諸行有常記   作:sakeu

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秘封倶楽部の原作の時代は都合上、無視しております。また、舞台は京都ってわけではないです(かと言って決まってもいない)。そのところ十分にご注意ください。




第32話 再会の日の青年

今日は、サークルの活動を話し合うためにカフェに集合することになった。まぁ、2人しかいないけど。

 

「……いらっしゃいませ」

 

相変わらず、無愛想だわ……ここのコーヒー好きだからいいけど。

とりあえず、いつもの席っと……

 

「あ、そこ私のお気に入りの席……」

 

いつもはあそこに座る人なんて見たことが無い。1人を除いて。まぁ、もうその人はいないから、かなり物好きな人なのかしら。

 

「すいません、席変わりますか?」

 

気を遣わせてしまったようだ。申し訳ない……

 

「あ、どうも……すいません……!?」

 

え!?その顔……その声……

 

 

 

 

 

 

「勇人……?」

 

 

「……へ?」

 

 

「貴方、勇人よね?碓氷勇人?」

 

間違いないわ、この人絶対勇人だ。勇人は死んだとか言ってるけど、あの事故は不可解過ぎる。

 

「い、いや、人違いですよ」

「でも、そっくりじゃない、むしろ瓜二つ」

「そ、そうなんですか、ほ、ほら、言うじゃないですか。世界には似ている人が3人はいると」

「ふーん……」

 

確かにそうかも……

 

「そ、それじゃあ、これで……」

「ちょ、ちょっと待ちなさい!」

「い、いや、なんで?」

「絶対、勇人だわ。その振る舞い、顔、声、勇人じゃない」

 

いや、こんなにそっくりな訳が無い。

 

「似てるだけですって、それじゃあ……」

 

こうなったら……

 

 

「待ちなさい!チビ!」

「…………あ?」

 

確信したわ。この反応は……

 

「やっぱり、勇人じゃない」

「……!?な、何を?」

 

やっと、動揺を見せたわ。

 

「はい」

「あ、どうも……」

 

このタイミングでコーヒーを出さないでよ……

ん?一緒にクロワッサンも……クロワッサンはメニューには書いてないし、その頼み方を知ってるのわ私と……

 

「ねぇ、なんで、クロワッサンが裏メニューにあること、知ってるのかしら?」

「!?い、い、いや……それは……」

「そのこと知ってるのは私と勇人のだけなんだけど……」

「ご馳走様でした!」

「もう、行かせないわ!」

「くっ……」

 

さあ、観念なさい……

 

「はぁ…そうだ…俺は碓氷勇人だ…これで満足か?それじゃあ、帰るぜ」

「待ちなさい!」

「なんだ?」

「なんだ?じゃないでしょ!何よ!3年間も行方不明になって!もう、みんなは死んだっていうじゃない!」

「……」

「なんで……勝手に……消えるのよ……」

 

涙が止まらない。だって、本当に死んじゃったかもと思ったんだもん……

 

「すまん……」

 

勇人が抱き締めてくれる……確かな暖かさ、存在している証拠……

 

「馬鹿、この大馬鹿」

「わ、悪かったって、それに理由は山よりも高く谷よりも深いわけが……」

「そう……なら、そこで話してよ……」

 

久々にそこで話してよ……

 

「了解」

 

 

「で、泣くのは済んだか?」

「ええ、それじゃあ理由は?」

「……」

「言うのじゃないの?」

「今から言うことは信じれるか?」

「え?」

「今から話すこと全てお前は信じれるか?って聞いてる」

「……ええ、信じるわ」

「分かった、それじゃあ……」

 

 

 

ー青年説明中…ー

 

 

 

 

 

なんてことなの?異世界に行ったの?今はそこで暮らしてる?もう、勇人がここで認識されることは無い?それなのに私は認識できる?

 

「どうだ?って、信じれるかと聞いたが、信じるわけ無いよな…」

「いいえ……信じるわ」

「そうだよな……こんな阿呆なことって、信じるのか?」

「ええ」

 

そんな不思議なこと、すでに体験済みよ!何より、ちょうどいいわ……

 

「信じるに決まってるわ、なんせ、私は秘封倶楽部なのよ!」

 

「はぁ?秘封倶楽部だぁ?なんだ、オカルトサークルか?」

 

さすがね、名前だけでそこまで察するとは……

 

「ただのオカルトサークルじゃないわ。結界を暴こうとしているの」

「これまた、大層な……メンバーは?」

「そうね……一応2人だけだわ」

「ふーん……まぁ、頑張ってくれ」

「貴方も手伝うのよ?」

「はぁ?勘弁してくれ」

 

「蓮子はいるかしら?」

 

「ん?誰だ?」

「あ、メリーね、こっちよ!」

「あら、そこにいたのね……って、そこの彼は……」

「ああ、それはね、少しこっちで話すわ」

「ふぅ……相変わらず、美味いな……」

 

 

 

 

ー少女説明中……ー

 

 

 

 

 

「へー……彼が貴方の話す人ね……」

「ええ、そうよ。多分、勇人は私達が探してる結界について何か役立つかも」

「でも、何の能力もないんでしょ?」

「うっ、そうだけど……頭はすごく切れるわよ?」

「貴方が人を褒めるとはね……よっぽど、お気に入りなのね?」

「え?ちょ……それは」

「もう、バレバレだから」

「うっ……でも、手がかりにはなるでしょ?」

「それもそうね」

 

 

 

 

 

 

 

「ん?終わったか?」

「ええ」

「こんにちわ、勇人さん。私はマエリベリー・ハーンよ。メリーでいいわ」

「そうか、まぁ、一応自己紹介を。ご存知、碓氷勇人だ、よろしく」

 

「何か、分かった?」

「そうね、確かに微かな結界のようなものが見えるわーまるで、無理矢理こっちに来たみたい、」

 

「何を話してるんだ?」

「いいえ、何も」

「そうか、あんたもなんか特殊な能力を?」

「あら、よく分かったわね」

「そりゃあ、蓮子と一緒にいるなんて、普通のやつじゃないよ」

「なによ、失礼ね」

「ええ、そうよ。私は結界の境目が見えるの。貴方にも見えるわ」

「そりゃあな、もうここの住民じゃない」

「そう……それじゃあ、向こうでの話聞かせて頂戴?」

「ああ、構わんよーそうだな、向こうでは……」

 

 

 

ー青年&少女達会話中…ー

 

 

 

 

「どうだ?面白かったか?」

「ええ、妖怪や神様が普通にいるのね……」

「って、あんたも普通じゃないの!?」

「ああ、俺も少々変のようだ」

「あら、なら、ちょうどいいわ、秘封倶楽部にでも入らない?」

「ああ……それなんだが、ここには1週間までしかいられない」

「え?……あ、ああ、そう」

「ま、協力できるなら、させて貰うよ」

「ええ、よろしく」

「ああ」

 

「もう、勉強とかしてないの?」

「ああ、それか、あっちで教師をしてる」

「あんたが?アハハハハハ!あんたが教師って!」

「悪かったな!俺が教師でそんなに意外か!」

「だって、人付き合いの苦手な、コミュ障君が教師だなんて……」

「はぁ…もう、今日はこれまでだ、それじゃあ、宿探すからこれで」

「あら、もう?」

「だから、宿が無いから…」

「なら、私の家に来たらいいじゃない」

「「え?」」

「蓮子ったら……」

「冗談はよしてくれ、親がいるだろ?」

「今は両親ともに海外に出張よ?」

「大学の勉強だってあるだろう?」

「私は頭いいから大丈夫よ」

「そもそも、年頃の男女が、1つ屋根の下に一緒にいるなんて良く無いだろ?」

「あんた、襲うとかできないでしょ?変なところでビビリだし」

「はー……、メリーさんも何か言ってください」

「いいんじゃないかしら?」

「ほら、メリーさんも……って、はぁ?」

「いいじゃない、久々の再会でしょ?しっかり語ればいいじゃない」

「だってよ?」

「む……分かった、言葉に甘えさせてもらうよ」

「それじゃあ決まりね!」

 

「本当に変わらないな…」

「あんたも変わってないわよ」

「そうかい…」

「そうよ」

 

 

 

 

本当に変わってないわ、あの頃と全く同じよ……相変わらず、変なところで鋭くって、肝心な時に鈍いのだから……


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