「はぁ、はぁ、はぁ…」
あれ?こんなに守谷神社で遠かったっけ?霊力は空を飛んでる途中で尽きてしまった。だから、歩いているのだが…
「はぁ、はぁ、人里によればよかったかな…でも、もうここからなら、守谷神社の方が近いよな…」
遠ーい、遠すぎる。くそ、早苗は思ったよりも軽いが、さすがに背負って山を登るのはきつい。左肩にいたってはもう動かないし、感覚もない。
「ふぅ、ふぅ…」
「ん?誰でしょう?」
また侵入者でしょうか…よく見てみましょう。
「…!あ、あれは勇人さんと早苗さん!」
何があったのでしょうか?早苗さんは気を失っているようです。勇人さんが背負っていますが、その彼は左肩に大きな傷が、足もおぼついていません。
「助けに行かないと!」
「はぁ、はぁ…遠い!遠すぎるぞ!」
文句を言っても距離は縮まらない。だが、身体ははっきり言って限界だ。
「勇人さん!」
「あ?あぁ、椛か…丁度いいところに…早苗を神社まで運んでやってくれ…」
「勇人さんも怪我してるじゃないですか!?」
「いいから…早く…」
バタッ
「勇人さん!勇人さん!」
「ん…はっ!ゆ、勇人さんは!」
「あ!早苗!目覚めたのかい!」
「諏訪子様!ゆ、勇人さんは?」
「あぁ、彼なら安心しな、神奈子が永遠亭に連れてってたから。それより何があったんだ?」
「よかった…無事なのですね…えっと…この事ですよね…」
少女説明中……
「そうか…あのロリ吸血鬼め…これは戦争だね…」
「ちょっと、落ち着いてください!」
「落ち着けるものか!こうなったら、紅魔館と守谷神社との戦争だよ!全力で潰してやる!」
「そ、それはダメですよ!」
「それより、どうやってここまで?」
「あぁ、それは椛が運んできたんだよ。山ん中で見つけたらしい」
「あれ?確か…私はあの時、気絶して…」
「どうやら、山までは勇人が背負って来たらしい」
「勇人さんは大丈夫なのですか?」
「左肩を大きく損傷、いたるところにも怪我をしている。霊力もほとんど使い果たしていたが、命には問題無いようだよ」
「そうですか…大怪我だったのに…私をここまで運んで…」
「椛にも感謝するべきだろうが、とりあえず勇人に感謝しに行きな」
「は、はい!」
急いで、永遠亭に行きましょう!
「あ!椛さん!」
「早苗さん!身体は大丈夫ですか?」
「おかげさまで、大丈夫です。椛さんが連れて来てくれたのでしょう?ありがとうございます」
「いいよ、いいよ。それより、勇人さんに言うべきでしょ?」
「椛さんに助けてもらったのも事実です。本当にありがとうございます」
「今はお礼はできませんがいつか必ず、お礼、させていただきますね」
「別に、いいのに…ほら、勇人さんに会いに行くのでしょう?早く行ってあげなさいよ」
「そうさせてもらいます」
少女移動中……
「あ!永琳さん!」
「あら、早苗じゃない、彼に会いに来たのかしら?」
「はい、今、会えますか?」
「今、彼は寝ているから静かにね」
「はい!」
「スー…スー」
「勇人さん…」
肩に包帯が巻かれています…私より酷い怪我だったのに…
「…ヒグッ、ごめんなさい…」
涙が止まりません。彼が汚れてしまいます。
…ん、頭に何か
「勇人さん?」
「あぁ、無事なようだな。どうした?泣いたりなんかして」
「うっ…ウワァァァーン!」
「お、おい…大丈夫か?」
何故でしょうか、涙が止まりません。
「すまなかったな…」
彼は私を優しく抱きしめてくれました。
「…もう大丈夫か?」
「は、はい。大丈夫です…」
あれから、しばらく泣いていました。ちょっと、恥ずかしいです。でも、言わないといけないことが、
「ありがとう」
「ん?それは、こっちのセリフだ。忠告も聞かずに行った結果だ。お前は俺を守ろうとしてくれたんだろう?本当にありがとう」
「……//、そ、そんなことよりも、怪我は大丈夫なのですか?」
「うーん、分かんないな…」
「安心なさい、3日もすれば、退院していいわよ。別にすぐに直す方法もあるけど」
「い、いや、結構です。3日間安静にしておきます…」
「そう、ならしっかり療養しなさい」
「ありがとうございます」
「ふぅ、3日間か…寺子屋、どうすっかな…」
「それなら、私が伝えておきます」
「ありがとう」
「いえ、大丈夫です」
入院生活か…3日間だけだが、暇だなぁ…
と思ってた時期も私にはありました。
慧音さんがわざわざ見舞いに来てくれた。本当にありがたい。寺子屋のクラスたちも見舞いに来てくれた。相変わらずのようで良かった。
ただ、フランドールに本当のことを言うのはやめておいた。いざこざが起こるのは良くない。
まぁ、チルノ達が賑やかにしてくれたし、暇じゃなくて良かった、良かった。
っと、3日間はあっという間に過ぎて、普通の生活に戻れた。完治というわけではないが生活するには問題無い。
授業も平常通り行え、守谷神社でもいつもの生活に戻った。
「平常って、いいなぁ」
「あら、良かったじゃないの」
「あぁ、紫さんですか」
「もう、驚かないのね」
「ええ、慣れてしまいました」
「そう、で明日のことなんだけど…」
「あぁ、歓迎会でしたっけ?別に問題無く参加できますよ」
「そのことじゃないわ、招待しているメンバーに紅魔館の人達もいるのだけど…」
「別に問題無いんじゃないんですか?」
「あら、てっきり、拒否するものかと」
「これを機にしっかりお話できますし、相手も下手に出れないでしょう」
「それもそうね」
「それと…」
「何でしょうか」
「貴方…自分の能力分かったみたいじゃないの」
「ええ、分かりましたよ」
「どんな能力かしら?」
「それは歓迎会にて言いますのでそれまでは内緒です」
「あら、残念ね」
「で、用事はそれだけですか?」
「ええ、そうよ、それじゃあ」
スキマに消えてってしまった。
「つかめない人だなぁ、あっ、人じゃないか。HAHAHAHA…」
「どうかしたのかね、あの子は…」
「少し頭打ったんじゃないのか?」
「はー…ようやく終わった…」
今日は久々に授業やったが…まぁ、変わらずと言ったところか。
そうだ、今日は俺の歓迎会があるんだった。さっさと帰って準備するか…
「勇人」
「はい、どうしましたか?」
「今日、お前の歓迎会があるのだろう?」
「ええ、慧音さんも参加するんですか?」
「ああ、参加させてもらうよ」
「そういえば、結構な頻度で宴会があっていると聞いたんですが…」
何でも、どんちゃん騒ぎでとても大変だそうだ。まぁ、歓迎会でそんなことになるとは思わないが、
「ああ、あってたな。ただ、最近はあまりやってないな」
「そうですか」
「ところで、お前はお酒飲めるのか?」
「え?飲んだことすら無いですよ。そもそも、未成年なので飲んではいけません」
「飲んだことがないのか!?そうか…今回を機に飲めるようになった方がいいぞ」
「はぁ」
慧音さんも変なこと言うんだなあ。未成年はお酒はダメなはずなのに…
「もう帰るのだろう?また今夜会おう」
「はい」
そう言い、寺子屋を後にした。
「博麗神社であるんだよな」
「ええ、そうですが、緊張しているのですか?」
「え、い、いや、き、緊張なんかしてないさ」
すいません、緊張してます。元々人の前に立つのは苦手だ。ましてや、話すなんて。あぁ、心臓が飛び出そうだ…
「大丈夫ですよ、きっとみんな歓迎してくれますよ」
「あぁ、そうだな」
「酒だー!酒をよこせー!」
「あ!この料理食べたの誰よ!」
\ワー、キャー、ギャー、ガチャン/
「何じゃ、こりゃ」
宴会じゃあねぇか。外界の宴会より酷いんじゃないのか?人と妖怪が入り混じって、大騒ぎだ。
あ、魔理沙だ。てか、酒飲んでいるぞ!あいつも未成年だろう?早苗は…うわっ、絡まれている。あぁ、無理矢理飲まされて…潰れてしまったようだ。
「逃げよう」
「どこに行くのかしら?」
「あ、いや…その…ちょっと…」
「主役がいないといけないでしょ?」
「いや、俺の存在無視されてるから、別にいいかと…」
「ダメよ、私に任せなさい」
や、やめてくれぇ、死地に向かいたくない…
「みなさーん、こちらに集中して」
と紫さんが言うが、
\ガヤ、ガヤ…/
聞く気、ナッシングですか、そうですか。
「あら、ダメね。勇人、貴方がどうにかしなさい」
「えぇぇー…」
しょうがない、腹を括るしかない。
銃を取り出してっと…音を鳴らすように霊力を込めて…空に向けて…
バァン! バァン! バァン!
3発鳴らすと、ああ、うるせー。ただ、効果はあった様だ。みんな静かになって、こっちを見ている…や、やばい、き、緊張してきた….
「はーい、みなさーん、こちらが例の外来人の」
「う、碓氷、ゆ、勇人です!よしろしくお願いします!」
\よろしくー!/
よ、良かった、どうにかなったぞ。と言うことでおさらばさせ…
「へー、君があの噂の…」
あ、絡まれた…何だ?見た目は完全に小さな女の子だが、頭に生えている2つの角が人間ではないことを教えている。
う、酒臭ぇ、相当飲んでるな。
「君も酒を飲みなよ」
「え、いや、結構です」
「んあー?私の酒が飲めねぇのか?」
典型的な酔っ払いのセリフですね。
「一杯だけですよ…ん、ゴクッ、ゴクッ、ふー…」
「おお!いい飲みっぷりだねぇ」
味はよく分からん。これでいいだろう。
「ほら、もう一杯」
「いや、いいです!」
「ああ!?飲みなさいよ!」
むむ、どうするか…
「なら、賭けでもしましょう!」
「賭けだぁー?」
「えぇ、では、このナイフをあの木に刺しますので抜けた方が勝ちとしましょう」
「ああ、いいだろう!もし私が勝ったらどうするんだい?」
「貴女が飽きるまでお酒につきあいます、俺が勝ったら貴女のお酒は飲まない。どうでしょう?」
「ああ!鬼の力、舐めんなよ!」
あ、鬼でしたか。そりゃ、力に自慢があると…ま、負ける気しないが。
「刺しましたよー」
「よし、こんなのすぐに終わるな…勇人とか言う奴、飲む準備でもしとけよ!」
周りもこちらに注目し始めたな…
「こんなの片手で…ふんっ…って、あれ?」
ふふ…抜けるわけがない。ちょいと、ナイフに小細工をした。いくら、力があっても抜けない。
「ぐぬぬ…」
「おい、鬼の力でも抜けないぞ」
「ギブですか?」
「まだだ……ぐぬぬ…何だ?これ、ビクともしないじゃないか」
「変わってくれますか?」
「あぁ、お前で抜けんのか?」
「ほい」
スッ
「!!」
「私の勝ちですね」
「は、ど、どうして…」
「ちょっと、このナイフに細工を…」
「小細工で取れるわけがない!」
「まぁ、細工というよりか、能力を使わせてもらいました、ちょうどいいです。俺の能力を教えましょう。俺の能力は…」
「物事を不変にする程度の能力です!」
ふふ…決まった。
「な、何だ?その能力?」
ありゃ、分かりやすいと思うのだが、まぁいい、これまで調べてきたことを教えてやる。
「まぁ、詳しく言うと、物体に俺の血をつけることで、物体を不変化させます。具体的に不変化された物は絶対に壊れませんし、傷がついたり、変形したりすることもありません。また、その物が何かの動きも不変化できます。さっき、ナイフが動かなかったのは、俺がこっそり血をつけて、ナイフがあの木に留まることを不変化したからです。この不変化の効果は、次元や時間からも干渉されることは無いです!つまり!不変化した物に対し前に飛んでいくことを不変化させれば、次元を変えようが、時間を止めようが、衝撃を与えようが、この次元において、物が前に進む事を止めることはできません!あ、生物に対しては能力は発動しません」
ふぅー、長い。これで、理解してくれたかな?
「なるほど、それで…」
紫さんは納得してくれたようです。
「んー、まぁ…とりあえず、この会を楽しみましょう!」
\ワー!、キャー!/
「ふぅー、これでも俺は帰っても「ダメよ〜」ア、ハイ…」
「とりあえず貴方、お酒を貰って回りなさい」
「はい…」
どこから、まわろう…
「先生ー!」
「え?フランドールじゃないか?」
「先生、こっち来てー!」
お?レミリアに咲夜さんにパチュリーさんにと…紅魔組ですか…
「あぁ、この前はどうも」
「え、えぇ」
ふふ…この前のことで随分と焦ってるな。
「ほい、これ」
「え?あ、ありがとう」
と俺は赤い液体の入った試験管を渡した。
「それで、これからは、俺を襲うなんてことはもうしないでくれ。フランドールのこともあるからな。その量でじゅうぶんだろう。」
「あの事はいいの?」
「許した訳ではないが、いつまでも引きずるのは良くないからな、チャラにしよう。これからも、お茶会に誘ってくれ、襲うのは無しだ。いいな?」
「え、えぇ、いいでしょう」
「フ、フフフ…」
「な、パチェ!何が面白いのよ!」
「べ、別に…フフフ…」
「先生も飲もうよ!」
「あ、ああ」
そうか、俺よりもずっと年上だった。そりゃ、お酒も飲めるよな。ただ、犯罪の匂いしかしねぇ。
「咲夜、彼にもワインを」
「承知しました、勇人さんどうぞ」
「あ、どうも…」
は、初めてだな、ワインって美味しいのか?
「…ん、ゴクッ」
わ、分からん…
「ありがとう、次に行ってくる、それでは」
「あ!永琳さん!」
「勇人じゃない」
「へぇ、彼がねぇ、どうも私の名前は蓬莱山輝夜よ」
「姫、彼に興味でも?」
「えぇ、だって不変をあやつるのでしょう?私達みたいじゃない」
「まぁ、そうですねぇ」
「へ?」
「言ったことが無かったかしら?私たちは蓬莱人といって、不老不死なのよ」
「は、初耳です…」
「いつか、永遠亭に来なさいよ」
「いや、既に何回か…」
「患者としてではなく、客としてよ」
「あ、ハイ…」
「とりあえず、飲みなさい、紫から飲んで回ってこいとか言われているのでしょう?」
本日、三杯目のお酒を飲むのだった…
勇人の能力は分かったでしょうか?わからない点があれば質問してください。
宴会はもう少し続きます。