諸行有常記   作:sakeu

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第24話 研究日の青年

「それじゃあ、いってきます」

「いってらしゃい」

 

いつも通りだな、さて、今日はどこを教えるんだっけ…面積が終わったから…次は立方体と直方体の体積か…うまく、教えれるだろうか…

 

 

 

 

 

 

「慧音さん、おはようございます」

「あぁ、おはよう、今日も頼むぞ」

「本当に教師をしてんだな…」

「あ、妹紅もいたのか」

「ちょっとな、お前の授業も見てみたいな」

「いいですけど…」

「おお、そうか。なら遠慮なく」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よし、それじゃあ、今日は新しいことを教えるぞ」

「さあ、どーんときなさい!」

 

威勢がいいのはいいが、しっかり理解してほしいもんだ…面積ですら、少々怪しいのに。だが、いつまでも復習している訳にはいかないので先に進めます。

 

「今日はこの箱の大きさを数字で調べれるようになってもらう。そこで、前に習った面積を使うからしっかり思い出しとけよ」

 

ふふ…頑張って、大きな箱とこの1㎤の箱を使って教える方法を考えたんだ。きっと、分かりやすいに違いない…

 

 

教師授業中……

 

 

「…ということだ、分かったか?」

「はい!とても分かりやすいです!」

「へー、そうやって求めるのか…」

 

うんうん、分かってくれてるようだ。

 

「……?」

 

…そのポカンとした顔をやめてくれ。うむ、これで分からんとはな…

 

「勇人…」

「どうした?妹紅?」

「どういうことなんだ?」

 

あ、貴女もそっち側ですか…

 

「後でしっかり教えましょうか?」

「んー…いや、いい。私はあんまり賢く無いからな」

 

自分で言っちゃうのね…

 

「まぁ、とりあえず問題でも解こうか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…と、こんな時間か、今日はこれで終わりだ」

「「「「「「ありがとうございました」」」」」」

 

「ねぇ、大ちゃん、これドユコト?」

「それはね、チルノちゃん…」

「分かんないのだー」

 

と、とりあえず、じいちゃんに会いに行くか…

 

 

青年移動中……

 

 

「おーっす、じいちゃんいるか?」

「あぁ、いるぞ」

「よし、じゃあ、銃の改造の仕方教えてくれ」

「まぁ、慌てるな。まず、お前さんの銃を見せてくれ」

「分かった……はい」

「どれ……ふむ、なるほど…グリップに霊力を込めてスライドを引けば、撃てるのか…スライドを引く動作は省略できるじゃろう?」

「できるけど、したくないね、ロマンを感じない」

「わ、分かった…グリップに対して霊力の伝わり方にばらつきがあるな、だから、弾はアンバランスに形成されて、撃った時にズレが生じる」

「なるほど…じゃあ、グリップの霊力の伝わり方を均等にすればいいんだな?」

「そうじゃ」

「よし、ならば…」

 

 

青年改造中……

 

 

「よし!こんなもんだろう」

「実際に撃ってみぃ」

「あぁ」

 

パンッ!パンッ!

 

 

「おお!これはいいぞ!しっかり狙ったところに!それに威力も増したな」

「さすがじゃ、たった数十分で改造してしまうとは…やはり、わしに似たんじゃのう」

「おうよ!じゃあ、次は能力についてだな」

「そうじゃな」

 

「まず、お前さんはどのくらいの範囲で能力が使えるんじゃ?」

「まぁ、今は無生物であることと、俺の血がつけば不変化できる」

「そうか…やはり、鍵はお前さんの血じゃな」

「そうだな」

「よし、血を出せ」

「ええ!?少しストレート過ぎるよ」

「そうしないと分からんじゃろうが」

「わ、分かったよ……なかなか血を出すとか怖いんだぜ?」

 

「ふ、ふぅ〜、…ん、くっ…」

指を軽く切って、数滴血を垂らす。

 

「よし、それじゃあ、このボールにつけい」

「ん?ただの野球ボールじゃんか」

「いいから、はよ」

「ほい」

「よし、このボールはもう、お前さんによって、運動や存在を不変化できるようになったわけじゃな」

「そうだが?」

「今まではどのように考えて、動きを不変にしおった?」

「あー、どうだったけ?」

 

えーっと、これを実際に使ったのはレミリアの時と、伊吹さんの時か…あ、そういえば、紫さんにも使ったような…まだ、分かってなかったな、あの時は。

うーん、確か…

 

「レミリアの時は真っ直ぐ飛んでけ!っと、伊吹さんの時はそこにあれ!っと」

「うむ、随分と単純じゃな」

「む、悪かったな」

「なら、あれに当ててみぃ」

 

あ、あんなところに的が。なんて、準備のいい。

 

「よし」

 

真っ直ぐに飛んでけよ…

 

「ふん!」

 

「あ…」

 

あれ、外れた。確かに真っ直ぐには飛んでいったが、離した時のボールの角度が的の方に向いてなかったのか…じゃあ、次は…って、これじゃあ、逆に当てにくいな…

 

「どこにいくかを意識してみぃ」

「どこにいくか…」

 

あの的に…

 

「は!」

 

パコーン

 

「あ、当たった…」

「はは!分かったろ?至極簡単なことじゃ」

 

ほほう、つまり、目標地点を立てて投げれば必ずそこにいくと…

多分見える範囲でだろうが。

 

それじゃあ、軌道は?

 

「………………」

「おい、勇人?ありゃ、完全に自分の世界に入ってしまうとる」

 

 

1時間後……

 

 

「………!!びりっとキタァぁぁぁぁぁ!」

「うわ!なんじゃい!急に!」

「ふふふ…ははは…アハハハハハ!!」

「!!頭が狂ってしまったか」

「いや、違う、これはすごいぞ!」

「何のことじゃ?」

「ふふ、今から教えるよ…」

 

「とりあえず、見てくれ」

 

まず1球目、

 

ビシュッ!

 

「ん、真っ直ぐいっとらんぞ」

 

パコーン

 

「おお!曲げて当てることか!?」

 

ヒュー

 

「んあ!?急にこっちにボールが向かってきおったぞ!」

「ふふ…次」

 

ビシュッ!

 

「ぬぁ?なんじゃ?ボールが円を描いて回っておるぞ!」

 

「どうだ?すごいだろ?」

「そうじゃな」

「後は、実践で使えるように…」

 

これで、ある程度、物の行動を不変化できた。まぁ、目標物に当たったら戻る、円を描いて回る事ぐらいだけだが。

 

「…これ、銃でも応用出来るのかね?」

「んー…やった事ないからわっかんない」

「どうにかして、銃に応用してみたら、どうじゃ?」

 

うーん、確かに野球ボールじゃあ大したダメージにはならないかな…行動を不変化させたら、存在を不変化にすることが出来ない。逆も然り。

霊力にも応用か…てか、霊力にどうやって血をつけんだ?

しっかりと形になるのは撃ち出されるときだから…

 

 

 

 

 

そうだ!銃口の中に血を垂らしたら…これでどうにかなるか?

 

「どうした?何か思いついたか?」

「あぁ、見といてくれよ!」

 

パンッ!

 

「おお!弾が弧を描いたぞ!」

 

パンッ!

 

「次は円を描いて回っとるぞ!」

「よっしゃ、大成功!」

「どうやったんじゃ!」

「ふふ、簡単なことだよ、銃口に血を垂らした、それだけだ」

「ほぉー、よく思いついたな」

「ついでに、スペルカードも考えたぞ」

「なんじゃ?」

 

 

不変「イミュテーボル・バレット」

直線にしか進まないが、存在を不変化にしているので絶対に破壊されない弾。

 

絶対「アブソルト・パズー」

標的を追い続ける、いわゆる追跡弾。これは時間を止めても、空間を変わろうとも追跡は続く。

 

不変「イリュージョン・オブ・フィクシィティ」

いくつもの弾を撃ち、円状に回る弾幕。

 

 

「どうだ?かっこいいだろう?」

「そ、そうじゃな…(カタカナばかりで分からん)」

 

よし、これでまともに弾幕ごっこできるな…

 

「勇人さん!」

「ふふ…これで…ふふ…」

「うわ…じゃないじゃない!勇人さん!」

「んあ?あ、はいはい。なんでしょうか」

「もう、今日は研究し終えたのですよね?」

「あぁ、妖夢も見たいのか?」

「確かに、見たいですが…それよりも、私と稽古してください!」

「あ、あぁ、いいけど…明日からにしてくれない?」

「え?私は今でも構いませんよ?」

「妖夢はいいかもしれないが…俺は今日、頭の使い過ぎで疲れた」

 

そうだ、今すぐにでも糖分補給したい。もう、頭がイマイチ回らん。

 

「そ、そうですか…、それでは明日よろしくお願いします!」

「了解…」

 

明日からも大変かな…

 


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