諸行有常記   作:sakeu

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第15話 勧誘された日の青年

「俺の歓迎会?」

「えぇ、そうよ」

 

ただいま、勧誘されてます。なんでも、俺の歓迎会をやりたいそうで。

 

「いやいや、わざわざ俺の歓迎会なんてしなくてもいいですよ」

「大丈夫よ、貴方、結構有名だから」

 

くそっ!あの鴉のせいだな!

 

「あら、何処へ行くの?」

「鴉退治に」

「少し落ち着きなさい」

「でも、どうして勇人さんの歓迎会を?」

 

そうだよ、さすが早苗俺の聞きたいことをよく聞いてくれた。

 

「彼は幻想郷に受け入れられているわ。でもね…」

「何か問題が?」

「妖怪たちに受け入られたわけじゃないわ。普通なら別に問題ないのだけれど、この前、貴方が天狗や吸血鬼を倒したということが広まってね、妖怪と人間のパワーバランスが崩れるかもしれないと言われてるのよ」

「あぁ、それで、俺がただの人間であることを示すんですね」

「違うわ、貴方はただの人間じゃないでしょう」

 

そうでした。じいちゃんは神様だったけ?力を受け継いでると言われた。確かに霊力はあるがそれだけだ、人間やめている感はない。

あれ…なんで紫さんはこれを…

 

「えぇ、そうよ"神のお孫さん"」

「ヘァッ!?貴女が…」

「貴方の祖父の友達よ、まぁ、本当にあの人そっくりだわ」

 

確かにじいちゃんと似ていると言われたことはある。

 

「それはいいとして、歓迎会で貴方のことを妖怪たちに認めてもらわないといけないわ、そうしないと潰そうとする者が現れるわ。あの人との約束だからね貴方を見殺しにはできないわ」

「はぁ…」

「ということで、貴方は主役なのだから強制参加で、貴女達はどうするのかしら?」

「私も行かせてもらいます!」

「そういえば、久々の宴会だねぇ」

「久々に博麗神社に行くのもいいか」

「全員参加でいいかしら?」

「あぁ、かまわないよ」

「それじゃあ、他のところも誘ってくるわ、じゃあね〜」

 

そう言うとスキマに消えてった。

 

「歓迎会って何するのでしょう?」

「うーん、酒飲んだり、酒飲んだり…」

 

へいへい、酒しか飲んでないぞ。俺は未成年だから飲まんぞ。

 

「まぁ、行ってみたら分かるさ」

 

まぁ、二週間後にと言われたから大丈夫か。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねぇ、パチュリー」

「何かしら、レミィ」

「最近、図書館に魔理沙以外の人間が来てるそうね」

「あぁ、彼のことかしら、えぇ、来てるわよ」

「珍しいわね、魔理沙以外の人間を、入れるなんて」

「別にいいじゃない、本を読むだけならかまわないのよ。まぁ、ここにくる人間なんでそうそうにいないけど」

「それもそうね、そいつの名前は?」

「あら、貴女も珍しいじゃない、人間に興味持つなんて」

「そんな時もあるわよ。で、名前は?」

「確か、碓氷勇人と言ってたわ」

「碓氷…勇人…!」

「あら、知ってたのかしら」

「まぁね、ますます面白そうな人間」

「貴女がその人間をどうしようかは知らないけど図書館で大騒ぎはしないでね」

「あら、別にその人間をどうしようかなんて言ってないわ」

「その顔をする時は決まって何かするのよ貴女は」

「そう…あながち間違ってはいないわね…ところでその人間はいつ来てるのかしら」

「確か寺子屋で教師をしているから、その仕事が終わってからね」

「ふーん、そういえば最近フランが楽しそうなのをよく見かけるけど関係あるのかしら?」

「そうね、貴女がフランに外出を許可して最初はあんまり楽しそうじゃなかったけど、最近はやけに楽しそうね…早く寺子屋に行きたいからって、私に日光対策の魔法を掛けるよう催促されるようになったわ。この前は彼と来たわね」

「ふーん…あのフランがねぇ…その仕事が終わるのはどのぐらいかしら?」

「そうねぇ、もう来てる時間だと思うわ」

「あら、来てるのね…咲夜」

「はい、お嬢様」

「図書館に今、人間がいるだろうから紅茶を出してあげて。そして、3日後の私とのお茶会に招待すると言っておいて」

「承知しました」

 

 

 

「何を企んでいるのかしら?」

「ちょっと、お茶会に誘うだけよ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅー…ここは落ち着くなぁ」

 

誰もいないから集中して、本を読めるし、次の授業も考えれる。もっとも、集中し過ぎて、あっという間に終わってしまったが。

 

「うむ、何か飲み物が欲しいな」

 

本を汚すなと言われているので飲み物を持ってくるのは気が引けて持って来ていない。

 

「はい、紅茶をどうぞ…」

「!?」

 

い、いつの間に!気配を感じなかったぞ!紅茶をくれた人を見ると、メイドのようだ。やはり、ここはそれなりに力を持っているのだろうか…それにしても、幻想郷は美人揃いだな。メイドさんもかなりの美人だ。ただ、機械のような無表情な顔をしており、無駄が全くない。まさに完璧と言うのだろうか。

 

「あ、ありがとうございます…」

 

そういえば、紅茶は飲んだことがない。親が生粋のコーヒー派なので俺もコーヒーしか飲まない。あぁ、砂糖とミルクは入れない主義だ。

えっと、確か紅茶はまず匂いを楽しんでから飲むべきなんだっけ?

……柑橘の香りがするな 、飲んでみるか

 

「…!」

 

「美味しい…」

 

意外と渋みが少ない、淹れ方が良いのだろうか。

 

「アールグレイと言う紅茶です」

 

へー、分からん。でも、美味しい。

 

「それと、お嬢様からの伝言です」

 

お嬢様?あぁ、フランドールの姉か。俺に用があるのか?まさか、紫の言う通り、俺を潰そうと…!

 

「いつも妹様がお世話になっていますので、そのお礼をしたくてお茶会に招待したい、と」

 

杞憂だったか。俺がお茶会ねぇ、すごく滑稽だな。だが、断るのも悪いしなぁ…

 

「いつあるのですか?」

「3日後にと」

 

ふむ、その日は寺子屋も休みだし、いいか。

 

「なら、大丈夫です、是非参加させてください」

「承知しました、それでは」

 

と彼女は消えた……消えた!?いつの間にかコップも無くなっている!幽霊か?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お嬢様、是非参加させてくださいとのことです」

「分かったわ、3日後が楽しみね…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ただいまー」

「あ、お帰りなさい」

「おー、おかえりー」

「今日はどうでしたか?」

「あぁ、チルノがイタズラしたりと大変だったよ、でも、別にいつも通りかな」

「そうですか」

「あ」

「なんだい?」

「そういえば、紅魔館のお嬢さんからお茶会のお誘い受けた」

「「!?」」

「どうしてです!?」

「いやぁ、生徒にその妹さんがいてだな、そのつてで今まで図書館を使わせて貰って「紅魔館に行ってたのですか!?」アッハイ…」

「よく、食われてないね」

「姉の方は知らんが、少なくともフランドールはそんなに悪い娘でも無さそうだよ。少々気がふれるが。それでいつもお世話になってるからと言うわけでお誘いされた」

「で、そのお誘いは…」

「受けたが?」

「ダメですよ!どうして受けたんですか!?」

「いやぁ、断るのも悪いかなって」

「はぁ…いつあるのですか?」

「3日後だが」

「3日後ですね。私も一緒に行きます!」

「え、でも…」

「でもじゃありません!」

「早苗は心配してんだよ」

「……!諏訪子様!?」

「はぁ…問題あるのかなぁ」

「本当に大丈夫なのかね…」

「私も行きますから」

「分かったよ…」

 

 

こうして、この日の夜は一悶着ありながらも過ぎるのであった…




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