諸行有常記   作:sakeu

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第16話 お茶会の日の青年

「はーい、それでは和算のテストを返すぞー、順番に来い」

「ふふ…あたいはきっとサイキョーだから大丈夫よ!」

 

そうであってほしいものだ…

 

「まずは、大妖精…よく頑張ったな!」

「あぁ…よかった…」

 

94点

大妖精は安定の点数だ。授業もよく分かっている。他の教科も高得点だ。さすが、このクラスの良心だ…

 

「ミスティアも…よく頑張ったな!」

「やったー!最高得点だ!」

 

89点

やはり、数字に強いなだけある。少しケアレスミスが目立つが、しっかり理解している。

 

「リグルは…もう少し頑張ろうな」

「あ…はい…」

 

48点

リグルはさっぱりって訳ではないのだろうが…勉強不足か?まぁ、俺も数学以外はさっぱりだったので、人の事言えないな。

 

「フランドールは…素晴らしい!満点だ!」

「イェーイ!」

 

100点

うむ、彼女は算数に関して言えばとても理解できている。個人的にもっと先のところを教えるほどだ。他の教科もこんぐらい頑張ってほしいものだが…ん?俺か?人の事言えませんね…

 

「ルーミアは…分かってるのか?分かってないなら聞けよ?」

「そうなのかー」

 

18点

うむ、赤点だな。課題を出さなくては…どこが分かっていないのだろう?教えるのは難しいな…

 

「チルノは…お前も分からないのなら聞きなさい…」

「ん?あたいはサイキョーだから分かってるよ!」

 

9点

あはは…これで分かってるってか?9点て…どう教えたら良いのだろうか…

 

「とりあえず、2人には課題を出しておく」

「「えぇー」」

「えぇーじゃない、期限内に出さなかったらデコにチョークを投げるからな」

「……!分かった」

「よろしい、大妖精とかにも教えて貰いなさい…」

「大ちゃーん、教えてー」

「大妖精、答えは教えるなよ?解き方を教えてやってくれ」

「分かりました」

 

んー、どうしたら分かってくれるだろうか…ここが分かりにくいのか?

 

「先生ー、碓氷先生ー!」

「は!ど、どうした、フランドール?」

 

少し考え過ぎてたようだ。

 

「今日はお姉様からお茶会に誘われてるのでしょ?早くいこう!」

「そうだったな…悪いが先に行っててくれないか?少し用事があるのでな…」

「分かった、でも早く来てね!」

「了解、遅刻はしない主義だ」

 

まぁ、用事ってのは早苗を待つ事なのだがな…2人で行って迷惑でわないだろうか…でも、早苗にしては珍しくものすごい剣幕で言われたからな…

 

「勇人さーん?あ、いました!」

「お、来たか、それじゃあ行くとするか」

 

「……」

「勇人さん?」

 

明日の授業は三角形の面積なのだが…このままで進めてもいいのだろうか。

 

「勇人さーん」

 

チルノとルーミアのためにも一回、四角形の面積の復習しとくべきか?

 

「ゆ・う・とさーん!」

「うぉっ!ど、どうした?」

「どうした?じゃありませんよ…」

「すまん…」

「最近の勇人さんは授業のことを考え過ぎです。他の事にも目を向けましょう」

「そうだな、考え過ぎるのもよくないな。そういえば授業の事以外何もしてないな…運動不足になるのはよくないな」

「それでは今度少し幻想郷を見て回りましょう!」

「そういえば、俺、幻想郷に来てからと言うものの全然地理のこと理解してないからな。見て回るのもありかな」

「私が案内してあげますね!」

「あぁ、頼むよ」

 

お?話してたら着いたな。あそこに門番の美鈴さんが…寝てる…大丈夫かなぁ…この門番は…勝手に入るのも悪いので起こすか。

 

「美鈴さーん、起きてくださーい」

 

だめだ、こりゃ。そういえば、フランドールから起こす方法教えて貰ったな。試してみるか。

 

「すぅー…さく「起きてますよー!」

 

効果は抜群だ!これはヒドイ…

 

「って、勇人さんじゃないですか!今日も図書館に用が?」

「いや、今日は違う。少しそっちのお嬢さんにお茶会のお誘いを受けてだな」

「お嬢様が人間をお誘いなさるなんて…そっちの早苗さんもですか?」

「あぁ」

「そうですか、では中に入ってください。多分、咲夜さんが案内すると思います」

「どうも、それじゃあサボらないように門番の仕事、頑張ってくれ」

「……!は、はい」

 

「本当にここに来てたんですね…」

「信じてなかったのか?」

「だって、吸血鬼を恐れない人間なんてそうそうにいませんよ…」

「そうか?」

「そうですよ」

 

「お待ちしておりました、勇人様」

「ヘァッ!あ、さ、咲夜さんでしたか…」

 

未だにこの人が急に現れることに慣れない。フランドールからはただの人間だって聞いているが…時間を止めれる時点でただの人間じゃないだろ…

 

「あら?早苗も来てるのね…」

「え、えぇ。私も一緒にいいですか?」

「少し待ってなさい」

 

あ、また消えた。って

 

「知ってんのか?」

「えぇ、ここの人達とは顔を何回か合わせてますので」

「そうか、なら、ここの家主の事も知ってるのか?」

「レミリアさんのことですね」

 

 

少女説明中……

 

 

「中々やばい奴なのか…」

総じて我儘な奴と言ったところか。日光遮るために異変起こすのか…確かに吸血鬼は日光が弱点なんだろうけど…その霊夢って奴も中々やばそうだがな。魔理沙も関係したのか…

知らんことが多過ぎて今までしてきたことの恐ろしさがようやく分かったぜ。でも、図書館を使うのはやめる気全然無い。

 

「貴女もいいとお嬢様がお許しをくださったわ」

「ありがとうございます」

 

はぁ…まただ。声には出さなかったがまた、びっくりした。いい加減慣れろよ、俺。

 

「では、こちらへ」

 

そういえば、このメイドさんは空間もいじれるのだっけ?確か、この紅魔館も広くしてあると。はは、チートだわ。

ただなぁ、吸血鬼に時止めにと…なんだろうな、どうしてもあいつを連想してしまう…wryyyyyyyyy!

 

「では、ごゆっくり…」

 

は!いかんいかん。変な事考えてた。

 

「こんにちは、私の名はレミリア・スカーレットよ」

「ご丁寧に、俺の名は碓氷勇人だ。一応、教師をしている」

「知ってるわ、フランからいつも話を聞いているわ」

「それはどうも」

「噂通り、面白そうな人間ね…」

「?なんか言ったか?」

「いいえ、貴方のお陰でフランは楽しそうだわ、姉として感謝するわ」

「まぁ、教師だからな、当たり前のことだ。何より楽しんでもらえてこちらがありがたい」

「面白い人間ね」

「そうか?つまんない方だと思うが」

「そういえば、貴方、妖怪を倒したと…さらにはフランに弾幕ごっこで勝ったそうじゃない」

「……!」

 

これは…殺気か?あの小さな体からとてつもない威圧感が。だが、俺も負けじと返す。

 

「レミリアさん!」

「あら、早苗もいたのね、ごめんなさい。少し噂が本当か調べたくてね」

「勇人さんに手は出させませんよ!」

 

早苗がここまで敵意を出すのは初めて見た。力強いな。さっきの言葉は。ただ、俺のプライドがぁ…女性に守ってもらうような発言されるなんて、情けない。

 

「大丈夫よ、今回はお茶会のお誘いなのだから」

 

そう言う彼女の笑みはどこか不敵なものがあった。

 

 

やはり、面白い。この碓氷と言う人間は。私が普通の人間なら恐怖に陥るほどの妖気を出したのにもかかわらず、怯むどころか返してきた。いくら、威圧しても彼には効かないだろう。ますます気に入った。ただ、早苗だっかしら?守谷神社とか言うところの巫女だったからしらね。その娘まで来るのは計算外だったわ。でも、問題無いわ、霊夢なら話は別だけど、この娘ならどうにかできるわ。

ふふ…彼を配下にしたいわね…血も吸ってみたいわ…ふふ…

 

「紅茶でございます」

「あ、ありがとう」

 

うーん、お茶会とか初めてだからどうしたらいいのか分からん。早苗は普通に飲んでいるが、飲んでいいのか?

 

「別に固くならないでいいわよ」

「いやぁ、こういうのには慣れてないので…」

「すぐに慣れるわよ…」

 

なんだろう、嫌な感じがする。とりあえず、このクッキーでもたべるか。……美味い、今までその辺で売ってたやつとは大違いだ。紅茶ともすごく合う。

 

「貴方はどうして幻想郷に?その格好じゃあ外界のひとでしょう?」

「あー、分かります?まぁ、実は色々ありまして…」

 

 

青年説明中…

 

 

「あら、大変だったのね」

「確かに寂しいこともありますが、ここでの暮らしも悪く無いと思います」

「やはり、寂しかったのですね…」

「あ、大丈夫だぜ?早苗」

「ふふ…ところでお茶の味はいかがかしら?」

「美味しいですよ」

 

俺もそう思う。紅茶をよく飲まない俺ですらこれは美味しいと分かる。

 

「そうでしょう、うちの咲夜は完璧だから」

「ありがとうございます、お嬢様」

 

いたのか…急に出でこないで欲しい。

ん?腕に、違和感と思ったら、リストバンドつけてたな。あ、銃も学ランの内側に入れっぱなしだ…ありゃ、ナイフまで。これは失礼だろう。外すか。

 

「うーん…」

「早苗?どうした、ここで寝るのは行儀が悪いぞ…」

 

あれ?なんで、視界がボヤけてるんだ?疲れ溜まってのんかなぁ。だんだん、眠く…

 

バタッ

 

「寝たわね、咲夜」

「何でしょうか、早苗を客室の部屋に」

「承知しました、この青年はお嬢様が?」

「えぇ、今夜は面白くなりそうだわ」

そう言う彼女は見た目に似合わぬ不敵なえみを見せるのだった。








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