「ふぁ…ん…そうだ…寺子屋に行かないと…今日の授業は…」
「おはようございます、勇人さん」
「ん…おはよう…妖夢…」
「朝ごはんはできてますので」
「ん…ありがとう…」
んー…ん?あ、そうか、白玉楼にいるんだった…どおりで服装が違うのか…いつもは学校のジャージで寝てるもんだから…あ、じゃあ、今日は何を着たら…荷物、全然持ってきてない…
「おはよう、勇人」
「おはよう」
「おはようございます、じいちゃん、妖忌さん」
「あら、おはよう」
「おはようございます、幽々子さん」
「みなさん、お揃いでしょうか…幽々子様!?起きてらっしゃるのですか!?いつもはまだ寝てるはずなのに…」
「今日は少し早く目覚めたのよ」
「そ、そうですか、それじゃあ、みなさんで朝食を食べましょう」
「「「「「いただきます」」」」」
カチャカチャ……
「…ふぁぁ」
「あら、貴方、眠そうね」
「朝には弱いんです…頭もイマイチ回りません…あ、そういえば、寺子屋に行かないと…」
「行かなくてもいいわよ、1週間、休むって伝えたから」
「え?それじゃあ、慧音さんに悪いですよ…」
「大丈夫よ、理由を言ったら納得してくれたわ」
「はぁ…」
「慧音先生ー、勇人先生はー?」
「ああ、今日から1週間、勇人先生は休むそうだ」
「えー、なんで?」
「それはだな…修行だそうだ」
「え?でも、勇人先生、十分強いじゃない?」
「私も思ったが、まだまだ足りないらしい、向上心があるのはいいことだ。お前達も先生のこと見習えよ!」
「「「「「「はーい」」」」」」
「うーん…それじゃあ、何をしようか…暇だよな…」
「なら、妖夢の手伝いをしてあげたら?あの娘、1人で家事とかしてるのよ」
「た、大変ですね…」
凄いな…てか、3人は何してんだ?
「そうですね、妖夢の手伝いでもしますか」
「妖夢ー」
「なんでしょうか?」
「俺に何か手伝えることないか?」
「いや、大丈夫ですよ」
「何もしないのは悪いし、暇だからな、なんでも言ってくれ!」
「そうですね…とりあえず洗濯物を手伝ってください」
「おう!任せとけ!」
「えっと、俺がじいちゃん達のをするか」
「そうですね」
さすがに女性のはね…俺は真っ当な青年を目指してるので。
え?真っ当な青年こそ変態だ?知らんな。
「それにしても、多いな…あ、学ランはまだ、洗わないでと」
「え?洗わなくていいんですか?」
「いや、一昨日洗ったばっかだからな」
そういえば、これ、何回も穴が空いたりしてるよな…早苗が、縫ってくれてるんだっけ?お礼言わないとな。
「勇人さんは外の世界では何をしてたんですか?」
「学生だったよ」
「え?まだ、学問を学んでたのですか?」
「うん?俺ぐらいの歳なら普通だぞ」
「どおりで、頭がいいのですね…」
「そ、そうかな…」
成績優秀ではなかったよな…てか、目立たないようにしてたせいか、あんまり思い出が無い。中学校の時はそれなりにあったが。
「もう、外の世界には未練は無いのですか?」
「………」
無いわけがない。両親には何も言えず、弟にも、蓮子にも…何も言えず、ここに来たからな、せめて、別れの言葉を言いたかった…
「あ…すいません、聞かない方が良かったですね…」
「いや、大丈夫だよ、未練が無いと言ったら嘘になるけど…まぁ、ここも悪いところじゃ無いしね」
「そうですか…」
「終わったー!」
「ありがとうございます」
「で、次は?」
「昼食を作りましょう」
「え?早くないか?」
「幽々子様が相当食べるので」
そんなにか?まぁ、この世には2種類の女性がいるって聞いたことがある。食べる女と食べない女。前者だろうか。
「え?こ、こんなに?」
ちょ、これは…大食い選手権でもするのか…俺も食べる方かなと思うけどこれは…
「さて、作りましょう」
「おう…」
よ、妖夢、スゲーな…これを毎日だと…
トントントントントントン…
「勇人さん、手慣れてますね」
「まぁ、家ではやらされてたし、早苗のを手伝ったりしてたからな」
俺の母は一人暮らしになったら、自炊ぐらいできないと、ということで料理の仕方は少し教えられてる。
両親が家に居ない時は自分で、作ってたしな。まぁ、メニューがほぼ炒飯なんですが…だって、簡単だもん!
「妖夢も、相当上手いな…」
「従者ですから」
「はは、家事のスキルはバッチリだな」
「ええ、あとは剣術も鍛えないと…」
さすが、向上心の塊だな…まっすぐ過ぎるが、そうやって突き進めるところ、羨ましいな…
「ふう…出来た…本当にお昼になっちゃったよ」
「みなさーん!お昼ですよ!」
「待ってたわ〜」
「少しまっとくれ」
「今、いいとこなんじゃ」
お二人は囲碁ですか…幽々子さんは既にスタンバッてると….
「はい、終わりです!お昼にしますよ!」
「ぬぉぉ…」
「むぅぅ…」
さすがに、この時は妖夢が強いか。
「あら、勇人も作ったのかしら?」
「ええ、妖夢には劣りますが」
「いえ、なかなか上手でしたよ」
「どうも」
「あら、2人で共同作業ね…」
「な…幽々子様!?」
「そうですね」
「勇人さん!?」
ん?別に一緒に作ったから、共同作業だろ?違うのか?
「まぁ、とりあえず食べましょう」
「は、はい…」
さっき、女は2種類あると言ったが、あれは嘘だ。幽々子様は食べる方というレベルじゃない。平気な顔をして、どんどん食べてく…ど、どこに入ってんだ?足りなくなって追加で作るはめに…こんだけ食べられると、こっちが満腹に…
栄養は何処へ?確かに…スタイルは抜群だが…太っているわけではない。
「幽々子さんはどんだけ食べるんだ?」
「まぁ、初めて見ると驚きますよね…」
「だからかな…」
「何がですか?」
「ほら、なんというか…育ちがいいというか…俺も背ぐらい欲しいな…」
きっと、伸びて170は越すよな!え?もう、諦めろ?いやいや、伸びるに決まってる!そうだろ!?
「ゆ、勇人さんは幽々子様みたいなスタイルがいい人が好みなんでしょうか?」
「んー、俺は…」
んー、女性とはあんまり縁がなかったからなぁ。でも、さすがにこの歳になると、思春期な話題は出たよな。巨乳派とか貧乳派とか…俺はなんだろう…巨乳派から良さをめっさ伝えられたが…とりま、
「スレンダーな人が良かったりするかな…まぁ、女性を触れ合う機会が外の世界では少なかったからな。よく分かんない」
「そ、そうですか…(わ、私にもチャンスが!)」
んで、午後は妖忌による修行が、みっちりと。あの人もなかなか、鬼畜だよな…
それと、新しいスペカの練習っと。最近、霊力が上がった気がする。
そのあとは、夕飯作り。やはり、あの量を…妖夢はよくやれるよな…聞いたが、
「従者ですから」
と言われた。従者ってスゲー。そしたら、幽々子さんが
「貴方がいれば妖夢も楽なのにね」
でも、俺の分も増えるわけで、その分返せてるかと言われると、イエスとは言えない。それに寺子屋もあるしね。でも、どうして妖夢は顔を赤くしてるんだろうか?
「はぁ…幽々子さんはよく食べますね…」
「だって、妖夢の料理は美味しいんだもの、ね?」
「まぁ、確かに美味しいですが…」
「貴方が作ったものもなかなか美味しいわよ?」
「ありがとうございます…やっぱり妖夢には負けます、本当に美味しいですね」
「なら、妖夢と結婚すれば毎日食べれるわよ?」
「ははは…ご冗談を、妖夢にはきっと別の素敵な人がいますって。何より、妖夢の意思を尊重しないと」
「あら、そう…」
そうだ、意思は大事だ。あ、これ、テスト出るからね?
そんな日が6日間続いた…
勇人さんはすごいです。料理もできますし、洗濯もやってきたというのがよく分かります。そして、修行では私よりも飲み込みが早くて羨ましいです。スペカの練習なんかは日に日に上達したいって、文句なしの出来上がりです。
ただ、朝には本当に弱いらしく、幽々子様と同じくらい寝坊助です。でも、いつも私が起こしに行くときに寝顔を見れるのでいいですが…いつもは少し何を考えているか掴めないポーカーフェイスですが、寝顔は幸せそうな顔をしてます。
後は、毎日牛乳を飲んでます。なんでも背を伸ばすためとか…確かにおじいちゃんよりも低いですし、男性としては大きくない方なんでしょうが…わ、私も牛乳を飲むようにしようかな…
ある日、幽々子様が
「あら、まだ何もしてないの?チャンスは何回も無いわよ〜」
「え!?いや、何もって何をしたら…」
何回かアピールはしたんです!でも、効果が…彼は基本的に人との間をしっかり取るタイプのようでして…
「このまま終わっちゃうわよ?また、守谷神社に戻っちゃうわよ〜」
「な、な、何をすれば!?」
「一緒に寝るとか?」
「え、えぇぇぇぇぇ!」
「まぁ、頑張ってね〜」
ー6日目の夜ー
「勇人、明日は妖夢との一騎打ちじゃぞ」
「あ、そうだった」
「明日の試合はいろんな人たちを呼んでるからね〜」
「え?な、なぜ!?」
「明日はね、元々ここで宴会をする予定なのよ、それでついでに試合観戦も兼ねようかとね?」
「そ、それでどなたをお呼びで…」
「まずは、紫でしょ、紅魔館の方でしょ、永遠亭は無理と言われたわね…あ、守谷神社もね、後はまぁ、色々」
「は、はい」
人前でか…緊張するな…早苗達も来るのか…こりゃあ、下手な試合は…でも、妖夢は相当強くなってそうだしな…
「あ、ルールはね、特に無し、気絶させるか、参ったというまでよ?」
「や、野戦スタイルですか…」
なんでもありということは、俺も戦いやすいが…"あれ"も使えるんだな…
「まぁ、とりあえず今日はしっかり休みなさい」
「そうですね…確かにもう眠い…」
今日は修行がキツかったからな…早く寝てしまおう…
「妖夢」
「は、はい」
「今日が最後のチャンスよ」
「……」
スーッ
もう寝てしまってますね、幽々子様曰く、彼は一旦寝たら中々目覚めないと…こ、これはチャンスです!明日で勇人さんはもどってしまいますから…
そろり、そろり…
「ん?誰だ…」
「!?」
ど、どうしましょう!?
「わ、私です、妖夢です」
「…どうした…」
「す、少し、こ、怖い夢を」
あー!もっとマシな言い訳ができないのでしょうか!?
「…そうか…」
「い、一緒に寝ても?」
な、何を!?わ、私は…
「……いいんじゃね?……」
え?も、もしかして寝ぼけてる?で、でも、チャンスです!
「そ、それではし、失礼します…」
あ、暖かいです。勇人さんは小柄だと言ってますが、やはり男性です。大きく感じます。
「…スゥー…スゥー…」
ま、また、夢の中へ戻ったようです…勇人さんはあっちの方に向いてますが、で、でも、う、嬉しいです…
そ、そういえば、彼はいつももう1つ枕を抱くようにして寝てるのですが…
今日は無いようです。
「…ん…」
ガサッ
こ、こ、こ、こ、こっちをむ、向いて…
「!?」
な、な、な、な、な、な!わ、わ、私は今!?
こ、これは抱きしめられてます!?
よ、より勇人さんの体温が…心臓の鼓動まで…普通ですね…
こ、これは良かったのでしょう!?このまま…寝ても…
「あらあら…若いわね〜」