプローチもひどくなってる。はぁ、本当に面倒臭いったらありゃしないわ。

 

「おーい、蓮子!」

 

噂をすればなんとやら。

 

「何かしら?須藤君」

「今1人で帰ってる?」

「いや、少し待ち人が」

「あの勇人って子かい?」

「そうだけど何か?」

「別に。そんなことより、この前のことだが、考え直してくれるか?」

「いいえ、変わらないわ」

「でも、僕らはお似合いだと思うだろ?」

「全然」

「もしかして、あの勇人って言う地味な奴がいいのか?」

「あんたには関係ないでしょ?」

「僕の方があいつよりも幸せにできるぞ」

「そんなの分からないわ」

「何を言ってるんだ!俺の方がいいに決まってる!」

 

な!口調が変わった!?も、もしかして。

 

「俺とお前は結ばれる運命だ!」

「きゃっ!」

 

腕を掴んできた?本性が現れたわね……でも、どうしよう……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ん!」

「どうしたの?蓮子に身の危険が!」

「え?」

「いや、不安だったから、蓮子に霊力を纏わせてセンサーみたいにしている」

「そう、なら早く行ってちょうだい!」

「ああ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「は、離してよ!」

「嫌だね!君がOKしてくれるまで離さない!」

「私には別の人が!」

「どうせ、勇人ってやつなんだろ!」

「だったら、悪い?」

「ああ、運命に逆らうべきじゃない!」

「知らないわよ!そんな運命!」

「こうなったら……体に教えてやる!」

「!?は、話して!」

 

い、嫌だ、こんな男とだなんて!わ、私は勇人が!た、助けて!勇人!

 

「助けて!勇人!ふぐっ!」

「静かにしろ!」

 

助けて…勇人。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「自分の思い通りにならないからって襲うのは良くないな」

 

「ああ!?」

「勇人!」

 

やっぱり、来てくれた!で、でも、勇人の様子がいつもと違う。

 

 

 

 

 

「そういうの犯罪って言うんだよ?」


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