諸行有常記   作:sakeu

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第14話 図書館に行った日の青年

「ふーん…面白い人間もいるものね…」

 

そう言う、彼女は見た目は非常に幼く見えるが、背中にある翼が人間ではないこと示している。

 

「そうでしょうか、ただの人間だと思いますが…」

 

最初、いなかったはずなのにいつの間にか、メイドの格好した女性が立っていた。そのことに、少女は驚かず、

 

「いいえ、この人間は霊夢以来の面白い人間だと思うわ…」

 

彼女の目線の先にはデカデカと書かれた、「幻想郷最強候補の碓氷勇人」と書かれた新聞があった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぁ…」

 

俺は今寝起きだ。自分で早起きしている。昔の俺なら到底不可能なことだったろうが、今は違う。やはり、仕事を持つと変わるのか。

 

「あ、おはようございます」

「おぅ、おはよう」

 

早苗が朝食を準備していた。

 

「お!おはよう、勇人。あんた、最近自分で起きれるようになったんだねぇ」

 

と諏訪子様が

 

「そりゃあ、仕事を持てば変わるさ」

 

と神奈子様が

 

「おはようございます、諏訪子様、神奈子様」

 

いつもと変わらない朝だ。俺も守谷神社にすっかり慣れたな。独り暮らしをした方がいいんじゃないかと相談したが、早苗からものすごい剣幕で反対された。やはり、俺はまだ弱い分類だろうか。でも、人里なら問題無いと思うが…

 

 

 

 

朝食を済ませ、学ランを着、道具を準備する。そして、両腕にはリストバンド、学ランの下には回転式拳銃とナイフ、ズボンには自動拳銃をつけて行く。あの新聞以降、襲ってくる妖怪が増えたからだ。迷惑この上ない、本当にあいつをはっ倒してやろうかと思うが、あいつ、逃げ足が速い。空を飛ぶスピードじゃあ、全然勝てない。

そんなこと考えてたら、準備が終わった。よし、行くか。

 

「いってきます」

「あ!勇人さん!弁当忘れてます!」

「お!ごめん、ごめん」

「気をつけてくださいね」

「了解」

「朝っぱらか、夫婦みたいだねぇ」

「なっ!」

「照れなくてもいいじゃないか」

「……いってきます」

 

俺は恥ずかしさのあまり、逃げ出すように出発した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「勇人さーん、もしもーし、聞こえてますかー?」

 

今、俺はこのパパラッチに話しかけられている。

 

「…………」

「無視しないでくださいよぅ」

「…………」

 

こいつに下手に物事を言わない方がいい。

 

「そっちがそうくるのでしたら、捏造させていただきますよ」

 

俺は黙って拳銃を額に突きつけた。

 

「わ、わかりましたからぁ、そんな物騒なものは下ろしてください、ね?」

 

だが、俺はおろさない。

 

「…今日のところは諦めます…」

 

うむ、それで良い。そして、永遠にくるな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おはようございます、慧音さん」

「おぉ、おはよう、勇人。今日もよろしく頼むぞ」

「もちろんです」

「あ、そうだ、今日はもう1人参加するかもしれん」

「へぇ〜、どんな人ですか?」

「フランドールの友人らしい」

 

あ、あの娘にもしっかり友人がいたのか良かった、良かった…

 

「まぁ、大丈夫ですよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おはようございます」

「あ!先生だ!おはよう!」

「おはようなのだ〜」

「「「「おはようございます」」」」

 

ん?見慣れない人が、って慧音さんがいってた人か。

外人さながらな長い金髪に、大きな黒い三角帽子、黒いドレスに白いエプロンと魔法使いのような格好している。基本的に幻想郷の格好は不思議だ。あ、でも俺の格好も少数派だから変か。

 

「ふーん…お前が例の…」

 

品定めをするように見ないでください。

 

「どうも、俺の名前は碓氷勇人、貴女は?」

「ん?私か?私の名前は霧雨魔理沙だぜ。職業は魔法使いだ」

 

見たまんまだな。もう、こういうことに驚かなくなってきた。少々男っぽい口調だな。

 

「で、ここに何しに?」

「フランがここに面白い奴がいるって言ってたから見にきたんだぜ」

「さいですか…まぁ、今から授業するからお前も受けたらいい」

「そうするぜ」

 

 

 

 

 

「長方形の面積の求め方を…チルノ」

「えーっと…そうだ!タテカケルヨコだ!」

「よし!正解だ」

 

うむ、チルノも分かってきたようだ…言い方が怪しいのは置いといて。

 

「じゃあ、この縦6センチ、横3センチの長方形の面積が分かる人…フランドール」

「18平方センチメートルです!」

「正解!」

 

フランドールは、吸収がとても速いな…大妖精も中々理解が速い。チルノとルーミアは…まぁ、全然ってわけではない。ミスティアとリグルもよく理解している。ミスティアは屋台経営しているせいか、少々数字に強いようだ。

 

「マジか!?フラン、そんなの分かるのか!」

「魔理沙さん、静かに、授業中だ」

「わ、わるい」

 

 

 

「よし、授業終了、休み時間だ」

「やったぞー!」

「おい、勇人」

「なんだ?何か用でも?」

「さっきの授業なんだが…」

 

ははーん

 

「ほら、こっち来い、教えてやる」

「おぉ!ありがたいぜ!」

 

 

 

 

 

青年説明中……

 

 

 

 

 

 

「なるほど!」

「こんぐらい、余裕だ」

 

だって、小4の内容だ。

 

「むむ、少し悔しいな、でも、お前ただの人間だろう?」

「そりゃあ、そうだ。種族は人間、職業は先生だ」

「ふーん、じゃあ、弾幕ごっこはできないだろう?」

「違うよ〜、先生は私に勝ったよ」

「!?フランに勝ったのか!?」

「一応」

 

ハンデがあったて言うのはプライドが……

 

「じゃあ、私と「ダメだ」えぇー、いいじゃんか」

「今はそんな気分じゃない」

「ちぇっ、じゃあどんな弾幕を撃つのかだけ見せてよ」

「嫌だ」

「もしかして、弱いから見せれないのじゃあ…」

…!!

「撃つだけだぞ」

「そうこなくっちゃ」

 

俺は回転式拳銃を取り出す。そして、

 

パァン!

 

「これで満足か?」

「マジかよ…ものすごい速さだな…それはなんだ?」

「これは拳銃だ、改造されてるがな」

「少し見せてくれ!」

「ちゃんと、返せよ」

「分かった、分かった。どれどれ…んー、私のミニ八卦炉とは仕組みが違うな…」

 

あー、こりゃ自分の世界に入ったな。しょうがない、持ってきた本でも読むか…

 

 

 

「よし、どうも、ってお前本が好きなのか?」

「まぁ、好きだが」

「そうなの!?うちに本がたくさんある場所があるよ!」

「そうだぜ、大きな図書館があるぜ」

 

お?それは興味あるな…

 

「うむ、今日の授業が終わったら連れて行ってくれないか?」

「いいよ!」

 

少し楽しみができたな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よし、今日の授業はこれで終わりだ」

「やっと終わったー」

「よし、みんなで遊ぼうー!」

「ごめん、チルノちゃん、今から私屋台の準備が」

「全然大丈夫だよー」

 

こうして見ると、人間と変わらんところもあるな。昔を思い出す…あ、昔から、俺人付き合い下手だった、グスッ。

 

「碓氷先生ー、うちに来るんでしょう?」

「おぉ、そうだった」

「お前、飛べるのか?」

「ああ」

「どうやって、飛べる様になったんだぜ?」

「どうやってて…早苗に教えてもらった」

「あぁ!お前が噂の守谷神社に最近住み始めた人間か!」

 

そんなに噂なのか?

 

「妖怪の中では少し有名だぞ」

「嬉しくないな」

「てか、お前外来人だろ?ここに来てどんくらいだ?」

「うーん、1ヶ月過ぎたくらいか…な?」

「そんな短期間で、そこまで習得してんのかよ…」

「なんか言ったか?」

「いいや、よし早く図書館へ行こうぜ」

「行こう、行こう!」

「よし行きますか」

 

 

 

 

 

 

 

青年&少女移動中

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ…」

 

なんだここは、デカすぎだろ。

 

「ここが紅魔館だぜ」

「私の家だよー」

 

お嬢様でしたか、はい…

紅魔館と呼ばれているこの館は名前の通り真っ赤だ。ただ、窓が1つもない。ああ、吸血鬼は日の光に弱いからか…あれ?

 

「フランドール、お前、日に当たって大丈夫なのか?」

「うん、パチュリーが魔法かけてくれたから!」

 

なんだろう、妙に説得力がある。

 

「あ!おかえりなさいませ、妹様」

「美鈴!ただいまー!」

 

誰だろうか、門番か?

 

「!…魔理沙さん、何の用ですか!」

「あー、今日は違うんだぜ」

 

と言うと俺の方を指した。

 

「えーっと、俺は碓氷勇人、一応教師をやっている」

「あぁ!貴女が、いつも妹様から話を聞いています、今日は一体どのようなご用件で?」

「先生はねー、本を読みに来たんだよ!」

「図書館ですね、多分、パチュリー様ならお許しをくださると思いますが…」

 

ん?なんだ、魔理沙の方を見て、

 

「貴女はダメです」

「は?いいだろ、今日は借りる気ないんだぜ」

 

彼女は前科もちのようだ。

 

「本当ですね?」

「安心しろ、今日は本当だ」

「……分かりました、では、どうぞ…」

「先生、魔理沙!早く行こう!」

「分かった、分かったから落ち着こう」

 

俺はフランドールに案内されながら行くのだった。

 

 

 

 

 

青年&少女移動中……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここだよー」

「おぉ!」

 

広い!その辺の図書館よりはかなり大きい。本はいたるところにある。

 

「あら、フランじゃないの」

「あ、パチュリー!」

 

あの娘がパチュリーと言う娘なのか。紫を基調としたパジャマみたいな服装をしている。ただ、病弱そうな面持ちだ。

 

「で、魔理沙と貴方は?」

「碓氷勇人だ。ここにある本を読ませて欲しいのだが」

「そう、貴方があの……汚したり、傷つけたりしなければ読んでもいいわ、魔理沙、貴女はダメよ」

「私は今日は借りに来たんじゃないぜ」

「返しにも来てないのでしょう」

「いつか、返すさ」

 

うーん、そのセリフを言う奴ほど返さないんだよなー。俺の銃も危なかったのか。まぁ、そこは置いといて、

 

「少し本を探してくるよ」

「うん!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「フラン、彼ってどんな人?」

 

ん?パチュリーが本以外に興味を持つとは。

 

「んー…強くて優しい人!かな?」

 

優しい?あいつはどちらかというと冷たい奴だと思うが。強さもよく分からないしな。フランの方がつよいだろう。

 

「そう…魔理沙、貴女はどう思う?」

「私か?無愛想で冷たい奴だな。だが、話を聞くとたった数日で飛べるようになったりとどこか、天才気質な感じがするぜ。頭でっかちかな。まぁ、霊夢に似ているかもな」

「数日で飛べる様に…」

「あと、自分で魔法道具みたいなのを作ってたぜ」

 

そう、あの銃は霊力を撃ち出せる様になっていた。他にも様々工夫が施されてた。あいつは本当に普通の人間か?

 

「……面白そうな人間ね」

 

ほぅ、珍しいこともあるんだな。本しか興味ないはずのパチュリーが人を面白そうなと言うなんて。で、その『面白そうな人間』は何をしてるのかな?

早速、本を読んでやがる。ちょっと近づいてみるか。

 

 

 

 

 

 

「おーい、勇人」

 

なんだ、こいつ返事しねぇ。集中し過ぎだろ。何を読んでんだ?少し覗くか。

 

ペラッ、ペラッ、ペラッ、ペラッ

 

早っ!こいつ本当に読んでるのか?こっちは全く読む暇もない。

 

「ふぅー、なかなか興味深かった、で、魔理沙は何の用だ?」

 

気づいてたのか。

 

「何読んでんのかなーって思っただけだぜ」

「あぁ、これか」

 

えっと、これは霊力に関する本か。主に肉体強化のことが書かれてるな。

 

「もう、読んだのか?」

「あぁ、多分そこに書いてあることはできるだろう」

「そうか、じゃあいくぞ!」

 

ちょっと、イタズラだ。後ろから本を頭に振り下ろす。

 

ゴンッ!

 

「よし、上手く強化できてるようだ」

 

マジか…本当に習得してやがる…全然平気そうだ。

 

「魔理沙!本を傷つけないでちょうだい!」

「あ、あぁ、すまない」

「ところで貴方」

「ん?」

「貴方、いつでもここの図書館使ったもいいわよ」

「お!それはありがたい」

「何故なんだぜ!私は!?」

「別に彼は盗むわけでもないなら、構わないわ。本を大切に扱ってくれるだろうし。別に借りてもいいわよ」

「いや、大丈夫だ、すぐに読めるから」

「そう、…やっぱり、おもしろいわね…」

「ん?なんか言ったか?」

「いいえ」

「美鈴に伝えておくから次回から来ても問題ないわ」

「本当にありがとう、じゃあ、今日のところはこれで」

 

私と勇人は図書館を後にした。

 

「さよなら!先生!」

「あぁ、また明日、魔理沙もさようならだ」

「お、おう…」

 

彼は飛んで行った。あいつは謎が多いな。

 

「じゃあね!魔理沙」

「あぁ、じゃあな、フラン」

 

私はそのまま博麗神社に向かうことにした。

 

 

 

 

 

少女移動中…

 

 

 

 

 

 

 

「霊夢ー」

「ん?何よこんな時間に」

「相変わらずだなー、お客だぞ?」

「お賽銭もくれないのにお客な訳ないじゃないの」

 

相変わらず、つれないんだぜ。

 

「で、何の用よ?」

「あぁ、そうだな…」

 

私は碓氷勇人のことを話した。

 

 

 

「そう、で?」

「いや、聞いたことあるかなって」

「別にないわ。でも、彼は守谷神社に住んでるのでしょう?多分いつか会うんじゃない?」

 

そうか、神社ぐるみで会うかもな。

 

「大丈夫よ、すぐに会うから」

 

急にスキマが現れた。

 

「何よ、紫」

「ちょっと、お知らせ、ここで彼の歓迎会でも開こうと思うわ」

「なんでよ、私と碓氷って人は関係ないじゃないの」

 

そうだ、なぜわざわざ歓迎会なんてするんだぜ。

 

「貴女は知らないでしょうけど、彼、妖怪の間では随分と有名人よ?」

 

あの新聞のせいだろ。確か天狗に勝ったとか、吸血鬼に勝ったとか。

 

「でね、歓迎会を機に紹介してあげようかと」

「なら、守谷神社でいいじゃないの」

「でも、食べ物とかお酒とか持ってくると思うけど…」

「いや、是非博麗神社でやらせてもらうわ!」

 

すごい手のひら返しである。

 

「魔理沙も参加するでしょう」

「まぁな、あいつと知り合いになったわけだし」

「ねぇ、紫、そのこと守谷神社に伝えてるの?」

「この後、伝えるわ」

「碓氷勇人ねぇ….」

 

 

 

 

こうして、本人が知らぬ間に歓迎会の話が進んでいくのだった…




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