悪役(?)†無双   作:いたかぜ

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初めまして、いたかぜです。
初投稿となりますがよろしくお願いします


各地編
序章


唐突だが俺は知っている。この世界が恋姫†無双というゲームの世界だったということを。俺がこの世界に転生していることを。俺がこの世界にいるのには涙なしでは語れない理由がある。その一部を見てもらおう。

 

 

~ダイジェスト~

 

 

「やっほー! アタシ神様! 突然だけど手違いで君をこ○しちゃったの! 許してテヘペロ☆ それで現世には戻れないけど君が好きだった恋姫なんとかというゲームに転生させてあげるね! あ、もちろんチートありありでね! 一応主人公は登場しないから好きにやって貰ってもいいから! それじゃ頑張ってね! バイビー!!」

 

 

~終了~

 

 

な? 涙なしでは語れないだろ? 夢かと思ったら目覚めてみると赤ん坊だった時には本気で神様を信じちまったよ。(ツラ)見せろぶん殴ってやる。

まぁそんなこともあって恋姫の世界に生まれた俺はある目標の為に生きることにした。その理由は……

 

「恋姫武将を“くっころ”させたい!!」

 

そう何を隠そう俺はその手のゲームも大好きなのだ! だからこそこの世界のヒロインの屈辱的な顔を拝めると思うと興奮が収まらないぜ。

だから俺は自分が悪役になることを決め、その為の準備をすることにした。

 

まずは幼少期は目立たないこと。子供の時に目立ってしまうと天才やら神童やらと騒がせてしまう。そうなると恋姫のヒロインに俺の存在を知られてしまう可能性がある。それでも良いが俺のプランとしては突如現れた悪役によってプライドもズタズタにする方がより効果的である。幸いにも俺は名族やら名家やらではなく、ごく一般的な村の息子として生まれた。

だから俺は普通の子として生活を送った。適当に親の手伝いをし、適当に叱られ、適当に村の人たちと交流する。

そのお蔭もあって村からの評価は……

 

「いると助かるけどいなくても問題ない普通の子だな」

「これといって特徴がある子じゃないわね」

「誰そいつ?」

 

ご覧の通りである。完璧だけど目が潤むのは何故だろう。

 

次は情報。神様が言うにはこの世界には主人公である北郷一刀は出てこないらしい。だからどのルートで進むかわからない。事によってはヒロインがいなくなってしまう。これは大問題の案件である。くっころされる前に退場されては意味がない。

そこで対策としてはたまにくる行商人と仲良くなること。商人とは様々な街や地方を訪れるため、情報を得るにはうってつけである。こんな田舎村に来るか心配もしたが、定期的に訪れてくれる商人がいたので俺は訪問した際の手伝いを引き受けた。商人は最初こそ疑いはされたが、村の評価もあって段々と俺を受け入れてくれた。

そして仲良くなってきた頃に……

 

「おじさんはいろんなところを回ってるの?」

「ああ。これでもお偉いさんとも繋がりはあるんだぜ」

「マジですか!? 俺、ここから出たことないんで街の話とか聞かせて貰ってもいいですか?」

「お安い御用さ。といっても今はちょっと不況だから面白くないけど……」

「不況?」

 

こうして俺は商人から情報を聞き出せた。話からするとどうやらが漢王朝が弱り始めており、賊が増加したとのこと。

俺は恋姫こそやっていたが正直三国志は詳しくはない。だから漢王朝と言われてもピンと来ないが張角について質問したところ初めて聞くとのこと。だからまだ黄巾の乱は始まっていないらしい。

おじさんありがとう。悪人になってもおじさんは襲わないようにするね。

 

そして最後は強くなること。今こそ普通の子で過ごしているが神様から頂いたチートがある。しかし戦いに関してはど素人である。まずは村の目の届かない場所で特訓を行った。やはりというべきか身体能力は桁はずれである。試しに木を思いっきり殴ってみたらキレイに拳が貫通した。はんぱねえなオイ。そしてこの力は任意で出せるみたいだが正直暴発してしまうのが怖いのでそれを抑える特訓を行っていくことにした。

独学ながらもチートのお蔭もあり、上手く制御出来るようになり、今では手からビームを出せるようになった。……あれ?

そして長い月日が流れた頃……

 

 

~森~

 

 

「ククク……ようやくだ」

 

長い長い準備期間を経て、俺は村を飛び出して山賊っぽいことを行っていた。まぁ山賊とはいっても村からではなく同じ賊から強奪していたんだけど。奪った物資は大半を奪われた村に返し、少しちょろまかす程度には悪さをした。顔がバレたら嫌なので村の近くに置くことにしている。顔にはフードを被り、口元もマフラーで隠すなどの遠くから見られても大丈夫な対策もばっちりだ。

こうして着々と力をつけていき、俺の部隊も20人を超えていた。あまり多すぎても目立ってしまうからこのくらいが丁度いい。

 

「兄貴が笑いながら武器の手入れをしている……」

「こりゃあ近いうちに何かあるな」

「笑ってる兄貴もきゃわいい……」

 

俺の部下もまた猛者たちであり、俺自身で訓練を行った。どうやら教える際にもチートは作用するようで教えただけで1人で一つの賊を撃退できるようになっていた。余談だが最近、尻に殺気を感じるのは何故だろうか。

 

「御主人様」

 

得物の手入れを行っている最中に俺に話しかけてきた人物。この時代には余りに合わない“メイド服”を着用した顔が整っている女性。

名は孫乾(そんけん)、字は公祐(こうゆう)。真名は美花(みーふぁ)

賊を襲った時に捕らわれていた女性である。基本、俺は捕まっていた人は村へ返すのだが彼女は俺の部隊に入りたいと言ってきたのだ。最初は断り、村へと返したが、拠点としている隠れ家を見つけられてしまったので仕方なく部隊への参加を許可した。

ちなみにメイド服は夢の中で神様が「面白いものがあったから置いとくね!」と言って目を覚ますと枕元に置いてあったのだ。せめての抵抗でそのメイド服を窓から捨てると次の日に美花が着てきた。なにしとんねんと思ったが予想以上の破壊力であったのでそのままにしている。というよりこの子めっさ可愛いけど恋姫のキャラにいたっけ?

 

「各地の情報が集まりました。いかがされますか?」

「ククク……実はもう行き先は決めている」

「と、申されますと?」

「銭唐だ」

「「「えっ!!?」」」

 

俺の発言に部下たちは驚愕の顔を隠せない。

 

「正気ですか兄貴! あそこには多くの海賊がいるんですよ! いや海賊ならまだいいです。あそこには……」

「江東の虎……だな」

 

部下が心配しているのは賊などではない。そこで賊退治を任命されている江東の虎である孫堅(そんけん)の存在だろう。その武勇は俺にも届いている。

 

「そうですよ! 今までとは話が違います! ですから兄貴! 此処は一旦落ち着いて……」

「ククク……だからこそ行かなければなるまい」

「兄貴!?」

 

そう行かなくてはいけないのだ。孫策や孫権、孫尚香の母親である孫堅。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

絶対に美人さんに決まってんじゃん! ゲームだと居なかったから是非とも会ってみたいんだよ! いつ退場になるかわかんないから!

そして願わくは最初の“くっころ”ヒロインになってもらおうか。げへへ……

 

「やっぱり兄貴も武人だな。その名を聞いて笑ってやがる」

「だが、これでこそ兄貴だぜ! こうなったら何処までもついていくぜ!」

「兄貴の笑い声……あれ……初めて聞いた時……なんていうか……その…下品なんですが…フフ……勃○……しちゃいましてね……」

 

各々もまた俺の声に賛同してくれたようだ。最後の奴はどこかに捨ててこよう。じゃないと俺が“くっころ”されてしまう。

 

「美花」

「既に準備が出来ております」

「さすがだな」

「ッ……勿体なきお言葉、です」

 

美花は本当に有能な存在だな。だが何故か俺が褒めると身体を震わすことが多い。風邪かな?

まぁいい。記念すべき最初のターゲットは定めた。これより、俺の野望がはじまるのだ!

 

「俺は臧覇(ぞうは)! これより始まるは俺の天下よ!! いくぞてめぇら!!」

「「「ヒャッハーーーー!!!」」」

 

待っていろ恋姫よ!!!




呼んでいただきありがとうございます。
多分呼んでアレ? と思う部分もあるかと思いますが、完全な三国志を目指すわけではないのでそこらへんはご理解の方よろしくお願いします。

それではまた次回。

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